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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
ルーツ国の披露宴
83/217

試射2


「他に銃は無いのか?」

「沢山あります。ニキロ先まで届く銃など有りますがどうでしょう?」

「ニキロだと…?」

「ああ!あれだな?あの長い銃!」

「そうです。試しに出してみますか。」


鈴はM82A1 狙撃銃を創造し、エリックの持っているグロッグ18と交換した。


「でかいな…子供の身長ぐらいあるんじゃないか?」

「全長百四十四センチ重量十二キロ、装弾数十発12.7mmで魔導ライフルに使われている口径は5.56mmなのです。」

「しかしこれを立って撃つのはきつそうだな。」

「エリック王様、これは寝転がって撃つものです。私が見本見せますので、耳塞いで見ててください。」

「わかった。」


鈴は邪魔なグロッグ18を消すとエリックからM82A1 を受け取った。

射撃位置まで移動しバイポッドを開き、地面に寝転ぶ。

スコープのカバーを上げ射撃体勢へと入る。

他の兵士も何やら大きな銃(狙撃銃)に興味があるらしく、撃つのを止め鈴を見ている。


『大体距離は百メートルかそこらかな?』

"余裕だね。“


鈴は鎧の中心に狙いを定めると引き金を引いた。

ドスンっと、轟音と砂埃を立てながら極太の薬莢が排出され、距離百メートルから撃たれた的である鎧は支えごと吹き飛ばし地面に転がった。


これには一同絶句。

魔導ライフルではここまでの威力はもちろんのことでない。

5.56mmと12.7mmでは威力が違うのだ。


「あ~。すみません。的壊しちゃいました。」


鈴が兵士にそう言うが、呆然としていた。


「……あ、ああ、そ、そうだな。直さないとな。いいかお前ら!撃つなよ!絶対だぞ!」


そう言うと新しい材料と予備の古びた鎧を持って、壊れた的を修理し始めた。

鈴は立ち上がり、M82A1を持ち上げた。


「よいしょっと。とりあえず、こんな感じです。」

「…そのライフルそんなに威力あったんだな。」

「すごい威力だな。よく見れば貫通して奥の壁を砕いているじゃないか。」

「あー、奥の壁まで壊しちゃいましたか。」

「問題ない。あとで直させる。」

「これぐらいの大きさなら魔法的要素を含んでいても作れるんじゃないか?」

「そうだな魔導ライフルを大型化すれば作れなくはないな。」

「進言します。この銃は精密加工にて作られているため、おそらく既存の技術では二キロ飛んでも的に当たらない可能性のほうが大きいかと思います。」

「作られている?創造しているのではないのか?」

「正確に言うとですね…私の能力の元は既存の武器から来ています。(一部違うのもあるけど…。)」

「となると、これほどの加工技術を持つ国があるのか?聞いたこともないぞ?」

『まずった。』

"どうすんのさー。“

『どうしよう。』

"適当に海の向こうの大陸とかで済ませちゃえば?“

『それで行こう!いやまて。私の初期設定に記憶喪失がある。』

"でも銃で突っ込まれるわよ。“

『ぬおおお!そうだったあぁぁぁ。いや、この際記憶喪失で押し通そう。』


鈴は返答に困り、記憶喪失で押し通す事に決めたようだ。


「すみませんが、私記憶喪失なもので銃と能力、名前しか覚えてなくて…。」

「そうだったな。エリック王、鈴は記憶喪失の所を拾われたんだ。」

「そうか、ぜひ国交を結びたかったが記憶喪失ではどこの国なのかわからないな。この大陸では無いようだが。」

「それはわかりませんね…。」

"これ気づかれてるよ。“

『アゼリアはうまく行ったのに!』

「私って他の大陸から来たのかな…?」


鈴はエリック王にわざと聞こえるように呟いた。


「……ふむ。無謀な外洋へ出る行為だな。」


まだコンパスが開発されておらず方角を知るすべがないこの世界の人々は外洋へは出られないのである。

地球ではGPSなどの方位を知るすべがあるため故障しない限りはどこにいても帰れるが、この世界で海で迷ってしまったら大変なことである。


「なんだ。記憶が戻る前の鈴は相当の命知らずか馬鹿のどちらか!ふはは!」

「いやー…あはは…。」

"アゼリアは疑いもしないね。“

『罪悪感が!』

"微塵もないのに?“

『あ、バレた?』

"バレバレ。“


エリック王には疑われているが、アゼリアは信じ込んでいるようだ。

まだまだ王女としての器にはなっていないようだ。

