町中見学 家電量販店
次の日の朝、今日は土曜日だ。
現在時刻は七時二十分である。
「今日は学校休みか。少し外でも見まわってみよう。」
アスタークは寝着からラフな格好に着替えると部屋からでてリビングへ向かう。
「おはよう。」
「まあ!珍しいこともあるのね。正明が土曜日の朝起きるなんて!ちょっと待っててね、朝ごはん作るから。」
「ありがとう。」
アスタークはリビングにあるテレビをつけるとニュースを見始めた。
ニュースでは今日の天気予報が流れていた。
「今日は一日快晴でしょう。気温は26度と少し高めですが良い一日が過ごせるでしょう。次は一周間の天気予報です―」
「なぁ母さん。」
「うん?どうしたの?」
「天気予報ってどうやってやってるんだろうな。」
「知らないわよ~。それなら正明のほうが詳しいんじゃないの?」
「いや、全くわからん。あとで調べてみるか。」
アスタークは再びニュースに意識を向けた。
「―地区三一番道路で車五台が絡む交通事故が発生し、多数の怪我人を出した事件です。鈴鹿記者が現場に居ます。」
画面が切り替わり悲惨な光景が映し出された。
完全大破した車から中破、小破と規模は下がっているがアスタークにとっては驚き出会った。
鉄の塊である車があんなにも大破するのを始めてみるからである。
城壁や、外壁が大破したことなら見たことあるが、鉄の塊がこうもなるとは驚きである。
「現場の鈴鹿です。このように依然として大破した車が路上に転がっている状態です。先頭車両は電柱に突っ込んでおり、電柱は完全に折れてしまっています。この辺り一体は交通量も多く、速度が早いことで知られている場所で、近隣住民からはいつ事故が起きるか気が気でなかったと言われています。またあたり一体には立入禁止のラベルが張られており、警察が事故の原因究明にあたっています。」
「現場から鈴鹿記者がお送りいたしました。事故を目撃した市民のインタビュー映像がこちらです。」
「事故発生時は何処に居ましたか?」
「ちょうど反対側の歩道を歩いていました。」
「では事故発生直後はどのような感じになっていたでしょうか。」
「本当に何がなんだかわからないうちに車がどんどんとぶつかっていって…最初に音が聞こえた時に振り向いたら車が電信柱にぶつかってて、それに車が次々にぶつかって行ったんです。」
VTRから再び画面が戻る。
「自己発生時現場は暗く、見通しが悪かったという情報もあり今後の警察の発表があり次第続報を届けたいと思っております。」
「すごい事故だねー。はい、朝ごはんね。」
「そうだな。ありがとう。」
朝食は焼けたトーストとベーコンと目玉焼きが乗っているパンと味噌汁だった。
「いただきます。」
「はーい。」
「(やはりこの世界の飯はうまいな。質も味も違う。それに多種多様な食材で飽きが来ない。)」
アスタークはこの世界の食卓について考えつつ、朝食を味わって食べていたのであった。
「さて出かける前に物を持たなければ…財布と携帯電話?そういえば携帯電話とやらに触ってないな。これか?ずいぶんのっぺりしてるな。」
アスタークは画面の横に付いているボタンを押すと、画面が点灯した。
画面を触るだけで操作できることにアスタークは驚いていた。
「これどうなっているんだ?まあ、あとで調べよう。あ、あと鍵か。」
アスタークは財布と携帯電話、鍵を持ち、外に出かけようと外に出ようとした。
そこへ母がやってくる。
アスタークを見た母はおよよと泣き崩れる真似をしている。
「土曜日に早起きしたと思ったら出かけるのね!正明がやっと半ひきこもりから立ち直るのね…。」
「…(なんだかなぁ)。とりあえず少し外歩いてくるよ。昼は外で食べてくる。」
「うん。いってらっしゃい。何かあったら連絡するのよー。」
「了解」
そう言うと玄関の鍵を開けマンションを降りていく。
正面玄関の自動ドアを潜り、外にでる。
「さて町内でも歩くか…」
アスタークは何の当てなく適当に気の向くまま歩き出した。
強いて言えば、この世界を自分の目でもっと知るために、だ。
学校とは違う方向に歩き出したアスタークはこちらに歩いた記憶があまりなかった。
「(うーん。渡された記憶にもこちらに歩いた記憶がないな…いや、少し歩いたことがあるのか。)」
アスタークは周りを見渡しながらゆっくりと歩いている。やがて大通りに出ると、大きなビル群が立ち並ぶ通りに出た。
土曜日だというのに車がせわしなく行き交い、スーツ姿の男性や女性が歩いている。
