第二十二話 嘘をつく人、つかれる人のおはなし
嘘をつかれた小夜の反応はいかに。
みなさんこんにちは。
神野 小夜です。
私の待ってる、刀鍛冶さんは急用ができたということで、来られないそうです。
その代わりに、メモが送られてきて、とりあえずメモの通りにやってくれ、
ということでした。
メモを読んだ私は、私にできるかな?と、思いました。
でも、秀兄ちゃんが、
「これなら俺でもできるだろ。」
と言って、やってくれてます。
でも、3日ほどしてから、
「おい小夜。話しがある。」
「なに、秀兄ちゃん。」
「怒んなよ。」
「うん、わかった。」
「実はな、俺がお前の言ってた、刀鍛冶なんだよ。」
「またぁ、嘘ばっかり。そんなはずないじゃない。」
「いや、ほんとなんだ。すまん。」
「ほんとなの?」
「ああ、すまっ」
ボコッ!
「んがっ!」
「ごめんなさい、秀兄ちゃん。つい、手が出ちゃった。」
「ついじゃねぇよ。痛って~。」
「嘘ついてた、秀兄ちゃんも悪いんだよ。」
「ああ、そうだな。お前、嘘嫌いだもんな。」
「うん。なんで嘘ついてたの。」
「それはな・・・・・・」
嘘をついてた理由は、刀鍛冶なら、早く作れ、とか急かされたりして、
自分のペースを乱されるのが嫌というのが、主な理由でした。
それと、これからも手伝う気があるなら、お姉ちゃんたちは説得しろ、
と言われました。
刀鍛冶なら小夜ちゃんに手伝わせるな、とかいうに決まってるといわれました。
そんなことないよ、と私は言いましたが、
絶対か、保証できるのか、と言われて、絶対は言い切れないなぁ~
と思ったので、説得することにしました。
そして、今に至ります。
「秀兄ちゃん、その石ころみたいなの何?」
「ああ、これな。それが刀の材料の玉鋼だ。聞いた事あんだろ。」
「聞いた事あるある。へ~これが玉鋼なんだ。へ~~。」
こんにちは、神野 秀です。
今日から、刀を造っていこうと思います。
早めに起きて、準備をしていると、
「おはよう、秀兄ちゃん。」
「おう、おはよ。どした、こんな朝早くから。」
「何か手伝えること、ないかな~って思って。」
ぐはっ!
こ、こいつは。炭きりさせて真っ黒になっても、文句は言わない。
そして今度は、早くから起きて手伝おうとする。
刀鍛冶のことを、黙っていることに、罪悪感を感じる。
近いうちに、こいつには話そう。
そして俺は、話した。
殴られた。
怒って殴ったというより、嘘をつかれた事に体が反応したような感じだった。
嘘をつかれて人殴るって、どんな体しとんねん。
嘘をついてた俺も悪いけど。
うん、なんかスッキリした。
いい刀が造れそうだ。
嘘の代償が一発だけでよかったじゃん