表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
53/217

潜入任務





「おろ。終わっちゃってたのね。」

「あら、鈴。遅い到着だったわね。」

「これでも三箇所回ってきたんだけど…。」


鈴が辺りを見渡すと焼け焦げ爆散した魔物の死骸が大量に転がっていた。

その中でも気になったのは丸く炭化した後が無数に空いている魔物の死骸だった。


「ん~?アイリス新しい魔法でも作ったの?」

「作ったわよ。鈴のアサルトライフルだっけ?あれを真似してみたんだけど。」

「おお!見せて!」

「いいよ。<蒼白の炎よ、我が魔力を弾丸とし敵を撃ち抜け。ファイヤーバレット!>」


アイリスは空に向かって杖を掲げ、魔法を発動させた。

杖の先端から魔力の銃弾が形成され空に向かって連射される。

魔力の弾丸は炎で形成されているためよく見える。


「おお。この魔法は小型専用っぽい?」

「そうだね。中型タイプには炎弾のほうが効率が良さそう。」

「あの~。話してるところ悪いんですが、魔物の死骸燃やしてくれませんか?」

「ん?いいわよ。」

「あ、それじゃイルミスのところに報告しに行ってくるね。あ、アラスさん!北側の魔物の処理わからなかったので…アラスさん…よろしく置い願いしますっ!」

「よーし任せろ。俺が綺麗さっぱりやってあげよう!」

「それじゃ、私戻りますね。」


鈴はそう言うと東側に戻り始めた。




「アラス何してるの?」

「何ってナン―ぎゃあああああ!!」



イルミスの元に向かっている鈴は後ろから叫び声が聞こえてきたような気がした。


『今何か聞こえた?』

"気のせいじゃない?"

『そっか。』


鈴は89式を手に魔物の残党が居ないか確認しつつ歩みを進めるのであった。





「本当に助かりました!」


そう言っているのはこの村の村長だ。


「いや、厄介事にしてしまったのは俺たちだ。それは他の冒険者に言ってやってくれ。」

「しかし、貴方の説得と統率でこの村は救われました。」

「いやしかし…。」

「少ないですが、お礼をさせていただければと。村の貯蔵庫から冒険者達に食料を分けさせていただきます。」

「それは!今この状態でそんなことをしたら村がより一層苦しくなるだけだぞ!」

「そうですよ!私達は大丈夫です!」

「おい鈴。よだれ垂れてるぞ。」


鈴はハッっとした顔で涎を拭い去るともう一度同じことを言うのである。


「私達は大丈夫です!」

「ハハハ。お嬢ちゃん無理しちゃいけないよ。今持ってくるから待ってなさい。」

「鈴…。」

「いや~あはは…。スミマセン…。」


その後村長は村を守ってくれた冒険者に少ない食料を配り一人ずつ感謝の言葉をかけて行ったのだった。


「さて…宿に投げ込んできたあいつ引っ張ってくるか。」

「次の目的地は隣の村ですか?」

「そうだ。どうやら隣の村は人身売買や不正な事をしているようだ。放っておけばまたこの村が襲われるかもしれん。」

「そうですね。イルミスさんに従いますよ。」

「そりゃ心強い。」

「それじゃ宿に一回戻るか。」


イルミスと鈴はアラス、アーム、アイリスを呼び戻すと宿へ戻った。

宿のカウンター前では腕と足を縛られた男が未だ転がっていた。


「あの魔物の数を乗り切ったのか!」

「あぁ。こっちには隠し球があるんでな。」

「さーて。残りの知っている情報をすべて吐いてもらおうか?じゃなきゃリンちゃんのいた~いお仕置きが待ってるぜ?」

「わ、わかったから!」






「なるほど…つまり任務が失敗した今帰っても殺されるだけってことだね。」

「殺されるぐらいなら喋って捕まったほうがましだ…俺にそこまでの度胸はねぇ…。」

「魔物の襲撃も失敗したことはまだバレてないと見ていいのか。」

「そうだな。村の近くにいたら自分まで襲われるからまだバレていないと思う。」

「で、そこんところどうなんだ?」

「あ、ああ、その通りだ。あの魔道具を投げたあと村に帰ることになってる。今頃村は魔物に飲まれ壊滅したと思い込んでるはずだ。」

「と、なると早さが勝負だな。見ていた奴は俺たちがこいつを拷問していたのを見ていたはずだ。この村が無事だとわかれば証拠を隠滅されかねない。」

「でもさ、俺達ギルドの依頼受けてるぜ?それはどうするんだ?」

「村長の家で一旦預かってもらおう。この依頼には期限は無いしな。一、二日遅れても大丈夫だ。」

「顔も割れてるからこっそり行かないとまずいんじゃないか?」


アラスがふっとした疑問をつぶやいた。


「(不謹慎だけど…潜入任務キタコレー!)」

"聞こえてるよ。"

