第十話 もう一人の暴力女
お嬢様、起きてください。11話目が始まりますよ。
「う~ん、はあよく眠ったような、でもここはいったい。」
わたくしになにがあった、よく思い出せない。
たしかわたくしは、神野 小夜と勝負するために姫路に向かったはず。
いろいろあったが姫路について・・・
え~と、お母さまに連絡して、
あっ思い出しましたわ。
あの乱暴な運転をする神野 美紀がなぜか迎えにきたのですわ。
わたくしはあの乱暴な運転のせいで気分が悪くなり、
そのまま眠ってしまった、そういうことだった気がしますわ。
こんこん
「京香さん、起きてますか。」
「はい、起きていますわ。」
「ご気分がよろしければ、ご飯食べてくださいね。」
「どうもありがとう。」
京香は知らない、今会話をしているのが誰かということを。
「ぬくいうちに食べてくださいね。わたしは学校があるので失礼しますが。」
「そうですか、気を付けて行ってらっしゃい。」
「はい、いってきます。」
「礼儀正しい、いい子ですわね。あの神野 美紀とちがって
それじゃお言葉に甘えて朝食をいただきましょう。」
「いただきます」
「俺の名前は神野 秀。なああんた、こんなとこまで何しに来たんだ。」
もぐもぐもぐ
「無視すんなよ。」
「人が食事しているときは、話しかけないでください。」
もぐもぐもぐ
「けち臭いこと言うなよ~。」
かっち~ん
ボコッ!
「痛えな、なにすんだこのやろ~」
「けち臭いとは何ですか。殴りますよ。」
「もう殴ってんじゃねえか!。」
前々から思っていたが、神野の女は手が早いんじゃないかと。
俺の周りの女で俺を殴ったことのない女は一人もいない。
俺の周りの神野の女は暴力女確定~~
「わたくしのことをけち臭いなんて屈辱です。それにわたくし野郎じゃありません。」
「ああわかった、俺が悪かった。この通りだ、許してくれ。」
「分かればいいのです、分かれば。頭を御上げなさい。許して差し上げますから。」
「ほんとか、ありがとう。朝食が終わるまで待つことにするよ。」
「ごちそうさまでした。」
「やっと朝食が終わったか。それにしても食べるの遅すぎじゃねえの?」
「そんなことはありませんわ。食事はよく噛んでするものです。」
「あっそ、そんなのどうでもいいけど。」
「聞いておいてどうでもいいってどういうことですの!」
「す、すまん。ごめんなさい。」
「ほんとうに悪かったと思っていますの。」
「思ってます。ですからその拳下ろしてもらえませんでしょうか。」
ほんとに手の早いやつだな。気を付けよう。
「あっ、食器はそのままでいいですよ。京香さん。」
「で、でも。」
「京香さんはお客様だし、これは居候の私の仕事ですので。」
「あの秀さん、先ほどから言葉遣いが変わったような気がするのですが。」
「そんなことありませんよ。京香さん。」
「ほらそれです。先ほどまで、あんたとか呼んでいたくせして。」
「そ、そうでしたか?覚えてないなあ。それじゃ何と呼べば、京香様?
お嬢様?それとも京香の姐御?」
「なんですかそれは、年下なのですから京香でいいですよ。」
「ほんとに?やっぱり呼び捨てはだめです!とか言って殴らない?」
「殴りませんよそんなことで。それよりも何か聞きたかったんじゃないんですか。」
「ああ、そうだった。ここには何の用事で、き、京香はきたの?」
「それは、神野 小夜と勝負をするためです。」
「さ、小夜と勝負~~。ほ、ほんき?もちろん剣術だよね。」
「そうですわ剣術ですわ。それ以外になにがあるというの」
「ですよね~じょうだんでもないですよね」
「わたくしは、冗談と嘘は嫌いだし、いいません。」
「そうかあ、小夜と勝負かあ。まあ頑張れよ京香。」
「はい、必ず勝ってみせますわ。」
「それじゃあ、おれはこれで。」
「もしもし、美紀姉ちゃん、京香のやつ小夜と勝負しに来たみたい。」
「トランプか花札かそれともオセロか」
「全部違うよ。なんでそんなことでわざわざ姫路にくるんだよ。」
「それじゃ、渋いところで将棋とか囲碁とか。」
「なんでやねん。ボケるのもういいから。」
「それじゃ、やはり剣術か。」
「うん。」
「わかった、今日は仕事早めに切り上げて、京香のやつに、
小夜ちゃんと勝負なんて、百万年早いということを教えてやる。」
京香の前に立ちはだかる美紀。はたして京香は小夜と勝負できるのか。