ビリビリ
「たっだいまー!」
「おかえりじゃ。」
「結局何があったの?」
「ん~?お馬鹿な冒険者が俺たちも半額にしろって脅しかけてた。」
「で?」
「伸してやった。」
「さすが鈴どのじゃ。」
「相手が可愛そうね。どうせ何もさせずに終わらせたんでしょ?」
「もちろん!」
アイリスは鈴のチートな能力の目の前で葬られた、いや倒された冒険者がほんの少しだけ同情をした。
「相手はね~剣士二人と魔法使い一人だったよ。」
「ほう。それでどうやったのじゃ?」
「M18スモークグレネード…とりあえず煙がすごく出る筒なんだけど、それで視野を奪ってサーマルゴーグル…ん~人間の体温を見ることができるメガネかな~。」
「メガネとはなんじゃ?」
「あー。それもないのか。ん~。目につける物って感じなんだけど、それを使って煙の中から敵を探しだして蹴飛ばしたり背負投したりして撃破しました!」
「ほう。面白い道具もあるのじゃな。」
「でね、その後一人目を覚ましちゃったからテーザー銃で動けなくしたのだ!」
「それは非殺傷用の銃なのかえ?」
「うん。受けてみる?」
「どれ、人生ものは体験じゃ!ババーンとくるのじゃ!」
「よーし、行くよ~テーザー銃創造。」
鈴は飛鳥めがけてテーザー銃の引き金を引いた。
針が刺さり、そこから電気が流れる。
「あばばばばばばば!」
テーザー銃は鍛えぬかれた軍人でさえ立つことも耐えることもできない物だ。
鍛えているとはいえ電撃を受けた飛鳥は当然倒れる。
「ビ、ビリビリするのじゃぁ…。」
「アイリス、治療してあげて。」
鈴はテーザー銃を消すとアイリスに依頼した。
アイリスはやれやれと言った表情で飛鳥に治癒魔法をかけるのであった。
「そんな感じに無効化したの。」
「そ、そうじゃな…これは効くのじゃ…。」
「飛鳥今後悔してるわね?」
「う、うむ。思った以上に痛かったのじゃ。」
「鍛えてる軍人だって倒せるんだからね」
鈴はそう言うとテーザー銃を消す。
「鈴の非殺傷兵器の一つね。後ゴム弾?だったかしら。」
「そうそう。それも結構痛いよ。」
「鈴の世界は意外と物騒な物が多いのじゃな…。」
「少なくとも私の国では銃の携帯、購入は禁止だったからね。ほかの国は購入、携帯おっけーな所もあったけど。」
「ふむ。鈴の国は安全な国なのじゃな。」
「安全なくせに軍事力はかなり高いんだけどね。」
「ほほう。それは面白そうな国じゃな。」
「あー。そういえば護衛艦ながとのEF改修どうなったんだろう。」
「なんじゃ?そのごえいかんながととは?」
「海に浮かぶ鉄の船なんだけどね、昔の大戦で旗艦を務めた長門の名前を取った船なの。ちなみに風がなくても動くよ。」
「一度鈴の世界を見てみたいものじゃな。」
「本当ね。新しい魔法のアイデアが思いつきそうだわ。」
実際思いついている人物がいるのでアイリスも同じところへ行き着くだろう。
翌朝
「起きなさい!」
「後一時間…。」
「後二時間じゃ…。」
またこのパターンでアイリスは飽々している。
アイリスはまず飛鳥から起こすことにした。
耳元であのワードを口にする。
「嫌じゃあああああああ…あ?」
「よし、後一人ね。」
かと言って毎度のことながら水の魔法を使うのはめんどくさい。
そこで鈴の鼻をつまむ。
「ふが…ふ……ふは…息苦しい!」
「起きたわね。」
「もう少し優しく起こしてくれてもいいのよ?」
「そうじゃそうじゃ。」
「それであなた達が起きるかしら?」
「それはねぇ…。」
「のぅ…。」
「これからもこの方法で行くわ。」
「鬼や…鬼がおる。」
「キャーコワイ。」
「……<水よ。敵を撃て。ウォーターバレット。>」
「うわ!」
「のわあ!」
アイリスが突如発動した魔法に鈴と飛鳥は何とかそれを回避する。
どうやら小言がアイリスに聞こえていたようだ。
「次は燃やすわよ。」
「イエスマム!」
「了解じゃ!」
「それでいいのよ。」
「で、隣の部屋からすごい声が聞こえてくるわけだが。」
「どうせ鈴と飛鳥が問題を起こしたのだろう。」
「俺なら優しく起こしてやるのになー。」
「お前の場合は危ないからダメだ。」
「お、俺は紳士だぞ!そんな淫らな行為はしないぜ!」
「誰もそこまで言ってないのだが…。」
