36:調合チュートリアル
カラン、とドアベルを鳴らしながら私は薬局に入る。
「いらっしゃい。喜楽さんだね?」
「はい。今日はよろしくお願いします」
店主のおばあさんはにっこりと微笑む。
「うんうん、よろしくね。それでは調合に行きましょうか。こちらですよ」
調合室には薬剤や材料、乾燥された材料が瓶詰めされて棚に並んでいた。
「棚から赤魔力茸を1つとラブリーリーフを2本、双葉草を5本持ってきて」
「はい」
棚から材料を探す。それにしても懐かしい。
これって、錬金術の時にやった魔物避けで作ったやつだよね?
ああ、双葉草にラブリーリーフ。赤魔力茸は……あったあった。
調理台……じゃない。調合台の上に材料を並べる。
「双葉草と赤魔力茸を荒みじん切りにしておくれ」
言われた通りに荒みじん切りにする。
「すり鉢と擂り粉木を出して」
調合台から道具を取り出す。
「まずは双葉草を。次に赤魔力茸を磨り潰してね」
荒みじん切りになった双葉草を磨り潰す。
磨り潰している内に双葉草から汁が出てきた。そして、鮮やかな緑色のペーストができ、青臭い臭いを放つ。
次いで、荒みじん切りの赤魔力茸を投入し、磨り潰していく。
緑と赤が混ざりあい、黒いペーストが出来上がった。青臭い臭いは異臭となっている。
……私は嗅覚を下げた。
おばあさんはすり鉢を覗きこむ。
「うんうん。これくらい混ざっていればいいわね。次はお湯を沸かしてラブリーリーフをティーにするの。お湯は200ml。蒸らし時間は50秒よ。魔物避けを作るならハート型の葉っぱを引き裂いて。魔物寄せならそのまま入れてね。何故かこの草、引き裂くかそのままかで香りやティーの色が違うの。不思議よね」
ふんふんと頷きながらお湯を沸かすために鍋を用意して『ウォータリング』と『ファイアリング』を使う。
ティーポットを取り出したらお湯を200ml注ぎ、蓋をして待つ。ポットが温まるとお湯を棄て、ラブリーリーフを引き裂いてお湯を注ぐ。徐々に刺激的な臭いを放ち始める。
嗅覚落としたのに……
きっかり50秒。茶漉しでラブリーリーフを取り出したらおばあさんを見る。
「鍋に入れて。ティーが冷めたら双葉草と赤魔力茸のペーストと混ぜ合わせるの」
鍋を出してティーが冷めるのを待ち、注ぐ。双葉草と赤魔力茸のペーストを投入する。
「右に20回、左に10と4分の3回、右に1回円を描くように混ぜて」
右に20、左に10と4分の3、また右に1回。
「さあ、もうすぐ出来上がりよ。布で濾して、液は瓶に注ぐの」
布で濾して、液は瓶に注いだ。
《調合チュートリアルが終了しました。
チュートリアル・カウンターに報告してください》
《調合スキルを獲得しました》
「野外で休憩する時や採取をするなら魔物避けは必需品よ。薬を振り撒けば殆ど の魔物が近寄らなくなるわ。安全のためにも忘れちゃダメよ」
「はい。ありがとうございました」
ーーー獲得スキルーーー
調合スキル +INT2
ーーー獲得報酬ーーー
100C
丈夫な小瓶(150ml) 150ml入る小瓶。付加魔法『テンパリング』によって割れないよう加工されている。
テンパリング(tempering)冶金して強化する。
Tempered grass 強化ガラス




