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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
ルーツ国の披露宴
73/217

平原にて




馬車は山沿いの道を降り始めた。

山沿いの道だけあって魔物の襲撃はまずないだろう。

なぜならこの道には木一本も生えておらず、動物や果実など有りもしないからだ。


「雨だよー。雨雨。」

「それくらいわかるわよ。」

「雨は暇なの。」

「はいはい。」


馬車は雨の影響により少しスピードを落とし運行している。

まだこの世界にはブレーキというものが無いため、坂道でスピードをあげたり、滑ってしまうと大変なことになる。


「そういえばこの先にはアシッドレックスって言う草食系の魔物がいるんだっけ。」

「そうだな。基本的に大人しい魔物だからこちらから手を出さなければ襲われない。」

「ただ、たまに手を出す馬鹿が居るんだよな~。」

「そうそう。アラスみたいに馬鹿が居るのよね。」

「何故そこで俺が出るんだ…。アイリスちゃん…。」

「アシッドレックス?なんですかその凶暴そうな名前。」

「アシッドレックスは体長四メートル程の大きさの大型の魔物だ。更に体表は刃を通さない強固な皮膚を持って鋭い牙と角が特徴的だ。さっき言っていた馬鹿なのだが、アシッドレックスの角は希少価値が高い為、たまに討伐依頼がでるんだ。その金額につられて挑んだ冒険者は太刀打ちできるはずもなくやられて帰ってくるんだ。」

