ジャンクフードと調べ物
アスタークは町中を歩きながら食堂と思われる場所を探していた。
「店、店、店、店ばかりで何処にあるのかわからん。そういえば財布の中身はいくらあるんだ?」
ふと気になったアスタークは何気なしに財布を手にとった。
財布は膨れており、少し重い。
「どれだけ入っているんだ?…なんだ三十万か…。」
アスタークはそっと財布をしまいこんだ。
「(!?三十万!?一ヶ月十万と言うわけか…。いや、学生なんだから一ヶ月十万も使わないだろ…。)」
若干あの神の金銭感覚があるかわからないが、この額は多すぎだろう。
しばらく道を歩くとなにやら目立った看板が見えてきた。
「アレは何だ?大きな英語の看板があるぞ。マルドナルト?入ってみるか。」
店内に入ると沢山の人が昼食をとっていた。
アスタークが気になったのは細長い黄色い何かを食べていることだ。
「あれは何だ?とりあえず注文してみるか。」
「いらっしゃいませ。注文はお決まりでしょうか?」
アスタークはメニューを確認すると、セット物があることに気がついたのでそれを注文することにした。
「このハンバーガーのセットください。」
「ハンバーガーのセットをお一つ。お飲み物は何になさいましょうか。」
「このコーラで。」
「コーラお一つ。店内でお召し上がりになりますか?」
「あぁ。」
「お会計四百八十円になります。」
「(細かい金銭がない!)…すみません、一万円でお願いします。」
「一万円からお預かりします。お釣りは大きい方から九千円と五百二十円になります。こちらレシートになります。」
釣り銭を受け取るとそれを財布にしまう。
「右側にずれてお待ちください。次の注文が決まっている方どうぞ。」
アスタークは横に一歩ずれると食べ物が出てくるのを待った。
その際厨房の方を見ていると、例の細長い物を何かに入れているのが目に入った。
しかしそれはまだ見た色とは違い白身がかかった色だったが、再度出された時には焦げ目が少しついたものもありきれいな黄色になっていた。
そして明るい電気が付いている場所にこぼすと何やら白いものが振りかけられた。
それと同時に真ん中にシートにくるまれた何かが置かれ、それと同時にアスタークの目の前に色々と置かれていった。
「ハンバーガーセットのお待ちのお客様お待たせしました。ごゆっくりどうぞ。」
「ありがとう。」
アスタークはそれを受け取ると、近くの開いている席に座り食べ始めた。
「これはじゃが芋か。それに塩を掛けたものだな。フライドポテトと言うのか。なかなか美味しい食べ物だ。飲み物はコーラというものだが、どういうものなのだ?」
アスタークはストローでコーラを吸うと、口の中に弾けるような間隔が広がった。
「!?」
一瞬驚いたがなんとかそれを飲み干す。
「(ああ、びっくりしたな。コーラとはこういう飲み物なのか。さて、次はハンバーガーだな。)」
包まれているシートをめくり一口かぶり付く。
「(お、これもなかなか美味しいな。パンで肉を挟んだ料理だな?中には家にもあったケチャップが入っていて…ん?このカリカリしたものは何だ?まぁうまいからいいか。)」
アスタークの手は止まらず、ポテトやハンバーガー、コーラを次々にたいらげて行く。
「ふう。美味しかったな。こんどまた来てみよう。」
アスタークは店の外にでると、また町中をさまよい歩き始めた。
その後夕方になるまで町中をめぐり歩いたアスタークは家の近くまで帰ってきていた。
「今日はいい日だったな。少し喉が渇いたな…あそこにコンビニがあるから何か飲み物でも買っていこう。」
そうと決めたらアスタークは早速コンビニに入っていった。
入るといらっしゃいませっと声がかかる。
どちらの世界も店員の客への接し方はおなじようだ。
「飲み物はっと、茶でいいか。」
棚からお茶を取り出すと、ついでにあたりの売り物を観察しつつレジへと商品を差し出す。
「お?正明じゃないか!」
「ん?あ、護じゃないか、こんなところでなにしてるんだ?」
「なにしてるってバイトだよ。バイト。今丁度お客が居なくて暇だったんだ。」