「とりあえず、馬車に戻ろうか。」
「ああ、そうだな。」
「はいはい。」
イルミス達は部屋から出ると鈴達がいる部屋の扉をノックした。
「そろそろ行くぞ。」
「ちょっと待って。ほらふたりとも行くわよ。」
「イエッサー。」
「了解じゃ。」
「おまたせ。」
「それじゃ、馬車へ行こう。」
受付に部屋の鍵を返そうとすると先客がいた。
「あ!おはよー!おねえちゃん!」
「ん?あ、おはよー!」
「きのうはありがとうございました!」
「別にいいんだよー。」
「鍵を確かに返却を確認しました。ご利用ありがとうございました。」
「はい。あ、先日はありがとうございました。」
「鈴何かしたのか?」
「ん?昨日馬鹿三人組が問題起こしてたから片付けただけですよ。」
「そんなことが合ったのか。」
「そういえば昨日騒がしかったな。それのことか。」
イルミスは話に参加しつつ、受付に自分たちの部屋とアイリス達の部屋の鍵を返却していた。
「そういえば名前聞いてませんでした。」
「私はプリム。プリム・ラインです。この子はライアン・ラインといいます。」
「よろしくねー!」
「うん。よろしく!プリムさんもよろしくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。」
「(ライン…?どこかで聞いたことがある家名ね。どこだったかしら。)」
八人は宿を出ると馬車へ向かった。
いつもどおりの二番目の馬車だ。
「ルーツ国まで後二日でしたっけ?」
「そうだ。」
「それまで暇ですね~。」
「何かやることはないのか?」
「やること…皆みたいに魔力も無いし、磨く剣も槍もないし…。」
「じゃあさ!俺と大人の遊びしようぜ!」
「うーん。どうしようかなぁ。」
「俺のを磨いてくれてもいいんだぜ?」
「やっぱり寝るかなぁ。」
「照れるなって最初は―ぐふぅ!」
「アラスうるさい!」
「――でのぅ。」
「なんで私はこの空間にいるんでしょうか。」
「なぜじゃと?妾が暇だからじゃ。分霊と言えど自我はあるのじゃ。ちなみにリン殿は出ない時以外ここにおるのじゃ。」
「それなんて拷問?」
「失礼なやつじゃな。妾は話し相手を探しておるだけじゃ。」
「たまに模擬戦して死んでるよ。」
「わはははは!妾には勝てないのじゃ!」
「こいつら…。」
「さて、休んだしもう一戦やるかのぅ。」
「こんどは負けないよ。」
模擬戦で死ぬとは模擬戦と言うのだろうか。
スズはそんな二人を生暖かい目で見ながら横になった。
「あー、ここにつまみがあれば最高なんだけどなぁ。」
スズは横になりながら模擬戦と言うなの殺し合いを見ていた。
「ふぁぁぁ。」
スズが一瞬あくびで目をそらした途端腹部に強烈な痛みが走った。
「ぐぇ!」
飛んできたものはリンだった。
スズが悶えているうちに復帰していく。
「うぉぉぉぉ…おのれ…リン…!」
鈴が寝ている間、イルミス達はプリム達と世間話をしていた。
「今回はルーツ国へ旅行に?」
「いえ。帰国ですね。」
「そうなんですか。ルーツ国では楽しめないものも沢山ありますからね。」
「おすすめは魚介類の料理じゃ!」
「食べました。美味しかったです。」
「そうじゃろ~新鮮な魚は美味しいのじゃ。」
「あのね!さしみっていうのがおいしかった!」
「あれは確かに美味しいな。」
「鈴いわく、醤油をかけるともっと美味しいらしいですよ。」
アイリスが鈴が醤油をかけていたのを思い出していたのだった。
張本人は隣で爆睡しているのだが。
「そうなんですか、今度行った時試してみますね。」
「おさかなおいしい!」
他愛もない会話が続く。
一人の負傷者と一人の爆睡しているものを除く。
馬車は途中の村を過ぎ、どんどんルーツ国へ向かっていく。
何度か森の中を通ったが魔物や盗賊に襲われずに通り過ぎることができた。
遅れていた到着時刻もお陰で取り戻す事ができ今夜止まる街が見えくる。
しかし何やら門前でトラブルが起きているらしく、馬車が何台も立ち往生していた。
「なんだあれ。」
「ん?どうかしたのか?」
「いえ、今日の宿泊先の街なんですが、門前でトラブルが起きているようで。はい。」
「鈴を起こせ。ついでにリンに変わってもらえ。」
