晩餐会
晩餐会。
同盟国の重鎮たちや貴族、王族が参加する今日二番目のパーティだ。
「いやー凄いですな!あの魔導ライフルを考えたのは貴方とは。まだ若いのによく思いつきますな!」
「い、いえ。そんなことはないのですよ!ああ、ああれは弓をもっと効率的に運用できないか、クロスボウより強く早くできないか考えた結果です!(あー適当なこと言っておけばいいかな?い、一応この世界では私が一番…)」
"この世界では特許だね“
鈴は緊張しながらも話しかけられた重鎮に受け応えていた。
「なるほど。では今夜は楽しみましょう。それでは失礼させてもらいます。」
「は、はい。」
鈴が話し終わると同時に今度は他の人に話しかけられた。
「少しいいかな?鈴殿。」
「はい!何でしょうか!」
「銃と言う武器は弾がなくなったらどうするのでしょう。弓兵は皆剣を携えておりますが。」
「あ、それは銃身に短剣を着けられるようになっているので、槍の代わりにもなります!予め装着しておけば、奇襲された時でも対処できますね。」
「なるほど。短剣を装着できるのですか。遠近両立できるのはいいですね。」
「はい。兵士は剣を扱えますからそこから銃兵士に転属させれば問題無いと思います。銃は反動と正確ささえあれば誰でも扱えますので。」
「育成は簡単そうですね。」
「最初は戸惑うでしょうが、直ぐになれると思います。」
「そうですね。お話ありがとうございます。では良い夜を。」
「はい。良い夜を。」
笑顔で見送る鈴。
しかし内心では…
『だはー!下手に敬語使われると余計に緊張する!』
"まぁ、昔よりコミュ障改善されたんじゃない?“
『そう?もうお布団へ帰りたいんだけど…。』
"まぁまぁ、これもいい機会だと思うよ?“
『うーむ。とりあえず料理食べよう!』
"宰相に教わったとおりお淑やかに食べるんだよ。“
『はいはい。』
鈴は料理に手を伸ばし、食べ始めた。
『うん。おいしい。』
"そうだね。“
『見て!このお肉!すっごい大きいよ!これ食べよう!』
"ちゃんと切り取って食べようね。“
鈴は皿に置かれていた肉をナイフを使い一口サイズに切る。
それに合わせてサラダも手に取り手持ちの皿に盛りつけた。
『よし。盛り付け終了!』
"早く食べてよ。私にも伝わるんだから。“
『急かさない急かさない。』
鈴は肉を口に運ぶ。
肉は口の中で蕩けるように消えていった。
『!?』
"!?“
二人の感想はとてもとてもおいしいだった。
直ぐに二切れ目を食べようとしたが声がかかったのだった。
「鈴よ。ちょっとこっちにくるんだ。」
「ん~?アゼリ―」
"口調!“
『あぶね。』
「御呼びでしょうか、アゼリア王女。」
「こちらアルゼン王国の国王エリック・フレデリック王だ。鈴と話がしたいようだ。」
「こうしてみるとやはり若いな。」
「く、倉木 鈴でしゅ!…です!エリック・フレデリッタ王様!」
「緊張しているのか。まあいい。我が国にも君のような発明家がほしいよ。」
「発明家なんてそんな…エルガーさんとパーラ魔法隊長の助力も合ったおかげです。」
「そう蔑むのではない。魔導ライフルの発明は戦争、戦術に大きな変化をもたらすだろう。」
「そうですね…。戦争に大きな変化を与えるでしょう。」
"長篠の戦いでの織田信長が三段撃ちで相手の軍を破った。”
『歴史は勘弁…。』
「厄介な騎兵もこれで怖くない。アゼリア王女、これからもよろしくお願いしますぞ。」
「大丈夫だ。裏切るような真似はせんよ。」
「ところで、鈴は飲んでいるのか?」
「え?飲んでいると言われると、お酒ですか?」
「それ以外に何がある。」
「い、いえ。飲んでませんが…。」
「ならよい。そこのもの酒を持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
アゼリアが使用人の一人に酒を持ってくるように命じた。
『ちょっとやばい。断れない。』
"これは…覚悟しないと…。“
しばらくすると使用人が三人分のグラスに入った酒を持ってきた。
どうやらワインのようだ。
