水筒
「いやー、さっぱりしたなぁ。」
「ええ。」
「やはりお風呂はいいものじゃ。」
と、女性陣の感想。
「いい湯だったな。」
「ああ、汚れが落ちてさっぱりだ。」
「あぁ~鈴ちゃん、アイリスちゃん、飛鳥ちゃんの肌きれいだったなー。やっぱり普段服で隠れてる場所が見れると…ぐふ、ぐふふふふ。」
と、男性陣の感想。
一人おかしな者がいるが平常運転である。
部屋に戻りこれからの事を話していると扉がノックされた。
「失礼します。イルミス様いらっしゃいますでしょうか。」
「いるぞ。」
「アゼリア王女様がイルミス様ご一考をお呼びになられております。」
「わかった。皆行くぞ。」
「只今警戒令が敷かれているため武器の携帯は許可されています。各自身を守る準備をよろしくお願いします。」
「だそうだ。」
「私杖持ってくるわね。」
「妾も夜桜月下を持ってくるのじゃ。」
「口径の大きい銃出しておこう。」
鈴はHK417を創造すると安全装置を解除し、いつでも撃てるようにした。
各自が自分の武器を持ち再び集合し、兵士の付き添いのもと王の間へと移動する。
扉の目の前まで来ると扉が開かれた。
「すまんな。たびたび呼び出して。」
「いえ、王女様のお呼びとあらば何度でも。」
「そうか。それでは本題に入る。
アゼリアは侵入者の件を話、鈴の任務内容を話した。
「よってパーティリーダーであるイルミスを代表として報酬を与える。」
宰相が子袋をイルミスに手渡した。
「その中には金貨二十枚が入っている。好きに使ってくれ。」
「確かに御受け取りしました。ありがとうございます。」
『金貨二十枚だってよ!』
“そうだね。また何か食べるの?”
『だって食べなきゃ損じゃん!』
“太るよ。”
『その分リンが動くから大丈夫!』
“なんで私にしわ寄せがくるのよー。”
『私が食べる、リンが運動する、二人でハッピー。Ok?』
“okじゃないよ・・・。”
二人が話していると突然鈴が呼ばれた。
「ふぁい!?」
「なんだ?驚いたような声を出して。」
「な、なんでもないです。」
『いきなり呼ばれたからびっくりした。』
“情けない。”
「鈴、今回はご苦労だった。披露宴、闇ギルド討伐並びに侵入者撃退。多忙だっただろう?疲れてはいないか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
「そうかそうか。それはよかった。イルミス、また何かあったらギルド経由で頼むかもしれない。その時は頼んだぞ。」
「ハッ。お任せ下さい。」
「ところで次はどこに行くのだ?この国にとどまるか?」
「それはまだ話し合っている途中でして、鈴の為にもすべての都市を回ろうかと思っております。」
「冒険者と言うのは忙しい者だな。鈴も早く記憶が戻るとよいな。」
「はい。」
『ぐおー、罪悪感がー。』
"それしか無いからね。“
アゼリアとの話が終わり、イルミス達は客室に戻った。
先ほどの話の続きを始めるようだ。
「戻ってきてそうそうだが次は…アルゼン王国に行こうか。王都から歩きだと一週間といった所か。」
「あー。この間の晩餐会で王様に会いました。」
「鈴って偉い人に引かれるわよね。」
「え?そう?」
「そうじゃな…アゼリア王女、玉藻、アルゼン王国の王と。そのうちすべての王に会うんじゃないかのぅ。」
「固っ苦しいのは嫌い…。」
「まぁそうなったら諦めろ。」
「イルミスさん助けて下さいよ~。」
「いや、そう言われても王から会いたい言われたら拒否できないだろう?」
「拒否できない…。」
「まぁ、そういうことだ。異論ある奴いるか?」
「いや。俺はないぞ。」
「私も無いわ。」
「妾もないのじゃ。」
「俺も―」
「よし。そうしよう。ギルドに寄ってアイリスの杖の料金払って、何か依頼でも受けていくか。」
「あれ!俺は!?」
「では出発だ。」
「おー!」
一行は部屋を出ると城門へ向かった。
城門では兵士に話しかけられ、次どこに向かうか聞かれたので素直にアルゼンに向かうと答えたのだった。
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アゼリアの職務室。
そこには宰相、近衛騎士団、剣士隊長が居た。
「それで?侵入者はまだ見つからないのか?」
「申し訳ありません。」
「しかし城門を出たものは居ないと報告がある。まだ城の何処かに潜伏している可能性が高いな。」
「念のためもう一度全部屋を調べさせます。」
「…一応屋根の上を調べるんだ。」
「屋根の上を?」
「二階から飛び降りれる身体能力があるんだ。上にいても不思議では無いだろう?」
