15:システムチュートリアル(レシピ)
インフォメーションを確認した私におじいさんは声をかける。
「そういえば、レシピのことは聞いたかね?」
「レシピ?」
レシピというと、料理しか思い浮かばない。杖職人のおじいさんがいうレシピとはなんだろう?
「レシピというよりは一枚のハウツー本に近いかの。物の作り方が書いてある紙のことじゃよ。それを見ながらスキルを使うとあら不思議。体が勝手に動き出すのじゃ」
「フンフン。成る程。それを手に入れるにはどこへいけば良いですか?」
「生産施設や本屋じゃな」
「本屋!」
「王都では図書館があって、書き写すことも可能じゃ」
「では、リスト・ライフにスキルとレシピを組み込めば……」
「勝手に作られるじゃろうの。しかし、リスト・ライフで作ったものは質が落ちるから気をつけなさい」
「はい!」
「レベル10になったらレシピアレンジができるようになる。アレンジのイメージ画を作るのじゃ。工程中に違うスキルを加えたり、姿を変えたりな」
「杖だと、彫刻とか、付与魔術とか?」
「宝石をつけるとかもできるぞ」
こいつがゴテゴテに飾り付けたものじゃ。と、おじいさんはアイテム・ボックスからなにかを取り出す。
「鑑定結果はこれじゃ」
紙を渡されて読む。
『オリハルコン製の祈りの杖』
オリハルコン製の祈りの杖。
杖の先端に直径20cmの金剛石を備え付けられて強い打撃力を持つ。
持ち手には祈りの文様が彫刻されている。
石突は鋼鉄で覆われており、杖の消耗を防いでいる。
回復魔術の効き目が1.5倍、呪い歌・祈祷・死霊術・憑依術の効き目が2倍になる。
重さ:30kg 長さ:160cm
攻撃力+40
これは治療士役の杖ではないのだろうか?
30kg……持てるの? 片手の重さじゃないよ。両手だってキツいだろ!? ていうか、デカいよ! 160cm? 頭1つで足りないよ?
「おにいさん、持てますか?」
「えっ!?」
おばあさんと2人、のんびりとティータイムをしていたお兄さんに尋ねる。
「この杖、30kgあるんですけど、持てますか?」
「持てるように見えますか? 私は典型的魔法使い。STRはほぼ鍛えておりません。鍛えたとして……ざっと15で持ち上げられるようになり、軽々振りまわせるのは30ですね」
なるほど。重さの半分の値で持てるようになるわけか。軽々振りまわせる――動き回って疲れないようになるのが重さの値と。
先が長すぎるよ!
「おじいさんは持てるのですよね?」
でないと作れないし。
「わしは80あるぞ」
「あたしも70あるね」
ご老人!
あああ! お兄さん、気を確かに!
「私は、5ですよ……」
「ま、これからじゃな。これから」
「このゲーム、いつ終わるかわかりませんけどねぇ」
「最後の街まで行けるといいですね」
N P C !
おじいさんはゴホンと咳払いをする。
「でじゃ」
「はい」
「レシピシステムを話したところで、食事に行こうか。これもシステムチュートリアルじゃ。ついてくるじゃろう?」
「システムチュートリアル……。はい、行きます」
さて、次のチュートリアルは何だろう?




