【挿絵あり】これはファンタジーお決まりのイベントではないのか?
適当に書いた鈴のイラストを載せました。
適当なので影も何もつけていません。
**女の子です
アイリスが苦笑いをしている鈴に声を掛ける。
「あいつはそういうやつ。諦めなさい。」
「は、はぁ。」
そう言いながら渡された鍵をドアノブに挿し部屋の中に入っていく。
部屋の中は質素な作りになっており、ベッドが二つと木の椅子と木のテーブル、小さい窓が一つとなっている。
「さて…杖でも置いて買い物にでもいこう。」
「え?何か買うんですか?」
「貴方それ寝着でしょ?まともな服を買うのよ。」
「それはそうですね。でもお金ありませんよ?」
「貴方の着てる服売ればお金になるでしょ?」
「…ですよねー。」
アイリスと鈴は近くにある洋服屋に向った。
鈴は機動性を重視すると言うことなので服にすることにしたのだ。
「すみません。この子の服売りたいんだけど。」
「え?すみませんが服の買取は…ちょっとその服見せて下さい。」
「は、はい。」
店員が鈴の服の感触や色々な場所を見ていく。
「買い取らせて頂きます。…ただ当店では払えない金額となります。」
「じゃ、払える金額とこの店で一番高くて動きやすい服を見繕ってちょうだい。」
「わかりました。こちらへどうぞ。」
そう言うと鈴を店の奥へ引っ張っていく店員。
あれや、これや服を着せられなかなか決まらない。
店員には寝着以外にも下着も注目され鈴は赤くなりながら拒否していた。
結局鈴は自分で選び店員に会計を押し付けたのであった。
ちなみに選んだ服は適当である。
鈴の寝着を売り終わったアイリスは鈴にお金を渡した。
「このお金はあなたが好きにしなさい。貴方の服を売ったお金だからね。」
鈴はアイリスにお金を渡されるとそれを数えた。
「金色が一枚に銀色が五枚。」
「その一と書いてある金貨は一枚で百万で、そっちの銀は百って書いてあるから五十万。いい?お金は一、十、百って書いてある。お金は金、銀、銅わかった?」
「アームさんから大体聞きましたのでわかります!」
ちなみにあの寝着は地球世界の金額にして三千円である。
「(いやーいい売り物したなー。三千円が百五十万なんて!うはは!)…。」
「鈴どうしたの?表情が緩んでる。」
「え!?いや、なんでもないです。」
「そう?」
二人はギルドの宿舎に戻っていく。部屋の前に来るとイルミス達がいた。
「ん?鈴。お前服変えたのか。」
「はい。いつまでも寝着ではおかしいですし、他の人の視線も有りましたので…。」
「そうか。明日冒険者に緊急任務が入った。盗賊のアジトを潰すらしい。俺たちはそれ人参加するつもりだ。お前たちも明日に備えて待機するんだ。」
「わかったよ。」
「了解です。」
鈴達は部屋の中に入るとベッドと椅子に腰を下ろした。
「ねえアイリス?」
「何?」
「あの襲ってきていた盗賊ってなんなの?」
「何かと聞かれれば盗賊なんだけど、今回は大多数の盗賊達が野党を組んで街一つ落として塒にするつもりらしいっとしか聞いてないわね。」
「街を一つ…!(ピーンっときました!長年のゲーマーの感が冴え渡る!)」
「ん?どうしたの?」
「でも、考えてみてください。街を一つ落としたところで直ぐに国や他の街から援軍が到着し、時期に討伐されることは目に見えています。もしかするとこの攻撃は他の何かの陽動かもしれません。そして盗賊のアジトへ行くのもそれに含まれている可能性があります。もっと別の何か大切なものを見をとしているかもしれません。」
「それは一理ある…。大切な何か…。ギルドに問い合わせてみるよ。」
「よろしくお願いします。」
そう言うとアイリスは部屋から出て行った。
「こういう時は必ず何か重要なイベントが起きるって決まっているのよ!でも何が?うーむ…。」
その頃アイリスはギルド受付で聴きこみをしていた。
「すいません。この街周辺で重要人物の護衛や貴重品の運送など行われていませんか?」
「少々お待ちください。」
ギルド職員は中央の水晶コンソールで情報を検索するとアイリスの元へ戻ってきた。
「失礼ですが、どのようなご用件で?」
「今回の盗賊の襲撃が不自然だったから調べているの。」
「…極秘情報なので開示できません。」
「何かあるのね。一応言うよ、盗賊たちはこの街を仮に制圧したとしても国からの増援でたちまち駆逐されるでしょう。なぜそんなことをしようとしたのか、そもそも誰がこの情報を流したのか。それは本来の目的のある行動の為の陽動、カモフラージュなのではないか。一応伝えたからね。私達のパーティのリーダーはイルミス。今言ったことを信じるか信じないかはギルドの自由。たとえどうなっても責任はギルドにはかからないからね。」
「…。」
そういうとアイリスは部屋へ戻っていく。
それを聞いた職員はコンソールの画面を見つめた。
そこに表示されている情報と今の推測を聞いて嫌な予感が次第に膨らんでゆく。
職員は耐え切れず、ギルドマスターの元へ向かって行く。
「失礼します。」
「どうした?」
「とあるパーティから奇妙な情報が寄せられました。」
「情報?」
