再来の海賊船!
観光四日最終日。
イルミス達と鈴達は揃って玄関に居た。
それに彰と榛名もだ。
「宿ありがとうございました。」
「いいえ~いいのよ。慣れっこだからね。」
「飛鳥も日々の訓練を怠るなよ!」
「いや、あの地獄の訓練はさすがに…。」
「地獄…とはいったい…。」
「港まで送るわ~。」
「榛名まかせたぞ。俺は弟子たちの面倒を見なければいけないからな。飛鳥もがんばれよ。イルミス殿、俺の娘を任せた。」
「任せてください。パーティメンバーは誰一人として脱落させません。」
「うむ。妾は大丈夫じゃ。」
「榛名さん!ご飯おいしかったです!」
「あらやだ。鈴ちゃんお世辞はいいのよ~。」
「お世辞じゃないですよ~。」
「あらそう?照れるわ。」
「また食べたいです!」
「鈴食べ物ばかりね。」
「だって美味しかったんだもん。」
「ふふふ。あ、そうだわ。ちょっと待っててくれるかしら?」
そう言うと榛名は奥へ走って行ってしまった。
「榛名何か忘れたのか?ハハハ!忘れん坊だな!いつもこうだからな!」
「あの…。」
「いい加減大人になって欲しいところだな!」
「あの…。」
「ん?なんだ?」
「後ろ…。」
「後ろ?」
鈴に言われて彰が振り返ると、笑顔の榛名の顔があった。
「あー。あの榛名さん早くないですか?今のは言葉のあやと言うもので…。」
「はい!あとでゆっくりお話しましょうね~。」
「そ、それは勘弁してくださいお願いします。」
「だーめ。あ、これ、朝作った玉藻の白飯ね。人数分三つずつ作ったから船で食べてね。」
「やったああ!お稲荷さんだあああ!」
「榛名さんの手作り料理なら大歓迎だぜ!」
榛名は袋を六人に手渡すと見送ると言って一緒に港まで行くことになった。
「イルミスさん。今日は普通の船ですよね?」
「普通の船だが、どうかしたのか?」
「いや、だって来るときのが…。」
「いい経験になっただろ?」
「あれは単なる奴隷船…。」
しばらく談笑をしながら港へと向かっていく。
鈴は少しこの国が名残惜しそうだ。
"スズ、名残惜しいの?“
『いやぁ、そういう訳じゃないんだけど…たぶん…。』
"いやいや、内心思ってるでしょ。“
『はい。思ってました。また御刺し身を食べたい、お寿司食べたい。』
"食べ物ばかり…。“
『いくらとか美味しいし、イカもいいし、大トロもいいし…。』
"はいはい。もういいですよ。“
「ねぇ飛鳥?鈴の顔がたるんでるんだけど、何かしらあれ。」
「おそらく食べ物の事でも考えておるんじゃろう。」
「ありえそうね。」
「うへへ…。」
そして港に到着すると一隻の船が停泊していた。
「これに乗って帰る。心配するな。一般の船だ。」
「帰りはゆっくりできそうだ。」
「来た時は地獄だったからな!」
「あらそう?快適だったけど。」
「アイリスちゃん達は部屋の中でのんびりしていたからだよ…。」
「それも私のおかげ!」
「そうね。鈴のおかげね。」
アイリスは棒読みで答える。
鈴は対してそれに反応も示さずお稲荷さんが入っている袋を大事そうに抱えている。
「それでは榛名さん。お世話になりました。」
「はい。イルミスさんもお体に気を付けてくださいね。あ、後、飛鳥のおもりもお願いします。」
「なんじゃそれは!妾は子供ではないぞ!」
「十分子供よ。私達にとってはね。」
「むぅ。」
「おう!飛鳥ちゃんのその膨れた表情もかわい―ぐへえ!」
「だまりましょうね。」
「久しぶりに…食らったぜ…。」
「あらあらまあまあ。綺麗に決まりましたね。」
「そ、そこっすか…俺の心配してくれてもいいんじゃ…。」
「え?」
「え?」
「これはまた…ぷっハハハ!」
「鈴ちゃん笑うのは無いぜ…。」
「船が出港します!お集まりください!」
「それじゃ榛名さんありがとうございました。」
「榛名さんまたお刺身食べに来ていいですか!」
「ええ、いいわよ~。皆も元気でね。飛鳥、ちゃんと起きれるようになるのよ。」
「わ、わかっとるわ!」
イルミスは船の船員に人数分の金を払う。
「よし乗るぞー。」
「それじゃ!」
「母殿また今度じゃ!」
「いってらっしゃい。」
六人が船に乗ると、掛け橋が外され帆が降ろされた。
船はゆっくりと島を離れ、リール国へと向かっていくのである。
「はぁ。暖かい陽気。いい感じで寝れそう…。」