「へー。そうなのか。」
「正明はバイトしてないのか?…百二十八円な。」
「バイトはしてないしやったこともないな。…二百円でよろしく。」
「これから忙しい時期なるんだ。どうだ?ここでバイトしてみないか?店長に正明の事進めてみるからよ。…釣りは七十二円な。」
「俺もバイトしてみたいから頼めるんだったら頼むよ。」
「じゃ、ここに電話番号書いてくれるか?あとで店長に渡しておくから。」
「おう。(確か電話番号は…携帯でいいか。)」
アスタークは自分の携帯の電話番号を書き込むとそれを護に手渡した。
「じゃ、上手く言ったら店長から連絡行くと思うからその時は履歴書もって来てくれ!」
「了解。それじゃまたな。」
「おう。ありがとございましたー。」
アスタークはコンビニから出ながら買ったお茶のキャップを開ける。
それぐらいの知識は入っているので難なく開けれるのだ。
「冷たくて美味しいな。温かいお茶もいいが、冷たいお茶もいいものだ。」
お茶を飲みつつ家への帰路につく。
十五分ほど歩くと自分のマンションが見えてきた。
「あと少しだな。」
もう少し歩きマンションの自動ドアを通りオートロックを解除すべく端末に鍵をかざした。
かざすと同時に機械音がなりドアが開いていく。
アスタークはそれを通るとマンション内に入っていった。
数秒後ドアは閉まりロックが掛かった。
「階段よりエレベーターのほうが楽だな。呼び出しボタンを押してっと。」
ボタンを押すとすぐにエレベーターがやって来た。
近くの階で止まっていたようだ。
エレベーターに乗り込むと自分の部屋がある階層番号ボタンを押す。
ドアが閉まりゆっくりと上昇していく。
七秒ほどだろうか。
ドアが開き目的の階層に到着した。
そして家のドアの鍵を開け、部屋の中へ入っていく。
「ただいま。」
「あ、おかえり~。外どうだった?」
「楽しめたよ。あともしかしたらバイト始めるかもしれない。」
「正明が…アルバイト?私夢でも見てるのかしら…正明が自立してくれるなんて…およよ…。」
「母さん、俺を引きこもりみたいに言わないでくれ。」
「実際そうだったでしょ。」
後ろから突っ込みが入る。
振り返ると妹が居た。
「まあ…それはそうだったが…。」
「ふん。」
そう言うと違う扉に入っていった。
あの扉はトイレだ。
「ま、まぁそういうことだから。部屋に戻ってるよ。」
「うん。」
部屋に戻るとパソコンの電源を入れる。
OSが立ち上がっている間に携帯の充電と財布、鍵などを片付ける。
デスクトップ画面が表示されたディスプレイがアスタークの目に入り、椅子に座り操作を始めた。
「さて、気になった事は全部調べてやろうじゃないか。魔法使いは探求する者だ。」
ブラウザを立ち上げインターネットに接続する。
すぐに検索サイトが表示され、そこに文字を打ち込む。
「ええっと、天気予報の仕組みっと。」
すると何万件もの検索結果が返ってくる。
もちろんすべてを見ることはできないため一番上にあるサイトから見ていくことにした。
「このサイトで調べてみるか。」
簡単に説明すると天気予報とは過去のデータ、地上、空中、宇宙の3つからなる観測機器を用いてデータを取得し、それを物理学の計算式で時間変化の計算し未来の予報をすると言うものだった。
使われるコンピューターはスーパーコンピュータと言う通常のコンピューターと比べ物にならないほどのスペックを持つコンピューターを使っているらしい。
「なるほど…星の環境データから未来を演算しているのか。科学というものは凄いな。魔法ほど融通は効かないが、科学は物事の原理から応用すること。人類がこの世のすべてを解明したら魔法など足元にも及ばなくなるだろうな。魔法は不確定要素が多いからな。さて、まだまだ調べたりないぞ。次はこのパソコンについてだ。これは不思議すぎる。」
アスタークは検索サイトに戻るとパソコンの仕組みについて調べ始めた。
普段何気なく使っているスマートフォン、パソコンなどの情報機器がどのように動いているか。
