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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
ルーツ国の披露宴
79/217

披露宴


「で、評価はどうだ?」

「以前よりだいぶ良くなっています。あと少し改良の余地があるかと思われます。例えば銃身にマズルブレーキをつければ反動を横に逃がせるので兵士にかかる負担が軽減できます。」

「だそうだ。エルガー。」

「はっ。その部分ですが、銃身の交換で対応しようかと思っております。試作品はこれから作ろうかと。今回の魔導ライフルは弾薬が六発増え四十二発に。後オプションで短剣が着けれるようになっています。」

「そうか。早めに取り掛かるように。パーラ魔法隊長、魔力はどれくらい持つ?」

「魔力供給なしで三百は保障できます。」

「そうか。これを専門のライフル部隊に装備させることにした。予備のマガジンを六つ持たせる。これで安定して戦えるだろう。その部隊には鎧は着せない。その分機動力と携帯性を持たせる予定だ。」

「なるほど。基本的に遠距離タイプだからあたりに気をつけていれば斬られるおそれもない。それに弓より射程はある。弾は…四十二の七だから…二百九十四発か、それだけ持っていれば無駄撃ちしない限り大丈夫なはず。」

「訓練もさせている。明日の披露宴で部隊は紹介しよう。それで…だ。鈴に頼みたいことがある。」

「何でしょうか。」

「武器の発案者として演説をしてもらいたい。」


鈴はイルミスの方を青い顔で助けを求めた。

しかし現実は非常だった。


イルミスは親指を立ててグッとしていた。


「…オゥ…。」

『こんなコミュ障に何をしゃべれと!ちょ、無理!リンよろしく!』

"やだ。“

『ひどい!』

「どうした?」

「あ、い、いえ問題ありません。あはは…。」

「そう言ってくれると信じてたぞ。では一から考えるのは難しかろう。宰相、手伝ってやれ。」

「分かりました。」

『ひぃ!逃げれない!』

"観念するんだね~。“

『くっ。覚えてろよ~』

"や~だよ。“


スズが脳内でリンと会話をしていると宰相が話しかけてきた。


「開催は明日です。急いで作りましょう。こちらにいらしてください。」

「は、はい…。」


そう言うと鈴は宰相に連れてかれてしまった。


「で、だ。イルミスたち一人増えてるだろう?紹介してくれないか?」

「はっ。飛鳥。」

「御衣。妾はアルスター・飛鳥・ステイルと申すものじゃ。アルニカからやってきた冒険者じゃ。」

「アルニカか。まだあそことは国交をできていないな。今度大使でも派遣してみるか。ところでなんと呼べばいい?」

「飛鳥とお呼びください。」

「そうか、飛鳥よ。パーティは楽しいか?」

「はい。いろいろ刺激のあるパーティゆえ毎日が飽きませぬ。」


それを聞くやいなやアゼリアは笑顔になった。


「そうか!それは良いことだ。私の話はこれで終わりだ。明日についての細かい説明は底にいるパーラ魔法隊長から聞いてくれ。パーラ魔法隊長、部屋への案内と説明を頼んだぞ。」

