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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
アルゼン国での強敵
97/217

コロシアム一回戦


「そういえば、優勝賞品知らないんだけど何なんだろう。」

「あそこに係員が居るぞ。聞いてきたらどうだ?」

「ちょっと聞いてきます。」


鈴は係員に聞いてみる。


「すみません。優勝の商品ってなんですか?」

「ン?優勝賞品は金貨百枚だよ。」

「なんとー!ありがとうございます!」


鈴はすぐにイルミスの所へ戻るとそれを伝えた。


「金貨百枚か。それだけあったら全員分の馬をそろえて旅が出来るな。」

「これは優勝しなくては…!美味しいものがたくさん食べれる…!」

「まったく、鈴はそっちか。」


ロビーに待機していると入場係員の声が響いた。


「参加者の闘士は待合室に移動してください!」


そう促されると参加者は続々と待合室に入っていく。


「じゃ、私は観客席にいるわ。がんばってね。」

「了解サー。」

「アイリスちゃんのために勝利を勝ち取ってくるぜ!」

「アラスはあまり期待してないわ。」

「ガーン!」


そんなことを言ったり言われつつ待合室に入って行った。


「盛り上がってるかー!」


司会が民衆に呼びかけると観客席から民衆の雄叫びが聞こえてくる。

その雄叫びはコロシアムの外まで響いている。


「さて!ここでルールの確認をしようか!」


おおおおおおおお!っと雄叫びが上がった。


「ルールは簡単!相手の武器を破壊するかリングから落としたり気絶させた選手の勝ちだ!相手を殺すのルール違反だ!即刻兵士が来て連行されるぞ!」


もちろん使われる武器は運営側が用意した模造刀である。

刃と刃先は丸められ相手に必要以上にダメージを与えない作りとなっている。

模造杖には殺傷力が低い魔法に変換する術式が組み込まれた魔石が付けられている。

この術式は魔法を発動させると、その魔法の威力に応じた光属性の光弾に変換されるようになっている。

不慮の事故もたまにあるが、監視員が犯罪性を認めなければ連行される心配はないのだ。


「そして!優勝者には百金貨が贈られるぞ!今回の提供はルーツ国からだ!感謝しないとな!」


そして観客席ではエントリーされた選手の名前を使って賭けが行われていた。


「よーし!前年度優勝者のリストールは銀貨20枚からだよー!そしてなんと十七歳の少女が参加していると聞いた!名前はクラキ スズだ!こっちは銀貨5枚だ!」

「リストールに俺は賭けるぞ!」

「ここはあえてダークホースとなりえるクラキにかけてみるか!」


などと賭け事が行われているのであった。


ルールはさておき、控室では賞金目当ての闘志達が互いに牽制し合っていた。

皆一様に剣や杖、槍などに手をかけている。

参加したイルミス達で困ったことがあった。

それはアームと飛鳥の武器が模造刀の中に無いことだった。

運営に聞いたが初めて見る形状の武器だと言われ、すぐには作れない。既存の武器で出場してくれと言われてしまったのだ。

アームは以前まで使っていた槍に戻り、飛鳥は初めて使う両刃の剣を手に持っていた。

イルミス、アラス、鈴はいつも通り剣を持っている。

鈴がいつも通りというのは少しおかしいが。


「杖もあるんだからアイリスも参加すればよかったのに。」

「アイリスはこういうの好きじゃないからな。」

「そうなんですか?」

「そうだ。本人曰く野蛮らしい。冒険者やってるお前がいうなと言いたいのだが。」

「なるほど・・・。」


「ハックシュ!誰か噂してるのかしら。」


「鈴殿、妾と戦うまでやられるでないぞ?」

「ふふーん。飛鳥こそなれない武器でやられないようにね!」

「こやついいおるわ!」


二人が話しているとリング側の扉が開き、誘導員が声を張り上げた。


「闘士の皆さん!入場してください!あ!押さないでください!ゆっくりと入ってください!」


鈴はどこの世界でも誘導員は大変だなっと心の中で思っているのであった。

参加者約六十名。

一度にはできないため三十人三十人で二回に分けて選手の振り分けをするようだ。

鈴達は一回目に入っている。


「さーて!闘士の入場は終わったああああ!ここからが本番だ!勝ち残れるのは六人!六人になるまでお互いに競い合ってもらうぞ!武器が壊れた闘士は両手を挙げてリングから速やかに降りてくれよな!それでは試合開始だ!」


