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《02》大魔王クロードが仲間になりたそうだ。仲間にしますか? はい← いいえ

──ソーマさん─〈ゼレーネディア〉の大地では、人間族の冒険者のふりをしているらしいので…以後、冒険者としてはレインさんと呼ぶ(※心の中でも!!)─に案内されて辿り着いた建物は…とてもおもむきがあり、長い歳月を感じさせる風合いを持ち、何処か落ち着いた風情のモダンな造りの建物だった。



「…さてと。此処が、〈冒険者ギルド〉クレベリア支部よ。

“支部”と言っても、大きな街にある以上は充分なサポートは受けられるわ」


そう言うと、突然レインさんは真剣な表情になる。


「〈冒険者ギルド〉で“冒険者登録”を行う前に、三つ程言っておかなければならない事があるわ。

まず一つ目は、貴女の本来の名前…『遠野咲夜』という名前をこの世界では“絶対に”名乗らない事。

〈冒険者登録〉する際は、『サクヤ』の名前で登録しなさい。

貴女はゼルセウスの加護に護られているけど…用心するに越した事は無いわ」


レインさんからの忠告(注意点?)の一つ目は、アタシの本名である『遠野咲夜』の名を絶対に名乗っちゃいけないって事だった。



──もしかして、ゼルセウスのおっちゃんが〈神刀・天照〉の特殊能力の説明の中で言ってた『呪縛・隷属・洗脳の禁術』っていうのを警戒してなのかな?


だから、レインさんはカタカナでの『サクヤ』って名前で登録しろって言ってるのかな?


「二つ目は、貴女が『異世界からの来訪者』である事を明かさない事よ。

これは、貴女自身の身の安全を図る為でもあるわ」


二つ目は、アタシが『異世界人』である事を言いふらさないって事だった。

多分、『異世界転移』とか『異世界転生』とかのお約束である『チート能力』を悪用したいっていう悪人や権力者から狙われない様に用心する為って事なのかな?


「最後の三つ目よ。

貴女は、元の世界の神々やゼルセウスから〈ゼレーネディア〉を邪神の魔の手より守る為に破格の武器と力を与えられているわ。

それを絶対に私利私欲の為に悪用しない事。

…分かったかしら?」


三つ目は、アタシに与えられた武器と能力を絶対に悪用しない事だった。



──まあ、普通は人助けというか…世界を守る為の武器や能力を悪用しようなんて絶対考えないし、寧ろそれらを悪用しようなんて考える馬鹿がいたらアタシがぶん殴ってやる位だ。



「うん、分かった。

レインさんがわざわざ言う位だから、凄く大事な事なんでしょ?

なら、きちんと守るよ!」


アタシの返事に、レインさんは満足そうに笑みを浮かべると…ブツブツと何かを呟き出した。


すると、さっきまで全く人通りが無かった〈冒険者ギルド〉前の通りに突如、まばらながらも人通りが現れた。


「…えっ?」


思わず驚くアタシに、レインさんが悪戯っぽく笑う。


「内緒にしてて御免なさいね。さっきの会話を他の人に聞かせる訳にはいきませんの。

ですから、貴女には何も知らせずに〈隔離結界〉を張らせていただきましたわ」


ああ、成程。

情報漏洩防止の為に、防音加工が施された部屋やどっかのファンタジー小説とかに載ってた〈遮音の魔法〉とか〈音声遮断の結界〉みたいなものを使ったのか〜。



…ん?って事は、レインさんは魔法を使えるの?