「はっ。直ちに。イルミス様方こちらへどうぞ。」


そう言うとイルミス達を客室へ案内し始めた。


「……よし、口うるさい宰相も居ない。寝るとするか!」


そこにエルガーが話しかけた。


「じゃ、俺はまた魔導ライフルの改良に戻りますよ。」

「おう。行って来い。…やはりこのしゃべり方のほうが楽でいい。そうは思わないか?近衛騎士団隊長ルーカス。」

「王女様。どこで誰に聞かれてるかわからないので寝るときまで威厳を保ってください。」

「なんだよー釣れないな。」



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



宰相の部屋。


「違いますよ。ここはこう言うふうにですな…。」

「…はい。」

『国語とか作文とかすっごい苦手!』

"知ってる。“

『代わりにやってくれないかなーって?』

"ヤダ。“

「聞いていますかな!」

「は、はいいい!」

「今夜はこれが終わるまで寝かせませんよ!」

「そ、そんなー。」


鈴は国語が苦手である。

特に古文や作文が大の苦手だ。


「違う違う。そこはこの言い回しがいいぞ。」

「…はい。」


鈴の表情は既に諦めに入っている。

まさか異世界に来てまでも書くとは思いもしなかったのだ。


『辞めたい…。』

"頑張れ“



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



イルミス達はパーラに連れられ城の部屋に通された。

もちろん男女別である。


「ここも…!男女別…!」

「あ、アラスさん?」

「いや、ほっといてくれて構わない。いつもの発作だ。」

「…そうですか。」

「ほら、アラス部屋に入るぞ。」


アームがアラスを引っ張りながら部屋に入っていく。

その時に俺のハーレムがなどと言っていたが、全員それを聞かなかったことにした。


「で、ではこちらが女性の部屋になります。」

「はい。」

「鈴さんはおそらく戻ってこないと思います。」

「どういうことじゃ?」

「宰相さん。フラッドは完璧主義者なので王女様も苦労したんですよ。」


アイリスはアゼリアが苦労しているところを想像して、それを鈴に置き換えた。


「…王女様より頭悪いからなぁ。」

「残念じゃ。鈴がんばれ。」

「それでは私は責務に戻らせてもらいます。」

「はい。」


そういうとパーラは廊下を歩いて行った。


「私達も入りましょうね。」

「そうじゃな。…鈴には悪いが。」



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「マズルブレーキったか?この部分か。」


エルガーは設計図を見て呟いた。


「とりあえずマズルブレーキ作りから始めないとな。」


そう言うと早速作業にとりかかる。


「おい。だれでもいいから鉄溶かしておいてくれ。」

「了解っす!」


マズルブレーキに使う鉄はその辺に落ちていた金属の塊から型を取ることにした。

まず円柱の形にし、真ん中に穴を開ける。

そしてサイドにも縦穴を開ける。


ここまでの工程で三時間は費やした。


「よし、こんなもんだろう。」

「鉄溶けてますよ。」

「おうよ。」


マズルブレーキとバレルを同時に作成する。


「こんな感じか?」


試しにバレルの中に銃弾を落としてみる。

銃弾はすんなりと床に落ちた。


「一応大丈夫か?テストしてみるか。」


新しいバレルにライフリングを施し、工房裏にあるテスト場にでた。

そこに使い古された鎧を置かせるとそれに向かってアイアンサイトで狙いを定めた。


パンっと言う音とともに銃弾が発射され鎧に穴が開いた。


「反動が少し軽くなったな。どれマズルブレーキは…少し擦れた後があるな。修正だな。」


そう言うと新しいのを作り始めたのであった。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


翌朝イルミス達が目を覚ますとタイミングをよんだのかと疑いたくなるようにノックの音がした。


「は~い。どなたかな~。」


アラスが何故か妙にテンション高く対応する。


「失礼します。今日のお召し物でございます。」

「お。ありがとさん!ねぇ君これから時間ある?」

「失礼ですが私はこの後も披露宴の準備があるため…。」

「釣れないなぁ。すこしだげ!」

「すまん。うちの馬鹿が邪魔した。仕事に戻ってくれ。」

「はい。」


そう言うと使用人は出て行った。


「アームひどいぜ…。腹パンは勘弁してくれ…。」


イルミスはアラスが抱えていた服を受け取ると、広げてみる。

それはフォーマルな服だった。


「…これを着ろと言うのか。」

