23.採掘チュートリアル
今度は鍛冶系を習得しようと、採掘チュートリアルを選択した。
「今回は遠いぞ」
地図にチュートリアルの場所を記入するおじさんは顔を渋らせた。
「しっかし、採掘なんて大丈夫かねえ……」
地図を拡げて場所を探す。
あれ?
縮小して範囲を拡げていく。
見つかったのはずいぶんと遠く。戦闘区域とは違うものの、門の外側にあった。
それもそうか、と納得する。採掘する様な鉱山が街中にあるはずがないのだ。
鉱山周辺には建物が点在しているようで、生産ギルドのマークも記入されていた。
全員に記入しているのだろうか。それとも気を使ってくれたのだろうか。またはチャイルド・プロテクトの恩恵なのだろうか?
とにかく、行ってみよう。
チュートリアルの街から出る門についた。
外に出ようとすると、門番のお兄さんに声をかけられる。
「鉱山町に行くのかな?」
「あ、はい。そうです」
「向かって右側には貸し馬サービスや定期馬車がやってるよ。乗馬スキルがあったり、急いでいるなら乗るといい。それと、鉱山町までノンストップダッシュすると持久走。休み休み行くとダッシュのスキルが手に入るんだ。気が向いたらやってみるといい」
《ダッシュ・持久走チュートリアルが受けられます》
「やってみます!」
張り切ってやってみます! と言った私は何とか鉱山町に着こうとしている。
《HPが3割を切りました》
《HPが2割を切りました》
ログに浮かぶメッセージに焦りながらも到着する。
まさか、持久走で死の危険が迫るなんて……VITを上げなければ! と、意気込む。
鉱山町一帯のチュートリアルが終了したら、VITを上げるチュートリアルを頼もう。
《持久走チュートリアルが終了しました》
《持久走スキル1を獲得しました》
ーーー獲得スキルーーー
持久走スキルレベル1
+VIT1
言っている内にVITが上がったようだ。本当に良かった。
とりあえず、休憩しよう。
そういえば、削られたHPってどうなったろう?
HP:4/40
ひいっと悲鳴を上げる。
危ないところだった。本当に死ぬところだった。たどり着けて良かった!
HPが全快するのを待って、私は採掘チュートリアルの場所に移動する。
山から遠ざかっているのは何故だろう? 周りの風景もだんだんと草原に近づいていく。
足元は徐々にぬかるんだ泥の様になった。
多くの人が見えてきた。近づいて話しかける。
「こんにちは。採掘チュートリアルを受けにきました」
「おお! そうか。じゃあ、そこらにあるスコップを持ってついてきてくれ」
はい?
「スコップ……ですか?」
採掘に? 私はツルハシとかそういうのをイメージしていたのだが。
「ああ。採掘するのは泥炭なんだよ」
「でいたん?」
「泥炭ってのは湿地なんかに埋まった古い時代の植物が分解されずに炭になったもんなんだ。だったけな? 更に圧縮されて炭が多くなると石炭になる。つまり、燃料になるんだ」
「へえ。そうなんですか」
グルリと回りながら下に向かう。
「採掘と聞いて坑に潜るのだと思ってました」
「鉄鉱山だと坑道なんだが、うちは露天掘りだ。泥炭が地表近くに大量にあるからな」
なるほど。と頷く。
「さて、ここらでいいだろう」
彼はピタリと立ち止まるとアイテム・ボックスから20㎝四方のマスを取り出す。
「こん中にスコップで泥炭を入れて、指定の位置まで持っていけば終了だ」
意外と簡単だ。今まで集中しても失敗する様なチュートリアルばかりしていたのでホッとする。
マスの中にスコップで泥炭を入れると、持ち上げる。持ち上げる。ん?
あ、上がらない? な、なんで……
「ふ、んぐぅ」
体がガクガクと震える。え? これ、VRだよね?
《HPが3割を切りました。2割を切りました》
「ストーップ! もういい。降ろせ!」
ドサリ、とマスを降ろす。
そんな……
《採掘チュートリアルに失敗しました》
馬鹿な……
「あー……その、なんだ。またSTRを上げてからこい。大体、15もあればなんとかなるから」
「15、ですか……」
先は、長いなぁ。