気になったので尋ねてみたところ、レインさんからは『使える』というお返事を戴きました。



──後、『〈隔離結界〉は神様にしか使えない特殊な結界だ』と、レインさんが教えてくれた。

この結界を応用すれば、邪神と神様以外を一時的に結界内に閉じ込める事が可能なんだって(※尚、邪神や神様を閉じ込めるのが無理なのは、〈結界構築式〉っていう結界を形成する一種の魔法陣が形成されるのを力で妨害出来ちゃうからなんだって)。



んで、神様以外が盗聴を防止するなら…さっき、偶然とはいえ当てちゃった〈遮音魔法〉か、一時的に結界で擬似防音室を作り出す〈遮断結界〉ってものを行使しないと駄目なんだって。

ちなみに…〈遮音魔法〉は水属性と風属性の複合魔法で、〈遮断結界〉は水・風・光・闇・空間属性の複合魔法だって(って、ウィンドウの説明文にそう書いてあった)。



それから、この世界の属性だけど…ファンタジーではお馴染みの火・水・地・風の四大元素と、よくある光と闇の属性に、空間属性を合わせた七属性が存在している(こっちも、ウィンドウの説明文にそう書いてあった)。


火,水,地,風,光,闇は何となく分かるけど…『空間属性』って何?






【空間属性】


次元や時空に関係する属性。魔法の中にある〈転移ワープ〉,〈転送トランスファー〉,〈瞬間移動テレポート〉は、この属性に該当する。

また、次元や時空に干渉する類いの魔法陣や魔法具アイテムもこの属性に該当する。

尚、これらの魔法や魔法陣の発動,魔法具の作成は、この属性の適性を持たないと出来ない。

他の属性と違い、後天的に属性を得る事は不可能であり、先天的に生まれ持ってこないと持つ事は叶わない稀有な属性。






──うわっ〜…。“稀有”とか来ちゃったよ〜。


…けど、そっか。この説明文を読む限りでは、空間属性を持ってる人は少なそうだね。

…そういえば、アタシの属性ってどうなってるんだろう?

よし!レインさんに、属性を調べる方法が無いか聞いてみよう。



〈冒険者ギルド〉クレベリア支部の建物内へと入りながら…アタシは、レインさんに質問してみた。


「ねぇ、レインさん。

自分の持つ属性を調べる方法ってあるの?」

「ええ、ありますわ。

一つは、〈鑑定水晶球〉という魔法具アイテムを使う方法。

もう一つは、〈魔法鑑定師〉という職業を持つ方に〈属性鑑定〉を行っていただく方法の二つですわね。

まあ、サクヤの場合は〈冒険者〉登録の際に、職業や能力の判定と一緒に適性属性も調べられるから必要ありませんわ」


レインさんはアタシからの質問に、この世界の専門用語を交えつつ説明してくれた。

けど、アタシはギルドに登録する時に一緒に調べる事になるから…わざわざ調べる必要は無いそうだ。



──ちなみに、レインさんの説明の最中にもウィンドウは表示され…〈鑑定水晶球〉は調べたい対象の種族,能力,職業適性(もしくは、現在就いている職業),魔法適性,属性適性,状態異常の有無等を細かく調べられる魔法具、〈魔法鑑定師〉は魔法に関連する事柄…つまり、魔法適性と属性適性を鑑定する専門職、〈属性鑑定〉はそのまんま属性の適性を鑑定する特技スキルらしい。



そんな風に話をしている内に、アタシ達はカウンターらしき場所へと辿り着いた。


「此処が、〈冒険者ギルド〉の登録受付ですわ。

向かって右隣が依頼の受注と完遂した依頼の報酬を受け取る専用受付、左隣が〈冒険者ランク〉の昇格試験専用受付ですわ。

後で、もし何か分からない場合は、ギルドの受付の人やギルド職員に尋ねると良いですわよ」


そう説明してくれたレインさんは、にこやかな笑顔で受付に座る金髪美女エルフさんに話し掛けた。


「こんにちは。此方の子が、〈冒険者〉登録をしたいそうなので…手続きをお願い出来ます?」

「はい、承りました。

では、此方の書類に必要事項の記入をお願い致します」


そう言って受付の美女エルフさんに渡された書類の文字を見て…アタシは、一瞬固まった。



──ゼルセウスのおっちゃんのおかげなのか…何故か、文字は問題無く読める。

けど、アタシはこっちの世界の文字を全然知らない。



(…ヤバイ!詰んだ!?)



