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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
アルゼン国での強敵
92/217

結局殲滅

金切りハサミを消すと女性たちに話しかける。


「よし、皆持ちあげるからあそこの窓から外でて待ってて。」

「え?」

「よいしょっと。」


鈴は背負っていた気絶している女性を下ろすと捕まっていた女性の脇腹付近を持つと、赤子をあやすかのように持ち上げた。


「えええ!?」

「これで届くでしょ?外に出たら三人で待ってて。窓からこの人放り出すから受け取ってね。」

「え?は、はい。」


それだけ言うと一人ずつ窓から外へ逃していく。

皆痩せているため窓に詰まること無く外へ脱出する。

三人を窓から出すと最後に気絶している女性を持ち上げると、窓に無理やり押し込み外に押し出した。

外からはキャッチしただろう音が聞こえてきたのでまあいいだろう。

自分も窓から出ると四人の女性を護衛しながら集落に入ってきた茂みまで移動を始める。


コンバットナイフを創造すると身を屈めながら歩くように指示をする。

女性たちはそれに頷くと三人で協力しあい気絶している女性を運ぶ。


集落を抜けるあと少しというところでタイムリミットが来てしまったようだ。


「侵入者だ!一人殺られてるぞ!それに商品がいなくなっているぞ!」


その声に女性たち慌て始めるが、リンがそれをおさえる。


「大丈夫。私の後についてきて。」

「はい…。」


それでもまだ不安のようだ。

次第に足音が増えていく。

次の隙間を抜ければ入り口の茂みというところで一人こちらに走ってくるのが隙間から見えた。

リンは直ぐ行動に移す。

角で出待ちし、相手が飛び出してくるのを待つ。

そして相手が飛び出した瞬間に相手を仰向けで勢い良く倒すと首をナイフで斬り裂いた。

男はこちらをみて何かしゃべろうとしているが、空気は斬り裂かれた所から漏れ声にならず肺へは血液が流れ込んでいく。

やがて動かなくなったそれを交わすかのように移動すると女性たちを手招きした。

人が死ぬと言う光景を二度も見た女性たちは手足がひどく震え始めていた。


『そろそろ限界っぽい。』

"よし、さっさとここから抜けだそう!“


リンは大丈夫、大丈夫と声をかけながらも女性たちを誘導する。

すると入り口付近の茂みが一瞬動いた。

ひょこっと飛鳥の顔が茂みから飛び出してきたのだ。


「おー。鈴殿こっちじゃ!」

「皆あそこにいる人まで走って。後ろは守るから。」


そういうと女性たちは我慢の限界だったのか気絶した女性を抱えながら半泣きで飛鳥の元へ向かって行った。

女性たちが走り出した瞬間に複数の盗賊に気づかれてしまった。

それと同時にイルミス達が茂みから飛び出してきた。


“リン変わって!”

