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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
人間の限界を超えし者
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混乱と模擬戦

鈴は宿の部屋で目が覚めた。


「うー?」


鈴は起き上がるとあたりを見渡した。

周りは白い空間でもなく、もう一人の自分も居ない。

ただの木でできた宿の一室である。


「何だ夢か。」

"夢で終わらせないでほしいな。"

「!?」


鈴は周りを見るが人など何処にも居ない。

それどころか声は頭に響いてくるように聞こえてくる。


"何してるの?また寝ぼけてるの?"

「夢じゃなかったのか…。」

"勝手に夢の中の住人にしないでほしいな。"

「…。」

"まだ根に持ってるの?"

「持ってるに決まってるじゃない。」

"困ったスズだなぁ。でもこれから一緒にやっていくんだからよろしく頼むよ~。"

「しょうがないから協力してあげるわよ!」

"そんなに大きな声で叫ぶと―"


すると扉が開き、イルミス達が入ってきた。


「どうした!」

「あ…いや、なんでもないです。ハイ…。」

"言わんこっちゃないね。"

「なっー!リンがいけないんでしょ!」

「おい鈴?」

"ちなみに声に出さずとも思考するだけで話せるよ。"

『それをさきに言いなさい!』

「やっぱり鈴何かされたんじゃないのか?」

「でも鈴からは怪しい魔力の反応も無いし。」

「鈴ちゃんどうしたの?」

『あーめんどくさそうな事態に…ペルソナ。』


鈴が能力を発動させる。

スズとリンの意識が入れ替わる。


『あー!厄介事私に押し付けるんだ!』

"元はリンのせいだからね!"

『とりあえず何とかしよう…。』


スズ…リンは周りの誤解を解こうと話を始める。

しかし、それがややっこしくしてしまう。


「おはよう?こんばんはかな?」

「もう夜だぞ。鈴お前大丈夫か?」

「私はリンだよ。よろしくね。アラスさんとは二回目だね。」

「リンちゃん?」

「アラス知ってるのか?」

「いや…鈴ちゃんしか知らないけど…。」

「ほら、デッドドラゴンの時話したよ。」

「え?でもあの時は鈴ちゃんであれ?」

"何ややこしくしてるのよ!リンのバカー!"


スズが頭のなかで叫ぶ。

それのせいでリンが頭を押さえる。


『ちょ!うるさい、頭に響く…。』

「どうした?やはり何かされたのか!?」


事態はもっとややこしい方向へ向かっていた。


「あー大丈夫。ちょっと頭痛がしただけ。寝過ぎかな?あはは。」

「本当に大丈夫か?」

「大丈夫。問題ない。ちょっと順を追って話すから。」


リンは皆から心配されつつも事を話していく。


ギルドに行ったのは自分だと言う事。

ギルドマスターを刺してスズに体を戻そうとしたら神に呼ばれた事。

そこで加護の注意と新しい加護を貰った事。

そして一番の混乱のもとであるリンの事。



「なるほど…二重人格と言うわけか。で、今表に出てるのはリンと言うわけか。スズにも聞こえているのか?」

「聞こえてるよ。」

「そうか。」

「いやー驚いたな!まさか一人の人間に二つの人格があるなんて初めてだぜ~。リンちゃんもよろしくね~。」

「よろしくね~。」

「リンはしゃべり方が違うんだな。」

「そうだね。スズは固っ苦しいね。」

"なによそれ!"