内心で動揺するアタシに、レインさんが小声で耳打ちしてきた。


(安心なさい。ゼルセウスが与えた〈自動翻訳〉は、言葉の聞き取りだけでなく…文字の読み書きにも恩恵を与えているわ。

文字が読めるのだから、心配しなくても大丈夫ですわ)


…取り敢えず、今はレインさんの言葉を信じよう。



──内心で若干の不安を抱きつつも、意を決して書類記入を始めると…あーら不思議!レインさんの言う通り、アタシの手がスラスラスラっと書きたい文字を自動的にこっちの世界の文字に変換して書いていくじゃあーりませんか〜!


わお〜!『自動書記』と『自動文字翻訳変換』なんて…召喚チートで、すんごい恩恵キタよー!!







──書類の記入が終わり…受付の美女エルフさんに手渡すと、エルフさんは書類に不備が無いかを素早く確認してから笑顔を向けてきた。



「はい、書類記入に不備は無いですね。

では、此方の〈識別結晶〉にどちらかの手を置いて下さい」


美女エルフさんに言われた通り、アタシは右手を〈識別結晶〉の上に置く。

しばらくすると、〈識別結晶〉が淡い虹色に光った。


「はい、ありがとうございました。

これより、〈ギルドカード〉の発行を行いますので…今しばらくお待ち下さい」


そう言うと、美女エルフさんは〈識別結晶〉を布(※多分、ただの布じゃない)で包むと、そのまま奥にある扉を開けて奥の部屋へと引っ込んでった。


待ち時間の間、退屈なので…レインさんの勧めで、アタシはどんな依頼があるのかを依頼票の貼られた掲示板へと見に行った。



パッと見た限りでの依頼票の内容は多岐に渡り…簡単なもので雑用系や採取系から、難しいものでは討伐系,護衛系,調査系,狩猟系と幅広くあり…どの依頼票にも、依頼内容,参加人数,ランクというのが記入された共通の欄があった。


(多分、Gが〈冒険者ランク〉の最低ランクだよね?)


ジーッと依頼票を見つめていると、背後から誰かが声を掛けてきた。


「もしかして、依頼を受けられるのですか?」

「うんにゃあ。〈ギルドカード〉が発行されるまで暇だから…どんな依頼があるのかを確認してるだけだよ」


そう言って振り向くと、そこには10歳位の…足首までの長い黒髪に黒曜石並みの綺麗な黒い瞳、黒色の長いマントの下には動きやすさを重視した黒色の上下ズボンとブーツを着た少年が立っていた。


少年はニッコリと笑い、アタシの隣側までやって来ると…掲示板に目を向ける。


「〈ギルドカード〉の発行って事は、初登録ですか?それとも再発行ですか?」

「うん?初だけど?」


好奇心旺盛に尋ねてくる少年だけど…あれ?何でだろう?この少年、子供と侮っちゃいけない気がする。



何故かそう思ったアタシは、ゼルセウスのおっちゃんのくれた能力─『自分や他人の状態を認識出来る能力』─を隣にいる少年に向けて使用してみる。





クロード・ヴォルガレス

Lv.20000

種族:魔族(悪魔族)

性別:男性 年齢:100歳

職業:大魔導師ウィザード/大魔王

称号:大魔王/魔導を極めし者

二つ名:大魔導王ウィザード・キング





「ブッ!?」



──……そして、思わず吹いた。



えっ?レベル二万?

えっ?魔族??

えっ?百歳???

えっ?大魔王????



──普通、ファンタジーのお約束の一つだと…魔王って勇者の敵として魔王の城とかで大物とかラスボス的な感じで、そこにいるくない?


幼い見た目だけど、一応魔王だよね?こんな所にいていいの?



