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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編集

異世界で勇者だった私が人間界で人気テーマパークで「アルバイト」とというものを始めました!

作者: 楠木 翡翠

【作者より】


作者は魔王と勇者のバトルシーンは疎く、実際に人気テーマパークでアルバイト経験がございません。


そのことをご理解の上、拝読を願います。

 ここはマグリオの魔王城。


 私達4人の勇者はそこで魔王ラスタとの最終決戦をしている。


「エリス、お前は後ろに回れ!」


「ダスク、分かった!」


「ラウトとカルト! お前たちは両サイドから攻めろ!」


「了解っ!」


「ダスクは(おとり)や正面から攻めるってこと?」


「へへん、その通りだ。聖剣を持ってるのは俺とエリスだけだからな!」


「そうだね! 私達が頑張らなきゃだよね!」


「さて、行きますかぁ!」


 こうして、私達は四方八方に別れた。


 私達の敵である魔王ラスタ(以下・ラスタ)はとても大きい。


 だから、私達のパーティーは私以外は男性で構成されているの。


「魔王ラスタよ! 俺達の中で一番好きなのは誰だ?」


 ダスクがラスタに問いかける。


 なんで、ここで変な質問をするのダスクは。


「……」


 私が呆れかえっていると、ラスタが黙って辺りを見回している。


「……」


 私達は誰の方を向くんだろうと黙って見守る。


 すると、ダスクの方を向いた。


 普通だったら女性である私の方を向くはずなのに。


「ほう、俺か……」


 ダスクは意外だなぁと思っているのかな? すると、


「ふはははは……」


 ラスタが不気味な笑い声をあげると、ダスクに向かって攻撃をしかけ始めた。


「ハアッ!」


 キィン!


 彼らの武器がぶつかり合い、ラウトは銃でカルトは魔術で攻撃する。


 もちろん、私も聖剣で魔王ラスタと目につかないように動き回る。


 私達が魔王ラスタの大きな巨大に飛び乗る。


 あとは私が狙った後頭部に聖剣を刺すだけ……。


「エリス!」


「エリスちゃん!」


「エリスさん!」


 ダスク、ラウト、カルトが私を呼ぶ。


「みんな、ごめんね。私がトドメを指す」


 私がラスタの後頭部をめがけて聖剣を刺そうとした時に、彼は手を頭に動かした。


「ヤバい!」


 上にいる私はもちろんのこと、下にいるダスク達が静かに言った。


 私はそこから動くことができず、その手はどんどん頭に近づいてくる。


「きゃっ!」


「エリスー!」


 そして、ついに私はラスタの手の中に入ってしまった。


 暗い……何も見えない……。


 怖いよ……でも、目を開けなくちゃ……。


 勇気を持って目を開くと、ラスタは米粒の私を宙ぶらりんにしてつまんでじっと見ていた。


「エリス、見えてるぞ?」


「エリスちゃん、隠して隠して!」


「エリスさん、見えてはいけないものが……!」


と3人の口から出てきた。よく見ると、下着が……!


 私は慌てて隠したけど、もう手遅れ。


 そして、私はラスタの手からポイと投げ捨てられた。


「いてて……」


「エリス、だいじ……」


 ダスクが遠くから話しかけてくれてたけど、反応できなかった。


 私を投げ捨てられたついでにどんどん近づいてくるラスタ。


 私は聖剣を構えて振りかざそうとした時、ラスタが私の胸に剣を突き刺した。


「エリス!」


 みんな、本当にごめんね……。


 私、勇者失格だよね……。


 こんな私とパーティーを組んで、一緒に戦ってくれてありがとう……。


 駆け寄ってくる3人を意識が朦朧(もうろう)とする中、見つめながら私は命を落とした……。



***************



 私は目を覚ました。


 確か、ダスク達が近づいてくるのを見てから最期を迎えた記憶がある。


 それにしてもここはどこ? 完全にマグリオじゃないよね?


 もしかして、転生というもの?