『叫ばないで…頭に響く。』

「リンはその想像を具現化する能力を使わずにスズと同じ能力を使うのよね?だとしたら戦闘はリンの方が得意になるんじゃないのかしら。」

「それなんだけど、あくまでも私の能力はそっちだからアシストが聞かないから銃器が扱いづらいんだ。」

「得意不得意があるってことね。」

「そーいうこと。私は簡単に言うとシュナイダーとミミを合わせたぐらいかな?」

「と、言うことはスズが後方タイプでリンが前衛タイプってことになるのね。」

「そう思ってくれればいいよ。」


後ろで話しを聞いていたシュナイダーが前に出てきた。

無言で自分の大剣をリンに差し出した。


「持てっということ?」

「おう。」


リンは片手で持つと大剣を水平の高さまで持ち上げる。


「うーん。私の体重が軽すぎて合わないっぽい。振るえても体を持ってかれるレベルかな。」

「持てたならそれでいいんだ。久しぶりに模擬戦の相手になりそうな奴が出てきたからな。」

「おい、シュナイダー、まさか…。」

「おうよ!当たり前だ!リンを少し借りて行くぞ!」

「あ!私も相手する!」

「そんなむちゃくちゃな!リンちゃん、断っても―」

「いいよ。」

「えええ!」


アラスはもちろんのこと他の三人も驚いていた。


「それじゃ早速外行くぞ!久しぶりで楽しみだ!」

「私も久しぶりー!」

「おいおい、二人がかりでうちのメンバーを虐めないでくれよ?」

「大丈夫だ。手加減はする。」

「するするー!」


そう言っている合間にリンは外へ連れ出されてしまった。

場所は町の外。

平坦な土地であるため模擬戦に向いている。


「イルミス!審判頼んだぞ!」

「(あー。あー。神様聞こえる?剣ぐらいなら構成要素わかるし出してもいいよね。)」


リンがさり気なく頭のなかで神に問いかける。

あちらが見ていたということはこちらからも話しかけられる可能性があるからだ。


【いいよー。】

“以外に簡単に話しかけられるんだ…。”


リンの手元が黒く光ると一振りの片刃の剣が握られていた。


“結構凝ってるじゃない…。”

『スズみたいに大雑把じゃないからね。』

"なによそれー!"

「どこから出てきたのかは置いておいて、そんな剣見たことがないな。」

「私の世界の剣で日本刀と言います。」


シュナイダーとリンが話している中イルミスとアームはリンを見て話していた。


「なあスズ…元いリンって剣使えるのか?」

「少し前新米兵士とやってたときは少しは上達したようだが、二人同時なんて無理だ。」

「だよな。すぐに終わりそうか。」

「おっと、始まるみたいだ。…三人とも準備はいいか?」

「いいよ。」

「おう。」

「いつでもいいよー!」

「では…試合開始!」


模擬戦が始まるとミミがトップスピードで飛び出してくる。

手にはダガーが二本握られている。

リンは刀を構えるとそれを正面から受け止めずに流すように弾いていく。


ミミの後方から飛び上がりシュナイダーが剣を振り下ろしてくるのがリンの目に映った。

リンは地面を強く蹴ると後方へ下がった。

シュナイダーが剣を振り下ろすため、ミミは追撃ができなことは分かりきっていたからだ。


"リンなんで剣術なんて使えるの?"

『それはそれはふかーい理由が合ってね―おっと。』


ミミは思ったより早く追撃してくるとリンの背後に回りこむ。


「獲っ―!?」


その瞬間腕だけが反応しミミのダガーを弾く。

勝利への気の緩みからか、ダガーはあっけなく後方に弾かれてしまい、更にはリンの反撃を許してしまう。


リンはスピードを上げるとミミを追い詰めていく。


"何?どうやって反応したの?"

