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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
57/217

焼肉セット

飯テロ注意




新たに飛鳥が仲間に加わり戦力が上がった一行は以前より進むスピードが早かった。

遭遇する魔物の制圧速度もあるが、なによりもアラスのやる気がうなぎ登りである。


「アラスやる気満々だな。」

「おそらくスズのセリフが原因だ。」

「うほほほおおおい!やっほおおおい!」

「煩いわね。」

「そうじゃな。」

「なんでだろうねー。」

「スズ、それ本気で言ってる?」

「うん?」


するとそこへいかにも小物臭漂う盗賊が姿を表した。


「おい!そこの荷物と武器を置いてけ!ついでに女もな!」

「おぉ、調度良い。先ほど説明した妾の国の魔法の使い方を見せてやるぞ。」

「それはいいな。頼む。」

「では…まず魔力が少ないイルミス、アーム、アラス殿はこのように近づき一瞬だけ魔力を爆発させ瞬時に移動する。」

「なにぃ!?消えただとぅ!?」

「そして敵を打つ!」

「うっ…。」

「峰打ちじゃ…。」

「お、お頭がやられたー!」

「怯むな!お頭の仇を取れ!」

「殺してはいないのだのだけどのぅ…。そして武器に魔力を込めるには己の体と武器を一心同体にする必要がある。体に流れる魔力を武器にも流し込み武器を手足のようにする。そして、攻撃するのじゃ!」

「は、はや―グフ…。」

「剣速や攻撃力が大幅に上がるし、魔力を通す事により耐久力の向上にもつながるのじゃ。」

「な、何だこの女!こ、この―」

「そしてこの二つの動作を組み合わせるとじゃな…。」


そう言うと飛鳥は残り一人の背後に回りこみ、峰打ちを行った。

しかし、峰打ちとは思えないほど吹き飛び地面に顔を擦りつけながら気絶したのだった


「こうなるのじゃ。わかったかのぅ?」

「難しいな。まず俺たちは魔力操作から始めないとならないからな。」

「この動作は循環系の魔力操作じゃ。攻撃の放出系とは違うからのぅ…染まってないお主達にはいいかもしれぬ。」

「そうか。リール国アルゼリア街に到着したら練習してみるか。道中では警戒が疎かになるからな。」

「そうじゃな。そうしようぞ。」

「で、こいつらどうする?」

「放置でいいんじゃないか?装備もろくなものつけてないし。」

「それに小物臭いしのぅ。」

「それでは進もう。」


六人は気絶した盗賊(小物)を放置して先に進むのであった。






「いてて。おい!野郎ども大丈夫か!」

「へ、へい。お頭も大丈夫なんですね!」

「お頭心配しましたぜ…。」

「あ、お頭!次の獲物が来やしたぜ!」

「よしお前らいくぞー!」

「おぉー!」


その後適当にあしらわれ放置されたのは言うまでもない。







「よし、今日はこのへんで休もう。近くに村はないからな。」

「寝道具なら任せてください!」

"テントね。"


人格が変わると道のそばに大型テントを出現させる。


「はい、これが寝る場所だよ。」

「うーむ。やはり謎じゃな。」

「いちいち突っ込んでたらキリがないわよ。」

「俺とアームの交換警備するからお前たちは寝てていいぞ。」

「了解」

「恩に着るわ。」

「申し訳ないのぅ。」

「いや、俺も警備するぜ!」

「アラス、お前は荷車引っ張って疲れてるだろ。明日疲れて動けないなんて話にならないからな。」

「いや、鈴ちゃんのお陰で元気百倍だぜ!」

『スズ責任もってね。くれぐれも私に押し付けないでね。』

"なんのことかな~?"