 凄い! みんな、私は知らない場所だけど生き返ったよ!


 とか言ってもダスク達はいないよね……。


 そこに広がるのは……たくさんの背が高い建物と美味しそうな匂いのする食べ物屋さんかなぁがたくさん見つけた。


 時折、


「オーイ、ここに可愛い女の子がいるぞ!」


「コスプレイヤーかな」


 とか言われて少し嫌だった。


 何かここの情報を手に入れないとと思っていたやさき。


「こんにちは」


 誰かに女性に声をかけられた。私は何も知らずに聖剣を取り出してしまった。


「あっ、すみません……。危ないので、しまってくれませんか?」


「ごめんなさい。はじめてこの場所にきたので、何も分からなくて……」


 私は聖剣をしまった。


「はじめてきたんですね。なんか疲れてるみたいだけど、ウチに一緒にきてくれませんか? 分からないことが多そうですので、いろいろ教えますよ」


「いいんですか?」


「もちろん」


「ありがとうございます!」



***************



 私はその女性が住むマンションという背が高い建物に到着した。


「あっ、自己紹介がまだでしたね。あたしは清水(しみず) 由梨(ゆり)です」


「私はエリス。エリス・マテリーサ。由梨さん、本当にありがとうございます!」


「いえいえ。丁寧(ていねい)に話さなくていいよ。由梨って呼んでね! あたしもエリスって呼ぶね! あっ、洋服を貸してあげるね! これじゃあ、コスプレイヤーに間違われるからね」


「うん、ありがとう! よろしくね、由梨!」


 私は由梨に洋服を貸してもらい、彼女からいろいろなことを教えてもらった。


 ここは現代の人間界の日本というところで、ここで生活をしていくにはいろいろと準備しなきゃならないことがあるんだって。


 市役所というところに行き、住民票というものを書いて出さなければならない。


 生活で必要なものはマグリオにいたときと同じようにお金を使っていろいろ買う。


 一応、どんなときにも念のためにお金は見えないところに隠しておいたからことを由梨に伝えると、銀行に行くと違う国ならば、ここの通貨に切り替えられると言われたので、この国の通貨に切り替え、通帳も作った。


