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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
65/217

食文化と親子試合




船の中で過ごすこと数時間。

ドアを開ける音がする。


「嬢ちゃん達、アルニカ見えてきたぜ!」

「本当ですかー!」

「おうよ!」

「見に行こ見に行こ!」


そう言うと鈴は甲板へと出て行った。


『リン双眼鏡~。』

"はいよー。"


一瞬入れ替わると手元に双眼鏡を創造し、それを覗きこんだ。


「うひょおおお!瓦の屋根!障子!いっつ和風!すげー!」

「うむ。久しぶりの故郷じゃな。懐かしいのぅ。」

「飛鳥はどこに住んでるの?」

「あそこじゃ。」

「どこ?」

「あの丘の上にある一番大きな家じゃ。」

「おお。でけー!って飛鳥お金持ち?」

「そんなことはないぞ。土地を持っていただけじゃ。それに道場である程度稼げるしのぅ。」

「道場ってあの絶影ってやつ?」

「そうじゃ。うちの流派は他のと比べてちと難しいが確実に強くなれるから門下生も多いのじゃよ。」

「ほー。見学ってあり?」

「うーむ。父上に聞いてみなければわからぬ。」

「お父さんってどんな人?」

「ん~?厳しい師範と親馬鹿かのぅ。」

「?」

「まぁ、会ってみればわかるのじゃよ。」

「そうか~。楽しみだな!」


風を受け徐々に港をへ近づいていく帆船。

港には多数の帆船が停留しているのがみえる。


帆船は港に合わせ、接岸する。


「帆を畳め!錨降ろせ!」


船乗りが忙しく作業をこなしていく。


「ほら荷物もおろすんだから渡り橋掛けろ!」


当然イルミス達も働かされている。

それを遠巻きに見ている女性陣。


「いやー。男に生まれなくてよかったなー。」

「何言ってるのよ。」

「男働くべし。慈悲はないのじゃ。」

「アイエエエエ!」

「何なのよ…。」


そして新たに檄が飛ぶ。


「荷物運び出せ!絶対海に落とすなよ?絶対だぞ!」

「ぷ…船長さんそれフラグ…ふふふ。」


鈴がそんなことで一人でにやにやしていたが、結局誰も海に落ちることなく荷物の搬出が終わったのだった。


「誰も落ちなかったなぁ~確実にフラグ立ったと思ったのに。」


その時横から抱き着かれた。


「鈴ちゃ~ん。疲れたから癒して~。んー髪の毛いい匂いだー。」


ぞわぞわぞわっと鈴に悪寒が走る。


「うひゃああああ!?」

「!ア~ラ~ス~?」

「うん~?」


鈴は赤面硬直し、アラスはそんな鈴に抱き着き、それを見ていたアイリスと飛鳥が構えていた。


「え?」

「覚悟しなさい。」

「そうじゃな。一度去勢するのがよさそうじゃ。」

「まって!それ一度しかないよ!イルミス!アーム!なんとか言ってくれよ。」

「俺たちはノーコメントだ。」

「そうだな。」

「ほわ…ほわわ…。」

"あー。だめだこりゃ。勝手に出させてもらいますよ。"

「ほわ…アラス。」

"ほわ…ほわ…"

「?……ぬわああああああ!?ぐふう!?」


アラスは空中に投げ飛ばされ、落下してきたところをリンの回し蹴りが炸裂した。

とっさに防御したようだが、相当のダメージがアラスに入り、海へと飛んでいったのだった。


"ほわ…ほわ…はっ!?なんで私引っ込んでるの?"

