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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
リール国と観光とアルニカ
52/217

旧世代の武器それはロマン




村に銃声が轟いたことで魔物の襲来を告げた。

冒険者には何事かと騒いだが、イルミス達はその音が何か知っているため冒険者達に魔物の襲来だと言い放った。



ドドドドっと銃弾がばら撒かれる音が目の前からしてくる。

それはターレットから撃ちだされる銃弾の音だ。


「弾数三八五発。ターレットはやはり無駄撃ちが多いな。」


リンはターレットの後ろでモニターを伺っていた。

村の周りからは次々に魔物がやって来ている。

しかし、射程距離に入った魔物からターレットが自動追尾し銃弾の餌食になっていく。

だが、次第に魔物の数も増えてきておりターレットがせわしなく動きが始める。


「残弾二百八十九発。向こうもそれぐらいかな?」


魔物のウェーブは止まること無く押し寄せてきており若干ではあるがターレットと魔物の距離が縮まってきている。

そこへ警告音が鳴り始めた。


「残弾百四十六発。これは足りないかな。」


ピッピッピッと音が鳴り始めてから数十秒が経過するとその電子音は徐々に早くなっていき、ついにはピーと言う長音とともにターレットが止まってしまった。


程なくして西側から聞こえていた銃声も聞こえなくなり二門のターレットの機能が停止した事がわかった。


『変わるよ。』


そう言うとスズの人格が出てくる。目の前のターレットを消すとM249を手元に出現させる。

更にM249とともに背中にバッグが現れた。

このバッグは弾薬バッグなのだ。

これによりM249で撃てる弾数は五百~八百発まで膨れ上がる。


「よし。やってやる!」


そしてM249から5.56mm弾が迫り来る魔物に向けて放たれた。

5.56mm弾薬ならば八百発まで連射可能だ。

ターレット二個分の容量を持つが、何せ敵の数が多い。


「うらららら!」

"多いな。航空支援がほしいところだね"

『無いものねだりしたって仕方がないでしょ!』


スズは順調に魔物を倒していくが、最初に撃ち始めた時より発射レートが下がっているのに気がついた。

銃身が加熱し、若干赤みを帯びている。


マシンガンといえども企画外の弾数の連射で負荷がかかり始めているのだ。

このままでは変形やパーツの破壊を起こし、撃てなくなってしまう。


「でも!敵もあと少し!なんとか乗り切れ―なかったあああ!」


突然M249が止まってしまったのだ。

スズは原因の解明をする前に新しい武器を出現させる。


「これでも喰らえ!」


スズの両手には火の着いた瓶が握られていた。

それをアチラコチラに投げては出現させ投げては出現させを繰り返していた。

燃え出したそれは魔物に引火しあっという間に当たりが魔物の焼ける匂いで充満し始めた。


「もっかい!M249!」


先ほどと同じ装備がスズに現れた。

そして迫り来る魔物に向けて銃弾をなぎ払うように放つ。


「これでどうだあああ!」

"魔物の数も減ってきたね。これで打ち止めじゃないかな。"

『だといいね!』


スズは銃弾を撃ち続けそろそろ右腕の感覚がなくなってきた頃だった。

目に見えて魔物の勢いも減ってきたのだ。


「これで終わり!」

"終わりだね。"

「ふう…。辺り一面魔物の死体ばかり…住民が見る前に燃やして…いや、素材が…アラスさんに頼もう!」

"ちょろいスさんか。"

『誰それ。』

"だってアラスちょろいし。"

『そんな事言うなよ!いいか!絶対だぞ!』

”そんな棒読みで言われてもね。"


スズはリンとの会話を終わらせるとリンに交代する

一応遅れてきた魔物ようにターレットを一門新しく設置しなおしておくことにしたのだ。

そして西側の様子を見に走って移動するのである。

自分のところが終わっていてもまだ他のところが終わっていない可能性もあるのだ。


『そういえば剣使ってない。』

"もう使わないんじゃない?"

『そうだね。ちょうど腰に付けられるし持っとくだけ持っておくか。』


村の中を通り過ぎ西側へ行くと動作を停止し地面に倒れ破損しているターレットと押され気味の冒険者の姿があった。


「あの煩い魔道具でかなりの数が倒されたが、これでも魔物が多い…ぞ!」

「最初はあんなにすごかったのに…!魔力切れかし…ら!」

「危ない!メティス!」

「え―」


メティスと呼ばれた冒険者は剣で魔物と戦っていたが、後ろから不意に魔物が接近しその鋭利な爪で切り裂こうとしていた。

女性用の革防具ではひとたまりも無いだろう。


「おりゃああああああああ!!」


メティスは絶望の表情を浮かべて迫り来る攻撃に硬直していたが、魔物が隣から突っ込んできた影に吹き飛ばされていった。


「え?」


突っ込んできたのはリンだ。

冒険者が魔物にやられそうなのを見て全力で魔物に突っ込んだのだ。


リンと吹き飛ばされた魔物は魔物の群れの中へ突っ込んでいった。

そして血吹雪が上がった。


『何気に役に立ったね。』

"ちょっと!私の体!"