『了解。』


リンとスズが入れ替わると、スズは手元にM4を創造する。


スズは積極的に弓を持っている盗賊を狙い抜いていく。

イルミス達は魔力で体を強化し、各個撃破している。


もちろんのことこれだけいる盗賊だけあってM4の5.56mmが貫通できない程の障害物に隠れられた。

どうやら学習能力はあるようだ。


『困った。』

"そういう時はあれ使うんでしょ?“

『まぁそうだけどね。』


鈴はM4からXM25を創造した。

今から約五百年ほど前の銃だ。

この銃には火器管制システムが内蔵されており、グレネード弾を任意の位置で炸裂させることができる。

もちろん従来のグレネード弾同様に着弾で爆発することもできる。

鈴のやっていたVRFPSにも実装されていた。

主に壁に隠れた敵プレイヤーを倒す為だ。

そしてこのグレネードランチャーは七種類の弾を扱うことができ、装弾数は六発である。


直ぐ様火器管制システムを利用し対象との距離を測り、入力する。

使うグレネード弾はサーモバリック弾だ。

破片などで相手を殺傷するのではなく爆風と高熱高圧で殺傷や破壊を行うのだ。


「くらえ!」


鈴は引き金を引くとグレネード弾が弧を描いて飛んでいき相手が隠れている壁の空中で爆発した。

ろくな装備をしていない盗賊にとってサーモバリック弾は致命的だった。

一番近くに居た盗賊は爆風で頭の一部を持って行かれ、隣に居た盗賊は頭を焼かれその場に倒れた。


そこに女性たちを安全な場所まで誘導したアイリスと飛鳥が戦闘に参加する。


「<蒼白の炎よ。大気を糧に燃え上がれ、水よ。我が手に集い彼の者を押し流せ。我この身に二つの魔力を宿すもの、混沌となりて具現化せよ。ウォーターミスト!>」


アイリスが魔法を詠唱し、発動すると盗賊の集団中央から白い煙が広がった。

それは超高温の蒸気だ。

その煙を吸った盗賊は肺を焼かれ、露出している皮膚は焼けただれ、盗賊はその数を大きく減らした。


「うわぁ…えげつない。」

「鈴も同じようなものじゃない。」

「うんまぁ…この弾はそうだけど。ほいっと。」


弓兵に向かって再び引き金を引く。

今回はシステムを使わずに撃った為、弓兵の足元でグレネード弾が炸裂し、爆風で相手が吹き飛ぶ。


「ほーれほれほれっと弓兵はあれで最後かな?」


グレネードランチャーをポンポンと盗賊が固まっている場所に撃ちこんでいく。

すべて狙いが適当だが密集しているため簡単に当たるのだ。


盗賊の弓兵の数は馬車を追いかけていた時より少なく、今は殆どが剣だ。

それ故魔力強化でランクAに迫るほどの身体能力を発揮しているイルミス達が圧倒している。


飛鳥は相変わらず倒した瞬間には次の敵を倒している。

とんでもない早さである。


「ほれほれ。遅いのぅ。」

「こいつばけも―こ、こっちにくるなあああ!」


盗賊もだいぶ数を減らして後二十人弱といったところだ。

これだけを六人で倒すのはさすがに無理がある。

イルミス達も剣を受けることが多くなってきている。

魔力が切れかけているのだ。

飛鳥とアイリスはまだ余裕そうだ。

鈴は敵が散らばりちまちまと一人ずつグレネードランチャーで撃つのは効率が悪くなってきたため、直ぐにM60軽機関銃に切り替えていた。

イルミスたちを援護するために鈴はフルオートで敵を薙ぎ払っていく。

それを見ていたアイリスも再度魔法を唱えなおす。


「<蒼白の炎よ、我が魔力を弾丸とし敵を撃ち抜け。ファイヤーバレット!>」


後方から魔法と科学の弾幕が張り巡らされ、イルミス達に斬りかかろうと近寄ろうとした盗賊たちはその弾幕の前に倒れた。


「鈴。イルミスたちには当てないようにね。」

「アイリスこそ当てないようにね!」


怒涛の連射で盗賊はあっという間に減っていく。

先に弓兵を片付けなければこの方法はできなかっただろう。

なにせその場に立ち止まってしまうからだ。

弓兵が居なければこっちのものである。


しばらくして盗賊を倒しきった鈴達。

血の匂いが充満し、屍がいたるところに散らばっている。

無傷とまでは行かなかったようでアイリスがイルミス達の治療を行っている。

飛鳥はまだまだ行けそうだ。


「本当に飛鳥は人外よね。」

「そうそう。あれだけ魔力とスタミナを使って息ひとつ切らしてないんだもん。」

「なんじゃ、その言い方は。妾が化け物みたいではないか。」

「あの親の子ありって感じね。」

「たしかに父殿は人外じゃが…妾は普通ぞ?」


飛鳥はそうは言っているがまだ若い女性が息も切らさず盗賊を何人も瞬殺していくのは少々常識から欠ける。


アイリスはイルミス達の治療を終えると飛鳥にも何か怪我をしていないか一応聞いた。


「妾は怪我などしておらぬよ?」

「そう…。」


聞いたのが無駄だったようだ。

鈴がぴこーんっと頭に豆電球が付きそうな事を思い出した。


「アイリス、捕まってた人の中に怪我人いたけど治癒してくれた?」

「ええ。ばっちり。」

「それじゃ捕まってた人たちの所に戻ろうか。」

「そうね。盗賊の死体はそのうち魔物が片づけてくれるでしょ?イルミス。」

「そうだ。たまには魔物にも餌をやらないと、俺たちの仕事が無くなってしまうからな。」

