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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
62/217

海×水着×ビーチボール



「遂にきましたリール国王都!海と!」

「水着!」

「いえーい!」

「いえーい!」

「何してるの二人共。置いて行くわよ。」

「あ、ちょ。待って!」

「置いてくなって!」


スズとアラスは門前で騒いでいてイルミス達において行かれようとしていたのだった。

すぐに四人に追い付くと、また騒ぎ始める。


「ねぇねぇ!宿とったら海行きましょうよ!」

「そうだ!行こうぜ!」

「はいはい。」

「イルミス、宿どうするんだ?」

「宿な。いいとこ取るか。」

「海辺辺りが良いかもしれないな。」

「そうだな…そうしよう。」

「水着はどうするのじゃ?」

「ふっふっふ。こんなこともあろうかとずいぶん前にリサーチ済みだぜ。海辺の近くにマリン水着店があるんだ。そこで水着の貸出と更衣室もある!そこで借りれば良いんだぜ。水着一着五百銅貨!しかも多種多様と来た!」

「物知りじゃな。」

「ふっ。褒めるなよ、照れるだろ。もしかして惚れたか?」

「いや、それはないのぅ。」

「飛鳥。アラスを褒めちゃダメよ。」

「そうか。わかった。」

「アイリスちゃんひどいよ~。飛鳥ちゃんもそれになっとくしちゃ駄目!」

「ほら!アラスさん行きますよ!」

「あ!また置いてかれてる!」






「ここが海辺の通りだ。」

「おお!海だ!」


そこは海が見えるストリートで目の前には砂浜が広がっている。

ストリートと砂浜の間には石を積んで作られた堤防が腰のあたりまで積まれている。


「この辺の宿取るか。宿は……あそこだな。」

「そうだな。さっさと―」


すぐとなりを二人が駈け出した。


「みんなー!」

「はやくしろー!」

「お前らはしゃぎ過ぎだ。」

「そうよ。海は逃げたりしないわよ。」

「しかし美女は逃げる。」

「そ、そんなー。」


今回泊まる宿はマリンフィッシュ亭と言うらしい。

入口には魚の看板が立て掛けられ一宿四銀貨、風呂、食事ありと書かれている。


「やっぱり少し高いな。一泊だけで二十四銀貨かかるな。」

「まぁ、大丈夫だ。入ろう。」


イルミスは宿のドアを開けるとカウンターへと向かう。

カウンターの奥の部屋からはドアに設置されていたベルの音を聞いて宿主が出てくる。


「いらっしゃいませ。マリンフィッシュへようこそ。」

「一泊したい。」

「承りました。六名様ですね。」

「そうだ。」

「二十四銀貨になります。」

「…ほら二十四銀貨だ。」

「確かに二十四銀貨受け取りいたしました。…連番の三人部屋がご用意できますのでこちらのカギをお使いください。」


そういうと壁に掛けてあった鍵を二つイルミスに手渡した。


「ありがとう。」

「早く部屋行って荷物おいて海行こう!」

「美女が俺を待ってるぜ!」

「皆さま、今なら昼食がご用意できますが、どうでしょうか。」

「そうだな…ちょうどいい時間だな。昼食をよろしく頼む。」

「畏まりました。お出かけになるそうですから軽い物をご用意させていただきます。お部屋でお待ちください。」

「鈴、せめて昼食を食べてから行こうな。」

「了解サ~。」

「とりあえず部屋は男女別れるということで。ほら、鍵だ。」

「男女別なんてありえない…。」

「何言ってるのよアラスは…。これが鍵ね。さぁ、部屋へ行きましょ。」

「ごーごー!」

「うむ。」

女性陣が歩いていく中、アラスは女性陣に手を伸ばしていた。


「そんなー別々だなんて…!もう終わりだ…。」

「何世界の終りのような表情しているんだ。さっさと行くぞ。」

「アラスおいていくぞ?」

「今行くぜ…。」


イルミス達男性陣も部屋へ向かっていった。


「…面白いお客様ですね。さて、昼食を六人分用意してもらわないと。」


そういうと宿主は厨房へ向かって歩いていく。


「軽い昼食六人分オーダーです。」

「はいよ!六人前入ったぞ!」


厨房にいたコック達はそれを聞くと、料理を作り始めた。






「よーし荷物置いた!お金持った!昼食まだー?」

「まだ来たばかりじゃない。そんなに早く来ないわよ。」

「鈴は少し落ち着くのじゃ。」

「だってお腹すいたし、早く海行きたいし…。」

「どちらかにしなさい。」

「……どっちにしよう…。」

『ねーねー。どっちだと思う?』

"自分のことでしょ?自分に正直になれば?"