『あ、戻った?アラスなら海に浮いてるよ。』


「おいだれか海に落ちたぞ!」

「大変だぁ!誰か引き揚げろ!」


『ちょっと大ごとになってるんだけど。』

"反省はしてる。後悔はしていない。"

『…。』

「スズ…リンよくやったわ。」

「先ほどの回し蹴りはよい角度だったのぅ。」

「まぁ、いつものことだからね。」


アラスは海に浮かんでいるところを地元の漁師達に引き上げられているのであった。






「あー。ひどい目にあったぜ…。」

「あれはアラスが悪い。」

「お前は毎回毎回やられて学習というものをしないのか?」

「あれはただのスキンシップだ。決してやましいものではない!」

「自慢げに言うな…。」


男三人が話している中、鈴は立ち並ぶ建築物を見て回っていた。


「おおお!ちょっと違うけど、これこそ昔の日本!いっつじゃぱん!こ、これは三色団子!?こっちの世界にもあるとは!ぬおおお!寿司屋だ!今日のお昼ここにしましょうよ!」

「寿司か。久しぶりにたべるのぅ。」


そういうと返事も聞かずに鈴と飛鳥は店に入って行ってしまった。


「昼食はここにするか。もう入っているが…。」

「そうだな。寿司食べたことないし、ちょうどいい。」

「俺はどこでもいいぜ。力仕事して腹減ったし。」

「それじゃ入りましょ。」




「へい!いらっしゃい!」

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか。」

「六人です。」

「では奥のお座敷ですね。ご案内します。」


そういわれると鈴は店員についていき奥のお座敷へと行く。


「おほー!畳みじゃん!」


鈴は靴を脱ぐとお座敷に、それに続くように飛鳥も靴を脱ぎ上がる。

店員は言おうとしていたことをのどに詰まらせていたが、後に続くイルミス達四人に説明をする。


「ここでは履物をお脱ぎください。」

「わかった。」


四人は靴を脱ぐとお座敷に上がり座布団の位置に座った。


「メニューはそこの羊皮紙に書いてあります。お決まりになりましたらおよびください。」

「おーのー。名前が違うから何が何だかわからない…!うーん。お?飛鳥、この玉藻の白飯ってどんなの?」

「油揚げに白米を詰め込んだものじゃ。白米には酢が使われていていい味がでてるのじゃよ。」

「おお!稲荷寿司来たこれー!名前が違うだけで食文化はあまり変わらないと見える…!この子クラーケンっていうのはもしかして白い寿司のことだよね?」

「そうじゃな。あの歯ごたえがいいのじゃ。」

「やっぱりイカだ!」

「ふむ。世界は違えど食文化はやはり同じようじゃな。」

「やっぱりお寿司と言えば大トロよね!ええっと、赤みで高い魚!そんなのない?」

「それならメールのトロ身と言うやつじゃな。鈴殿の期待に合っているかわからぬが。」

「よし!それだけわかれば大丈夫!私は注文決ました!イルミスさん達は決まりましたか?」

「俺たちも寿司はよくわからないから適当に注文する。」

「さすがの俺も寿司までは調べてないんだぜ…。」

「じゃ呼びますね。すみませーん。店員さーん!」

「…お待たせしました。ご注文をお伺いします。」


鈴達は店員に注文する品を言う。

すると店員が


「オーダー入りました!」

「はいよ!」

「楽しみだなー。久しぶりにお寿司食べれる!」

「あまり期待しない方がいいんじゃないか?見た目が違かったり味が違うかもしれないぞ。」

「その時はその時です!ってあれ?醤油ないの?」

「む?寿司に醤油は着けぬぞ。」

「えぇ!店員さん!」

「はい。何でしょうか。」

「醤油ありますか!」

「え?少々お待ちください。」




「店長、醤油ありますか?」

「醤油?何に使うんだ?」

「お客様が醤油をご希望しておられまして…。」

「奥にあるから皿に少し入れてお出ししろ。」

「わかりました。」



「店員さん奥に行っちゃった。醤油取りに行ったのかな?」

「しかし、寿司と醤油は合うのかのぅ…妾も食べたことはないぞ。」

「大丈夫!味は保証する!」

「それなら大丈夫じゃな。」

「そういえば、今更なんだが突然飛鳥の家にお邪魔しても大丈夫なのか?」

「む?気にするでない。何とかなるのじゃ。たかが六人増えたところで妾の家は問題ないのじゃ。」

「そうか。それならお邪魔させてもらおう。」


そこまで話した時奥から先ほどの店員が戻ってきた。

手には皿を一つ持っている。


「お待たせしました。醤油です。」

「おお、ありがとう!」

「これで食べる準備は大丈夫!あとはネタが来るだけ…!」

「へいお待ち!待たせたかな?」

「いえ!」

『少し形が違うけどそれっぽい!』

"おいしそうだね。"