「では今宵の宴と硬い同盟を祝して乾杯。」
「乾杯。」
「か、乾杯…。」
アゼリアがそう言うと二人はワインを口に含んだ。
鈴も覚悟を決めてワインを飲み始めた。
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「なぁ俺たちも来てよかったのか?」
「そうだよな。俺たちただの冒険者だしな。」
「なにか…そうね。空気が合わないわね。」
三人がそんなことを話していると、隣ではアラスと飛鳥が普通に食べていた。
「この肉うめえ!」
「サラダもみずみずしくておいしいのじゃ。」
「こいつらはいつもどおりね。」
「そうだな。」
「あぁ。」
「はぁ…。もういいわ、私達も食べましょ。」
「そうするか。」
「俺も腹減ったしな。」
五人は食事を食べ始めたが、その時はまだ鈴が酒を飲んでいるなどとは思ってもいなかった。
「この肉おいしいわ。」
「そうじゃろそうじゃろ。」
飛鳥が肉を頬張って皿に更に肉を盛り付けていく。
「野菜も食べなさいよ。太るわよ。」
「む。それは嫌じゃ。野菜も食べようかのぅ。魚はないのかえ?」
「この国じゃ無理よ。」
「残念じゃ。」
飛鳥は残念そうに肉を頬張っていた。
「おいアラス、酒は飲むなよ。」
「えっ?」
「えっじゃ無いだろ。お前酒癖わるいんだよ。」
アームがアラスに注意を促す。
実際馬車でのアラスの言動と鈴とのコンボは見るに耐えないものがあった。
「うぐぅ。それを言われると…。」
「だから飲むなよ?いいか?絶対だぞ?」
「わーかってるよ。アームも食べないとなくなるぞ~。」
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『まだ大丈夫…まだいける』
“はたしていつまで持つか…。”
鈴がそんなことをリンとやり取りしているとアゼリアがこちらを向いた。
「鈴、顔が赤いぞ?もしかして、もう酔ったのか?」
「い、いいえいえ!酔ってません!まだまだいけます!」
「ほほう。だそうだ。」
「鈴殿飲み比べでもしようではないか。」
「えっ。」
「まだまだいけるんだろう?酒を持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
「私も参加するぞ!面白そうなことに参加しないとはもったいない!」
二人の王が笑ってるのを見て鈴は若干顔を引き攣らせていた。
『どうしよう。』
“どうにでもなーれ。”
リンも投げやりである。
しばらくすると先ほどより大きなグラスに注がれたワインが運ばれてきた。
『オゥ…終わった。』
“こんな時こそフラグを立ててイルミスに来てもらう。”
『そ れ だ』
しかし現実は残酷であった。
今鈴の手にはグラス一杯に注がれたワイングラスが握られている。
そして目の前の二人はそれを飲み始めているのだ。
そろそろ飲み始めないと不審に思われる。
『ええい!やけくそだ!呑んでやる!』
“呑んでも飲まれるな~。”
鈴はグイっとワインを口へ運ぶ。
ごくごくごくっとワインは勢いよく飲まれていく。
「おお、いい呑みっぷりだ!私も負けないぞ。」
「そうだな。若造にはまだまだ負けらんないからな。」
『なんか言ってるよこの人たち。』
“後には引けない戦いがあるって感じだね。”
『いや、もう限界なんですけど。』
“知ってる。”
グラス一杯のワインを飲み終えたと思った次には新しいワインが用意されていた。
もう鈴は限界だ。
「それじゃ三杯目いこうか。」
アゼリアがそういうと二人は飲み始めた。
鈴は飲むのを躊躇している。
『ここで飲んだら理性が飛ぶ!』
“うん。確実にね。”
「なぜ飲まないのだ?」
「えっ、あ、飲みます!」
「若いうちにたくさん飲んだ方がいいぞ。この年になるとつらいものがあるからな。」
ならのむなよっ!っと突っ込みを入れたかったが、一応国王なので自重することにする。
そして鈴はグラス一杯のワインを飲みきってしまった。
次第に体が熱くなり、思考もおかしくなってきた。
『うふ。うふふふふ。』
“酒だ!酒持ってこーい!”
