第十八話 小夜の日常、早とちり美紀、孤独な早紀
賑やかな食事が出来てよかったね。
みなさんこんにちは。
神野 小夜です。
京香さんは、ここで剣の修行がしたいということで、私のいる高校に編入することになりました。
また一人、お姉ちゃんで先輩が出来たようで嬉しいです。
これで私の家族は、お父さん、素敵なお姉さんが3人、いい加減な兄一人。
まあ兄はおまけのようなものですが、
食事が賑やかになるので、私はとてもうれしいです。
ここのところ私たち4人は、家に帰ると道場で稽古をしています。
稽古はとても楽しいです。
ちょっと残念なのは、肩に担ぐような構え方は早紀姉ちゃんに禁止されたことです。
道場には私たち4人のほかに、雑用で秀兄ちゃんがいます。
「秀、タオル。」
「はいはい。」
「おい秀、スポーツドリンク。」
「あいよ~。」
こんな風に秀兄ちゃんは、こきつかわれています。
最後はいつも、秀兄ちゃんに木刀をもたせ連撃の練習をします。
これは早紀姉ちゃんが考えた練習です。
「なんで俺がこんなこと、せなあかんの?」
(くそっ、しっぽ出すの待ってやがるな。しっぽなんか出してたまるか。)
ああ、今日もダメだったか。あの時の違和感は私の勘違い?
いや、まだまだ答えを出すのは早いわ
「はい、ここまで~夕飯の支度しましょう。」
「おい、早紀。稽古するのはいいけど、なんでお前が仕切るねん。」
「それじゃあんたやる?」
「あっ、いや、あたしはいいわ。」
「あ~手がじんじんする。なんでこんなこと、せなあかんねん。」
「ちょっと秀。あんた、躱せるなら躱していいんだからね。」
「無理無理、躱せるわけないやん。」
「ふ~ん、そうなんだ。」
「もうやめてもいいやろ。」
「ダメ。」
「なんでやねん。もう辞めさせて~な。」
こんな感じで秀兄ちゃんは、こきつかわれています。
秀兄ちゃんに木刀持たせての練習にどんな意味があるのか?
早紀姉ちゃんが考えたんだから、何か意味があるのでしょう。
みなさんこんにちは。
神野 早紀です。
秀がなにか、隠し事してるようなので、美紀に手伝ってもらおうと思います。
「美紀、話があるから道場に来てくれる。」
「あん、なんでや。」
「いいから来て。」
はは~ん、小夜ちゃんのことで、どっちが姉か決着つけるいうことか。
やったろうやないか。
「あのな美紀。」
「あ~もう言わんでいい。ほれ。」
美紀は木刀を早紀に渡した。
「おい、構えろ。はは~ん。無業の構えっちゅうことか。」
「えっ、どういう事?」
「いくぞ!!」
「えっ、えっ、ちょっ待って!」
「待ったなしじゃ!」
カンカンカカンカン!
「なんじゃそのへっぴり腰!やる気あんか!!」
だ、ダメだ。こいつなんか勘違いしてる。
「ばか、何勘違いしてんの。ちょっとやめなさい。」
「何が勘違いやねん、死にさらせ~~!!」
がらっ
「なにやってんの二人とも。死ねって聞こえたけど、どういう事。?」
「さ、小夜。どうして。」
「小夜ちゃん。」
「音がしたから来てみれば、喧嘩してたんですか?私は喧嘩は嫌いです!」
「喧嘩なんかするわけないじゃい。ねえ~美紀。」
「そ、その通り。ほら見て、こんな風にハグだってする仲なんだから。」
「そうよ小夜ちゃん、ただ気になるところがあって、美紀と復習してただけ。」
「ほんとに?」
「ほんとほんと。ところで何か用なの?」
「早く二人とも、お風呂入ってくださいね。」
「うん、わかったよ小夜ちゃん。」
「わかったわ、小夜。」
「いつか決着つけてやる。」
美紀に話しても、こんなんじゃ役に立たないわね。
一人でなんとかするしかないか。
美紀は、早とちりし過ぎだろ~。