『ちょっと!聞かないでよ!』


スズは内心リンに言い返すと手を上げて言い放つ。


「はい!私が潜入します!」

「鈴がか?」

「はい!(ドキドキはつたいけーん!)」

「鈴、お前変なこと思ってないか?」

「え!思ってないですよ!ほら!潜入なら身体能力も高いし、身長だってちっさいし…ちっさいし……。」

"百四十九センチだからね。しょうが無いね。"

『うっさい!』

「鈴ちゃーん!小さいほうが可愛いよ~そして小さい胸もいい―いっ…はふうう。」

「!?」

「鈴!何をした!」


これにはイルミスもさすがに焦ったらしい。


「BBQ-901。ただの麻酔銃ですよ。」

「麻酔銃…?」

「九十分か百二十分で目が覚めると思います。そしてこれを使って潜入します。」

"また古い銃を出しますね~"

「それで撃たれると眠りに落ちるのか。」

「とりあえずアラスは宿に運んでおくぞ。」

「アーム、頼んだ。で、隣の村まではそれなりの距離があるがどうするんだ?」

「そこはリンの足を使って疾走します。夜になり次第村長の家に突入します。先ほどの話だと村には不釣り合いな家に住んでるそうなので見れば分かりますし、警備兵が居てもこれで無力化できます。」

「たしかにリンの早さなら到着するだろう。しかし本当に大丈夫か?」

「大丈夫です!いざとなったら正々堂々正面から隠れます!」

「正面から…?」

「それじゃ、私とイルミスはこの村で待ってるよ。ラターク街に戻る冒険者に兵士を呼んできてもらうからそれまでに捕まえておいて。」

「了解サー。」

「それでは鈴任せられるか?」

「はい!任せて下さい!」


鈴は宿を出ると捕虜にした人物から聞いた方向に走りだした。


『リン聞いたとおり。走って。』

"了解ー。"


リンとスズが入れ替わると走る速度が上がり、街道を疾走していく。

となり村は馬で半日の距離だ。

しかし、リンの走る速度は馬の早さを超えている。

夕方にはとなり村に到着するだろう。

リンは走っている途中で何人かの冒険者とすれ違ったが、すれ違う全員がリンの方を振り返る。


「な、なんだ?」

「気のせいかな…今女の子がとんでもない速度ですれ違ったような…。」

「俺たちは疲れているんだ…。人間があんな速度で走れるわけが無いだろ。」

「そうだよな。俺たち疲れてるんだよな。」


リンは村が近づくに連れて街道から外れ、村の影へと回りこんでいく。

この村には木の防壁が設置されており、いい隠れ蓑になる。

リンは防壁にそって移動すると一際存在感を醸し出している家の裏へと回りこむ。


『これだよね?』

"なんで村にこんな立派な家…屋敷があるんだろう。"

『人身売買で儲けた汚い金で作ったんでしょ。』

"それしかないな…。もう少し暗くなるまで待とう。兵士が到着するまでに制圧すれば良い話だからね。"


リンは防壁の裏で当たりが暗くなるまで待機すると、耳を澄ませた。


『足音なし。これより潜入する。』

"潜入といえばあのゲームよね…。"

『あの蛇のゲームだね。』

"そうそう!ダンボールとか必要かな?"

『…いらないと思う。』


リンはその場で跳躍し、防壁を乗り越える。着地の際に若干足音がなってしまったが、まだ屋敷の外壁の外なのか見回りの者は居ない。

屋敷の外壁に耳を当て、内側の音を聞き取る。

誰かが内側を歩く音が聞こえる。


『誰か居る。』

"音がしなくなったら侵入して。"


しばらくその場で待機するとリンはもう一度跳躍し屋敷の外壁から邸内に侵入した。


『敵影無し。どうする?』

"外の見張りを排除しよう。多分しなくてもいいだろうと思うけど。BBQ-901(麻酔銃)使う?"

『いや、大丈夫。』


リンは屋敷の影まで移動すると迫り来る足音に備えて待機し始めた。




「ふぁぁああ。ねっみぃなぁ…侵入者なんて居るわけ無いのにここの村長は何を考えているんだか…。さっさと交代して寝た―うっ!?」

『この手に限る。』

"…。"

『ここの壁際にでも置いておこう。うたた寝ってことにしておけば怪しまれないはず。さぁ、次へ行こう。』

"脳筋"

『違うよ?』



"正面入口に二人…これどうするの?"

『ん~。どうしようかな。』

"私にもやらせて!"