そして休みと言うだけ有って私服の男女も多く歩いている。
そんな人混みの中アスタークは歩いているのだった。
「少し…歩きにくいな。人が多い。それに音も凄いな。」
少し顔を上げると家にあるのと同じようなテレビが映っていた。
しかし、それは大きく、超巨大モニターといえる物だ。
そこにはテロップで天気予報が流れ、CMが流れている。
「ここは私服の人が多いな、それに店も並んでいる。ここは店が多いんだな。だからそれに合わせて私服の人も集まるっと。」
アスタークはいろいろな店に入りながら町中を楽しんでいた。
その中でも家電量販店は最も楽しかったようだ。
アスタークは大島電気と言う店に入っていく。
店自体はかなり大きく、なんでも揃っていそうだ。
中に入ると店内放送が流れており、何やら言っていたがアスタークの耳には入っていなかった。
「おぉ…これは便利だ。」
アスタークが目にしているのは洗濯機。
ごく普通な一般家庭にあり、アスタークが居る家にもある物だがこれは最新式の物のようだ。
「(これがアレば返り血が付いてもすぐに落とせ…おっと、返り血なんて浴びないから違う汚れだな。例えば…ケチャップか?)」
例えが下手なアスタークであった。
次に見ていたのは冷蔵庫。
生活には欠かせないとも言える現代の電化製品だ。
特に生物には欠かせないだろう。
冷凍していないと腐ってしまうのだから。
「これは…開けっ放しにしても冷気の減少を最大限に抑え、冷たさが逃げず、熱を通さない作りになっており、最大四十パーセントの省電力化に成功した最新式…か…四十はでかいな。ぜひうちにもほしいが…十九万!?高すぎる…。次だ次!」
次のコーナーは電子レンジだ。
アスタークはこちらに来てリビングに居るときに何回かチーンっという音を聞いていた。知識では電子レンジと出てきていたが実際に見てみると、中が空洞のただの箱にしか見えない。
「ん~?これはどういう原理何だ?」
電子レンジのコーナーを見渡してみると電子レンジの原理と書かれた張り紙が有った。
「どれどれ…」
簡単にまとめるとこうだ。
電子レンジ内部にあるマグネトロンという装置がマイクロ波を発生させて食品に含まれる水分子を振動させ摩擦熱を発生させて温めるという物らしい。
「これ考えた研究者はかなりすごいな。物を温めることができるし冷凍食品を戻すこともできて便利な電化製品だ。値段はどうだ?…安いので五千から七万か。先ほどの冷蔵庫に比べれば安いな。さて次のコーナーは何かな?」
アスタークは山のように並ぶ商品を一つ一つ眺めては見定めていく。
ここはアスタークにとって宝の山だ。
次のコーナーはデジタルカメラが置いてある。
商品棚を一つ挟んだため置いてある種類が変わったのだ
「こんどは何だ?薄い板のようだが…最新光学センサー、四千万画素、容量六四ギガバイト?これは性能か?たしかデジタルカメラは風景を写しとる機械だと聞いたが…」
アスタークは展示されているカメラを持ち上げ、操作表を見ながら店内を撮影してみる。
ピロリーンっという音とともに風景が記録された。
「おぉ…凄いな見たままの風景を記録できるのか。しかも凄い鮮明に撮れている。これは最新モデルか。値段は九万か…高いな…うん。次行こう」
デジカメコーナーの次はパソコンであった。
若干ここだけ暑い気がする。
「俺の部屋に置いてあるパソコンのディスプレイより薄いな。どれどれ…有機EL?はて?」
アスタークは画面となりに置いてあるシートのようなものに気がついた。
「何?叩いても曲げても壊れない?どれどれ?」
アスタークは置いてあるシートを曲げたりデコピンをしてみたりしたが、映しだされている映像には何のノイズも入らないし壊れない。
「なるほどなー。液晶より薄くて丈夫なのか?」
貼ってあるパソコンのスペック表を見ていくと明らかに自分の部屋に置いてあるパソコンよりスペックが高く、横には最新型と書いてある。
「やはり新型は皆高いものだな。こっちのは液晶のだな、俺の部屋にあるパソコンより少しスペックが高めだ。だが、今のパソコンで満足しているから問題は無いな。次行こう。」
次はゲームコーナーだ。
アスタークにとって日常であったファンタジーゲームが多々売られている。
それと一緒に部屋で見たのと同じヘルメットが売っている。
VR-ECHOS02と商品には書かれており、アスタークの部屋にあった物より最新のもののようだ。
謳い文句には1より反応速度を十パーセント高速化したのと脳にかかる負荷を軽減したということだ。