「ふむ。なんか名前負けしてる気がします。」

「普通の状態わね。だけどキレると怖いのよ。まさにレックスって感じね。」

「どうやって倒すの?」

「アシッドレックスは移動速度も早いけど、そこが弱点なのよ。突進して来た所をシールドで防いでサイドから足を攻撃するのよ。ここまでテンプレね。」

「なるほど。移動するには固い体表は邪魔だから柔らかい足を狙うのか…。」

「動けなくなったら後は魔法で斬り裂いたり、燃やせばいいのよ。」

「思ったんだけどそれって一体だけの話だよね?」

「そうね。でも二匹以上相手にする奴は前例が無いからわからないわ。」

「そうだよね。そんな刃がまともに通らない魔物を同時に相手するとかないよね。」

「そろそろ草原に入るから見れるはずだが。」

「おー。見てみよう。って外雨じゃないですかー!」

「そういえばそうだったな…。」







リール国レックス平原。

そこに一人と一匹の姿があった。


その人物はローブを来ており姿が分からないが、雨で濡れたローブから男性であることがわかる。

その人物は空を移動する。

正確には従えている魔物がその人物を運んでいるのだ。


「ここだ。降りろ。」


魔物はそれに従い地上へと降りる。

そこはアシッドレックスの群れのど真ん中だった。

これにはアシッドレックスも警戒し、距離を離しつつある。


「<闇よ。魔の力を持って精神を侵食し支配せよ。マリオネットドール。>」


マリオネットドール。

それは精神を侵食し支配する闇の魔法。

その危険性から禁忌と指定されるほどだ。

自己意識が低い動物ほどこの侵食に対抗できない。

しかし、人間ほど自己意識が強い生き物には抵抗されてしまい魔法が解けてしまう恐れがあるが、これも術者の練度によりけりだ。


アシッドレックスは闇に包また数匹は数十秒のた打ち回った後何事も無かったかのように男の元へ戻る。


「支配完了。さて彼奴等はここを通るはず。その時が勝負だ。シュバルツが連敗するほど強いのか確かめてやろう。あわよくば例の女を連れて帰ろう…さあ早くこい!」







「あー馬車の中は暇だなぁ。」

「観光の時とは大違いね。」

「だって楽しみがないじゃない~。」


鈴は貧乏揺すりを始めながら外を見始めた。


「あの子だって静かに座ってるのに鈴はだらしないわよ。」

「アイリスお母さんみたいなこと言ってる~。」

「失礼ね。私はそこまで年取ってないわよ。」

「アイリス殿。ここでそれを言うのは失礼じゃ。」

「…あ、いえ、私気にしてませんから。どうぞ話しててください。」

「あ~あ。アイリスいけないんだー。」

「こ、こいつ…。」

「大丈夫!俺だけはいつでも味方だぜ!」

「なんでだろう。」

「アラス殿が言うと」

「すっごく嫌ね。」

「連携…だと?」

「おねえちゃんたちおもしろーい!」

「こら!静かにしなさい!」

「ごめんなさい…。」

『なんか罪悪感が…。』

"そう思ってるなら謝れば?“


鈴はチラっと視線をアイリス達に向けると、鈴と同じく目が泳いでいる。


「い、いえ!別に大丈夫ですから!」


その後気まずい雰囲気が馬車の中に流れたのだった。





その後馬車はレックス平原へと入っていった。

山道ほど馬車は揺れず、雨風も弱くなっている。


「やっと山抜けた~。でも平原はどこまで行っても平原しか見えない…。」

「でも雨は弱くなってるわよ。」

「でもまだ降ってるでしょ。ねー晴れにする魔法とか無いの?」

「そんな便利な魔法があったらいいわね。」

「ないのかー。飛鳥~あの雨雲斬り裂く剣術ないの?」

「そんなものは無いのじゃ…。」

「うーん。無いのかー。」

"ミサイルで雲吹き飛ばせばいいんじゃない?“

『そ れ だ。』

"いや、駄目だからね?“

『ちくしょー。』


それから暫くすると、雨は完全に止み雲の隙間から太陽が顔を出してきた。


「晴れたー!これで馬車も速度上がるぞー!」

「大声出さない!静かにしなさい!」

「はーい。お母さん。」

「鈴~?あとで燃やされたいのかしら~?」

「アイリス様!なんでございましょうか!」

「あんたね…。」


鈴はおちゃらけながらも馬車の中で楽しんでいた。

やがて馬車群はレックス平原の中央当たりまで来ていた。

日は沈みかけている。


ここで馬車に乗っていた冒険者達が異変に気がついた。


「何だあれは。」

「あれは…アシッドレックス?」

「なんでこっちに走って…様子がおかしいぞ?」

「……やばい!彼奴等こっちを狙ってやがる!鐘を鳴らせ!」


護衛契約をしている冒険者は馬車に取り付けられた鐘に向かってハンマーを何度も叩きつけた。


カンカンカンっと音が馬車全体に鳴り響く。それに伴って馬車が止まり護衛冒険者が馬車から素早く下り陣形を整えた。


鈴達にも鐘の音は聞こえており、何かあったのか気になった。

それと同時に馬車も止まってしまった。


「何々何かあったの?」

「ちょっとまて。」


アームはそう言うと馬車の外に顔を出した。

左、右と確認するとそこにはこちらに一直線に走ってくるアシッドレックスの姿があった。

その数五匹。


「ああ。外の様子だがな、アシッドレックスが五匹こちらに向けて全力疾走してるぞ。」

「なるほど。アシッドレックスが五匹突っ込んでくると…。ん?」

「ん?じゃないわよ!どうなってるのよ!ねえ!護衛の中に魔法使いは居るの?」

「皆近接ばかりです!アシッドレックスは手を出さなければ安全とばかりに。あ、でも一人います!」

「馬鹿ね!一人で五匹の突進防げるわけ無いじゃない!イルミス!」

「俺たちも出よう。アイリスは何匹止められる?」

「この杖があれば三匹は行けるわ。」

「一匹はなんとか止めないとな。」

「それ私やります。」

「鈴できるか?」

「行けます。」

「おかあさん、ぼくたちしんじゃうの?」

「大丈夫だからね。」

「そうだぞー。おねえちゃんたちにまかせてくれればだいじょうぶだぞー。」

「ほんとう?」

「本当だよ。それじゃ行ってくるね。」


そう言うとイルミス達は馬車を下り、護衛の冒険者達と合流する。


「助太刀するぞ。」

「あ、ああ。たすかる。俺たちだとあの数は厳しかったからな…。」

「それじゃあとりあえず行くわ。」


アイリスはいつも以上に魔力を溜めると魔法を行使した。


「<魔力よ!我らを守る盾となれ!ワイドシールド!>」