「はい。マスターもこの付近で極秘護衛が行われることを知っているでしょうか。」
「知っているぞ。」
「そのパーティはこの盗賊の襲撃事態がそれを襲うためのカモフラージュだと先ほど進言し、情報の開示を求めて来ました。」
「なるほど。しかも明日は盗賊のアジトへ攻め込む。更にそれと同時に湖の街の近くの街道を通る。筋は通っている。」
「一応警戒したほうが宜しいでしょうか。」
「そうだな。そのパーティのいうことにも一理ある。リーダーをここに。」
「わかりました。」
そう言うと職員は部屋から出て行き受付へと戻った。
受付にある羊皮紙をめくるとイルミスと言う名前を探したのだ。
その名前を見つけると職員はギルド宿舎へ向かって行く。
二分程歩いた所に宿舎はある。
宿舎のイルミスがいる部屋を職員がノックする。
すると中から男の声が聞こえてきた。
「はいはい。誰ですかーっと。お?職員のお姉ちゃんじゃねえか、どうだい一緒に?」
「失礼ですがイルミス様はいらっしゃいますでしょうか。」
「ん?俺がイルミスだが、どうかしたのか?」
イルミスは職員の前に陣取っているアラスを横にどかすと職員の前にたった。
「先ほどの情報をギルドマスターに伝えたところ連れてこいと言われたため参りました。」
「情報?何のことだ?」
「? 女性の方が持ち込んできた情報でしたが。」
「…ちょっと来てくれ。」
イルミスは外へ出ると隣の部屋のドアをノックなしで開けた。
当然中からは批判の嵐が起こったが、イルミスは気に求めること無くアイリスに問いただした。
「情報とは何のことだ?」
「鈴が思いついた情報。この襲撃はカモフラージュで本命が他にある。そしてそこの職員は開示出来ない情報が有るといった。恐らく盗賊はそちらを最初から狙っている。ってこと。」
「鈴。本当なのか?」
「はい。だって盗賊が絶対に討伐される事をして何の特になるんですか?街を堕とした所で国からの増援でどうせ殲滅されます。そして盗賊のアジトに攻め込む場合冒険者の大多数が居なくなります。そして兵士達も昨日の戦闘で傷つき、街を防衛するために動かせません。これが陽動だとしたらその開示できない情報と言う方は確実に盗賊にやられるでしょう。もちろんアジトなんて蛻の殻です。」
「それは確実性のある情報なのか?」
「私の推測です…。」
「とりあえずマスターのところへ来てくれないでしょうか?マスターがお待ちです。」
「そうだな。マスターのところへ行こう。鈴とアイリスは着いてきてくれ。」
「わかりました。」
そう言うとイルミス、アイリス、鈴は職員に連れられギルドへ向かっていく。
途中イルミスが話しかけてきた。
「鈴。お前本当に記憶喪失か?」
「…はい。あの森から前の記憶はありません。」
「そうか。」
そう言うとギルドへ入っていく。
ギルドの受付に入ると水晶の横を抜けて奥の部屋へと入る。
「待ってたよ。」
「マスターお呼びですか?」
「ああ、君たちの持ってきた情報の信憑性があるのでね。」
「その情報ならこちらの鈴が提供しました。」
「ほう。鈴よ、その情報は何処で手に入れた?」
「感です。少し考えればおかしいことです。皆盗賊に目を取られすぎです。」
「感…か。お前の感は相当なものだな。いいだろう。教えてやる。明日この街の近くの街道をお忍びで王都のお姫様が通ることになっている。盗賊が狙うとしたら恐らくお姫様だろう。」
「その護衛を助けに行くことは可能ですか?」
「可能だ。しかし、盗賊も手は抜かないだろう。君たちのパーティでできるというのか?」
「大人数で動けば相手に察知されます。できるできないではありません。やるのです。」
「ほう…面白いことを言う。鈴っと言ったか。クラス銃士。その力を見せてもらおうか。」
「はい。…あ。イルミスさん、勝手に話を進めてしまってすみません。」
「いやいい。俺たちはそのお姫様の護衛に回る。都合上後出しになるが鈴の能力があれば大丈夫だろう。アイリスの支援も期待できるしな。」
「では教えよう。明日昼ごろこの街から西の方角の街道を馬車が通る。」
「近くに高い丘はありますか?」
「いや、無いな。」
「わかりました。(近接戦闘か。)」
「では明日任せたぞ。」
そう言うと三人は宿舎へ戻っていく。
「っと言うことが有ったんだ。」
「で、俺達はお姫様の護衛に行くんだな。」
「ああ。こちらからは接触せず、盗賊が接触してから接触するんだ。」
「了解だ。」
「へいへ~い。」
「戦術はいつもどおりだ。鈴は今回近接戦闘に入ってもらう。」
「はい。数が多いとライフルでは誤射をする恐れがあるので近接戦闘用のを使います。」
近接戦闘用…つまりサブマシンガンだ。
「そういうことだ。アイリスは後方からなるべく誤射しないように支援してくれ。」
「わかった。」
「では解散。」
そう言うと鈴とアイリスは自分の部屋に戻っていく。
「予想が外れると良いんだけど。」
アイリスがそうつぶやく。
「もしなってしまったら全力で守りましょう。」
「そうだね。…それにしても本当に記憶がないのかわからなくなる時がある。」
「そ、そうかな。とりあえず、おやすみなさい!」
そういうと鈴はベッドの中へもぐりこんだのだった。