気になる値段だが…。
「に、二十万!?あれそんなに高かったのか!?そういえば完全に引きこもっていた時に親が買ってきてくれたな…あんなに高いものをなんて引きこもりに与えたんだ?」
アスタークは驚きながらもゲームソフト一覧を見ていた。
VRMMOのタイトルが多いが、VRFPSやVRRTSなどいろいろなゲームがある。
なかにはVRホラー探索などあったがあまり売れていないようだ。
アスタークはそういうのに慣れているが、こちらの人間は幽霊など魂を認知していないため恐れる。
それに干渉する手段もないのがおそれの原因なのだろうか。
あちらの世界では魔力で構成された魔法なら干渉できたが、こちらではまだ魂の存在、幽霊の存在自体が非科学的だとされている。
「ふむ。まあ、戻しておこう…反対側の販売コーナーも見に行こうか。」
アスタークはゲームコーナーから離れ、反対側の販売コーナーに向かった。
次のコーナーは携帯電話だ。
置かれているのはすべてスマートフォンと呼ばれる薄い板のような携帯電話だ。
自分の持っているスマートフォンよりも幾分か薄いようだ。
製品のキャッチコピーにはこう書かれている。
IP5/8の防水性能を誇り、オクタコア三ギガヘルツ搭載、四ギガバイト、超高速通信対応新五インチ型モデル。バッテリーは新技術のパワフルバッテリー二万五千ミリアンペアアワー
と書かれている。
アスタークは自分のスマートフォンを取り出すと大きさを比較する。
明らかに店頭に売っている物のほうが大きく薄い。
裏のカバーを開けてバッテリーを確認するが、バッテリーも七倍ほどこちらのほうが大きい。
「最新機種はやはり凄いのだな。特にバッテリーの進化具合が凄いな。俺の持ってるスマートフォンより七倍もあるぞ。しかし携帯電話と言うには少し大きすぎやしないか?」
アスタークは画面をいじりながら色々な機能を試したり、自分の携帯には無い物を試していた。
「動作も俺のとは比べ物にならないほど良い。流石だ。値段は…十三万!?こんな小さいのが!?」
アスタークはそっとスマートフォンを戻すと見なかったことにした。
「ま、まあ、魔石だって小さくても質が良ければ高かったし…。」
アスタークは小声で何かを言いながらスマートフォンのコーナーを後にする。
スマートフォンの隣のコーナーでは掃除機が売られている。
「ふむ、これは掃除をする機械だな。毎日母さんが使っている物だ。これはあまり代わり映えはしないな。変わったとしても消費電力ぐらいか。ん?なんだこの平べったくて丸いのは。」
アスタークが近づきスイッチを入れるとそれは動き出し、通った道のゴミをすべて吸い込み綺麗にしていく。
壁に当たる寸前で止まると、進行方向を変え違う場所を掃除し始めた。
ひと通り掃除が終わると元の位置に戻り自動で充電を始めたのだ。
「自動掃除機みたいなものか。これ面白いな。」
元の世界でこのような掃除機があればもっと綺麗に掃除でき、使用人の数も減らせるだろうなっと思ったのであった。
「さて、次は…テレビか。やっぱりこうしてみると今までもそうだがいろいろな会社の製品が並んでいるんだな。どの会社も個性が出てていいものだ。」
テレビは色々な種類があり、とても大きな五十型や二十三型など幅広いテレビが売られている。
ほとんどは液晶ディスプレイだが一部有機ELを使った超薄型の機種もある。
「すごい綺麗な画像だ。それにこんなに大きいテレビなんて何処に置くんだ…。見てるだけで首が疲れそうだな。」
アスタークは五十型のテレビを眺めつつ、次へ移動する。
「ここは録画機のコーナーか?テレビ番組を録画する機械か。」
ここにも製品のキャッチコピーが張られている。
「なになに?四番組同時録画ができ、四テラバイトのハードディスクドライブを搭載。大量の番組を録画できる製品です。さらに新機能としてデータの最適化を自動で行いいつまでもスピーディーな動きを実現しますっか。容量がでかいことは分かったが、四つも同時に見るものがあるか?」
テレビはニュースしか見ないアスタークにとって複数の番組を同時に見たい、録画したいとは思わないのである。
そしてひと通りの電化製品を見終えたアスタークは大島電気から出たのだった。
「結構長居してしまったな。時間は…十二時過ぎか。どこか食堂で昼食でも食べよう。」
そう言うとアスタークは近場にある店を探し始めたのであった。
台所にある電化製品で電子レンジって他のに比べて使われてるテクノロジーが飛び抜けてると思うんです。