『…。』


リンは面倒臭いことになりそうな気がしつつテントの中へ入っていった。


「あ、入り口はチャックになってるから出入りする時は閉めてね。」

「チャックってなんだ?」

「ここをこうしてこうすると閉まるの。」

「これは便利なものだな。」


リンはアームとイルミスにチャックの使い方を教えたのだった。

後ろでは飛鳥が物珍しそうに見ていた。


「うむ。やはり妾達とは違う概念を持っておるな。」

「それじゃよろしく。」

「任せろ。」

「俺もやるぜ!」

「お前は寝てろ。」


そんな言い合いをしている中、女性陣は寝る準備を始めていた。


「煩い…。」

「それじゃおやすみじゃ。」

「おやすみー。」

「よくあなた達寝れるわね…ってもう寝てるの?寝るのは早くて朝起きるのは遅いから困るのよね。」


アイリスも横になり寝ようとしたが、アラスが煩いためなかなか寝付けないでいた。


「ああ!煩い!」


アイリスは起きだすと杖を持ちアラスに向かっていく。


「だから俺は大丈夫だって言って―」

「沈め!」

「るがぃん!」

「ふん!」

「…。」


アームはアラスを適当な場所に寝かすと自分も仮眠に入った。

その後イルミスと交互に交代しながら夜をあかしていったのだった。




「ふぁぁああ。もう朝…。」

「よう、おはよう。」

「おはようイルミス。」


アイリスが目を覚ますとイルミスが座っていた。

そして相変わらず鈴は目を覚ます気配はない。

さらに飛鳥も同様だ。


「…俺はアラスを起こす。アイリスは二人を頼んだ。」

「分かった。<水よ。我が魔力を糧にここに集い水球となせ。ウォーターボール>」


水球が鈴と飛鳥に落ちる瞬間、鈴だけ透明なカバーが展開され水の直撃を避けた。


「冷たい!なんじゃ!何事じゃ!」

「…おはよう。」

「おはよう。鈴それは何?」

「プラスチックのカバー。攻撃を察知して展開した。」

「服がびちょびちょじゃぁ…。」

「大丈夫。魔法の水だからすぐに乾くわ。」

「そうか。なら問題ないのぅ。」

『スズ起きて。』

"…"

「アイリス。今からスズに変わるから水かけてあげて……フフフ。」


リンはプラスチックのカバーを消すと人格を入れ替えた。


「…ぐぅ…。」

「<水よ。我が魔力を糧にここに集い水球となせ。ウォーターボール>」

「!?づめた!?」

"あはははは!"

「寝た時はリンだったのに…まさか!」

「そのまさかね。」

『リン!!』

"ちゃんと攻撃の気配を…察知しなきゃ…ぷっ…駄目だよ…。"

『わざとやったね!このこの!』

「スズ殿何をぼーっとつったっておる?」

「脳内戦争!」

「この間も言っておったがリンとやってるのかえ?」

「そう!」


スズが脳内戦争を初めてから数分、アラスもイルミスに起こされた。


「ほらいつまで喧嘩してるの。いくわよ。」

『今日はこれぐらいにしてやるんだからね!』

"今度はもっと早く起きるんだよー"


スズはテントを消すとMP5SD3を創造する。


「準備完了です。」

「今日は曇りか。」


テントが消えたことにより外の様子がわかるようになったテント組は空を見上げた。


「一雨来そうだな…なるべく早くリール国アルゼリア街に到着するぞ。」

「了解サー。」


全員が街に向けて歩き始める中、相変わらず元気なアラス。

今日はなにかを言いながら荷車を引っ張っている。


「ねえ、アラスさん何か不気味じゃない?」

「スズが原因でしょ。」

「何か言ったっけ?」

「忘れたの?スズ、貴方"アラスさん!頑張ってください!…アラスさんの男っぷりを見たら惚れちゃうかも? ”って言ったのよ?」

「あぁ!思い出した!そんなこと言ったねぇ。」

「それは完璧スズ殿が悪いのじゃ。」

「えー。それを本気にしちゃうのが悪いんじゃないの?」

「それを冗談と受け止めると思う?」

「……思わない。」

「でしょ。」

「アラス殿はそんな色魔なのか。妾も用心せぬと…。」


女性陣はこそこそと話をしている。

アラスを除くイルミスとアームは時折聞こえてくる言葉からアラスの事だと察した。


「なぜ女性はこそこそと話すのが好きなのだろうか。」

「イルミス、俺に聞くなよ。」

「フフフ…フフフ…鈴ちゃん…フフフ…。」

「今のアラスはとてつもなく気持ちが悪いな。」

「あぁ。そうだな。」


街道を歩いていると目の前に豚のような動物の群れが現れた。


「イルミス、あれはフィグじゃないか?」

「お、そうだな。最近まともに飯食ってないし捕獲するか。スズちょっと来てくれ。」


「なんですか?」

「あの中ぐらいのフィグを撃ってくれ。」

「フィグ?わかりました。」


鈴は内心豚みたいな生き物が列を組んでると感じていた。

そして列の中央辺りにいるフィグに向かってMP5SD3の引き金を引く。


銃弾がプスプスと発射され薬莢が落ちる音とともにフィグは血を吹き出し倒れた。

突然のことにフィグの群れは混乱を起こし勢い良く走って行ってしまった。


「よし。」


イルミスは倒れているフィグを掴むとこちらに持ってきた。


「少し早いが昼飯にしよう。これ焼けるか?」

「え?私?えっと…リンならできるかも知れません。」

"任せなさい。"

「大丈夫みたいです。」

「なら俺はこいつの臓物と血抜きをしてくる。」

「では私は焼く準備しておきます。」

『リン、任せたよ。』

"あいあいさー"


人格を入れ替えるとリンは焼き肉の道具を創造する。

それは1メートルほどある電気式の道具だ。

銃を消すと更に発電機を創造する。

全く知識が無いわけでは無いので矛盾は最小限で抑えられる。

この道具は実際にホームセンターで売っていたものをリンが記憶から呼び起こしたものなのだ。

発電機は銃と同じく燃料が最初からフルで入っている。


『これぐらいなら許容範囲かな。神さんから何も言ってこないし。』

"そうじゃない?"