リンは腰に携帯していた剣を振るい、魔物を斬り裂いていた。

圧倒的な力に魔物は一刀両断され、リンの蹴りなどにより内蔵破裂を起こした魔物が地面に転がり痙攣を始める。


「ほら!ぼーっとしてないで戦う!」

"数が多いよ!力任せの戦い方じゃ剣が持たない!と思う"

『だろうね。』

リンは迫り来る魔物を武器屋で適当に選んだ剣で応戦する。

剣は当然鉄製であり、イルミス達のように鋼でできているわけではない。


『なんか切れ味悪くなってきた。』

"そりゃあ骨ごと切り落としてたら…"


リンが魔物のど真ん中で戦っているため魔物の注意がそっちに向き先ほどの冒険者達は端から魔物を駆逐していく。


「そっち大丈夫~?」

「こっちは大丈夫だが、あんたこそ大丈夫なのか!?」

「私は大丈―剣が折れた。」


受け答えをしていると魔物を両断した時に剣が折れてしまった。

リンの力に耐え切れず折れてしまったのだ。


"敵を踏んで空に飛んで!"

『了解。』


リンは力強く魔物の頭を踏むと上空へ飛び上がった。


「よし!行くよ!ベレッタM92F!」


五メートルほど空に飛び上がり、リンはスズに変わり両手に武器を出現させた。

スズは落下しながらも銃口を魔物に向けると両手に握るベレッタで射撃を行った。

頭上からの射撃になすすべもなく魔物は体を撃たれていく。

アシストのおかげで現在スズはガン=カタ状態にあるためリンが跳躍した高さからでも難なく着地してみせる。


スズは着地後もすぐに動き出し魔物に隙を与えずに攻撃に移った。

全方位から攻撃を受けるがアシストをフルに活用し銃弾を撃ちながら回避していく。


冒険者からは魔物の中でスズが踊っているように見えるだろう。

そして当たりには次第に銃弾の発破で発生する硝煙の匂いで包まれていく。


「(ヤッハー!たっのしい!おっと弾切れだ。)」

"トリガーハッピーだなぁ。"


スズはぴょんぴょん飛び回り魔物に攻撃の隙を与えない。

銃弾がなくなった銃はそのまま魔物に投げつけ新しく二丁ベレッタを創造する。


程なくして魔物はスズと冒険者によって殲滅された。


「ふぅ。疲れたね。」

"数が数だからね。"


スズは座り込んでいる冒険者に声をかけた。


「お疲れ様です。」

「ああ、おつかれ。」

「あの時は助かったよ。ありがとうね。」

「いえいえ。」

「それにしてもあの煩い魔道具は凄いわね。自動で敵を倒すなんて初めて見たよ。だけど煩いのが難点ね。」

「目立つ武器だな。」

「でも不思議な武器よね。音と共に魔物が血を吹き出して倒れているんだからね。」

「そこは銃の特徴なので。」


火薬で高速で撃ちだされる銃弾を人間の目で捉えるのは困難だ。

故に冒険者達には音と共に魔物が倒れるように見えるのだ。


「イルミスさん達は終わったかなぁ。」

「見に行くか?」

「そうしましょ。いつまでもここに居ても意味は無いからね。」

『さすがにターレットを置いちゃうと武器が出せなくなっちゃうからここは置かなくていいかな。』

"そうだね。まあ、剣さえあれば私が戦えるけど。"

『また折りそうだからヤメテ。』

"まぁ、折るけどね。"

『おるんかい!』





スズ達はイルミスやアームがいる南側に向かって村の中を小走りで走っていた。

すると曲がり角からどこからか紛れ込んだのか魔物が顔を出した。


「89式5.56mm小銃。」


アサルトライフルを出現させるとそのまま魔物の頭を撃ち抜き止まらずに歩みを進める。

冒険者達は何処から武器が出てきているのか不思議でしょうが無いようだ。


"スズって出す武器古いよね。"

『だってゲームで使い慣れている武器のほうがいいじゃない。それに威力はあまり変わらないし、弾だって無限なんだから少し精度悪くても気にならない。』

"ふーん。"