「いただきます。」


鈴はそういうとイカから手を伸ばした。

そして醤油にちょこんと漬けると、口の中にイカを放り込んだ。


「んー!これぞイカ!おいしい~。」

「どれ、妾も醤油を漬けて食べてみるかのう。」


飛鳥も醤油をつけて食べてみると


「! これはうまい!醤油がぴったり合ってるのぅ。」

「お?じゃ、俺もっと。」


アラスも手を伸ばし醤油をつける。


「おお?これはいいな。」


そんな話を鈴達がしていると店長と店員が話を始めた。


「醤油をつけるとうまいのか?」

「私は試したことがないので何とも…。」

「余った素材で試してみるか。作るから待て。」


店長は余った材料でネタを二つ作ると二人で醤油をつけて食べてみた。

この世界には寿司に醤油をつける事が無いためこれは初めての事だ。


「これは…」

「合いますね。」

「よし、今度から醤油も着けて出そう。」

「そうですね。準備しておきます。」


その後アルニカの寿司店舗全てで醤油を扱いだしたのはまた別の話。






「ふう。お昼美味しかった!玉藻の白米だっけ?あれが少し味が違ったけど美味しかった!」

「それはなによりじゃ。」

「寿司も意外と行けるな。」

「そうだな。それに肉ばかりより体に良さそうだ。」

「知ってる?お寿司って美容効果もあるんだよ!」

「ほう。それは知らなかったのぅ。」

「それなら毎日食べたいわ。」

「鈴ちゃんとアイリスちゃんと飛鳥ちゃんが更に美しく…くっ~!いいね!」

「おい誰かアラスを止めろ。」

「鈴ちゃんも寿司食べていれば胸も大き―むぐう」

「あ?」

「なんでもないぞ!」


アームが焦ってアラスの口を抑えこんでいる。

鈴の地雷を踏み抜きそうになったからだ。


「じゃ、飛鳥の家にいこー!」

「いらっしゃいなのじゃ。この前を曲がって坂を上がったところにあるのじゃよ。」

「紳士たるもの常に身だしなみを正しくしなければならない。」

「何言ってるのよアラス。」

「これから飛鳥ちゃんの御母様と御父様にお会いするにあたっての準備だぜ。」

「…あんたね。」


坂道を登ること五分目の前には大きな屋敷が建っていた。

飛鳥は戸惑うこと無く屋敷の扉を開けた。

そこには大きな庭に稽古を励む門下生たちがいる。


「ほれ。入ってまいれ。」

「失礼しまーす。」


飛鳥達が入るとさすがに気がついたのか門下生を指導していた強面の男がこちらに歩いてきた。


「飛鳥!飛鳥ではないか!どうした?家が恋しくなったか?」

「そうではない。父殿、観光でパーティメンバーと共にここに来たのじゃよ。」

「おお!飛鳥がパーティを組んだか!」

「正確に言うと入ったのじゃがのぅ。」

「ほう。それは強いパーティだと見受ける。どれ久しぶりにこのお父さんと試合をしようではないか。」

「ほほう。父殿、妾とやるというのかのぅ?」

「飛鳥には負けんよ。」

「よかろう。皆は見ていてくれ。」

「おいお前ら練習一旦終わりだ。真ん中開けてくれ。」

「はい!師範!」


門下生達は庭の中心を開け左右に広がった。

そして飛鳥と飛鳥の父が中心へ入る。


「模造刀を。」

「これをお使いください。」

「うむ。誰か飛鳥にも模造刀を。」

「自分のを使ってください。」

「ありがとのぅ。」


二人の手に模造刀が渡るとその瞬間緊迫した空気が漂い始めた。


「…どれ。冒険者になった実力を見せてもらおうか。」

「いざ参る!」