アタシは思わず、そんな事を考えずにはいられない。

そして、隣で掲示板を眺めている少年─クロード君に尋ねる。


「(ねぇ、君。魔王だよね?

魔王である君がこんな所に居ていいの?)」


アタシの掛けた言葉に、クロード君─ええいっ!面倒くさいから心の中では“クロ君”って呼ぶ!!─は驚いた表情を見せる。


「(えっ!?何故、私が魔王だと…?)」

「(えっ?だって、ステータスの職業欄に“大魔王”って)」


アタシが更に続けた言葉に、クロ君が困惑気味の表情を見せる。


「(……今まで、〈鑑定水晶球〉や〈識別結晶〉の魔法具アイテム,〈能力鑑定〉特技スキルや〈識別魔法〉等の類いでも〈偽装魔法〉を見破られた事は無かったのですが…)」


そう困惑気味にクロ君がポツリと呟く。


「当然ですわ。サクヤの能力は、主神ゼルセウス直々に与えられたもの。

それこそ、遥かいにしえに失われし“喪失魔法ロスト・マジック”の一つ…〈古代魔法〉の《情報偽装》や《種族変換》でも使用しない限りは騙せませんわ」


そう言って、いつの間にかアタシ達の傍にやって来ていたレインさんがそう告げる。



──えっ?アタシが、ゼルセウスのおっちゃんから加護受けてるの…バラしてよかったの?



そう疑問に思ったアタシの思考を読んだかの如く、レインさんが耳元に囁き掛ける。


「(誰にでも話すのは良くないわよ。

でも、“魔族の中でも最強の強さを誇る魔族達が住まう魔界”ガレアスを治める魔王が…主神の加護を受けた者に不利益を与えたりしないわ。

……というよりも、そんな無知や無能な…誰かの傀儡になりかねない様な者を魔族最強が集う魔界の主たる魔王に据えたりなんてしないわ)」


レインさんが言うには、ガレアス魔界の魔族の王─魔王─になるには、それ相応の能力や知識を持つ者がなる様だ。



後、この〈ゼレーネディア〉では…魔界は多次元(※此処での“多次元”とは次元が多少ずれている事を指す。ちなみに…“多次元”は大きな意味での“世界”の中に属している為、“次元の狭間”は存在しない)に複数存在していて、各々の魔界の魔王は多種多様な様だけど…〈ガレアス魔界〉の魔王はそれ相応の実力を持った者を厳格に選定して就任させる為、誰かの言いなりになる様な人物が魔王になる事をその魔界の魔族達は絶対に良しとしない(と、ウィンドウの説明文に書いてあった)。



「(信用出来るって事?)」

「(ええ、そう言う事よ)」


アタシの問い掛けに、ニコリと優しげな笑顔でレインさんが答えてくれた。



──あれ?そう言えば、何でレインさんはアタシ達の近くに居るんだろう?



気になって、その事を尋ねてみると…レインさんは〈ギルドカード〉の発行が終わった事を伝えに来てくれたみたいだ。


──なんでも、〈ギルドカード〉を悪用されない為にも、持ち主本人を〈登録魔法〉で所持者の登録固定─持ち主以外がその魔法が掛けられた物を悪用していれば、〈認証水晶石〉等の特殊な魔法具に特定の反応が顕れてバレる魔法らしい─を行う為に本人以外にカードを一時的に預ける事も避けたいらしい。



…で、発行してたのはアタシの〈ギルドカード〉だから、アタシ自身が受け取らないと駄目って事。



早速、発行されたアタシ用のカードを受け取る為に受付へと向かっていると…何故か、クロ君がアタシ達の後について来る。…何で?