「あっ、ヤバい! バイトの時間だ!」


 と由梨は焦った様子だ。


「由梨もお仕事してるんだね。どんなお仕事?」


「あたしは人気テーマパークでポップコーンの販売だよ!」


「私も見にいってもいい?」


「うん。見るだけだよ」


 といういきさつで私は由梨と彼女の仕事場である人気テーマパークへきている。


 そこには軽快なリズムの音楽とキャーキャーと楽しんでいるたくさんのお客さんの声が聞こえてきた。


 そんな中、彼女は関係者入口から入り、仕事服に着替える。


 数分が経った後、きちっと仕事服を身に纏った彼女が出てきた。


「うわぁ、可愛い!」


「本当? ありがとう! ここのテーマパークの仕事服はアトラクションによっていろいろあるから楽しいよ。誰かきたからエリスはロッカーに隠れて」


「うん」


「お疲れ様です。今日は暑いね」


「あっ、お疲れ様です。そうですね。今日も人多いですよ」


「大変だけと頑張らないとね」


「ハイ」


 彼女は他の人と話していた。


 その人は由梨と違って黒の車掌さんのような服装をしていた。


「由梨、さっきの人はアトラクションの担当の人?」


「うん。ディスカバー鉄道の服だよ。さて、行きますか!」


「うん!」


 私達はあちこちにあるポップコーンのワゴンの中で最も多くのお客さんが通るエリアのキャラメル味のポップコーンのワゴン。


 そこには3人が担当しており、1人はバケットを預かり、レジ業務をし、1人はポップコーンをバケットに入れたりし、1人はポップコーンを作るという体制で行っていた。


「お疲れ様です! 三木さん、この方が終わったら上がってください!」


「お疲れ様! 清水ちゃん、じゃあ、お言葉に甘えてあと1人であがるね! あっ、申し訳ありません! パケットはこちらでよろしいですか?」


「ハイ」


「リフルで520円になります。少々お待ちください」


 三木さんという人は最後の1人のお客さんのバケットを預かり、レジ業務を行う。


「お待たせしました! ごゆっくり楽しんで行ってらっしゃい!」


 と言い、バケットを首にかけ、見送った。


「じゃあ、お先に失礼します。お疲れさまでした!」


「お疲れ様です!」


 その時、私は今いるポップコーンワゴンとすぐ近くのアトラクションの人を見ていた。


 お客さん1人1人に常に笑顔で接し、みんなを笑顔にしていたのだ。


 テーマパークで働く人は大変だけど、素敵なお仕事だなぁとつくづく感じられた。


 由梨がお仕事を終え、私を連れてそのテーマパーク内にあるご飯屋さんに案内してくれた。


「ごめんね。今日はいつもよりお客さんが多かったから、話しかけられなくて」


「いいよ。由梨のお仕事って素敵なお仕事だね」


「えへへ、褒められた。でも、ここは広いし、どこに何があるか覚えないとならないのが大変だよ。それに、あたしはアルバイトだけどね」


「私もここで働きたいな……」


「今、バイトの募集してるから応募してみれば?」


「うん。履歴書というものが必要なんだよね?」


「その通り。エリスの故郷もそうなんだね」


「うん」


「今から履歴書を出せば次の日あたり面接に応じてくれるかもしれないよ? 履歴書ならあたし、すぐに出せるし」


 由梨は私に履歴書とペンを手渡した。


 私はそれを書き込み、由梨と一緒に採用本部に手渡しに行った。


 まぁ、名前は『町田(まちだ) エリ』という偽名だけどね。


 そこに着くと、由梨はそこから追い出され、私はすぐに面接に入った。


 面接時間はだいたい10分くらいと計算問題1分間を行い1週間くらいで結果が出るみたい。


 私は携帯電話を持っていないので、由梨の携帯電話で結果を知らせてくれると言ってくれたので、助かった。



***************



 1週間後……。


「エリス! 電話だよ!」


「ハーイ」


 心臓がバクバクする中で由梨の携帯電話を受け取る。


 結果は……。


「採用ですか! ありがとうございます! 研修が明日からですね! ハイ、明日からよろしくお願いします。失礼します!」


 私は電話を切り、由梨に返した。


「エリス、どうだった?」


「由梨、採用だって! 明日から研修!」


「おっ、やりましたね! あれ、名前は本名で書いたの?」


「偽名だよ。『町田 エリ』名義で」


「でもよかった! エリス、おめでとう! これから大変だけど、頑張ろうね!」


「うん、ありがとう!」


 こうして、私は町田 エリとして新たな生活が始まりました!



***************



 あれから1ヶ月後……。


 無事に研修を終え、配属されたのは由梨と同じポップコーンワゴンで勤務することになりました。


「こ、こんにちは。バケットはこちらでよ、よろしいですか?」


「ハイ」


「リフルなので、520円になります。し、少々お待ちください」


「町田ちゃん、緊張しすぎ。ゆっくりリラックスだよ」


 三木さんが私をなだめてくれた。


「おっ、お待たせしました! ご、ごゆっくり楽しんで行ってらっしゃいませ!」


「町田ちゃん、最初は心配したけど、最後はいい笑顔だったよ。その笑顔を忘れないで」


「三木さん、ありがとうございます」


「エリ、うちらはそろそろ上がる時間だよ!」


「うん!」


 最初だから失敗は仕方ない。


 徐々にゆっくりと仕事を覚えていこう。


 異世界で勇者だった私が人間界で人気テーマパークで「アルバイト」とというものを始めて、新たな自分を見つけた今日この頃のお話でした。



2015/05/10 本投稿

2016/01/24 改稿

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[良い点] 勇者がポップコーン売りっすかwww
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