第十五話 ホントの実力
京香が小夜と御神刀を賭けて勝負します。いままでのように、あっという間に勝負はついてしまうのか?
はたして。
みなさんこんにちは。
神野 京香です。
今日はこれから小夜さんと、御神刀を賭けて勝負をいたします。
早紀お姉さまが見ているので、無様なところみせられません。
小夜さんの噂は聞いた事があります。
正直申し上げますと、いろんな噂を聞くかぎり、わたくしじゃ勝てないでしょう。
しかし神野本家としては、何もしない訳には参りません。
「久し振りだなぁ。小夜ちゃんのこんな姿。早紀おまえはどうだ。」
「久し振りに決まってるじゃない。小夜ちゃんに逢うのだって久し振りなのに、
誰かと勝負するところなんて、あれ以来よ。」
「そうかぁ、小夜ちゃん魔物ばかりあいてにしてたもんなぁ。
またあっという間に、勝負がつくんだろうなぁ。」
「そうね、神野一族最強で私の妹だからね。」
「癪に障る言い方すんな。」
「ほんとのことを、言っただけよ。」
「ほんとに俺が審判すんの?」
「ええ、そうよ。」
「めんどくせぇなぁ。」
「おい秀。なんか文句あんのか?」
「あ、いや、文句なんてないっすよ。二人とも用意はいいな。」
「はい。」
「ええ、いつでも。」
「それじゃぁ、はじめ。」
始めの合図とともに小夜が仕掛けた。
決まったと早紀と美紀は思った。
しかし京香はそれを間一髪よけてみせた。
「なに~!ばかな!!」
「う、うそ・・・」
はやい、こんなに早いの初めて。それに重い。
と、京香は驚く。
しかしそれ以上にふたりは驚いていた。
小夜の連撃は続く。
京香は打ち返す隙も与えてもらえず、必死によけていた。
二人は悪い夢でも見ているかのようだった。
そして二人はぽかんと口を開けたままで、もう間抜けそのものだった。
連撃に隙が出来た一瞬を狙って、京香が間合いを取る。
それを見ていた二人も、正気を取り戻す。
間合いを取ったはいいが、京香の手はしびれていた。
また連撃されたらおしまいね。その前にこちらからいくしかないわね。
そう思った京香は、深呼吸をして正眼に構えた。
そしてそのまま腕を伸ばし、体ごと小夜に突きをいれようとした。
しかし小夜は、京香の木刀を叩き落として、
京香の頭に寸止めを決めていた。
「それまで!この勝負小夜の勝ち。」
そして元の位置に戻り、
「礼!」
「「ありがとうございました」」
「さすがに強いわね。神野一族最強は伊達じゃないってことですわね。」
「いえ、京香さんも強かったです。また勝負したら今度は私の方が負けかもです。」
「残念ながらそれはないですわね。」
「小夜ちゃんとここまでやるなんて・・・」
「京香ちゃんがこんなに強いなんて、私たちと同等、いえ、それ以上かも。」
それを聞いた俺は思わず、
「余計なことは考えないで、ちゃんと小夜の剣を見ていたら、
あの時みたいな負け方しないと思うな。」
「どういう意味。」
「なんであんたが、そんなこと言いきれるっちゅうねん。」
「あ、いや、なんとな~く思っただけで、へへへへ。」
「な~んかあやしいわね。」
「あやしくない、あやしくない、あっのど渇いたからコーラでも飲もう~っと」
「まあいいわ、小夜ちゃん、私と手合せしてくれる。」
「いいよ、姉さん。」
「美紀、ちょっと審判してくれる。」
「えっ、なんで?」
「いいから」
「わかったよ」
美紀はどうせ前みたいにやられると思っていた。
「はい、はじめ」
やる気のない合図で、手合せは始まった。
早紀は集中していた。
まずは、小夜ちゃんの一振り目を見よう。
昔は見えなかった一振り目を。
そして小夜が仕掛けた。
早紀も間一髪のところで、よけてみせた。
やっぱり。早くて重いけど見える。
見えなかった剣が見える。
京香の時と同じように連撃が続く。
そして連撃に隙が出来た瞬間打ち込もうとしたが、
一瞬小夜の方が早く早紀の胴に寸止めしていた。
「おい、審判。」
「お、おう、小夜ちゃんの勝ち。」
「どういうことだ!」
訳の分からない美紀は、早紀に詰め寄った。
「小夜ちゃん、美紀とも手合せしてくれる。」
「はい。」
「美紀、よく聞きなさいよ。小夜ちゃんのことは考えないで、
剣だけに集中しなさい。わかった?」
「なんでか分らんけど、やってみるわ。」
「いい?二人とも。」
「はい。」
「おう、いつでもいいぞ」
「はじめ。」
意味はわからんが、あいつがあんなに真剣に言うんだから、
やってやるか。剣に集中集中っと。
剣に集中出来たところに小夜の一振り目が来た。
やっぱり早いと思いながらも、美紀もまた連撃をよけていた。
美紀は小夜の剣をよけている自分に驚きながらも、
連撃に隙が出来た瞬間しゃがみこみ、下から突き上げようとした。
しかし小夜の方が一瞬早く頭に寸止めを決めていた。
「それまで。」
そして礼をすると美紀は
「どういうことやねん!」
「どういうこととは?」
「なんで小夜ちゃんの剣が見えるようになったんや!」
「私たちは剣を見ずに小夜ちゃん自身を見ていたということよ。余計な感情のせいで。」
「それじゃあの時の小夜ちゃんになら、剣に集中出来ていたら勝てたということ?」
「それはないと思うわよ。今でもよけるのが精一杯なんだから。
もしかすると、小回りが利く分小さいときの方が早かったかも。」
「どうしたんですか二人とも。」
「なんでもないよ。さあ、お昼にしよ。」
それにしても、秀のあの態度気になるわね。
いつか問い詰めてやる。
「
「
いつか問い詰められてしまうぞ秀。心構えはしておこうね。