「よし!ご飯が重要!」

「体に正直ね。」

「食事は大事じゃ。」

「―っ!――!――――!!」

「何かイルミス達の部屋から聞こえてくるわね。」

「これはアラスさんの声だね。」

「何か言っているのかのぅ。」

「煩いわね。」

「壁ドンしよう。」

「壁ドン?」

「こう、壁をドーンと叩くのを壁ドンというんだよ。」


スズは壁に向かって拳を叩きつけた。

それなりの音がし、隣からの声が聞こえなくなった。


「アラスが夜騒いでた時よくされたわ。」







「くー!三人と別々の部屋なんて!」

「まだ言っているのか。いい加減あきらめろ。」

「そうだぞ。あきらめも肝心だ。」

「お前ら男だろっ!夢はないのか!枯れてるのか!!」

「いや、枯れてはいないが…なぁアーム。」

「俺に振るなよ。」

「大体!おま―」


ドンっと音が木霊する。

三人は音の発生源を直視する。


それは鈴、アイリス、飛鳥の女性陣三人がいる部屋とこちらの部屋を区切る壁だ。


「…静かにしような。」

「そうだな。」

「そうします…。」


しばらくすると食事が運ばれてきた。

ドアがノックされた。


「どうぞー。」

「失礼いたします。昼食が出来上がりましたのでお持ちしました。」

「昼食キター!」

「お出かけと聞きましたので軽めの昼食を用意いたしました。」

「気が利いてるわね。」

「恐れ入ります。」

「ところで昼食は何かのぅ。」

「こちらになります。」


そういうと、二人の女性が出てきた。


「海鮮スープとアルのマヨネーズパンです。」

『こ、これは!!』

"懐かしいね。"

