暴漢撃退
馬車は定刻通り進みルーツ国の国境線を超えた。
心配であった盗賊の襲撃は無く、暇なぐらいだった。
実際馬車の中は暇である。
「よーし!みんなでしりとりしよう!」
「なにそれ。」
「何だそれは。」
「おねえちゃんなにそれ?」
「最初はしりとりのりから始まる言葉を言ってくの。要は言葉の最後の単語を次の最初の単語にするの。それの繰り返しだよ。」
「だいたい分かった。」
「それじゃ、始めよ!しりとり!」
しかし、しりとりはそう長く続かなかった。
なぜなら鈴はこの世界のことをあまり知らないからだ。
鈴の知識は銃と元いた世界の知識とほんの少しの異世界知識。
それ故にすぐに詰んでしまった。
「ぐぬぬ…!」
「ほらどうしたの?まだ三週しかしてないわよ?」
「これは鈴にとってはダメなゲームだったな。」
「世界の壁がこんなにも厚いなんて…!ゲームすらできない…!」
この後鈴が降参し、ゲームが終わってしまった。
また暇になった者達はうたた寝や外を見たりとしていた。
「暇だ。」
「暇じゃ…。」
「暇ね。」
「じゃぁ!俺とゲームでもしようぜ!」
「おっと刀を磨かなくてはのう。」
「私も杖の汚れ落とさないと。」
「ゲーム!何するの!」
「ふふ。決まってるだろ。負けたほうが脱ぐ!」
「将来ああいう大人になっちゃダメだぞ。」
「うん!ああいうおとなにならないよ!」
「よしよしいいこいいこ。」
「えへへ。」
「アラス。きちんと任務こなして金返せよ。」
「くっ…どこで間違えた!俺の誘いは完璧だったはずだ!」
「お前は最初から間違ってる。」
「アームは枯れてるなぁ。いいか!人類が繁栄するにはへぶし!」
「手が滑ったわ。」
「ひどいよ、アイリスちゃん…。」
「手が滑っただけよ。それぐらい気にしないの。」
「いや、今のは滑ったというか叩いたのほうが正しい気がするんだ。」
「手が滑ったの。」
「いや…」
「手が滑ったの。」
「……はい。」
「それでいいのよ。」
それぞれがおちゃらけながら馬車に揺られていると近くの村に入っていった。
「二時間止まります。その間にお食事などを済ませてください。」
「食事ってもこんなところに食堂あるのか?」
アラスが疑問に思ったことを口にだした。
それが聞こえたのか御者が声をかけてきた。
「私達が通る村には食堂を用意させております。ぜひそこをお使いください。」
「おうよ。みんな行こうぜ!」
御者が手を向けた先には小さいながらも食堂があった。
「そうね。何もしなくてもお腹は減るのよね。」
「ごっはん!ごはん!」
六人は食堂に入ると、適当に料理を注文し今後のことを話し始めた。
「今日をいれて三日だな。それでルーツ国に到着する。開催日の一日前だ、まず王城へ行くべきだろう。一冒険者である俺たちが呼ばれたのを礼をしに行かないとな。」
「ああ、そうだな。ギルド経由で俺たちがこのことを知っていることは既に伝わっているだろうし。」
「ぶっちゃけ開発提案の鈴ちゃんが目当てなんだろうな。」
「えー。私大勢の前で喋れないよ~。」
「そこはなんとかしてくれるだろう。問題ない。」
「そうかなぁ。」
料理が運ばれてくる。
各自が自分の頼んだ料理を配膳してもらう。
「いただきまーす。」
「アラス殿料理が少ないが、お腹へってないのかのぅ?」
「いやぁ…ははは…。」
「うむ?」
食べ始めてしばらく経つと鈴が一番最初に完食をした。
「ごちそうさまでした!」
「相変わらず早いな。」
「ふふん!みんなが遅いんだよ~。」
「早食いは太るとか聞いたことがあるのじゃ。はて、どこじゃったかのぅ。」
「その分動いてるから問題なし!」
「食べた栄養はどこに行ってるのかしら。行ってたら大きくなるはずね。」
「それどういう意味で言ってる?」
「なんでもないわ。」
「それならいいよ。」
アラスは何かを言いかけたが、鈴の微笑みから鋭い殺気を感じて珍しく自粛したのだった。
「(今喋ったら殺られれる…!)」
「(珍しい。アラスがこのタイミングで喋らないだと?)」
その後昼食を終えた六人は馬車へ戻ってきた。
馬車にはすでに男の子とその母親が戻っていた。
「早いですね~。」
「私はあまり食べない方なので。」
「…そうなんですか。あはは~。」