「わかりました。屋根の上も調べさせます。」
「頼んだぞ。」
そう言うと剣士隊長は部屋の外へと出て行く。
それとすれ違う様に一人の兵士が入ってきた。
「報告します。イルミス様パーティはアルゼン王国へと旅立たれました。」
「ふむ。アルゼンか。分かった。下がっていいぞ。」
「ハッ。」
兵士はアゼリアから退出の命令を受けたので部屋の外へと出て行く。
「アルゼンか…。ん?宰相、アルゼンには確かコロシアムが有ったよな?」
「はい。左様でございます。」
「ふふ。冒険者にとっては楽しい場所かもしれないな。」
「しかし、鈴殿にとっては厳しい場所では?」
「確かに。銃では殺してしまうからな。相手が鎧を脱いでくれるなら鈴でも勝機はありそうだが。」
「脱がないでしょうな。」
「だよなー。まぁ今度来た時に聞いてみよう。」
「それはそうとして書類にサインをお願いします。」
「宰相。」
「何でしょうか。」
「少し手伝って―。」
「ダメです。この書類は王直々のサインが必要なのです。」
「苦行だ…。」
アゼリアは積み上げられた書類に目を通しサインをしていくのだった。
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「ひさしぶりのギルドって感じがする。」
「そんな久しぶりじゃないでしょ。依頼で二週間とかあるしね。」
「え!?そんなにあるの!?」
「あるわよ。希少鉱石持ってこいとか検体の魔物を捕まえてこいとかね。」
「めんどくさそう。」
「めんどくさいわよ。期間の割に報酬が合わないのよね。」
「そうなのかー。イルミスさん何受けるんですか?」
「そうだな…護衛系の依頼は…出てないか。どれも討伐系の依頼ばかりだな…行く道には居ない奴らばかりだ。」
「で、どうするわけ?」
「どうするも何もないものは仕方がない。杖の料金払ってそのまま歩いてアルゼンまで行くぞ。」
そう言うとイルミスは杖の料金を払うために受付へと向かっていったのだった。
「今回何も受けないらしいわ。」
「そうなのか。」
「そのほうが気楽でいいぜ~。」
「そういえばアルゼンには何かあるんですか?」
「アルゼンにはなぁ…何が有ったっけ?」
「お前は何年冒険者やってるんだ。アルゼンにはコロシアムが見どころだな。」
「おー!誰が戦うんですか?」
「一般、冒険者、兵士だ。基本的に相手が負けを認めるか、気絶、場外になった方の負けだな。」
「おっほー!ファンタジーの定番の!私参加したいです!」
「いや、鈴ちゃん銃使えないよ?」
「!!……そうだった…でも剣も少しは使えます!」
「鈴殿剣を使えるのかえ?」
「うん。一応はね。」
「ほう。リン殿は使っていたが鈴殿も使えるとは…今度一試合やろうぞ。」
「瞬殺されそう。」
「鈴の剣は対人向けじゃないからな。」
「そうなんだよね。元々動物しか狩らなかったから。」
「ふむ。ではリン殿にもう一度手合わせしてもらおうかのぅ。」
そこまで話しているとイルミスが支払いを終え戻ってきた。
依頼は受けていないようだ。
「戻ったぞ。」
そう言うと手短に事を話す。
アイリスの杖の代金は払い終えた事と依頼は受けていないこと。
「やっとこれで資金不足から開放されるぜ~。」
「そうだったな。とりあえず各自に金貨三枚渡すぞ。」
「おう!」
リール国のレストランにて鈴に財布を空っぽにされたアラスの財布に金貨が三枚入ったのだった。
一同はギルドを出るとアルゼンへ向かうための物資を各自買いに出かける。
「集合場所は王都南門だからな。」
「よーし!いっぱい買い込むぞー!」
"一週間だから沢山買わないと。“
「まずは肉だな!」
鈴は食料品店に入ると長持ちする干し肉の束を手にとった。
「一回一枚と考えて…三掛ける七で二十七か。うーん。ちょっとバッグに入らないなぁ。」
"途中村とか街あるだろうし、そんなに買わなくても良いんじゃないかな。“
『その可能性を忘れていた!なら一回二枚にして~。』
"何故増やしたし。“
『だって一枚じゃお腹減るじゃん?』
"こいつよー。あまり買い込んで動けなくなるなよー。“
『大丈夫!私が動かなくてもきっとイルミスさん達が修行がてら倒してくれる!』
"…。“
「お姉さん!干し肉二十枚下さい!」
「あらやだ!もう私はおばさんよ。二十枚二銀貨だよ。」
「確か細かいお金があったはず…はい!二銀貨。」
鈴は小銭入れから二銀貨取り出すと、店のお姉さん?に手渡した。
お姉さん?は干し肉を羊皮紙で包むと、鈴に手渡す。
手渡されたそれをバッグに詰めるとパンパンになってしまったのだ。
『これ以上入らなさそう』
“ほらやっぱり-。水どうするの?”