少し疑うことを覚えたほうがいいだろう。


「ははは…。他にはないのか?」

「他と言いますと…銃の種類でしょうか。」

「そうだ。」

「ショットガンなどどうでしょうか。」


鈴はベネリM4スーベル90を出した。


「それがショットガンというものか。今度はどういう銃なのだ?」

「はい。」


鈴はショットガンの弾を一つ創造する。

これは外装が透明で中身が透けて見える弾だ。

ちなみに口径は12ゲージである。


「このように複数の金属の弾が中に入っています。それが押し出され放射線状に飛び散ります。」

「ほう。撃ってみてもいいか?」

「どうぞ。ハンドガンより反動があるのでお気をつけください。」

「わかった。」


鈴に構え方をレクチャーしてもらうとエリックは鎧に照準を合わせ引き金を引いた。

パァンっと言う音と共に複数の細かい弾が発射され金属音が鳴り響いた。

的は百メートル離れているだけあってショットガンでは分が悪かったのだ。

12ゲージでは鎧を貫通できず、表面を凹ませる程度に収まった。


「あまり効かんな。」

「次はこっちの弾を使ってみましょう。」


鈴がリロードするとそれをエリックに手渡す。

今リロードした弾はスラッグ弾だ、

いくらスラッグと言えども距離百では空気抵抗で威力が下がってしまう。

ショットガンは本来ゼロから五十メートルを最も得意とする武器なのだ。


「どれ、撃ってみるか。」


再び発砲音と共に金属音が鳴り響く。

スラッグは鎧を貫通することなく突き刺さるように止まっていた。


「今のはスラッグ弾と言うものでして、中には小粒の弾ではなく一個の大きめの弾が入っていました。射程距離オーバーのため貫通できませんでしたが、近距離で撃った場合は扉だって壊せます。」

“このエリック王射撃上手だね。三回でもうあてたよ。”

『得意不得意があるからねー』

「そうか。ショットガンは近接戦闘向けの銃なのか。それを作りたくとも弾を包むケースが作れなさそうだ。」

「鈴の銃にはところどころわたしたちでは理解できない物があるからな。しょうがないだろう。」

「私もそこまで詳しく知っているわけではないので…」

「まぁ、撃てただけ良しとしよう。」

「ところで鈴。」

「はい?」

「実は闇ギルドの拠点を見つけることができたのだ。一緒について来てはくれないか?」

「……いいですよ。奴らには借りがありますからね。」

“あの時はひどい目にあったねー玉藻様様ってやつだね。”

“呼んだかえ?”

“呼んでない。”

“釣れない奴よのぅ。久しぶりにやり合おうではないか!”

“スズ!変わって!”

『ヤダ』

“スズの白状ものー!”

“どれ…行くぞ!”

「鈴どうかしたのか?」

「いえ…ちょっと頭が痛くて。」

「二日酔いが残っていたのか?後で治癒してもらうとよい。」

「アゼリア王女、午後には国へ帰らせてもらう。良き一日だった。」

「そうか。エリック王もこれから楽しみにしていてくれ。」

「そうさせてもらうぞ。」

「鈴はこの後私について来てくれ。後は…おーい!隊長はいるかー!



魔導ライフルを抱えた兵士の一人が走ってきた。


「はっ!ここに。」

「お前たちも私のあとについてくるんだ。」

「わかりました。お前ら!訓練一時中断!」

「それでは部屋に戻らせてもらう。」


そういうとエリックは射撃場から出ていった。


「さて私たちもいこうか。」


そういうとアゼリアたちも射撃場を後にした。


もちろん改装をした城の中で迷子になったのは内緒だ。


「おほん!えー。鈴とお前たち銃士隊には闇ギルド殲滅を任せる。」


銃士隊はのべ二十一名で構成で構成されており一名隊長、二十名部下となっている。


「治癒に魔法使いを三名つける。闇ギルドの脅威は年々増してきている。そこで我が国、闇ギルドに襲われた国だからこそ奴らを殲滅しなければならない。」

『アゼリアは父親を殺されたことを根に持ってるのかな。』

“そうじゃないの…。”

『何か疲れてそうね。』

“あの玉藻に二回も殺されたんだよ。余は満足じゃ。とか言いながら消えてったけど。”

『まぁ、頭の中でごちゃごちゃされなくなって良かった。』


「前国王の屈辱を晴らすのだ!」

「はっ!」


兵士たちが皆アゼリアに敬礼をしていた。

鈴もあわてて敬礼をする。


「…この可能性は信じたくはないが、城の中に内通者がいるかもしれない。待ち伏せに気をつけていくんだぞ。現場の指揮は鈴に任せる。事前に隊長と打ち合わせをしておくように。任務は今日の夜から開始する。」