一般人には動けば良いと思われているが、一体どうやって動いているのか。
アスタークは科学者でもなければIT系の人間でもない、魔法使いの探究心からこの事柄が知りたいのだ。
「パソコンの仕組みを理解できればスマートフォンも理解できるはず…。」
アスタークはワードを元に検索し、webサイトを開くとパソコンの仕組みについて文章で綴られていた。
「ふむ……なるほど…難しいな。中央演算処理装置、主記憶装置、補助記憶装置、そして入出力装置か…入出力装置はキーボードとディスプレイだろう。中央演算処理装置は人間で言う頭か?主記憶装置はテーブルで補助記憶装置が入れ物と考えればわかりやすいか…?」
その後も調べ続けある程度わかってきた。
それをまとめるとこうなる。
入力装置から入力されたデータは主記憶装置に記憶され、制御装置が演算装置にデータを演算するように制御し、演算結果が主記憶装置に戻り、出力装置へ出力される。必要に応じてそのデータは補助記憶装置に格納される。
これがコンピューターの大体の流れだとアスタークはなんとか理解した。
これはハードウェア上の動作でまだソフトウェアの動作は理解してはいない。
「ハードウェアはだいたい分かった。ソフトウェアはどうなっているんだ?まずOSがあって、その間にミドルウェアがありその上にソフトウェアが存在しているのか。ん?ここだけ読むと魔法ににているな。人体というモノがあり、その間に魔力がありその上に魔法が成り立つ。ソフトウェアの動作はだいたいこんなものなのか…しかしこのソフトウェアをどうやって演算しているんだ?」
アスタークは続きを調べたが、難しい文字の羅列が画面に表示されかなり難しいようだ。
「…要はプログラミング言語でソフトウェアは動作しているのか?それは魔法の詠唱と同じようなもの?特定の動作をしたいときは特定の文字列を書くことによりそれを演算させる。魔法も発動させたい種類によって言霊を変え詠唱する。プログラミングと詠唱は同じようなものなのか?」
アスタークは魔法との共通点をパソコンから見出していた。
プログラミング言語とは魔法の詠唱時の言霊と同じようなものであると理解する。
「ならあのギルドネットワークもプログラミングと同じ要領で術式を組めば…ギルド間の通信は魔力をプログラミングで変調させ混合しないように通信し、魔力を特定の波長の高さで判断し、処理すれば文章も魔力で送れると言うわけか。このページに書いてある通りの推測ならギルドネットワークを完璧に理解することができる。」
アスタークはこちらの世界に来てからギルドネットワークの仕組みを理解し、科学と魔法の知識によりアスタークの魔法は飛躍的に進化した。
しかし、魔法という概念がないこの世界では魔法を使うことができないため宝の持ち腐れである。
ふっとアスタークは気になったことがあった。
平和なこの世界の軍事である。
どんなに平和な世界だろうと軍隊の一つや二つある。
調べたアスタークは驚愕した。
地を走る火を噴く鋼鉄車(戦車)、海に灰色の鋼鉄の島(空母)、空をとぶ鋼鉄の鳥(戦闘機)。
VRFPSでは見れなかった物だらけだ。
「凄いな…特に空母というものはどうやって作っているんだ?あんな巨大な鋼鉄の船を…。いつかあれが動く日が見れるのか…いや、動かないほうがいいに決まっているな。平和が一番だ。争い事は憎しみしか生まないからな。」
アスタークはその後もわからないことや魔法と似通ったものがないか調べていた結果、蒼白の炎は小学校で習うレベルのことだと知って落胆したのであった。
「はぁ。蒼白の炎はただの酸素の供給具合が高いだけで小学校で習うレベルとは…何か虚しいな…。しかし、こちらの技術を使えれば魔法は飛躍的に進化するだろうな。」
遠い目をしながら天井を見据える。
「あいつら今頃なにしてるかな…それにあいつを倒しに行く前日だったからな…どうかあいつの好きにはさせないでくれよ…。」
アスタークはそっと目を閉じた。
ええ。もちろん棒Mの店です。
前回の大型モニターもモデルは新宿です。
舞台は東京です。




