第十二話 剣鬼登場、魔王焦りと混乱
ようやく剣鬼が登場です。剣鬼もほっとしているでしょう。
みなさんこんにちは。
キュートでラブリーな黒巫女、神野 小夜です。
私は今同時に2体妖魔が現れるという珍しい事態に直面しています。
もう1体の方には美紀お姉ちゃんと京香さんが向かい、
もう討伐してこちらに向かっているということです。
私も早く討伐したいのはやまやまなのですが、
応援の黒巫女さんが来る途中で、事故を起こしてしまって遅れてます。
事故といっても止まっている車に後ろからぶつけてしまった、いわゆるおかまです。
ゆっくりとぽこんと当たっただけなので、たいしたことはないそうです。
でも、妖魔には複数人で対応しないといけないので、相談してみると
「だいじょうぶ、君もよく知ってる凄腕黒巫女が助っ人にくるから。」
と、言われたので美紀お姉ちゃんたちだとばかり思っていました。すると、
ききき~~っ!
がちゃ
ばたん
あきらかに美紀お姉ちゃんの車とは違う音がしました。
そして、中から出てきたのは、
「すみません、遅れました。」
「いえ近くにいたあなたに、緊急応援を頼んだのはこちらですから。」
「お、おねえちゃん?どうしてここに?」
「そんなの後で説明してあげるから、今は討伐のほうが優先でしょ。」
「う、うんわかってる。」
「私はなにをすればいい?」
「おねえちゃんは、封魔刀でとどめをおねがい。
私が斬り倒すから。」
「わかったわ。」
随分成長したみたいね。昔は魔物を見つけたら、
役割決める前に斬り倒してよく怒られていたのにね。
「お前が神野 小夜か、おまえを倒して俺様の格を上げてやりゃっ!」
しゅっ
かち~ん
「ぞんな、ぜめでざいごまでいわせてじょ。」
「すごいわね、また強くなったんじゃないの。」
ぶしゅっ
「ハイ終わり。」
「小夜ちゃ~ん、だいじょうぶ~~。」
「心配ご無用です。私がさぽーとをしたので。」
「げっ、なんでお前がここに?」
「私のいないところで、あんたと小夜ちゃんが一つ屋根の下にいるのを、
指をくわえてみているわけにはいきませんので、当然のことです。」
「だまって指をくわえてりゃいいのに。」
「ねえ小夜ちゃん、実の姉に逢えて嬉しいよね。」
「当たり前じゃない。久し振りなんだもん。嬉しすぎるくらいだよ。」
「だよね~やっぱり小夜ちゃんはかわいいなあ。」
仲良く歩いてゆく姉妹を美紀は、歯ぎしりしながらみていた。
そして、美紀を車の中で待っていた京香は、小夜の横を歩く女に気が付いた。
「あれはまさか、早紀お姉さま?」
数秒ぼ~っとして慌てて声を掛けようとしたが、もう車は発進した後だった。
京香は美紀に
「何をしてるんです。」
といったが、美紀はなにやらぶつぶつと独り言をいいながら、
ゆっくりと車に向かって歩いている。
「あのおじゃま虫なにが、指をくわえてみてるわけにはいかないだ。
闇討ちしてボコボコにしてやるか?いや、そんなのばれたら小夜ちゃんに嫌われる。
くそ~あたしはどうしたらいいんだ・・・」
闇討ちって、如何にも魔王ってかんじだけど、怖すぎるぞ。それに混乱し過ぎじゃね。