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「これ!アラス殿、魔力が乱れておるぞ!」

「え、ほんのちょっとだよ?飛鳥ちゃん。」

「それだけ魔力をロスしているのじゃ。しっかり魔力を制御せい!」


今イルミス達の部屋では飛鳥による修業が行われていた。

ほんの些細な魔力の乱れでも厳しく注意される為いつもよりも集中している。

その隣ではアイリスが魔力を練っていた。

以前海岸で見た二重詠唱合体(ダブルスペルコアレス)の為の精神訓練である。


魔法は術者のイメージ、正確には精神波動が魔力に影響し形を成している。

各個人はその精神波動が属性ごとに固定されているため属性外の魔法は使えないのだ。

例外も一人いるが、固定化されている精神波動を新しい波動にするには長い年月がかかる。


手には小瓶が握られており中には水が入っている。

これは水を魔力で出すより比較的に魔力の消費を抑えると同時にイメージしやすくするためである。


「(二種類の魔力を練り上げて…水と治癒…成功すれば水に治癒の効果が付加されるはず。) …<彼の者を癒やす力よ。すべての生命に存在する水。今ここに宿れ。ヒールアディション>」


しかし魔法は発動しない。

失敗だ。

しかし、今ので魔力の流れを掴んだアイリスの成長は早い。

その後も何度も挑戦し、失敗を繰り返した。

しかし何度目かの挑戦で水に微弱ながらも治癒の効果が付加された。


「よし。あと少しね。」


アイリスは完璧な成功と行かなくても感覚を掴んだらしく、引き続き魔法を行使し始めた。


「見てみるのじゃ。アイリス殿の魔力の安定具合を。三人共そのぐらい安定させるのじゃ。」

「飛鳥ちゃん?俺たち魔法使いじゃないよ?」

「それじゃあ妾はどうなる。先程から魔力を張っておるぞ?乱れておるか?」

「いえ…。」

「何度も繰り返すが、体力と魔力は同じ物だと思うのじゃ。どちらかが切れたら終わりだぞ?そんなロスのある魔力の使い方をしていたら体力より先に魔力が切れるぞ。ましてや魔法使いでないお主達の魔力はそれほど高くない。今もこうしてトレーニングし、魔力を増やし安定させているのじゃぞ。」


そこまで説明していると鈴が部屋の中へ入ってきた。


「たっだいまー。」

「おかえりじゃ。今は見ての通りトレーニング中じゃよ。」

「そうみたいだね。イルミスさんに用事があるんだけど…。」

「…ん?なんだ?」

「アゼリアの命令で闇ギルドを一掃する作戦に参加することになりました。」

「それは鈴だけか?」

「銃士隊の人たちと治癒魔法使いと私だけです。二十五人で行きます。」

「そんなに少なくて大丈夫なのか…?」

「もしものときは…爆破します。」

「豪快だな。本当に大丈夫なんだろうな?」

「大丈夫です。」

「なら行って来い。」

「はい!」

"あ、鈴話すことあるから時間あけて。“


リンからそう言われ、一人自分たちの部屋に戻るスズ。


『で、なに?』

"この間スズが寝てる間にあっち(地球)の神がやってきて翻訳の加護をバージョンアップしていったよ。これで魚とかもバッチリみたい。“

『もう少し早く気てほしかったなぁ。』

"後もう一つ。これは私もよくわからないんだけど…あっち(地球)が異世界観測を始めたからもしその時が来たら阻止してくれだって。“

『意味がわからないんだけど?放置するとどうなるの?』

"二つに分けた世界が再び引き寄せられるとか言ってたから、世界が衝突して消滅するか融合しちゃうんじゃないのかな。“

『なにそれこわい。』

"まぁ、その時になればわかると思うよ。“

『そうだね。何が起こるかわからないしその時になったら対処しようね。』

"話すことはこれで終わりだよ。“

『りょーかい。とりあえず隊長の部屋行こうか。』

"そうだね。“


鈴は部屋を出るとあたりを見渡したりしていた。

部屋がわからないため使用人か兵士に聞こうとしていたのだ。

ここは客室が密集しているため巡回の兵士も多い。


「あ!すみません。銃士隊の隊長の部屋を教えていただくと嬉しいのですが…。」


鈴はそう言いながらメモ用紙とペンを出していたのだった。


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