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《00》主神の決断

異世界ゼレーネディアに存在する…神々の住まう世界─神界。




その一角─主神であるゼルセウスの住まう主神殿の謁見の間には、四人の神々が集っていた。



──一人は〈始まりの三神〉の一人にして、この主神殿の主…『主神ゼルセウス』。


一人は〈始まりの三神〉の一人にして、ゼルセウスの妻…『女神ソフィリア』。


一人は〈始まりの三神〉の一人にして、『破壊』の男神と『再生』の女神という二つの側面を持つ神─『ソーマ』。


一人は〈滅亡の邪神〉と人々からは呼ばれ、主神の命で世界の滅亡を引き起こしかねない人や国を滅ぼす役目を持つ主神ゼルセウスと女神ソフィリアの娘─『トレニア・メトローム』。



この四人が重苦しい雰囲気の中、“とある事柄”について話し合っていた。







「……間違いはないのか?」


ゼルセウスの静かな問い掛けに、トレニアは硬い表情のまま頷いた。


「…はい。〈凄惨なる鮮血の邪神〉『アルビス・アーヴェジェル』が長き眠りより目覚めました。

このまま放置すれば、地上の生き物の三分の二が惨殺されるのは明らかです」


トレニアからもたらされた悪い報告に、ゼルセウス達三神からは重い溜め息が洩れた。



──『アルビス・アーヴェジェル』という名の邪神は、〈凄惨なる鮮血の邪神〉という呼び名の表す通り…生きとし生けるもの達を無差別に殺し、殺したものの血を流す姿や傷口から血が噴き出す姿を眺める事に至福を感じるおぞましい邪神なのだ。



この世界─ゼレーネディアでは、世界に災いをもたらす邪神達の大半は、主神達神々を始め…天使、精霊、妖精、竜等や冥界や神々に友好的な魔族、果ては人間界の勇者や英雄といった存在にまで力を借りて一時的に倒し、復活までの間の長い眠りに就いている。



──その中でも、七人の『災厄の邪神』と呼ばれる邪神の内の一人…『邪神アルビスが目覚めた』。



それは、この世界にとって最悪の凶報とも呼べるものだった。







──しばしの沈黙の後、ゼルセウスが苦渋の決断を下す。



「異世界より、“勇者の資質を持つ者”を召喚する。

かの邪神に対抗するには、自世界から異世界へと渡っても自我を失わず、《異界渡りいかいわたり》に耐えうるだけの強固な魂と肉体を持つ者でなければならない」



──それは、異世界より“勇者の資質を持つ者”を召喚する…ゼレーネディアの命運を異世界の者に委ねる事を選んだに等しかった。


「それしか方法は無いのでしょうね…」

「父神様は、自身で世界を救えない事がお悔しいのですね…」

「それだけでは無いよ。

召喚する異世界人を我々の世界の事情に巻き込むだけでなく、その異世界人には命を失う危険性がある状況へ向かわせる訳だからね。

ゼルセウスも、その事についてはいい気はしないのだろうさ」



──ソフィリア、トレニア、ソーマが各々に意見を述べて始めている中…ゼルセウスは〈異界渡りの儀式〉─『異世界人召喚』の魔法陣の発動を始めた。



(願わくば……召喚されし異世界人が、このゼレーネディアに住まう総ての生きとし生ける者達にとっての大いなる希望の光明とならん事を…)




召喚の魔法陣が完全に起動すると同時に、ゼルセウスはまるで祈る様に心の中でそう呟いていた。






──この瞬間、主神ゼルセウスの発動した召喚の魔法陣による空間干渉によって…遥か遠き異世界とゼレーネディアが次元や時空という枠を超えて、確かに繋がったのだった…

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