鈴は甲板の先の方で寄りかかりながら居眠りを始めていた。
もちろん来た時のように手伝いをやらされることもなく、海賊船は鈴のミサイルで沈んで居るので邪魔するものは多分いないだろう。
「もう…だめぽ…。」
こてっと横に倒れそのまま寝始めてしまった。
「ん?あれは鈴?あんなところで寝てるのね。まぁいいわ。」
そう言いつつアイリスは部屋に戻っていった。
「やぁ、スズ。」
「おやすみ、リン。」
「え?ちょっとまって。」
「なによ~。寝かせてくれてもいいじゃない。」
「観光が終わったらまた冒険なんだから人格同調の確認しなくていいの?」
「えー。一応三十秒は維持できるようになったじゃない。」
「慢心は駄目だよ。」
「はいはい。起きたらやるよー。」
「こいつよー。」
リンはあくまでも昼寝をしようとするスズを起こそうとしたが、リンはスズでもあるためこうなったスズはコテでも動かない事を知っている。
「まぁどうにかなるかな。」
スズが寝た後、船はゆっくりと進んでいく。
しかし風が弱いのか、船の速度が上がらない。
「船長。到着遅れそうですね。」
「そうだな…。この速度だと二~三時間は覚悟しないとな。」
「乗客に知らせてきます。」
「頼んだぞ。」
そう言うと、操舵室に居た一人の船員が客間に通じる扉を潜っていった。
「ん、んん~。よく寝たぁ。ってあれ?まだついてないの?」
"帆をみて。あまり風を受けてない。おそらく風が弱いんだと思うよ。“
『ああ、推進機関が帆だから風が弱いとスピードが出ないのか。お腹すいたー。』
"お稲荷さんあるじゃない?“
『そうだ!今こそ食べよう!』
鈴は袋からお稲荷さんを取り出すと、大きな葉のようなものに包まれていた。
「いっただきま~す!」
鈴は包を開け一つ手に取るとかぶりついた。
「ん~!おいひい!」
"食べるか喋るかどっちかにしなよ。“
「………。」
"食べる方にしたのね。“
そして食べ終わると再び眠気がしてくる。
「ふあぁぁぁ。食べ終わったらねむくなっちゃった。」
"寝れば?“
『そうする~う?』
"あれは…。“
「船長!島影から小型海賊船二隻、大型海賊船が一隻、計三隻がこちらより早い速度で向かってきます!」
「なんだと?こっちは民間船だぞ!」
「船長戻りました。」
「おい!すぐに乗客に海賊が来たと知らせるんだ!戦える者が居たらこっちによこしてくれ!」
「は、はい!」
「後二~三時間か。それまで暇だな。」
「榛名さんに貰った玉藻の白飯でもたべてるか。ちょうど腹も減ったしな。」
「そうね。鈴はあのまま寝かせておけばいいでしょうね。」
「はっ!今なら鈴ちゃんの寝顔を独占できる”!?」
「はいはい。食べましょうね。」
「りょ、了解であります…。」
イルミス達が昼食を食べようとした時先ほど船員が出てきた扉が再び開いた。
「皆様!現在後方から海賊が接近中です!どなたか戦える方は居らっしゃいませんか!」
同乗していた一般人が海賊と聞いて騒ぎ始めた。
「ん?また海賊か。アイリス頼む。」
「さっさと燃やしてくるわ。冒険者の魔法使いよ。」
「海賊の遊撃をお願いします!」
「わかったわ。近寄られる前に沈めてあげる。」
「おお!なんと心強い!さあこちらに!」
そう言うとアイリスは船員と一緒に甲板へ続く扉を出て行った。
「大丈夫かしら…。」
「なぁ、あんたら。あの子は強いのか?」
「ああ、強いぞ。安心してくれ。」
「うーん。この間の仕返しかなぁ?」
"それもあるかもしれない。ちょうど私達が出てきてから来たからね。“
「また沈めちゃうか。」
"そうだね。被害が出る前にそうしたほうがいいね。“
「二八式対艦艇対戦車誘導弾。さて、距離は千二百メートルか。とりあえず――。」
「あら鈴起きてたの?と言うか、それこの間のよね?」
「うん。とりあえず小さいの一隻沈める。」
鈴は引き金を引くと、ミサイルを発射した。
カメラから送られてくる画像を元にマニュアル操作し、海賊船に当たるようにする。
「ん?」
次の瞬間ミサイルは海賊船に当たらず、目の前で起爆した。
「シールドかな?でもあの程度のシールドくらいなら…あれ?被害なし?」
「おそらくシールドを重ねたんじゃないかしら?」
「えーでもこの世界の人にとってはこれは初見殺しだけど…もしかしてこの間の生き残りがいた?」