『思ったんだけど、ワゴン車出して走っていけばすぐに着くんじゃないの?』

"のんのん!それじゃロマンが無いでしょ!郷に入れば郷に従え。異世界に入れば異世界に従え。そういうことだよ。わかったかねワトソンくん?"

『はいはい。』

"こいつ…。"


リンが発電機に一緒に出てきた鍵を運転位置に捻り、始動グリップを勢いよく引いた。

唸るような音とともにドドドドドと言う音と共に発電が開始される。


「何これ…。」

「なんじゃこれは…。」

「さすがリンちゃん!凄いもの出すんだな!」

「リン。これは何だ?」

「この煩いのが電気…雷と同じものを発電…作り出す装置で、こっちのでかいのが肉を焼くテーブルみたいなもの。」

「電気?雷って事はあの空から降ってくる光のことね。そんなものをどうやって…。」

「私の世界ではごく一般的に幼い子供から老人まで使う生活の要だよ。で、ここのスイッチを入れると…。」


そう言うとテーブルに搭載されているヒーターが稼働し、鉄板が熱を帯びていく。


「この鉄板熱いから気を付けてね。肉をつかむ道具は持ってる?私これ以上出せないから。」

「道具の中に鉄の串があるわ。旅の必需品ね。」

「妾は木だがあるぞ。」

「ということだし皆あるか…。私も荷物の中にあるしそれに刺して食べれば大丈夫か。」

「血抜きと臓物終わったぞ…なんだそれ。」

「リンの世界の焼き肉道具だって。」

「そうか……その道具で焼くには薄く切っていけばいいんだな?」

「イルミス正解。厚さはだいたい一センチぐらいでいいよ。」

「了解、少し待ってろ。」


イルミスがフィグを捌いていると同時に鉄板も温度が上がり温まっていく。

そばではまだ慣れていない飛鳥が物珍しそうに見ている。


「これは鉄か。こんなに加工できるとはリン殿の世界はすごいのぅ。」

「そういえば、飛鳥の刀の名前って何?」

「?武器に名前をつけるの?」

「そうじゃ。刀には一本ずつ名が付けられておる。」

「ほう。それは興味深いな。」

「妾の刀は流星刀の一振り。夜桜月下(よざくらげっか)と言う。夜、桜の下に空から降ってきた鉄で鍛えられたと言われる故にそういう名が付いたらしいのじゃ。」

「空から鉄が降ってきた?」

「隕鉄ってやつだよ。」

「リン殿は知っておるのか?」

「知ってるよ。少なくともスズよりかは知識がある。」

"失礼な!"

『叫ばないで…。』

「?どうした?」

「いや、スズが叫んで頭に響いた。」

「そうか。」


飛鳥と話をしていると後ろから声が掛けられた。


「とりあえず切り分けたぞ。自分の串で焼くといい。」


そう言うと各自自分の持つ串で肉を刺し鉄板の上に乗せていく。

辺りに肉の焼けるいい匂いが充満し始める。


「食欲がそそられるな。」

"リン!私食べたい!"

『ちょちょちょ!』

「よし!」

「?」


飛鳥が不思議な目でこちらを見つめている。


「スズか?」

「あれよくわかったね。」

「なんとなくまとっている雰囲気が違ったからのぅ。」

「お主やるな!」

「フフフ。褒めるでない。」


スズは喋りながら肉をひっくり返す。


「ミディアム~ミディアム~。」

「何かの呪文かしら…」

「鈴ちゃーん、アイリスちゃーん、飛鳥ちゃーん一緒に食べようぜ!」

「いいですよ。」

「セクハラしないならいいわよ。」

「うむ。」

「俺がするわけ無いだろ?」

「説得力ないよ。」


鈴とアイリスが同時にアラスに言い返したが、本人は気にはしていないようだ。


「さてお肉お肉!」


串を肉に差し込むと、そのままかぶりつく。


「ん~!おいひぃ。」

「…ん。おいしいわね。」

「うむ。おいしいのぅ。」

「両手に花で食べる飯はうまい!」


テーブルの反対側ではイルミスとアームが黙々と食べていた。


「なぁイルミス。」

「いうな。」


その後早めの昼食を取ったイルミス達は再び移動を始めるのであった。

鈴は消音効果でお馴染みのMP5SD3を手元に創造している。


「このままいけば夕方までには街に着くことができるな。」

「俺とイルミスでギルド行ってくるから、宿の確保頼む。」

「了解サー。」


時は進み夕刻。

関所を抜けたイルミス達は無事リール国アルゼリア街へ到着したのであった。




車やバイクは出そうと思えば出せますが、リンの能力では大きな矛盾が発生しますし、知識や構造がわからないため内部が謎空間になりとても乗れたものではありません。(矛盾が大きいため神から注意を受けることになる。

リンの能力はあくまでも形と結果を付与し創造するため知識や構造がわからなければそれだけ世界に負荷や矛盾を生むことになります。

通常0からは何も発生しませんがリンの場合0からでも答えという物が発生します。

おかしいですよね。

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