『ちょ、スズ―』


スズが無理やり表に出たのだ。


『よし。潜入任務だ!』

"で、どうするの?"

『私は脳筋じゃないからね。BBQ-901』


スズは屋敷の角から匍匐状態で麻酔銃を構えると首に狙いを定めた。

目標との距離は三十メートルほどであり、BBQ-901の射程距離は四十メートルだ。

スズは正面入口にいる門番に引き金を引く。

それと同時にすぐさまリロードを行いもう一人にも撃ち込んだのだ。


「いつ!」

「いて!」

「何が―ふえぁ…。」

「お、おぃ…。」


「(無効化完了。)」


スズは入り口に立っていた二人を引きずり、屋敷のドアの横に寝かせた。


「さて…どうやって入ろうかな。」


スズは当たりを見渡すと一箇所窓が開いている場所を見つけた。


『リン、あそこまで飛んで。』

"いいよ。"


スズとリンが入れ替わるとポケットに麻酔銃をしまい開いている窓まで跳躍する。

高さは五メートル程だったが、リンには余裕の高さだ。


そこは物置部屋のようだ。

色々な物が置かれ、埃を被っている。


"うへぇ…埃まみれ…。"

『じゃ、変わるよ。』

"ちょ、ちょっと!こんな埃っぽいところで―"




「(さて…屋敷の中に入ったけど…内部構造がわからないなぁ。)」


そう考えているスズの頭には埃が乗っている。


しばらく屋敷の中を進むと足音が聞こえてくる。


"後ろから足音だよ。"

『わかってる。』

"あと前からも。"

『と、とりあえず、この部屋でやり過ごそう!』


スズは隣にあったドアを静かに開けると部屋の中へ隠れる。

しかしその部屋には使用人と思われる少し痩せこけた少女がいた。


「あ。」

「え?ど、どなたですか?」

「あー。まだバレてないよね?そうだよね?」

"いや、バレバレだと思うけど…。"


そう言いつつBBQ-901を構える。


「え?そ、それなんですか!だ、誰か―」


引き金が引かれ、使用人の服を針が突き抜け麻酔が注入される。

使用人はあっという間に倒れこむ。


「おっとっと。」


スズはそれを支えると、近くにあったベッドの上に寝かせた。


「リロードっと。よし、次だね。」

"足音が遠ざかっていくね。"

『それは好都合~。』


スズはドアを少しだけ開けると廊下の様子を見る。

確かに鎧を着た見回りの兵士が遠ざかっていく。

スズは部屋から出ると、その遠ざかっていく兵士の後を付けることにした。

アシストのおかげで歩くことで足音を完璧に消すことができるため余計なことをしない限りは気づかれる恐れはない。


『ふふふ…こんなに近くにいるのにばれなーい。いえーい!』

"そんなに動くと振り向かれるよ。"

「ん?」


見回りの兵士が唐突に振り向いた。


「誰もいない…疲れてるのか。」


そしてまた歩き出す。


『せえええええええええええええふ!!』

"調子に乗るから…。"


スズは兵士が左から振り向こうとしたのを見て、すかさず右側に回りこみ兵士の視野から外れたのだ。


『このまま屋敷の中を探索~。』






『ん~。この人のルートには村長の部屋が無いみたい。』

"そろそろまた見回りと鉢合わせするよ。そこ右に曲がって。"

『了解。』





「んん~?何か見られてたような気配が消えたな。明日ちょっと休み貰って休もう…俺疲れてるんだな。」





スズは新しいルートを探索し始め、見回りの兵士を何人か眠らせていく。

先ほどの見回りの兵士でわかったのだが、どうやら固定のルートを回っているようだ。

それ故廊下に眠らせてポイしておいても問題ない。

あえてリスクを言うならば、使用人が部屋から出てくる恐れがあるということだ。

しかし、それはありえないことだった。

使用人の夜の退出は禁止されているのだ。


『よし余裕!』

"スズ、そろそろ一時間だよ。急がないと。"

『もうそんなに経つのね…よし!手っ取り早く使用人に聞いてみよう!』

"えっ!?潜入任務は!?"

『だって場所分からないし…。』

"そう…。"


スズは適当な部屋に目をつけ入っていった。

しかし、すぐに出てきたのだ。


『ここトイレじゃん!』

"あはははは!"

『わ、笑うな!』


スズは赤面しつつ、隣の部屋に入っていったのであった。





対人麻酔銃は化学兵器に該当するため採用している国が一国を除いてありません。

BBQ-901は中国で作られた麻酔銃になります。

wikiも動画もなく、書かれているページは中国語の為その当たり設定が甘かったりしますので…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