鈴の体に酔いが完全に回り、リンまでおかしくなってしまった。
体は同じなため酔いがリンまで影響するのだ。
「アゼリア王女。鈴殿が出来上がっているぞ。」
「そうだな…それほど酒に強くなかったのかもしれないな。」
「うふふ、うふふふふ。」
「ちょっとやばそうだな」
「そうだな。おい、鈴を部屋まで連れて行ってくれないか?」
「はっ!お任せください!」
「はなせーわたしはもっとさけをのみゅんだー!」
鈴は兵士に連れて行かれ、晩餐会の会場を後にした
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「今鈴の声が聞こえた気がするんだけど…。」
「あぁ。俺もだ。しかも呂律が回ってなかったように聞こえたんだが…。」
「また飲んだのね…」
アームとアイリスはため息を吐いた。
「それにしても連れて行った兵士も不憫ねぇ。」
「鈴があれだけで治まるとは思えない。」
「おそらくまた戻って来るだろうな。」
「私もそう思うわ。」
またしても二人はため息を吐いた。
一方イルミスはと言うと、昼間の射撃の事で話をしていた。
「昼間の射撃は見事な物でした。まるで撃ち方を知っているような動きでしたね。」
「いえ、そんなことはありませんよ。初めて撃ちましたよ。」
「それに…あなた普通の招待客ではないでしょう。歩き方からして違う。さしずめ冒険者っと言った所でしょう。」
「さすが兵士長様と言った所でしょうか。私はBランクの冒険者です。本日魔導ライフルの発表をするために呼ばれた身です。」
「その若さでBか。優秀な人材がおおいな。」
「しかし、Aには届きませんよ。なにせ達成条件がドラゴン討伐だなんて普通の人間には無理があります。」
「しかし特殊な人間以外でも前例はあるみたいですよ?」
「そうですね。ちなみにそちらの軍ではドラゴンは何人で討伐するので?」
「大体一個小隊ですかね。兵士一人でも貴重な人材です。念には念を入れ討伐に臨みます。それに対ドラゴン用バリスタがあるので。」
「そんなものが配備されているのですか。初耳ですね。」
「ただ一発撃つのに時間が掛かるのが難点ですが。そこは魔法使いや剣士に守ってもらいます。」
「実は最近私、ドラゴンの討伐に参加したことがありましてね。」
「最近といいますと…あのドラゴンの無差別攻撃があった事件ですね?」
「そうですね。そこでAランクの冒険者と共闘を組みまして撃破することができたんですよ。いやぁ、Aランクは物凄いですよ。剣でシールドと鱗を叩き割るなんてことをしますからね。」
「さすがにそれはうちの兵士でも無理ですよ。さて、有意義な時間をどうもありがとう。私は他にも回らなくてはならないので。」
「ええ。こちらこそありがとう。また縁があったら会いましょう。」
「それでは失礼します。」
「………敬語はつかれるな。端の席で料理でも食べておくか。」
そういうとイルミスは場所の移動を始めた。
その途中なにやら鈴の声が聞こえた気がしたが、聞かなかったことにした。
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「はーなーせー!」
「あと少しでお部屋ですので、ご辛抱ください。」
「いーやー!」
『リーン!』
“ふふふふふ…。”
兵士は突然静かになった鈴に目を向けると、悪寒が体を襲った。
ここにいたらやばい。ヤラレルっと。
兵士はすぐに手を放すが逆に手をつかまれてしまった。
「なっ!」
「スズをいじめた子にはお仕置きをしないとね~。ふふふふふ。」
兵士を押し倒すと、その上に跨り腕を足で踏みつけ拘束する。
そして鎧の留め具を一個ずつ外していくリン。
兵士は抵抗をするが、リンの力の前では無力だった。
リンはそのまま兵士の上半身を脱がすと、舌を這わせる。
「っん。ふふふ。」
「やめてください!鈴様!」
「そんなこと言っても体は正直なもの。それに私はリンだよ。ふふふ。」
さらにエスカレートしようとするとリンにスズから声がかかった。
"リ~ン。そんな汚いの舐めてぇないでしゃっしゃひょもどりょうよー”
『うんあ。そうだねぇもどろっかあ』
リンは兵士から降りるとふらふらしながら晩餐会の会場まで戻っていった。
「い、いったい何だったんだ……貞操の危機を感じたぜ…。」
兵士は外された鎧を付け直していたのであった。