『くっ!世の中クソだな!ちゃんと栄養価あるもの食べて、お肉も食べて!牛乳も飲んでるのに、なぜ!なぜなのおおお!』
"諦めよう?。“
『リン!あなたも私の一部なんだからもっと女として自覚を持つべき!』
"女としての自覚ねぇ…。“
『そうだよ!』
"大食い“
『うっ。』
"FPS“
『ううっ。』
"まな板“
『うううっ!』
"どこに女としての自覚があるの?“
『リ,リンなんてしらないんだから!』
「すずおねえちゃん、えがおがゆがんでるー。」
「あはは。そうかなー。」
六人が馬車に乗り込み、時間が来るとベルがなり馬車が動き始めた。
「馬車長いなぁ。」
「それだけ歩いてきたってことでしょ。」
「そうだけどさー。あー飛行機とかヘリほしいなぁ。」
「出せばいいじゃない?」
「それが無理なのよ~内部構造もわからないし、航空力学も知らないし、操縦方法も知らないからね。」
「制約が多い能力ね。」
「でも簡単なものなら出せるよ。」
「例えば?」
そう言うと鈴は人格同調を発動させ玩具を出現させる。
出したものは輪ゴムと発泡スチロール製のプロペラ飛行機だ。
このぐらいなら矛盾を出さずに想像することができる。
「こんなのとか。」
「なにこれ?」
「おねえちゃんなにそれ?」
「これはね、この先端のプロペラを回して……よし。外に飛ばすよ。後続の馬車に当たらないようにしないとね。」
そう言うと鈴は抑えていたプロペラを開放すると斜め上に向けてプロペラ飛行機を飛ばした。
「飛んでるわね。」
「わー!すごい!」
鈴は落下を始めたプロペラ飛行機を消す。
「とりまこんな感じかなぁ。まぁプロペラ飛行機なんて三百年前の物だけどね。玩具としては残ってるんだよね。」
ちなみに鈴の世界ではプロペラ飛行機はすべて退役し、ジェットエンジンに変わっている。
超音速飛行機も開発され一部の国との間で運用されている。
飛行時のソニックブームもエネルギーフィールドを発生させ中和させている。
「そうなの?鈴の世界は人が空を飛べるのよね。」
「?おねえちゃんたちなにいってるの?」
「なんでもないよ~。」
「そう?」
「うん。」
はたから見ればこんな会話をするのは頭がおかしいと思われるだろう。
この世界からしてみれば人は空をとぶことはできない。
できるのはどこぞの闇ギルドの二人だけである。
そして次の街へ着いた。
この街は中規模らしく国民や商人などがたくさんいるそうだ。
「提携している宿がございますので、こちらの羊皮紙をお見せいただければ半額になります。夕食も提供されますのでご安心ください。」
「じゃあそうするか。」
「賛成です!」
イルミス達は言われた店へ向かうことに。
鈴は道中果物などを買って食べていたのであった。
「ここだな。」
イルミス達が入ると二十代だろうか、女性が受付に立っていた。
「すまない。これで頼む。」
「リドー馬車店の証ですね。一泊三銀貨のところ一銀五百銅貨になります。」
「六人で九銀貨か。皆出してくれ。……アラスの分は出しておく。」
「さすがイルミス様ぁ!」
アラスを除く五人がお金を出すと、それを受付の女性に手渡す。
「確かに九銀貨ありますね。鍵はこちらになります。三人部屋二つです。」
「アイリス、この鍵だ。」
「わかったわ。」
「それじゃ俺は鈴ちゃんと飛鳥ちゃんと寝るぜ!イルミス鍵くれ!」
「断る。」
「そ、そんなぁ~。」
「部屋は男性女性で別れること。アイリス、鈴と飛鳥を頼んだぞ。」
「任されたわ。」
「なんのことじゃ?」
「ねー。」
「あなた達の寝坊ぐせよ!」
「いやー照れるなぁ。」
「褒めてないわよ…。」
「何しているんだ?行くぞ?」
「ほら、私まで置いて行かれたじゃない。」
「それじゃ部屋に行きますか~。」
「そうじゃな。」
「あなた達ね…。」
アイリス達も自分たちの部屋へと行くと、持ち物や武器を置いた。
「ふぅ。馬車の中でも疲れるものは疲れるわね。足腰が凝り固まってるわ。」
「あんな狭いところじゃね~。」
「そうじゃな。妾も動きたくてウズウズしていたのじゃ。」
「夕食までまだ少しあるから此処で待機ね。」
数十分部屋でのんびりしていたところ部屋の外が騒がしい。
鈴は気になって部屋の外に出て行く。
「そうやって自分から厄介事に…。」
「面白そうではないか。」
「そうそう。野次馬だよ野次馬。」
鈴は声がする受付の方に向かって歩いて行った。