その事を不思議に思いつつも、アタシは思考を切り替えて受付のエルフさんから〈ギルドカード〉を受け取り(と同時に〈登録魔法〉も行使されてるらしい:レインさん談)ながら〈ギルドカード〉の使用方法やカードにある特殊機能,得られる特典や特権等の説明を聞いていた。



──それによると…まず、〈ギルドカード〉には四つの特殊機能がある。


一つ目は、現在の自身のレベル,種族,性別,年齢,職業,称号(二つ名も含む),適性属性,ギルドランク等のステータス確認をいつでも行えるというもの。

実は、これはパーティーを組む相手にも開示(※見せたくない場合は、細かく非表示設定が出来るそうだ)出来る為、名刺や身分証代わりになるらしい。


二つ目は、パーティーを組んだ際にパーティー間で“精神感応テレパシー”の様な感じで、声に出さずに頭の中のみで会話が可能になるそうだ。


三つ目は、フレンド登録とパーティー登録。

パーティー登録すると、上記の機能が使用可能になるけど…パーティー登録はあくまで一時的なもの。

パーティーを解消すると登録は消去される仕組みになってる。

対して、フレンド登録は完全登録で、遠く離れた相手にもメッセージを飛ばす事が出来る。

メッセージは入力式…では無くて、送りたいメッセージ内容を思い浮かべるだけでいい。

後は、『送信』と念じれば相手に自動的にメッセージが送信されるそうだ。便利だねぇ〜。

ちなみに、フレンド登録の最大数は100人まで。

それ以上の数の登録は無理で、最大数まで登録された上で新規に登録する場合は登録されてる誰かを登録リストから消去すれば可能になる。

後、フレンド登録者の生存確認を登録リストを活用してる冒険者もいるらしい。

というのも、カードの所持者が何らかの原因で死亡した時、自動的にリストから名前が削除される仕組みになってるんだって。


四つ目(※実は、これが一番重要!)は、城下街や大きな街,国境付近の関所,港等で行われている入国や入場,入港審査等の際に提示すると、面倒な手続きを免除パス出来る事。

実は、このカードには手続きに必要な書類に必ず記入する項目関連の情報が記録されてたり、持ち主の身分を保証する身分証代わりになる為…それらをわざわざ書類記入してもらって確認するという手間がいらないから手続きを省く事が出来る(※アタシは、この街に入る際にレインさんの連れという事で〈登録水晶球〉での簡易手続きだけで済んだ)。

そして、悪用したい人達は〈ギルドカード〉のその特殊機能を悪用して街中とかに入り込み、色々と犯罪行為を行いたいらしい。

そういった犯罪行為の片棒を担がされるのを未然に防ぐ意味でも、〈登録魔法〉は必要だったみたい。



──次に特典や特権について。


まず、各〈冒険者ギルド〉内にある食堂兼酒場を格安で利用出来る事。


ギルドと懇意の宿屋,食堂,武器店,道具店,魔法具店,馬車,船舶等の利用料金支払い時に一割〜三割程割引してもらえる事。


通常は、何処かの国に所属するのが義務付けされてるけど…カード所持者は、その義務から除外される事(つまり、国の防衛や戦争に対する徴兵に『参加する・しない』を自由に選択出来るという事)。


後は、名(もしくは二つ名)が売れると〈指名依頼〉を受けれる様になり…その人物が何処かのギルドに立ち寄った際に、『〈指名依頼〉がある』というお知らせを受ける事も出来るらしい。



──まだ他にもあったけど…今現在のアタシには必要だと思えないし、そろそろ頭の中での復唱が面倒になったから此処等で切り上げるね。



さて、アタシの適性属性を確認するか。





サクヤ Lv.1

種族:人間ヒューマン

性別:女性 年齢:19歳

職業:刀剣士ブレードマスター

称号:勇者/運命に愛されし者/異世界から招かれし者

二つ名:なし

適性属性:火(A),水(A),地(A),風(A),光(S),闇(S),空間(D)

