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宴の準備(Demonstration)

この話は、読み飛ばしても構いません。

・第零話 宴の準備(Demonstration)


 とある広大な荒れ地に巨大な商業施設が完成した。その商業施設は、日本武道館とほぼ同規模の屋内コンサートホール・最新鋭かつ国内最大級のレコーディングスタジオと、すべての音楽会社の商品が購入できる音楽専門店街を持つ、日本で最大級の音楽専門商業施設であった。


「まさか、ここに商業施設が建つなんて、想像できなかったな」


 と言ったのは、その荒れ地を所有していた不動産会社の社員だった。


 その荒地は、とある不動産会社が大手企業から購入を依頼されたものの、その企業が倒産し、それ以降買い手がつかずにいたからである。


 いわゆる事故物件である。


 事故物件とは、「いわくつき」の不動産であり、通常より安く購入できるメリットがあるが、迷信を強く信じる建設業者からは嫌遠されるため、商業施設の立地には向いてはおらず、この不動産会社は大変困っていた。


 そんな困窮こんきゅうを察したかのように、黒一色のスーツを着た男が、キャリーケースを持ってきて、あの荒地を購入したいといってきた。


「事故物件ですが、よろしいでしょうか」


 と不動産社員が念のため確認すると


「はい、問題ありません。この土地を購入させてください」


 と黒一色のスーツを着た男が、そう言いつつ持っていたキャリーケースを開けると、その中には50億円の小切手が入っていた。


「何故、この土地を購入しようしているのですか」


 と不動産職員が理由を尋ねると


「ある人にこの土地を買ってきてほしいと頼まれました」


 と男は答えた。


 事故物件の購入を指示するなんて酔狂すいきょうな人物だ、と思ったが


「その大金はあなたのものですか?」


 とさらに問いただすと


「ある人のものです。それ以上はある人との契約で言えません」


 と答えた。


 どうやらこの土地を購入しようとしている人物は、ただ者ではないと邪推した。


 そこで、


「何をするつもりなのか?」


 と尋ねると


「『そこに商業施設を作るつもりだ』と、あの人は言っていました」


 と答えた。


 事故物件に商業施設を造るなんてどうかしている、と思ったので


「成功する見込みはあるのか?」


 と尋ねると


「失敗はありえない」


 と言い切った。


 その自信ありげな態度を不思議に思い


「なぜそう言い切れるのか?」


 と尋ねると


「人の心に光と闇がある限り、この計画は失敗しないから」


 と男は意味深な言葉を残して去っていった。


 その時、不動産職員は何か悪いことが起こるのではないか、と不安な気持ちになった。


 その悪い予感は当たることになるが、彼には知るよしもなかった。


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