実際にスズが使っている銃火器はレールガンを除き三世代ほど遅れているのだ。

世界各国では今使っている銃より進んだものが採用されている。


ゲームでは最新の銃火器も使えたのだが、スズはあえて旧式の銃を使っていた。

スズいわく古いものがロマンがある、だそうだ。


村の中を駆け抜け南側に到着すると魔物と冒険者が戦っていた。

鈴達の居る北と西の殲滅力が異常なだけでこれが普通である。

しかも今回は多勢に無勢と言う状況であるため尚更だ。


「イルミスさん!来ました!」

「援護してくれ!何せ数が多い!」

「では前衛の方は任せました。私は後方から援護します。」


そう言うと鈴は89式を構え、魔物に向けて発砲する。

5.56mm弾は魔物の体をいともたやすく撃ち抜き射殺していく。

獣型や人型の魔物が居るが、どれも胴体を狙って銃弾を打ち込む。

ヘッドショットを狙ってもいいのだが、外れた流れ弾が何処に行くかわからないからである。


三点撃ちの要領で敵を撃ちぬいていくがマガジンが空になりリロードを余儀なくされた。


「リロードします!カバーしてください!」


鈴はそう言うとすぐにマガジンを出現させ弾を込めなおす。

すると、前衛の冒険者が一匹の人型の魔物を逃してしまったのだ。


「後ろ行ったぞ!気をつけろ!」

「着剣!」


すると89式の先端に銃剣が装着された。

鈴は振り上げられた小ぶりの剣を銃剣で受け止め、相手を押し出した。

それにより魔物は後ろによろけ、その隙を付いて銃剣を装備した89式が突出された。


「せいやぁ!」


銃剣は人間で言う心臓当たりに突き刺さり、更に一発銃弾が撃ち込まれる。

魔物は断末魔を上げながら後ろへ倒れこんでいく。

銃剣が抜けた瞬間体から血が吹き上げた。


「うわわ。汚い。」


鈴は血を浴びないように少し後退すると再び撃ち始めた。

基本三点撃ちだ。

アサルトライフルはマシンガンと違ってフルバーストするものではない。


そして二マガジンほど使いきる頃には南の敵も殲滅され冒険者達が事後処理を行い始めた。

ある者は死体を一箇所に集め、ある者は周りを警戒し、ある者は怪我をしたものを介護していた。


「イルミスさん。このまま東に行ってきます。」

「気をつけて行ってこいよ。」

「はい!」


鈴はアラスとアイリスが居る東へと走りだした。


「おっとリロードしておかないと。」


鈴は走りながらリロードをこなすと東に向けて村を駆けて行く。

東に近づくにつれ何やらドドドドンと連続した音が聞こえてくる。


「なにこのの音?」

"アイリスがいるし、何かやらかしてるんじゃないの?"

『把握。』







「<蒼白の炎よ!世界に満ち溢れる膨大な酸素よ!我の力、魔力を糧とし、ここに集い炎よ弾けよ!蒼白の榴弾!>」


魔物が固まっている中心に蒼白の榴弾が着弾し、当たりに爆風と高熱をまき散らす。

それを受けた魔物は中心から炎上、衝撃波による物理ダメージ、飛んできた仲間に押しつぶされるといった被害が出ている。


アイリスがこの魔法を使うため前衛の冒険者は恐ろしく前に出れずに居た。


「ほら!前衛前に出て!」

「おま、アレじゃ巻き込まれるだろ!」

「煩いわね…。そうだ!鈴のあれを真似してみようかしら。ほら!さっきの魔法は使わないから前出て!」

「本当だな!使うなよ!いいか!絶対だぞ!」


前衛の冒険者は魔物に向かって突撃していき、後衛の弓使いの冒険者も魔物に向かって矢を放ちはじめた。


「詠唱はどうしようかな…んー。とりあえずこんな感じで…名前は…<蒼白の炎よ、我が魔力を弾丸とし敵を撃ち抜け。ファイヤーバレット!>」


アイリスの持つ杖は魔力を増幅し先端から蒼白の炎を弾丸状にした炎の弾丸を発射した。

一発に込められる魔力は比較的少ないものの、貫通力、熱量、連射力に優れ、撃たれた魔物は体表を蒼白の弾丸が貫通し内部でその込められた熱を開放し内部から焼き殺していく。

また、開放される際に小規模な爆発が起きるため体がはじけ飛ぶ魔物も居た。

アイリスはそれを冒険者に当たらないように毎分八百と言う連射力で魔物を圧倒していく。


「オーガの杖のおかげでかなり楽だわ。込める魔力少なくて済むからその分連射できるし…鈴のアサルトライフルを見てるから正確に魔法を形成できる。」


そして鈴がやって来た時には約半分の魔物が焼き殺されているというアイリス無双が終わった後だった。




要望にあった89式5.56mm小銃を改めて出させてもらいました。

こんな魔法、こんな武器等ありましたらぜひコメントください。

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