「世知辛いねぇ。」


鈴達は捕まっていた女性たちの元へ急いだ。

茂みが揺れる音を立てると奥から小さな悲鳴が聞こえてきた。

そうとう怖いようだ。

鈴は女性たちに盗賊は倒したのでもういませんアピールをすると、女性たちは少しは落ち着きを取り戻したのだった。


「あの…助けていただきありがとうございます…なんとお礼をすればよいか…。」

「いやいや。人助けにお礼はいらないよ!ですよね?イルミスさん。」

「まぁ、そうだな。困った時はお互い様だ。ところで今聞くのは何なんだが…貴女たちは帰る家があるのか?」

「え?それってどういうことですか?」

「つまり。だ。街は警備の兵士がいるが、村は居ない。これがどういうことだかわかるか?」

「盗賊に狙われやすいってことですか?」

「そうだ。王都や街と違って村は警備の兵士が居ない。自警団はいるだろうがな。そこでだ。どうやって村娘をさらってきたと思う?」

「どうやってって、村を襲ったり…あ。」

「気がついたか。」


鈴は気がついてしまった。

各所に点在する村。

当然警備の兵士など派遣されるわけがない。

派遣されるなら税務官ぐらいだ。

自警団がいるとしてもそれは寄せ集めの志願した剣をはじめて振るうような人ばかりだ。

そんなところに手馴れている盗賊が攻め入ったらどうなるか。

当然自警団は時間稼ぎの後全滅し、金や食料を奪われ女は攫われ売られるかそのまま輪姦されるかのどちらかだ。

鈴はそこから導き出される答えを思いついてしまった。

すなわち帰る家や故郷、両親の生死があるかと言う単純な答えにだ。


「…三人は名前と帰る場所あるの?」


鈴が控えめに質問をする。

それに三人は答えた。


「私はメルディ・ハンスと言います。村の外で捕まったので村がどうなったかわかりません…。」

「私…リナリー・シオン。家の中に居ました…。両親が危ないから隠れてなさいって…その後お母さんの悲鳴が聞こえて、隠れていたタンスのドアを開けられて捕まりました…。多分…お父さんもお母さんも…。」

「僕はルチ・ハイナ。僕も野草を取りに行っていた時に捕まったんだ。…村はどうなったかわかりません…。」


三人から事情を聞くと、イルミス達と話し合う。


「とりあえず次の街でギルドに保護してもらおう。盗賊に壊滅させられた村があるなら情報が入っているだろう。それに今回のことも報告しないと行けないからな。」

「そうだな。今回の件はルーツ国の貴族が絡んでいるからな。報告しないと後々問題が起きそうだ。」

「移動手段はどうするの?さすがにこの四人は歩けないわよ。」

「そこで、そこに気絶している女性をつかうのだよー。この女性はさっき馬車に乗ってた。馬車を修理すれば皆運べるじゃん?」

「そうね。すっかり頭から抜けてたわ。」

「起きるまで待とうか。三人には俺から食料をあげておく。」

「俺とアラスは馬車を直しておく。」

「俺もかよー。せっかく女の子がこんなにいるのになぁ。」

「はいはい。いってらっしゃい。」

「あ、イルミスさん。食料は私からあげておきます。男性は今はちょっと…です。」

「そういうことか。頼んだ。」


盗賊を構成していたのは男だ。

今彼女達に男が近寄るのは少し無理だある。

たとえそれが助けだしてくれた人の仲間だとしても。

鈴が珍しく気を利かせてイルミスに進言したのであった。


「これ干し肉だけど、よかったら食べて。後、アイリス謹製エナジードリンクがあるからそれも飲んでね。魔法の掛かった水だから平気だよ。」


そう言うと三人にとりあえず一枚ずつ干し肉を渡した。


「ありがとうございます…。いただきますね。」

「まだまだあるからお腹減ってたら言ってね!」


スズは女性達と軽い話をしている。

リンが少しでも明るい話をしてストレスの軽減につなげたほうが良いと言ったからだ。

そこまではさすがに気が回らなかったのである。


気絶している女性を待っている間にイルミスは剣の手入れをすることにした。

砥石を取り出し水を少しかけると刃を擦る。

魔力で剣も強化しているとはいえアレだけ沢山の盗賊を斬ったのだ。

少しは刃も痛むというものだ。

手慣れた手つきで剣を研磨していく。

研磨する作業はそれほど苦ではないため徐々に魔力が回復し始め体が軽くなっていく。


「さすがに魔力切れ近くの疲労感は未だになれないな…。スタミナならある程度慣れているのだが…。」

「そのうち慣れるのじゃよ。」

「そういうもんか。」

「そうじゃ。さて、妾も刀の手入れをするとするかのぅ。」


飛鳥は鞘から刀を引きぬくが、太陽の光を反射し、汚れの一点もないきれいな刀身が見て取れる。


「なんでそんなに綺麗なんだ?」

「む?それは魔力で覆っているからじゃ。最初に教えたじゃろ?魔力で剣を強化する。それにこの効果も入っているのじゃ。イルミス殿達は途中から魔力に乱れや薄いところがあった。それ故に剣に汚れがついたのじゃろう。」

「難しいな。」

「慣れれば簡単じゃ。」

「…(慣れとは怖いもんだな)。」


イルミスはそんなことを思いながら剣を研磨しているのであった。



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