ドーンと銅鑼の音が鳴り響いた。

それと同時に闘士達の雄叫びも上がった。


『おおう。びっくりした。』

“ほら来てるよ。

「子供を痛めつける趣味はないが勝ち残らせてもらうぜ!」


剣が鈴に振り下ろされるが、イルミス達が剣で戦うのを見て覚えた受け流しをアシスト込で行う。

自然と体が動くように相手の剣を受け流した。


「なっ!なにィ!?」

「せい!」


鈴が剣を振るい、相手の脇腹に模造刀が直撃した。

相手は痛みで顔を歪めるが、そこまでのダメージにはなっていないようだ。

後ろから足音が聞こえ鈴はとっさに横にとんだ。

鈴のいた場所に剣が振り下ろされている。

どうやら漁夫の利を狙った闘士のようだ。


「ちっ。ここは子供の遊び場じゃないんだよ!」

「漁夫の利を狙っておいてそのセリフは…ぷふぅ。」

「ふざけやがってぇ!小娘覚悟しろよ!」

「何々おじさん達二人で私を相手するの?」

「お、おじさんだと!俺はまだ二十五だ!」

「俺はおじさんだな。うん。だが勝ち残りなものなんでな…たとえ子供でもそうさせてもらうぜ。」


鈴が最初に相手をしていた男性の方がよっぽど紳士である。

漁夫の利を狙った男性は明らかに小物洲が漂う男だ。


「さっさと落ちろや!」


小物男が鈴に剣を振るうがそれはひらりと躱される。

そこにおじさんの剣が迫る。


「だと思ってたよ。」


鈴は剣を弾くといったん距離を取った。


『リンチェンジ!』

“あいよー”


人格がスズからリンへ入れ替わり、リンは体をバネのようにし小物男へ全力のタックルをかました。


“決まった~リンの殺人タックル!“

『いや、死なないからね?』


タックルを食らった小物男はごろごろと転がりリングアウトはしなかったものの腹部を押さえて悶絶している。

あとは誰かが勝手に落とすだろう。


「いやー嬢ちゃん、その体のどこにそんな力があるんだ?」

「それは内緒。」

「うーむ。やはり女は謎が多い。」

「もしかしておじさん既婚者?」

「そうだぞ。俺の嫁は世界一だぜ!」

「で、謎多き妻だと。」

「そうなんだよなぁ…ってこんな話をしてる場合か!覚悟しろよ!」

「話をそらす作戦は失敗か。」


リンは何となくおじさんが既婚者であることを察し、話題を振ってみたものの少しは乗ってくれたがすぐに話を戻されてしまった。


「しょうがないか。」

“いけリン!おじさんをぶっ飛ばせー!”

『野蛮だなぁ。』


リンは初めてこちらから斬りかかる。

おじさんは剣を受け止めリンの胴体に蹴りを入れようとしていたが、リンの剣が予想以上に力が強く受け止めるので精一杯になってしまった。


「なんつう力だ…っ!」


リンはそのままリング端まで押し込んでいく。


「それじゃサヨナラ。」

「くっそー!レフテリアー!」


妻の名前だろうか。

おじさんは叫びながらリンに蹴られリングアウトしたのだった。


“よーし二人だ!”

『クズイスズ、変わるよ。』

“クズいうな!”

「まったく…私のどこがクズなんだか…。」


ここで司会の声が耳に入ってきた。


「おっと?これはどういうことだぁ~!異国の服をまとった少女が剣を振るうたびに相手の剣が粘土のように切断されていくぞ!ちなみにこれでも武器破損として扱われるため失格だ!」


そのことを聞いてスズは明らか飛鳥の仕業だと思っていた。

飛鳥の剣術の斬鉄。

文字通り鉄を斬る剣術だ。

一度リンが飛鳥と試合したときに使われたからよくわかっている。


『ありゃあ、反則級の技だわな。』

“こういうのをチートっていうんだっけか。”

『まあ、そんなこと言ってたら私達もチートだけどね~。』

“まぁね~。”


二人がのんびり喋っていると、リング端とも有ってこちらに狙いを定めて突進してくる輩もいた。

そんな相手にはその場で足を引っ掛け自分から落ちてもらっている。

時々投げっぱなし背負い投げで相手をリング外に叩き落としている時もある。


「これで六人目?学習しないなぁ。」


「残り人数あと少しだぁ!果たして誰が残るのかー!」

「あと…五人かな。座ってよ。」


鈴は完全に傍観者状態になった。

残り五人ぐらいイルミスや飛鳥達が倒してくれるだろう。

その時鈴のおなかがぐぅっとなったのであった。


「お腹すいたなぁ…。」

“さっきあれほど食べたのにもう食べるのか…。”

『私は食欲に忠実なのだ!』

“前はそんなことなかったじゃん?”