「一応披露宴だから形だけでもって事かもな。」

「ナンパするぞー!」


そして腹パン。


三人は着替えると隣のアイリス達がいる部屋へ移動する。

そして扉をノックする。


「アイリス起きてるか?」

「ちょっと今あけないで!今着替えてる。」

「ちょ、あけさせ―ぐへえ。」


本日三度目の腹パンである。


「いいわよ。」

「あけるぞ。」


イルミス達は扉を開けると、綺麗なドレスに身を包んだアイリスと飛鳥がいた。


「うっ…うっひょおおお!かわいい!」

「アラスうるさいわよ。」

「このひらひらなんじゃ?」

「あ、それ引っ張らないの!」

「な、なんじゃ!」

「あ、ここちゃんと留めて!」

「うがー!」

「微笑ましいな!なぁアーム。」

「あ、あぁ、そうだな。」

「なんだよなんだよ。興味なさそうだな。イルミスはどうよ。」

「そうだな。」

「お前ら…まさか男色!?」

「何をどうしたらそうなるんだ。」

「まったくだ。」



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「あーぁーあー。」

「よし。これで完璧ですぞ。鈴様。」

「これで…寝れる…。」

「何を言っておられる。これから披露宴ですぞ。」

「なん…だと?う…う…うへええええええええ!やってやるぞおおおお!」

「そのいきです!」

「わははははは!」

"眠気でついに壊れたか…。“


宰相は鈴が高い笑いしているとクローゼットからドレスを二着出してきた。


「どちらが似合うか…髪色が黒だから…紫で行くか。鈴様こちらのドレスを来てください。」

「いいぞいいぞ!」


鈴は調子に乗って宰相がいるにもかかわらず服を脱ぎだそうとしたため、宰相は大急ぎで部屋の外へと出て行った。


"もうちょっとデリカシーを持ちなよ。“

『フハハハ!今の私に怖いものなどなーい!』

"駄目だこいつ早く寝かさないと。“


鈴はドレスに着替えると外に言った宰相を呼び戻した。

そして鈴は宰相と共に披露宴の会場へと向かったのである。


会場には既に同盟国の重鎮達が集まっておりルーツ国の貴族も混じっている。


そして披露宴開始の合図が鳴らされた。


「本日の披露宴に来てくださった皆様に感謝を。これから新兵器の披露宴を始めることを宣言します。」


宰相は鈴と同じく寝ていないのに堂々としている。

これが年の功、いや経験の違いだろう。


会場からは拍手が送られ、宰相は軽く会釈する。

そしてアゼリアの演説から始まり、次に兵士長。

鈴の番は三番目だ。


鈴は長ったらしい徹夜で作った文章を読み上げ、本題に入った。


「…本日同盟国の皆様にお越しいただいたのはルーツ国が誇る新兵器のお披露目でございます。」


鈴はそういうと、体格に似合わない正装をしたエルガーから魔導ライフルを受けとった。

その魔導ライフルには鈴が指摘したマズルブレーキが付けられていた。

仕事が早いエルガーである。


「これが私の発案した新兵器でございます。」


会場がざわざわと騒めく。


「あれは何だ?木と鉄のようだが…杖か何かか?それにしては歪だな。」


鈴の耳にそういった言葉が聞こえてきた。


「いいえ。これは杖でも剣でも弓でもありません。銃と呼ばれる兵器になります。ではここで一度見てもらいましょう。」


そういうと後ろに並んでいた部隊の一人が鈴の横まで歩いてきた。鈴は兵士の斜め後ろに立つと兵士にこっそり耳打ちをした。


「予定通りにね。」

「わかりました。」


兵士の向いている先には鎧が並べられて行き、計五体の鎧が並べられた。


「撃ちます。少し大きな音が出るのでご注意下さい。…撃ち方よーい!……撃ち方始め!」


兵士は魔導ライフルの引き金を引いた。

パパパンという三点バーストが鎧に当たり貫通していく。それを計五体の鎧に素早く打ち込んでいく。


「撃ち方止め!」


二十メートルほどの距離だったためブレは少なく、ほぼ鎧の中央に命中していた。

端で待機していた一般兵士がその鎧を持ち上げ客席へと持っていく。

客席ではこのような反応がなされた。


「鉄の鎧に穴が…!これでは着込んでいる兵士が致命傷ではないか!」

「見ろ。ここに何かが突き刺さっているぞ。これは鉄の塊か?」

「一人の兵士だけであんなに早く倒せるというのか?これは戦争が、戦術が変わるぞ!」

「強いのはいいが、少し音が大きいな。隠密性に欠けるが…これは集団戦で使えそうだな。」


「はい!皆様今見てもらった通り、この銃は相手に近寄ることもなく易々と相手の鎧を貫くことができます。もちろん弓と同じく限りがありますが、このマガジンというものを兵士に六つ携帯させております。一マガジン四十二発、弾数は合計二百九十四発撃てることができます。」