『ツナマヨパン!』

「こちらのテーブルに置かせていただきます。」

「ありがとう。さ、食べましょう。」

「食べ終わった後の食器はドアの横に置いておいてくださればこちらで回収いたします。」

「はーい!」

「では。」


そういうと一礼して部屋から出ていった。


「さー食べるぞー!久しぶりのツナマヨ~♪」

「ツナマヨ?」

「うん。このパンに使われてるの。私の世界ではツナマヨパンって言われてたんだよ!」

「ところで気になったのじゃが、鈴殿はところどころ共通の固有名詞があるが、違う物もあるのじゃな。」

「んー。どうしてだろう。翻訳の加護に不具合でもあるのかな?」

「ふむ…まぁよい。食べようぞ。」

「はーい!いただきまーす!」


鈴は久しぶりに故郷の味を楽しむ。

海が目の前にあるため使われている素材も新鮮な物だ。




「ふぅ。ごちそうさまー!よし行こう!」

「ちゃんと食器を外に出さないと。」

「そうじゃな。一つにまとめて置いておこうぞ。」

「おっけー。五百銅貨持った?さあ、行こう!」

「はいはい。」


部屋の外に出て食器を置くと隣の部屋のドアが開いた。


「お?鈴ちゃんちょうどいいタイミング!さあ海に行こう!」

「海いこー!」


「…イルミス。」

「あぁ。アイリス。」

「お互い大変だな(ね)。」


イルミスとアイリスの思いが声に漏れたのだった。


元気な二人を先頭に六人は一度宿から出る。

ここからはアラスが知っている水着のレンタルショップへと行くこととなる。


「さあ行くぞ!マリン水着店!」

「おー!」

「で、そのマリン水着店ってどこにあるんだ?」

「この先の海沿いにあるんだ。水着美女…うへへ。」

「はぁ…。」

「飛鳥いい?アラスが襲い掛かってきたら鳩尾を狙いなさい。」

「う、うむ。了解した。」

「大丈夫だ。紳士は女性に襲い掛かったりしないぜ。」

「…なぜか説得力がないのぅ。」


アラス、鈴達は通りを進み一軒の店の前で止まった。


「ここだ!マリン水着店!すんませーん!水着六着レンタルしたいんですがー!」

「いらっしゃいませー六着ですね。三銀貨になります。性別はどうなってますか。」

「男三の女三!」

「ではこちらにお越しください。」


六人はマリン水着店に入ると、たくさんの種類とサイズの水着が置かれていた。

各自五百銅貨を店員に渡す。


「うわー。すごい数の水着。」

「当店では顧客のニーズに合わせた物を取り揃えています。女性の方は女性の店員がお相手いたしますので、男性の方はこちらへどうぞ。」

「ここでも男女の差が!俺は女性の方へ行くんだぁ!」

「はいはい。アラスこっちにこい。」

「離せえええ!うわあああ!」

「…で、では水着をお選びください。」

「そうね……これなんていいんじゃないかしら。」

「アイリス殿大胆じゃのぅ。」


それはビキニと呼ばれる種類の水着だ。

さらにフリルもついてかわいく見える。


「しかも黒って大人だなー。」

「妾は何にしようかのぅ……そうじゃな、これじゃ!」


飛鳥の選んだ水着も水色ビキニだ。

こちらはフリルが付いていないスタンダードな物だ。


「…。」


ペタン。

スズは自分の胸を触る。


「……私はこれでいいかなーあはは…。」


鈴が選んだのはピンクのワンピース水着だ。

胸からしたにはフリルが付いており、かわいさを引き立てる。

それに腹部が隠れるため、スズのコンプレックスである傷跡を隠すことができる。


「それではこちらの更衣室へどうぞ。」


女性店員に案内され更衣室に入ると服と下着を脱ぎ、中にある籠に畳んで入れていく。


「これでよし。あとは水着を着てっと。」


鈴は水着を着ると籠をもって外に出た。


「こちらでお洋服はお預かりさせていただきます。こちらにお名前と籠に書いてある番号をお書きください。」

「えっと…倉木 鈴っと。番号は四番ね。」

「ではお洋服はこちらでお預かりさせていただきます。取りに来られる際は名前と番号をお願いいたします。」

「分かりました。」


アイリスと飛鳥も名前を書くと、店の外に移動する。

そこには既に水着に着替えたイルミス達がいた。


「うっひょー!水着最高!」

「アラス何処見てるのよ。」

「そりゃあ、上から下まで堪能させて頂いております。」

「不能にするわよ。」

「またまた、アイリスちゃんはすなおじゃないんだから~。」

「杖があったら潰したい…!素手でやるのは抵抗があるわ…。」

「早く海いこ!」

「そうだな。いつまでも水着で通りに突っ立ってるのも何だからな。」

「ひゃっはー!海だ!美女だ!」

「ひゃっはー!海だ!観光だ!」


鈴は海へ、アラスは女性の元へ走って行く。


「これは…鈴殿の方に行くかのぅ。」

「アラスは放っておけ。」

「それに限るわ。」


イルミス達も鈴の後を追う。


アラスはどこかの人混みの中へ紛れていってしまったため、何処に居るかは不明だ。






「そうだ!」

『リン~ビーチボール出して!』

"はいはい了解ー"


リンはビーチボールは一つ創造する。


『ありがと!』

"どういたしまして~。"


スズはリンから一つのビーチボールを受け取ると、仲間を呼んだ。


「おーい!これであそぼー!」


鈴は海に浸かりながらはしゃいでいる。

アイリスと飛鳥も海に入りながらビーチボールを見ている。


「なにそれ?」

「なにやら丸い大きな玉じゃのぅ。」

「そーい。」


鈴はビーチボールをアームに向かって投げる。


「おお!なんだこれ以外と…想像以上に軽いな。」

「だって中身空気だもん。」

「また面白いものを出したな。」

「こっち投げてー!」

「ほらよ。」


アームが投げたビーチボールは風と空気抵抗によりアイリスの頭上へと落下していく。


「痛…くないわね。」


アイリスは海の上にプカプカと浮いているビーチボールを手に取る。


「アイリス。ビーチボールを上に投げておもいっきり手で前に叩いて!」

「?こうかしら?」


アイリスは魔力を開放するとビーチボールをおもいっきり叩いた。

それは鈴の想定していたスピードを超えていたのだ。


「うぇ!?ぶふぅぅ……。」


鈴は顔面にビーチボールを当てられそのままひっくり返る。

水面にぶくぶくと空気の泡が水中からでている。


「やり過ぎたかしら。」

「魔力を使うことは無かったんじゃないかのう…。」

「おもいっきりって言われたから…。」

「ところで鈴は何処に行ったのじゃ?」

「あら?ボールもなくなってるわね。」


二人が疑問に思っていると後ろに水しぶきが上がった。


「隙有り!」

「む!?」


鈴は思いっきりビーチボールをアタックするとそれは飛鳥に向かって一直線に飛んでいくが…


「甘いのぅ。」


片手で弾かれてしまった。


「ちくしょー!」


鈴はそう言いながらまた沈んでいった。

すぐに浮かんできたが鈴の遊びは始まったばかりだ。





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