近くに居た護衛の魔法使いが魔法を行使する。


「<魔力よ、盾となれ!シールド!>」


アイリスよりは面で劣るが強度は一匹ぐらいなら十分防げるものである。


「あ!おい!なにしてる!死にたいのか!」


護衛していた冒険者の一人が叫んだ。

その先に居たのは他のだれでもない鈴だった。


鈴は全力疾走でアシッドレックスの正面から向かっていく。


『つっよいの出すから頼んだよ!』

"了解。“

「いっくよー!フェイファーツェリザカ二丁!」


フェイファーツェリザカとはオーストラリアのファイアアームズ社の超大型狩猟用リボルバーである。

装弾数五発、.600NE(ニトロエクスプレス)弾を使用する銃だ。

ハンドガンの部類に入るが、重さはなんと六キログラムとかなり重い。

並みの人間が使えば反動を制御出来ず銃事態が吹き飛んでしまう。


しかし、並では無いリンに使わせる事によって銃の本来の性能を百パーセント活かすことができる。

さらに銃のアシストが入るようにリンの状態で人格(パーソナリティ)同調(シンクロ)を行うことで鈴のアシストを引き出す。


「ペルソナ!」


スズとリンが入れ替わる。


人格(パーソナリティ)同調(シンクロ)発動。」


リンは迫り来るアシッドレックスを体をくねらせ紙一重で交わすと銃をクロスさせ通り過ぎる間に二丁一発ずつ銃弾を撃ちこむ。

今までに無いほどの銃声を轟かせながら硬い体表を持つアシッドレックスの体に食い込む。

その衝撃から体がフラつき動きが鈍くなる。


そして通り過ぎたあとすぐさま振り返り、(ひかがみ)(膝裏のこと)に更に二発撃ちこむ。

強力な運動エネルギーを持つ銃弾が膕に食い込み足を千切れさせた。


アシッドレックスはその場で滑るように倒れこみもがいている。


リンは走って戻るとアシッドレックスの頭に銃を突きつけ引き金を引いた。

頭蓋骨を貫通し、脳をやられたアシッドレックスは一瞬の痙攣と共に動かなくなった。


人格(パーソナリティ)同調(シンクロ)解除。ふう。ギリギリだね。」

"そうだね。皆の所戻ろ!“

『そうだね。援護しないと。』


そう言うとリンは走って皆の戦っている場所まで戻っていった。





リンが一匹目を倒している途中から残り四体がエンカウントした。


アシッドレックスの角がシールドに突き立てられるが、シールドはそれを物ともしない。


「行って!」


イルミスとアームが動いた。


二人はシールドのサイドから回り込むと魔力を使い一気に加速し、さらに魔力で強化された腕力と握力で剣と薙刀を振るった。


剣と薙刀は見事に膕を斬り裂き、一匹をその場にダウンさせた。


そしてそれに続くようにアラスと飛鳥が飛び出す。


「妾が一体を相手にする!アラス殿はもう一匹を頼むぞ。」

「え?わかったよ!」

六七(ろくなな)ノ混合型-絶花断絶(ぜっかだんぜつ)-」


飛鳥は地面を蹴り空中へ身を投げる。


そしてその落下する勢いを利用し、剣術の威力を底上げし足ではなく胴体そのものを狙った。


斬りつけた瞬間衝撃波が飛鳥の髪の毛を乱す。

斬り付けられたアシッドレックスは体の半分を抉られ、即死した。


アラスも修行の成果を見せるべく魔力を使い一気に加速し、膕を斬り裂いた。


これで三匹めだ。


そこへリンがやって来て三匹の頭に銃弾を撃ちこんでいった。


「終わりね。」


リンとスズが入れ替わり、こちらの戦闘は終わりを告げた。


冒険者達は一瞬の隙を逃したらしく、七人でけん制している。


「しょうが無い。スズ加勢してやれ。」

「了解です。(左手一発、右手ゼロ発か。消してあれだそう。)」


スズはフェイファーツェリザカを消すと、XM109ペイロードを創造する。

以前ドラゴンに挑んだ時に使った武器だ。

弾丸は25mmAP弾を選択した。

AP弾とは徹甲弾の事で、装甲に穴を開ける為の物だ。


HE弾(榴弾)と迷ったのだが、アシッドレックスは体表が硬い為最適な弾だと思ったのだ。


更に人格(パーソナリティ)同調(シンクロ)を使い、もしこちらにターゲットが向いたときようにライオットシールドを創造しておく。


スズはバイポッドを組み立てるとそのまま横になる。

狙いはすべて胴体を狙う。暴れている物に頭や四肢を狙えなど無理な話だ。

装弾数五発全てを胴体に撃ちこむ。


ドンっという音とともにXM109ペイロードから25mm弾が撃ちだされる。

それをマガジンが切れるまでだ。


25mmAP弾はアシッドレックスの体表を貫き、貫通していく。

さすが対物狙撃銃と言ったところである。


五箇所に穴が開いたアシッドレックスは動きが鈍り、七人の冒険者に攻められその場に転げた。


「ふう。ライオットシールド必要なかったかな。」

"そうだね。“


まだスズが射撃体勢の時だった。

どこからかローブを来た男がやってくるとスズに絶賛の声を掛ける。


「素晴らしい能力だ。見ていたぞ?あのアシッドレックスを貫き、殺す所を。」

「おい!お前何者だ!」


イルミスが叫ぶ。

しかし無視のようだ。


「どなたですか?」

「俺か?俺はお前のご主人様だよ!」

"スズ!今すぐにげ―“


リンの警告は間に合わなかった。

そして最悪な事があった。


「<闇よ!魔の力を持って精神を侵食し支配せよ!マリオネットドール!>」


スズの頭を鷲掴みにし、溜めていた魔力を一気に魔法に変換した。


「う。うあああああああああ!」

「さぁ堕ちろ!」


通常ならスズの精神に負荷がかかればリンがそれを抑えようと出てくるのだが、最悪な事が今ここで起こる。

それは人格(パーソナリティ)同調(シンクロ)によるリンとの同調だ。


同調しているリンにまで魔法が及び、通常より精神を侵食するスピードが早くなってしまったのだ。


「あれは洗脳魔法よ!すぐに彼奴の魔法を止めて!」

「スズ!」


イルミスが駆け出す。


「ククク。遅い!」

「あああぁぁぁぁ…ぁ…。」






うわああああああああああああすずううううううううううううう!



これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。

何か有りましたらご連絡ください。

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