『こっちに来てからかわったんだもん。』


何だかなぁっと思いながらもリンは黙っていた。


飛鳥は何人かの剣を破壊したところで辺りを見渡していた。

それは鈴を探しているためだ。


「鈴殿まさかやられてはおらぬじゃろうな。」


きょろきょろと周りを見渡しながら不意打ちを仕掛けてくる闘士を返り討ちにしていくと鈴の姿を見つけた。


「なんじゃ座っておるのか!一発やる気を出させるかのぅ。」


斬鉄ではすぐに終わってしまうためその構えを解き、普通の身体強化だけで鈴に向かっていく。


『あれ?気のせいだと思いたいんだけど、飛鳥こっちに来てない?』

“そうだね。来てるね。ヤル気満々で。”

『おなか減ってるのにぃ。』

“これ終わったら食べればいいじゃない。”

『それもそうだね!』


鈴は立ち上がると迫りくる飛鳥を遊撃に向けて剣を構えた。

リング端は危険なのでこちらからも飛鳥に向かって走り出す。


「先手必勝!ひっさーつ!はらへった剣!」


鈴は合間に入る前に剣を横なぎに振り切った。

ちなみにネーミングは腹減った件をもじっただけである。

振られた剣は当然飛鳥の足止めになり、鈴はそのまま突きを繰り出した。


「そんなのが当たると思っているのか!」

「なんですとー!」


突き出された突きを剣で弾くと、鈴に反撃をする。

鈴はアシストとリンのサポートで飛鳥の剣を弾いていく。

アシストがあっても対人向けの剣はなかったためかなりきつい。


「きええええ!」


鈴はやけになって剣をアシストに頼って剣を振りまくる。

当然のことながら飛鳥はそれを全て受け流している。


“こりゃだめだわ。”

「駄目じゃな。太刀筋が甘い。」

『対人向けのVRMMOやっておけばよかった!』


鈴が後悔していると銅鑼の音が鳴り響いた。


「試合終了!三十人中六名が今決まったァ!!」


司会が喋り観客が騒いでいる。

鈴は一息ついていた。


「はぁ~。終わってよかったぁ。」

「なんじゃ、もう少し続けてもよかったのじゃが。


「いやいやいや、あれ続けてたら私リタイアしちゃうよ!?」

「それは困る。もっといい舞台で戦いたいのだからのぅ。」

『飛鳥ってこんな性格だったっけ!』

“ほら父親もあれだったじゃん?”

『親に似たのか…。そういえば何となく似てるかも?』


リングから退場しながらリンと話している鈴。

勝ち残ったのは鈴達五人と、美人の女性だった。

アラスがちょっかいを出しに行ったが華麗に無視されてへこんでいた。

鈴もちらっとその女性を見たが、茶髪金色の瞳で自分より少し小さいくらいの女性だった。

服は異国のだろうか全身真っ黒で腰にコルセットを付けており胸や肘などにグレーの鉄の板が付けられている。


『あの人かわいいね。』

"そうだね。服が元の世界のとちょっと似てる気がするけど。“

『気のせいじゃない?あんなの来て歩いてる人なんてコスプレぐらいでしょ。』

"それもそうだねー。“


その後鈴はいち早くコロシアムの隣にある食堂に来ていた。


「パスタサラダお願いします!」

「あいよー。」


鈴はまだ食べ終わってもいないのに次の品をオーダーしていた。

鈴のテーブルには皿が積み上がっていく。


「はい。パスタサラダおまち。」

「ありがとうございます。」

「それにしてもよく食べるね!創業してから初めてだよ!」

「そうなんですか?」


もぐもぐと口を動かしながら喋る鈴。

そこにリンからのツッコミが入る。


"食べながら喋らないの。“

『アイリスの癖が感染った!?』


「まぁ、私としてはたくさん食べてお金落としていってくれるとうれしいんだけどね。」

「ですよねー。あ、ステーキおかわりで。」

「あいよ。ちょっと待っててな。」

"また…。午後動けなくなるよ。“

『大丈夫だ!問題ない!私にいい考えがある。』

"嫌な予感が…。“


その後五杯ほどおかわりした。


「いやー。食べた食べた。コロシアムに戻ろう。」


鈴は満腹になったのでまた隣のコロシアムに戻った。

現在は途中休憩の時間だ。

三十人振り分け第二回戦が終わり、選手たちは休憩している。

次は十二人からなる一対一の対戦形式に変わる。

飛鳥はそれでの勝負を行いたいと思っているのだろう。




これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。

何か有りましたらご連絡ください。

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