その声はどうやら言い争いのようだ。
「何事かな~?ん~?」
「なぁ?なんで俺たちは半額じゃねぇんだよ。」
「で、ですからリドー馬車店の証明書が無いと半額にはできないのです!」
「あ!?俺たちゃ冒険者だぞ!こんな女子供が半額なんだァ?街の平和を守ってやってんのは俺達だぞ!ごちゃごちゃ言わずにさっさと鍵を渡せや!」
「痛い目見る前にさっさと渡しな!そこの女!証明書よこせ!」
女子供とは馬車に乗っていた母子の事である。
二人は冒険者達の激しい罵声に怯え、受付の女性も見立ては冷静を装っているが内心怯えている。
これには鈴も黙っていなかった。
「ちょっとその人達困ってるじゃん。やめてあげなよ。」
「あ?何だお前。」
「こ こ に 半額で止まってるただの冒険者だよ。」
「チッ。お前もこいつらと同じかよ。」
「そう。同じだよ。でもあなた達とは違う。そうやって受付の女性を脅し、更には何も悪くない母子まで脅して、そんな奴が半額で止まらせろ?馬鹿じゃないの?」
「なんだと…?女だからって容赦しねぇぞ!」
「何で冒険者って気障が荒いのか。いや、私がそういう人に馬鹿にしか会ってないのかな?」
「ふざけやがって!ぶっ殺してやる!」
「あれ?冒険者が人を殺していいのかな?」
三人の冒険者は二人が抜刀し、一人が杖を構えた。
どうやら魔法使いがいるようだ。
「前衛後衛バッチシだねぇ。」
鈴は手を後ろに回す。
「そこの人!兵士に通報、二人は壁際へ!」
「は、はい!」
騒ぎで鈴と同様に野次馬が居たため、その中のひとりを指名し町中の兵士を呼んで来てもらう。
鈴はその間時間稼ぎをする。
「御託はいい!殺っちまえば俺たちが正義だ!」
「それに獲物も持ってない女だ。俺たちが手こずるはずがない!」
「それはどうかなぁ?」
鈴は野次馬の一人が外に兵士を呼びに行ったのを見送ると、後ろに回していた手にM18スモークグレネードを創造し、ピンを抜いた。
それを足元に落とすと数秒後赤い煙が発生し、扉が閉まっている室内はあっという間に煙で満たされてしまった。
『リンよろしく。』
"あいよー。“
スズとリンの人格が入れ替わると、リンはサーマルゴーグルを創造し装備した。
サーマルゴーグルのお陰で煙で視界が確保しづらい状態でも相手が見えるのだ。
「一人目。」
リンは剣を構えている一人を回し蹴りで蹴り飛ばす。
「二人目。」
もう一人にそのままサマーソルトを喰らわせ、魔法使いに近づく。
「お、おい!どうなってるんだ!お前らどこいったんだ!」
「三人目。」
「おま!<炎よ―>」
「室内での火気の扱いは厳禁だよ。」
リンは男の服を掴むとそのまま背負投で相手を鎮圧した。
「M18消してっと。サーマルゴーグルはまだつけておこう。」
室内が混乱しているときリンは入り口のドアまで歩いて行くとドアを開け放った。
赤い煙が外へ排出されていく。
一分ほど経つとほとんどの煙は外に排出され、サーマルゴーグルを消した。
三人はリンの攻撃で伸びており、野次馬や受付の女性は何が起こったのかわからないでいた。
「ふぅ。」
"ご苦労さん。“
『それじゃ、引っ込むよ。』
リンとスズの人格が入れ替わりスズが表に出てきた。
「一応テーザー銃用意しておこう。」
鈴はその場で伸びている男たちが起きないか監視しつつ、脅されていた女性と子供に話しかけていた。
「大丈夫でしたか?」
「はい。何度も何度も有難うございます。」
「いえいえ。いいんですよ。」
「おねえちゃんありがと!」
「将来お母さんを守ってあげるんだよ?」
「うん!」
その時魔法使いの男が気絶から復帰してしまった。
どうやら力加減が甘かったようだ。
すぐさま鈴はテーザー銃をその男に撃ち込み引き金を引いた。
魔法使い特有の布の生地を針が貫通し、肌に刺さる。
「グアアアァァァ!」
「はいはい。寝てましょうね~。」
「糞が!ぐうああああ!」
その後兵士がやってきて軽い事情聴取をされ、暴力を働いた冒険者三名は兵士によって連行されていった。
それに伴い野次馬も解散を始め、鈴も自分の部屋に戻っていくのであった。
これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。
何か有りましたらご連絡ください。




