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8:錬金術チュートリアル

 冒険者ギルドのチュートリアルカウンターにやってきました。


「錬金術チュートリアルですね。お話は伺っております」

「お願いします。ええと、ひとつお尋ねしてもいいですか?」

「はい、なんでしょう」

「何故、冒険者ギルドで錬金術チュートリアルが?」


なんでこれだけがお姉さんの担当なのか。さっぱり分からない。


「怪我人が多く、ポーションなどが必要なのは冒険者ギルドなのです。処置できる人が離れた場所にある魔道ギルドや薬師、医師のところまで行かなければいけないのでは困りますからね。もともと私も魔道ギルドにいたのですが、20年前に話し合いでこちらに派遣されました」


20年前って、この人いくつ……違うよ! この人NPCだからね!


「なるほど、それで冒険者ギルドにいるのですね」


始める人が減った今、冒険者ギルドに必要なのか。とか、元の冒険者ギルドのチュートリアルは誰が受け付けていたのか。とか、色々と疑問はあるけど、まあいい。


「それでは、錬金術チュートリアルをお願いします」


お姉さんは嬉しそうに笑い、席を立つ。


「錬金室にご案内します。ついてきてください」



 錬金室はギルドの上階にあるらしく、お姉さんは階段を上っていく。

階段の手前にギルドの見取り図が立て掛けられていたので上る前に見たところ、2階には錬金室の他に資料室と薬剤室が入っているようだ。

3階には会議室とギルド長室がある。

うん、3階には用がないね。っと、錬金室についた。


 錬金室には隣の薬剤室に続く扉と本棚が連なり、調理台と大きな机が4つ。

2つの机にはそれぞれ魔法円と魔方陣のパネルが置かれている。

 何も置かれていない机と、大きな枠組みと棚が置かれている机。この机ではどのような錬金術を取り扱うのだろうか。


「こっちよ」

呼ばれて調理台に向かう。


 お姉さんが用意したのは魔道ギルドのお兄さんが使っていたような小鍋と水差しだ。


「この小鍋は錬金術用に作られた魔道具なの。この中に材料を入れると簡易錬金ができるのよ。ただ……はっきり言って良いものも高度な錬金術も使えないから注意してね。だけど、野外でも錬金術が使えるから持ち歩く人もいるわ」


続いて、お姉さんは見覚えのある植物をアイテムボックスから取り出す。

あの、真っ赤な、キノコが!


「その、毒々しいキノコは何ですか?」

「魔力茸の1種で赤魔力茸よ。熱を加えると魔力水がでるの。」

そのまんまじゃない。

「魔力茸に魔力を加えるとキノコ型モンスターになるから注意してね」

怖いよ!

うわぁ……なんでそんなアイテムがあるんだ。

「キノコ型モンスターからはその色のキノコが3つ採れるのよ。お得よね!」


お宝だね!


「さてと。雑談はこれぐらいにして、チュートリアルを始めましょう」

「お願いします!」


 錬金鍋をかまどに置く。

材料を見れば、前述のキノコと手のひらより少し小さな双葉、ハート形の顔サイズの葉っぱがある。

「まず、双葉草を錬金鍋に入れます」

小さな双葉を鍋に入れる。

「ラブリーリーフを真っ二つに引き裂いて入れます。もうビリッとやっちゃって!」

言われた通りに引き裂く。

うわぁ。

ハートを真っ二つにする罪悪感。そして、お姉さんがここで感情を顕にコメントしてるのがなんか怖い。

「赤魔力茸を入れて、水差しから水を注いでね」

なみなみと水を注げば、不思議なことに鍋の中身はみるみるうちに融けていく。

「魔物避け液の完成よ」


《錬金術チュートリアルを終了しました》

《錬金術スキルレベル0を獲得しました》

《レベルが上がりました。PP(プレイヤーポイント)を1ポイント獲得しました》


「錬金術チュートリアルを終了しました。こちらがチュートリアル報酬です。チュートリアルで覚えたのは錬金術の初歩中の初歩。簡易錬金です」


うん。錬金鍋は簡単だったね。


「錬金術は奥深く、多くの機材、数多のアイテム。他の生産や魔術との組み合わせ。難しいものは温度や切り刻み方が違うだけで失敗するものもあります」


お姉さんは爛々と目を輝かせながら微笑む。


「多くの本から学び、多くの技術を取り入れ、数ある伝承から本物を見つけだす。それが私達終わりなき探求者、錬金術師です」


「最後に、新たな探求者に先達として錬金術師を志すものに贈る言葉があります。よく聴いて下さいね」


彼女は大きく息を吸って、吐く。


「『読め、読め、もっと読め。祈れ、働け、さらば見出さん』」


さあ、復唱を。と促され、頷く。


「読め、読め、もっと読め。祈れ、働け、さらば見出さん」


《イベント:錬金術師への道が発生しました》

《錬金術師への道

・錬金レベル50

・鍛冶レベル50

・建築レベル50

・ガラス製造レベル50

・調合レベル50

・治療レベル50

・万能魔術レベル50

・付与魔術レベル50

・治癒魔術レベル50

最後に賢者の石を冒険者ギルドチュートリアル・カウンターのミレイに見せる》


ーーー獲得スキルーーー

錬金術スキルレベル0

アイテムとアイテムを組み合わせる技術

+INT2 DEX1


ーーー獲得報酬ーーー

100(コイン)

双葉草

鼻がスッとする香りの薬草。繁殖力が高い。

ミントみたいなもんですか? デカイけど。


おっと、そろそろログアウトしなくちゃ。

転移しよう。



 ホーム・ポイントに転移して、リスト・ライフの日程を組む。

投げ矢と投げナイフ、気功の練習に、魔術の……ん? 選択にないな。まあいい。

余った時間は除草でもしておこうか。ちょっと待て。


ラジオ体操を獲得しよう。

えー、ラジオ体操第一~。


《ラジオ体操スキルを獲得しました》

《ラジオ体操レベル1

+VIT1 AGI1》


これで良し。起床後の予定に組み込もう。


後は、何かないかな? あ、そうだ双葉草を植えておこう。

株分けできるほど生えてくれるといいな。

『読め、読め、もっと読め。祈れ、働け、さらば見出さん』

出典:新紀元社『図解錬金術』著:草野 巧

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