「そうかもね。今度は私がやるわ。<蒼白の炎よ。その荒ぶる火の風となり敵を焼き尽くせ!ファイヤーストーム!>」
アイリスが魔法を発動させると小型海賊船の甲板に炎の竜巻が発生し、船や海賊を焼きつくしていく。
魔法をかろうじて避けた海賊たちは海へと飛び込んでいく。
「そうか。シールドは正面だけなのか…。」
"なら空から攻撃すればいい。“
『そうだね。試しにアレ使ってみるか。人格同調』
「…さてUAV空中創造、UAVコントローラ創造。人格同調解除。えーっとヘルファイアミサイル発射。」
「鈴?何したの?」
「まぁちょっとね。」
高度二千メートル上空からヘルファイアミサイルが発射され、コントローラの信号通りに
誘導され海賊船を真上から爆撃した。
「次。ヘルファイアミサイル発射っと。」
「な、何が起きてるんだ!」
「お頭!ルドガーの船が蒼白の炎で燃やされやした!」
「な、蒼白だと!?そんなバカな!こちらからも反撃しろ!魔法使える奴はあの船に撃ちこ――。」
その瞬間もう一隻の小型海賊船が爆発した。
「今度は何だ!」
「報告しやす!ワイリの船が突然爆発しやした!」
「突然爆発なんてするわけ無いだろ!彼奴等の情報だと何か飛んできた途端爆発したって話だろうが!実際に一回は防いでるだろうがよ!」
「し、しかし実際に正面にシールドははっていやした。なのに突然―ガァ!」
「うるせえ!」
頭と思われる大男は報告に来ていた子分を斬り捨てたのだ。
予想外な事がたて続きに二回も起き、イライラしていたのだ。
気が短い男である。
カットラスで切りつけられた傷は深く、治癒を使える魔法使いが居なければ助からないだろう。
頭は今日のために準備し、この間沈められた子分の船のお礼参りをしようとしていた。
生き残った子分からの情報によれば何かが飛んできた途端それが爆発したという。
それが何か分からなかったが、シールドを正面に三重に張れば大丈夫だろうと予測していたのだ。
だが実際にはどうだ?
子分のルドガーの船は焼かれ、ワイリの船は突然爆発し轟沈。
気が短いその男を機嫌を損ねるには十分だった。
「魔法使いはあの船に向かって魔法を撃て!」
そう言うと五人の魔法使いが詠唱を始め、魔法を放った。
それと同時に鈴が操作していたUAVからのヘルファイアミサイルが大型海賊船に命中したのであった。
甲板に居た魔法使い、剣士、頭は爆風で帰らぬ人となり、船体に大穴や亀裂が入ったことで海水が流入し、先に轟沈した二隻を追うように海へ沈んでいった、
「アイリス!魔法がくるよ!」
「任せなさい。<魔力よ!我らを守る盾となれ!ワイドシールド!>」
横一列に飛来する魔法をアイリスが張ったシールドが受け止める
ドンドンドンドンドンと火球がシールドに当たり爆発する。
アイリスは涼しい表情でそれを受け流す。
「余裕ね。」
「さっすがアイリスぅ~。」
「褒めても玉藻の白飯はあげないわよ。」
「チッ。」
「今舌打ちしなかったかしら?」
「シテナイヨー。」
「…まぁいいわ。この船遅れてるみたいでね、二~三時間は到着遅れるみたいよ。」
「なる~。」
そんな二人を他所に一緒に着いて来ていた船員は何が起こったのか分からず固まっていたのだった。
「さてUAVとコントローラ消してっと。んん?船員さーん?おーい?」
「固まってるわね。」
「ほっぺたつねってみよう!」
鈴はそう言うと船員の頬を抓る。
「あいたたたた!」
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ、だ、大丈夫です。」
「それじゃ船長に報告してきてください。海賊は倒しましたと。」
「はい。ご協力ありがとうございました。」
「さて、客室に戻るわ。」
「私も戻ろうかな~。目が覚めちゃった。」
二人は客室へ戻っていった。
「船長!海賊は討伐されました!」
「は?何を言って―」
船長はあまりの早さに外を見ると、炎上、轟沈している船が三隻海上にあった。
「最近の冒険者は凄いんだな…。」
「そ、そうですね。」
これにて長かった章が終わりになります。
次から新しい章に入っていきます。
これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。
何か有りましたらご連絡ください。