ギルドランク:G





──……とりあえず、称号欄は非表示設定しないと。


あ、適性属性欄の“A”とか“S”とかは何かと言うと…ずばり!適性値の高さ及び魔法適性の高さを同時に表したもの。

全五段階で評価され、一番下のDは適性無し。

Cは、特定の属性が必要な魔法具アイテムの使用が可能になり、初級レベルの魔法のみが使用可能程度。

Bは、中級レベルの魔法の行使が可能に。

Aは、上級レベルの魔法行使が可能に。

最高のSは、最上級レベルの魔法─つまり、〈大魔法〉─の行使が可能である事を示している。



で、アタシは光と闇の適性が一番高くて…火,水,地,風が同じ位、空間は適性無しみたい。

これが確認出来れば、覚えられる魔法が決まってくるから習得しやすくなる。



──そこまでの確認が終わり(ついでに、称号の非表示設定もしといた)、「さてと」と振り向くと…やっぱり、クロ君はまだアタシ達と一緒にいる。…何で?


「えっと、クロード君…呼びでいいのかな…?─は何で、まだアタシ達と一緒に居るのかな?」


アタシの問い掛けに、クロ君は「えっ?」と驚いた表情をする。


「私は魔王です。

それを知った上で、貴女は私を戦力に加えようと考えたり、周りに明かしたりしないのですか?」


クロ君は、『もしかしたらアタシが脅迫してくるのでは?』という可能性を考えて、自主的にアタシ達に付いて来ていたらしい。


「えっ?そんな事しないよ?

だって、それはクロード君に不利益しか生まないでしょう?

他の人を困らせてまで、自分の利益なんて得たくないし」


アタシは、当たり前だと思った事を言っただけなんだけど……あれ?何でクロ君は、思いっきり驚いた表情してるの?

あれ?何でレインさんは、とても嬉しそうな笑顔になってるの?


二人の表情の理由が解らず、アタシは思わず首を傾げる。


少しして…クロ君はニコリと笑顔を見せると、こう言ってきた。


「貴女は、自分の事よりも他人の事を慮れる心優しい人物なのですね。

そんな貴女に、私は共に行きたいと思いました。

構いませんか?」


クロ君の突然の申し出に、アタシの答えは決まっていた。


「うん、いいよ!

クロード君が共に来る事を望むなら、アタシは君の同行を受け入れるよ!」

「サクヤがそうしたいと望むのなら…私は反対致しませんわ」


アタシは、クロ君の同行を快く承諾。レインさんは反対しないどころか…アタシの意思を尊重して賛成してくれた。


「……っ!!ありがとうございます!

私はクロード・ヴォルガレスです。

これから、宜しくお願いしますね」

「アタシはサクヤだよ。

こっちこそ、宜しくね」

「私はレイン・エルヴァンスですわ。

こちらこそ、宜しくお願い致しますわ」











──こうして…アタシのパーティーに、大魔王クロード君という新たな仲間が加わったよ♪

◇三人のギルドカード情報◇



サクヤ Lv.1

種族:人間ヒューマン

性別:女性 年齢:19歳

職業:刀剣士ブレードマスター

称号:勇者/運命に愛されし者/異世界から招かれし者(※全非表示)

二つ名:なし

適性属性:火(A),水(A),地(A),風(A),光(S),闇(S),空間(D)

ギルドランク:G



レイン・エルヴァンス Lv.850

種族:人間ヒューマン

性別:女性 年齢:23歳

職業:双剣闘士デュアルブレードマスター

称号:剣を極めし者/剣術を極めし者

二つ名:流星剣舞師ミーティア・ソードダンサー

適性属性:火(S),水(S),地(S),風(S),光(S),闇(S),空間(S)

ギルドランク:S



クロード・ヴォルガレス Lv.780

種族:魔族(悪魔族)

性別:男性 年齢:100歳

職業:大魔導師ウィザード

称号:魔導を極めし者

二つ名:大魔導王ウィザード・キング

適性属性:火(S),水(S),地(S),風(S),光(S),闇(S),空間(S)

ギルドランク:S

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