「了解。<水よ。―>」
「はい起きた!今起きた!リン?リンね?おーけー。」
スズとリンが入れ替わる。
「せっかくいいところだったのに。でなにさ?」
「リン。あの覗く奴出してくれ。」
「覗く奴?ああ、双眼鏡か。はい。」
「ありがとう。」
イルミスは双眼鏡を手に門前を覗いてみる。
するとそこには商人らしい男と兵士が何か言い合っている様子が見て取れる。
「あー。またトラブルみたいだな。今度は商人と兵士だ。」
「この間みたいに制圧はできそうにないね。」
「そうだな、商人ではそれはできそうにない。」
「ゆっくり待つしか無いわね。」
待ち始めて十分。
「まだ続いてるな。」
三十分。
「人が増えてるな…。」
一時間。
「なんか喧嘩してるな…。」
「あ、スズに変わる。」
そう言うと突然リンがスズに交代する。
「ぷはー!あんの狐今度こそ倒す!」
「なにしてたのよ。」
「暇だからって玉藻の分霊と模擬戦してた。」
「もしかしてそのお守りってそんなものまで付加されてるの?」
「うん。分霊のくせに悪意遮断結界使ってくるし、銃を素手でへし折られるし。」
「玉藻はそんなにつよいのかのぅ?」
「強いってもんじゃないよ。本体は二十倍強いって言ってる。ついでに六回殺られた。」
「殺られたってそんなホイホイ死ねるものなのかえ?」
「なんか死んでも大丈夫な空間になってる。」
「精神体だから物理的な死は無いのかしらね。」
「詳しいことはわからないよ。それより馬車動いてないけど、どうしたの?」
「鈴、これを見てみろ。」
「双眼鏡?リンが出したんですね。どれどれ…。」
「門前だ。見てみろ。」
「ん~?なにあれ大乱闘になってる。兵士も続々と集まって…。」
門前ではしびれを切らした後ろに続く商人や一般人などが最初は口喧嘩だったが、次第にエスカレートし殴り合いの喧嘩に発展したのだ。
元凶の商人が狙われるのではなく集まった人がバラバラに殴りかかっている。
兵士も止めに入るが、剣を抜くわけには行かずに手で抑えようとし、掴んだそばからこれを好機と掴まれた人が殴られるしまつ。
それを見た兵士が二人を抑えようとするがイタチごっこになっている。
「ダメだあいつら早く何とかしないと。」
鈴は呆れ顔で双眼鏡下ろす。
「あれ時間かかりますよ。」
「そうみたいだな。」
「めんどくさいので全員気絶させちゃうとか!」
「駄目だ。兵士が混じってる。」
「めんどくさいですね…。」
結局門前の騒動が解決したのはそれから一時間後だ。
さらにその影響もあり、街へ入る時間も大幅に遅れた。
結局三時間ほどかかってしまった。
「宿に行こう。」
「ああ、そうだな。」
「何もしてないのに疲れた感じね。」
「これをお持ちください。」
「ありがとう。」
イルミスはリドー馬車店の証明書を受け取ると、加盟店の宿へと向かう。
宿は馬車から近い位置にあり、外装は立派な宿だ。
中に入ってみると内装も立派であった。
「いらっしゃいませ。」
「ここはリドー馬車店の加盟店か?」
「はい。証明証があれば半額でお泊りになれます。」
「よし。これで頼む。」
「はい。リドー馬車店の証明書ですね。半額の二銀貨になります。」
「二銀貨か、皆出してくれ。」
「はい。」
四人はイルミスに金を渡す。
アラスは相変わらず収入が無いためイルミスが立て替えている。
計十二銀貨を手渡す。
「確かに。六人分十二銀貨頂きました。三人部屋が用意できますがそちらにしますか?」
「それで頼む。」
「かしこまりました。鍵はこちらになります。」
受付から二つの鍵が手渡される。
「これが鍵だ。アイリスに渡しておくぞ。」
「ええ。わかったわ。」
「ちぇー。また俺は男だらけの部屋か~。」
「当たり前だろ。」
相変わらずのアラスである。
「さて、部屋行きましょ。」
「おー。」
「うむ。」
アイリス達は鍵に書かれている部屋番号の部屋を目指して歩いて行った。
「あぁ~俺のハーレムがぁ~。」
「俺たちも行くぞ。」
イルミス達も部屋に向かうのであった。
馬車パートは後1回です。
これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。
何か有りましたらご連絡ください。




