6:付与魔術チュートリアル
付与魔術チュートリアルをお願いすると、お兄さんはにっこりと微笑む。
「はい。それでは付与魔術のチュートリアルを始めましょう」
「『インベントリ』」
杖を右耳の横でくるりと回し、すっと杖を2歩先の地面に向ける。
「『スポット』」
何もない場所から、机とコップが現れた。
えっ、アイテムボックス使わなかったよ!?
「万能魔術の空系呪文、『インベントリ』と『スポット』です。亜空間に物をしまう倉庫のインベントリと発生位置を指定するスポットは覚えておくと、便利ですよ」
「はい! 覚えます!」
じゃなきゃ損でしょ!
因みに、アイテムボックスはあと3個しか入らない。
早く覚えないと!
「ではこちらをどうぞ」
今度は杖を2本渡される。少し長い杖と、えらい細い杖だ。
「長い杖には付与魔術水系『ウォータープルーフ』、防水が組み込まれています。細い杖は万能魔術水系『ウォータリング』、水を出す呪文です」
え?
「それでは、コップにウォータープルーフをかけて防水し、ウォータリングで水を注いでください」
戦闘は?
「注いだ水を捨てて、コップが乾いていたら終了ですよ」
炎を放つ剣とか、身体能力を上げるとか。
「さあ、始めましょう」
レベルアップ待ち、ですよね?
付与魔術って便利な日用魔術とは違うよね?
日用魔術は万能魔術だけだよ……ね?
「『ウォータープルーフ』」
コップを防水し、て。
「『ウォータリング』」
杖先から水を注ぐ。ああ、細いと注ぎやすいな。
土に水を捨てて、乾いて、ます! と。
《付与魔術チュートリアルが終了しました。
係員に杖を返してください》
《付与魔術スキルレベル0を獲得しました》
《付与魔術地系『ダストプルーフ』を習得しました。
付与魔術水系『ウォータプルーフ』を習得しました。
付与魔術火系『ファイアプルーフ』を習得しました。
付与魔術風系『ウインドシールド』を習得しました》
なぜ風系だけシールドになった。
「それでは付与魔術チュートリアルを終了します。こちらがチュートリアルの報酬です。付与魔術単体でかけると時間の経過でなくなり、錬金術などの生産工程でかけると永続的に使えます。用途に合わせて使ってくださいね」
「はい。ありがとうございます」
ーーー獲得スキルーーー
付与魔術レベル0
地系『ダストプルーフ』ホコリの付着を防ぐ。防塵。
水系『ウォータプルーフ』水をはじく。防水。
火系『ファイアプルーフ』火に燃えなくなる。防火。
風系『ウインドシールド』風を防ぐ。風防。
ーーー獲得報酬ーーー
100C
ホルダーベルト(杖用)
杖をしまうホルダーがついたベルト。
ベルトか。杖を持ってないけど、つけておこうかな?
でも、ホルダーが空だと格好がちょっと……
いいや。つけちゃえ。
ベルトをつけて思うのだが、何かを忘れている気がして仕方ない。
何を忘れているのか。
まだ始めて1日すら経っていないのに。
まぁいっか。大したことないだろう。
次だ次。錬金術!
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参考:Yahoo!辞書
防塵(dustproof) 防水(waterproof) 防火(fireproof) ~proofは、~を防ぐ。ingをつけると~加工になる。
風防(wind shield) 自動車などの風防ガラスのこと。
注釈:wind shieldはアメリカ英語。イギリスではwindscreenだそうです。