『水筒みたいなのがあればいいんだけど…。』
鈴は店を出ると露店通りに行く。
水筒のように水を持ち運べる掘り出し物が無いか探す為である。
『うーん。無いなぁ。』
“そうだね。”
『雑貨屋にいく?』
“その方が早いかも?”
露店通りから再び戻ってくると雑貨屋を探し始める。
辺りを見渡すと、先ほどの食料品店が見えた。
目を細め、辺り一帯を隈なく探すと雑貨屋の文字が書かれた看板を見つけることができた。
「みっけ。」
早速雑貨屋に入ってみる鈴。
「いらっしゃいませ。」
「すみません。水筒ってありますか?」
「水筒ですか?これはいかがでしょうか。」
店員はひとつの商品を手に取る。
それは鉄でできており、縦長に作られている。
上側には穴が合いておりそこにコルクで栓がされている。
革製の肩掛けがついており手を塞がない作りになっているのも見て取れる。
「それ鉄ですか?」
「はい。鉄です。」
『鉄だと錆びるんだよなぁ。せめてステンレスがあれば…。』
"スズが…珍しいこと言ってる!“
『何よ。私だってそれくらいわかるよ!』
「それ錆びるって言われませんか?」
「…言われます。」
店員としては商品のデメリットをあまり言いたくない。
鈴に言われてしぶしぶ言ったというところだ。
「その棚にある水筒はステンレスでしょ。」
「はい。」
「そっち頂戴。」
「…十銀貨になります。」
店員はわざと高い値段を鈴に提示した。
鉄製と見ぬかれ、在庫処分に困っている鉄製の水筒を売りたいのだ。
しかし相手が悪かった。
「はい。十銀貨。」
「え、あ、どうぞ。」
「ありがとね。」
それは鈴がこの世界の相場を知らないからだ。
『水筒手に入ったね。』
"そうだね。この水筒キャップと言う概念は無いみたいだね。コルクだし。“
『キャップ発明したら特許取れるね!』
"取っても意味ない気がする。“
『とりあえず水入れに行こう!』
水筒に水を入れるために共同井戸を探し始めた鈴。
雑貨屋から出て見渡してみたが、それらしきものは見当たらない。
『とりあえず広場にありそうだけど…。』
"行ってみる価値はありそうだね。“
『広場は…あっちか!』
"そっち違う!反対側!“
ここでも鈴の方向音痴が発動しているのであった。
リンの指示もありながらスズは無事に王都中央広場に辿り着いた。
しかし、ここには井戸はないようだ。
スズはリンと話した結果そこら中にいる一般民に井戸の場所を聞くことにした。
…の、だが…。
『し、知らない人に話しかけるの怖いし?』
"今まで何人話してきたと思って?“
『必要な事だけだもんね!』
"はいはい。私が聞けばいいんでしょ。“
スズとリンが入れ替わるとリンが近くに居た子連れの女性に話しかけた。
「すみません。」
「はい?」
「井戸の場所知ってますか?」
「井戸?井戸なら市街地広場と各門前にありますよ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
そう言うとリンは南門へ向かい始めた。
『このぐらい余裕でしょ。』
"コミュ障の私には辛いものがある。“
『はいはい。南門に向かうからね。』
南門に到着するがまだ誰も着ていないようだ。
リンは早速買った水筒に水を入れることにした。
井戸は門の手前端にある。
この井戸はポンプ式ではなく滑車式なので手を話すと桶が下の水まで落ちてしまうタイプだ。
子供には少々キツイものだが、リンにはそんなのは関係ない。
リンはささっとロープを引っ張ると水の入った桶を上げステンレス製の水筒のコルクを抜き、桶に沈めた。
ブクブクブクと言う音を立て水が中へ入っていく。
水を満杯まで入れたらコルクの蓋をし水筒に着いた水滴を軽く落とし、肩から掛ける。
「これでよし。」
『スズ変わるよー。』
"おっけー。“
鈴は皆が集合するまで南門の前で待つことにしたのであった。
今後の構成を考え、本編前設定を一部削除しました。
一部章のタイトルも変わっています。