飛鳥がトップスピードで斬りかかる。

そのスピードに門下生達から声が上がる。

しかし飛鳥は目の前で止まると後ろに刀を振るった


「ほう。見破ったか。」

「当たり前じゃ。」


次の瞬間には立っていた飛鳥の父の姿は消え失せていた。

消え失せた姿は飛鳥の後ろにいる。


「絶影流派の基本だからな。さあ打ってくるが―」


そこまで話していると飛鳥と同じように後ろに刀を振るった。


「なかなか腕を上げたようだ。」

「バレてしもうたか。だが。」

「む!」


飛鳥の父は飛鳥の刀がすり抜けたのを見てすぐさま間合いを開いた。


門下生と一緒にイルミス達も試合を見ていた。

門下生達が師範と呼んでいる人は飛鳥の父のわけで名前が気になった鈴は隣に居た門下生に尋ねた。


「すみません。師範の名前はなんて言うんですか?」

「うん?師範の名前はゼスター・(あきら)・ステイルっていうんだよ。」

「彰さんか。ありがとうございます。」

「いえいえ。」


鈴と門下生が話している途中も試合は続いている。


「食らうがいい。陽炎絶花(かげろうぜっか)。」

「なんの!陽炎絶花(かげろうぜっか)!」


二人の斬撃が衝突し、互いを打ち消し合う様に見えたが彰の方が上回ったのか飛鳥の斬撃を消し去り迫る。

それを余裕をもって回避すると飛鳥は残擬(ざんぎ)からの陽炎絶花(かげろうぜっか)に派生させた。

俗にいうコンボ技になる。


「ほう!組み合わせてきたか!」

「これもバレてしもうたか。」

「どれお父さんも本気だすぞ。」

「!」

「うわ逃げろ!」


門下生達が蜘蛛の子を散らすように逃げはじめた。

その状況についていけないイルミス達はその場に留まっていたが、リンが警告を発した。


"今すぐ変わって!"

『え?うん。』

六七(ろくなな)ノ混合型-絶花断絶(ぜっかだんぜつ)-」

「父殿!それは―のわあああああああ!」

「防弾レベル十防弾ガラス創造。」


その瞬間地面が砕け、岩石となって辺りに飛び散った。

リン達は防弾ガラスのお陰で怪我もないが、逃げ遅れた門下生の一部は衝撃波で飛ばされ、気を失ったりしている。


「…助かった。リン。」

「うん。」


防弾ガラスは飛んできた岩石で表面が砕けているが、内側はつるつるとした平らな表面を維持している。

リンは防弾ガラスを解除すると人格をスズに戻した。

「あーびっくりした。」

「っと言うか、飛鳥は生きているのか?」

「さすがに殺しはしないだろう。」

「そ、そうね。」


やがて土煙が晴れると、飛鳥の姿が見えてきた。


「し、死ぬかと思ったわ!」


尻もちを付いている飛鳥の足先まで地面がごっそり砕けており深さは一メートルにも達する。


「いやすまん。久しぶりに飛鳥が帰ってきたものだからお父さん少し興奮してしまってな。」

「こらあー!」

「ギクぅ!?」

「貴方!またやったのね!見てください!障子も廊下も土だらけ穴だらけ!どうするの!」

「あーこれはな、そのー。」

「言い訳はしない!さっさと片付ける!」

「…はい。おーいお前ら片付け手伝ってくれ。」


そう言うと門下生達がしぶしぶ家の片付けを手伝い始めたのだった。





世界は変わっても食文化はあまり変わらないものなんですねー。

醤油をつけると言う点は無かったようですが。




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