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7:万能魔術チュートリアル

 さあ! 待ちに待った錬金術のチュートリアルですよ!

チャッチャと始めましょう、お兄さん!


アイテムとアイテムの組み合わせと順序が織り成す、摩訶不思議な錬金術!

まぁ、攻略サイトに出尽くしてるとは思うけどね! だってここは老舗VR。23年の歳月は伊達じゃない!


……テンションを戻そう。


「それでは万能魔術のチュートリアルを始めましょう」


え?


「錬金術、は?」


「錬金術では水や火を使うものもあるので、万能魔術を覚えてから行った方が良いですよ。

彼女が今日作ろうと思ったアイテムがどのようなものかは分かりませんが、万能魔術を覚える前に水をたくさん使うものだと何度も井戸に行かなければなりません」


うぅ。なるほど……確かにそれなら万能魔術を覚える方が良いだろう。

しかし、このやるせない、これじゃない感。


「それなら万能魔術をお願いします」


切り替えていこう。

これを覚えて、 イ ン ベ ン ト リ を 覚 え る ん だ !


「それでは始めましょう。【インベントリ】【スポット】」


先程と同じく、くるりと空中で杖を回し、すっと杖を地に向ける。


そこには三脚とヤカンとワラ、小枝の束があった。


ヤカン? ワラ? え? お茶でもつくるの?


首を傾げると、杖を2本渡される。

1本は先程と同じ、先の細い杖だ。

もう1本は長く太い。だいたい長さ25㎝直径1㎝くらいかな?


「細い杖には【ウォータリング】、長い杖には【ファイアリング】という種火を発生させる呪文が組み込まれています。

それでは、ウォータリングで鍋に水をはり、ファイアリングで三脚ごしに湯を沸かしてください」


「はい……わかりました」


テンション下がるのは、仕方ないよね?

うん。とりあえずやろう。


小枝を空気が通るよう、小さなものから隙間をあけて組んでいく。

ワラを枝の上に少量振りかけ、三脚を置く。

三脚の上にヤカンを乗せ、て。


「【ウォータリング】」


細い杖から水が出てくる。7分目くらいでいいかな?

7文目で止めて、ふたをする。


次は長い杖に持ち変えて、ワラを指す。


「【ファイアリング】」


小枝の上に乗ったワラに次々と火をつけていく。


火は小枝に燃え移り、勢いを増していく。あとは消えないように注意しながら小枝を継ぎ足すだけだ。


待つ。


待つ。


待つ。ん?


「何をしているのですか?」


「ハーブのブレンドですよ」


なるほど、ハーブティーにするのか。

だけど、お兄さん。その毒々しい真っ赤なキノコは何ですか? 入れるの? 入れちゃうの?

個人の趣味だし、私が飲むんじゃないからいいけど、キノコはいらないと思うんだ。ローズマリーとバジルで充分だと思うんだ。

ちょっ! そのキノコ切らずに入れるの? 並のシイタケよりデカイよね? そのサイズでハーブティーにするなら、切り刻んで入れる方がいいと思うよ。


おっと。ヤカンのことを忘れそうになった。落ち着こう。

コポコポいい始めているようだ。少し火を弱くしようか。小枝の入れるペースを落とす。

お兄さんの手元は、見ない! 絶対見ない!


よし! 沸騰してきたぞ。

「はい。火を消してください」

「【ウォータリング】」

火元に水をかけて消す。ヤカンはお兄さんが持っていき、ポットにいれた。


ーーインフォが来ないな。


ーーインフォが来ない。私、またやらかした?


ーーインフォが来ないよどうしよう! お兄さんものんびりしているし、先に進まない!


《万能魔術チュートリアルが終了しました。

 杖を係員にお返しください》

《万能魔術スキルレベル0を獲得しました》

《万能魔術火系呪文『ファイアリング』を習得しました。

 万能魔術水系呪文『ウォータリング』を習得しました。

 万能魔術天系呪文『ウォレット』を習得しました。

 万能魔術識系呪文『サーキュレイション』を習得しました》


これぐらいの英語なら分かるよ。種火、給水、サイフ。

サイフって。うん。ストレージ(倉庫)がいきなりできるわけがないもんね。前2つのショボさ加減を考えると当たり前だもの。

それから……サーキュレイション。 これはなんだ。

識……は自分の内側とか心の部分だから……んー。


「あのう……」

「あっ! はいぃ。すみません。お返しします」


杖を返して、お兄さんの言葉を待つ。忘れていてごめんなさい。


「それでは万能魔術チュートリアルを終了します。こちらが報酬です。いろんなスキルを獲得して、いろんな呪文を習得してくださいね」

「はい。がんばります」

「それでは錬金術チュートリアルの案内です。こちらは冒険者ギルドのチュートリアル・カウンターの女性が担当しておりますので連絡をしておきます」

「あ、はい。わかりました」


ーーー獲得スキルーーー

万能魔術レベル0

火系『ファイアリング』火をつける。

水系『ウォータリング』水を出す。

天系『ウォレット』異次元にお金を収納する。

識系『サーキュレイション』気功スキル習得で獲得。20分間MP回復率4%。


ーーー獲得報酬ーーー

100(コイン)

MPポーション MP回復10。


やってて良かった気功術!

それでもサーキュレイションの意味が分からない。不満だ。


で、報酬にあるMPポーションなのですが、お兄さんが作っていたアレでした。

ポットからビン詰めして手渡されました。

あの毒々しいキノコが入ったアレです。


「ひとつ、聞いてもいいですか?」

「はい、なんでしょう」

「MPポーションを作るのに使ったあのキノコは一体何ですか?」

「それは調薬スキルを獲得してから薬師にお尋ねください。私は魔法使いであって、薬師ではありませんから」

なるほど確かに。


 しかし、調薬スキルか。

魔法をバンバン使うにしても、MPポーションを使うわけだし獲得しておこうかな?


よし。次は冒険者ギルドで錬金術チュートリアルだ。

【喜楽の検索結果】

サーキュレイション(circulation) 循環。

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