鈴が話している間に兵士たちは鎧の後片付けをしていた。

そして銃を撃った兵士も後ろへ下がり持ち場へ戻っていた。


「ここまでで何か質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。」


一人客席から手が挙がった。


「私はヨアン・ラインと言うものだ。その武器の射程を聞きたい。」


その人物は立ち上がり質問をした。


「はい。有効射程は風の影響を受けますが、五百メートルと言ったところでしょうか。」

「五百!弓より圧倒的じゃないか!」

「しかし有効射程ぎりぎりで撃とうとしても鎧を貫通できない可能性があるのでご注意を。


「なぜだ?」

「運動エネルギーと言うものがあります。弾丸が銃がから撃ちだされると、空気抵抗や重力に従って徐々にエネルギーが減衰していきます。その為、鎧を貫通させるには射程三百メートルは欲しいでしょう。」

「ところどころわからない点があるが、三百と言う時点で圧倒的だな。」


そういうと席に座ったのだった。


「ほかに質問がある方は。」

「それでは私が聞こうか。」


その人物は同盟国の兵士長であるヘンリー・ヴァーダ。


「はい。何でしょうか。」

「その武器はどうやって狙いを定める?」

「それはこの先端についているものと後ろについている突起を相手に合わせるだけです。」

「ふむ。しかし、それだけで三百メートル先を狙うのは困難じゃないか?」

「たしかにそうです。射程が長くなるほど、外れる可能性は高くなりますが、複数人数で打てば面で制圧できるのでよろしいかと思います。」

「そうか。鎧を着こんでいないものであれば五百でも倒せるのだな?」

「はい。例えば騎兵などの馬でしょうか。」

「騎兵は厄介だ。それを対処できるのであればいいな。最後に一つよろしいか?


「はい。」

「製造方法は開示されるのか?」

「残念ながら開示されません。輸出と言う形になります。ただ、弾丸に関しては開示されます。」

「そうか。本体は残念だが、弾丸が作れれば何とかなるか。」


それを最後に席に座った。


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



「ああ!思い出したわ。ラインってルーツ国の貴族の家名じゃない。」

「そうなのかえ?」

「ええ。たしか戦術に長けていたと思うわ。」

「ふむ…。それにしても鈴頑張っておるな。最初あった時は夜須と同じ気配を感じていたが、皆の前で喋れてるじゃないか。」

「それはたぶん寝てないからだと思うわ。」

「それも一理あるな。」

「きっとこれが終わったらすぐ寝るぞ。」

「そんなことより俺は退屈だー。食い物ないのかー。」

「アラスうるさいわよ。姿勢もきちんとしなさい!」

「アイリスちゃんがそういうなら!」


シャキーンと姿勢を正すアラス。

なんともちょろいのであろうか。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「では続けさせていただきます。この銃の名称は魔導ライフルと言います。その名のとおり魔力を使って金属の弾丸を撃ちだしています。ここに魔石が埋め込まれているのが見えるでしょうか。ここから魔力を供給して撃ちだしています。もちろん本人が供給して撃ちだすこともできます。」


そういうと鈴は魔導ライフルの魔石を指差した。


「魔石はだいたい三百発までなら魔力供給がなくても撃つことができ、兵士の持っている予備マガジンぎりぎりです。この後試射ができるので、その時に魔導ライフルを体験していただければと思っております。



鈴は一礼すると後ろに下がっていった。


「発案者の倉木 鈴様の演説でした。次に戦術長の演説になります。」


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*



鈴は裏に入るとどっと疲れた表情を浮かべた。


「眠い…疲れた…お腹へった…。」

"あらさっきまでの威勢はどこへやら“

「鈴様、次は夜の予定があります。それまでにお食事と睡眠を済ませておいてください。食堂に朝食を用意させております。どうぞそちらへ。」

「よし!ごはん!いってきまーす!」

「こら!ドレス着たまま走るでない!」


鈴は早速食堂へ向かったのであった。



徹夜するとテンションがおかしなことになりますよね。


金属の造形とかわからないのでかなり適当です。

そこは…ね?


8/13 場面の区切りを入れてみました。

わかりやすくなったでしょうか…。

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