『…。』


常にトップスピードでミミを追い詰めているためシュナイダーはそれに追い付くことができない。


「(早い…!僕より早いかも!でも!)…っ!」

「そこだ!」


ミミがうまいことリンを誘導し、シュナイダーが攻撃を加えられる距離まで誘い込んだのだ。

今度は横からの攻撃だったためサイドステップで避けた瞬間にミミの追撃が入る。


「つらいな…。」

「ふふふ!僕達二人をいっぺんに相手するのが間違ってたんだよ!」

「少し上げていくかな。」

「え?」


瞬間ミミの正面からリンが消えた。

覚えているだろうか、デッドドラゴンのあの時リンはミミより早いスピードで移動していたことを。


「うっ!?」

「ミミ!」


峰打ちを受けたミミはその場に倒れこむ。


「刀はこういう使い方ができるから便利なんだよね。」

「ミミの仇は討たせてもらうぜ!」

「スピードにはスピードだったし、パワーにはパワーで行こうかな。」

「どらあぁ!」


リンとシュナイダーの剣が衝突し、その際に発生した衝撃波がリンの髪をなびかせる。

それと同時に刀にヒビが入り、リンは咄嗟に距離を取る。

しかし、シュナイダーはそれを許すわけなくすぐに距離を詰めてくるのだ。


「せっかちね。」

「うるせえ!勝負にせっかちもあるか!」


再びシュナイダーの大剣が振られる。

それをひび割れた刀で流すが、徐々にヒビが広がっていく。


「さすがのパワー…威力が殺しきれない…。」

「もう限界か!」

「まさか。」


リンは全力で後退すると刀をシュナイダーに投げつける。

シュナイダーは大剣を盾にし、それを防ぐ。

ヒビの入っていた刀は刀身が折れ、光となって消滅していく。


「(ちょっとぐらいの矛盾許してね?)」

【ちょっとだからね?本当にちょっとだからね?】


リンは次に大剣を具現化させる。

それは大きさに比例せず体があおられない程度の重さをしている。

矛盾をあまり生まない為に素材は鋼鉄を使用している。


「いくよ。」


リンは地面を勢い良く蹴るとシュナイダーへ猛スピードで迫り、それと同時に大剣を振るう。

もちろんのことシュナイダーもそれに合わせ大剣を振るう。

二振りの大剣がぶつかった時あまりの力で衝撃波が発生し、イルミス達までその衝撃が届く。

鋼鉄で作られた大剣であるが、シュナイダーの持っている大剣と一回打ち合った瞬間に刃にシュナイダーの大剣がめり込んでいた。

これは鋼鉄より硬いことを示す。


「本当に何で出来てるの?その大剣。」

「知らんな!」


二人は大剣で打ち合う。

そのたびに火花が散り、リンの大剣が損傷していく。


「これは…まずい。」

「オラァ!」


リンは咄嗟に大剣を盾にし、斬撃を受け止める。

その瞬間体に大きな力が働き後ろへ吹き飛ばされる。

大剣は歪み、打ち合いに使えるものではなくなってしまったのだ。


「鋼鉄でできた大剣がこうも簡単に壊れるなんてね…。この世界の人間どうなってるの?」

「さあ、次を出しな。まだ出せるんだろう?」

「今度はチタンで行くかな?」


リンは新たな大剣を具現化させる。

使いものにならない大剣は消滅させた。

今度の大剣は鋼鉄とは違い、チタンでできている。

鋼鉄よりも強い強度を持ち、軽い性質を持っているのだ。


「いくよ?」


リンは先程から打ち合って、パワーだけで押していてもいつまでたっても終わらないことに気が付き、スピードも混ぜて攻撃を行うことにする。


チタンの大剣が振るわれシュナイダーの大剣と打ち合う。

リンは先ほどよりパワー、スピードを上げシュナイダーを追い詰めようとする。

しかし、それに合わせてシュナイダーもパワーを上げてくる。

スピードはそれほど上がらないようだ。


「まだ力が上がるか!楽しませてくれる!」

「もしかして、戦闘狂。」

「俺は普通だ!」

「そろそろ見物客も増えてきたし終わらせたほうがいいかもしれないね。」

「ほう。できるのか?」

「フルパワーで行くよ。」


リンは今まで以上の力で大剣を打ち付ける。

それは既に交通事故が起きたかのような音にまで発展している。

さすがの力にシュナイダーも押され気味になってきている。

それに伴いチタンの刃も次第に駄目になっていく。


「これは厳しいな…!」

「スピード上げるよ。」

「まじか…よ!」


完全に優位に立ったリンは防戦一方になっているシュナイダーに大剣を振るい続ける。

その時チタンでできた大剣に亀裂が走る。

それを見たシュナイダーは一瞬の隙を付き、大剣を振るう。

リンはそれに合わせて大剣を振るったが、チタンでできた大剣は盛大に砕けてしまった。

そしてシュナイダーに剣を突きつけられた。


「降参。」

「ふう。一時はどうなるかと思ったぜ。」

「まさかチタンまで砕けるとは思わなかった。」


そこへ既に回復したミミが走ってくる。


「お疲れ様ー!」

「ああ、おつかれ。」

「おつかれさま。」

"この力で私の体使われてたのね…神様ありがとう。"


スズは初めて神に感謝をしたのだった


【もっと褒めてくれてもいいのよ?】

"今の無しで。"

【そんなー。】

『なにしてるの?』

"なんでもない。"

【あ、今回は経過観察で話せたけど、次回からは話せないからね。世界への干渉は控えたほうがいいからね。】

"了解~。"


脳内会議が行われている中リンは外でシュナイダーやミミ達と話していた。


「いやーやられちゃうとは予想外だったよ!」

「ミミは詰めが甘い。」

「えー!あれはたまたまだよぅ!」


そこへイルミスがやってくる。


「おいお前ら、そろそろ宿に帰るぞ。見物客が正体に気がつき始めている。」

「ああ厄介事になりそうだな。」

『あとよろしくね。』

"あ!ゴタゴタは最後まで―"

『ペ~ルソ~ナ』


リンはわざとらしくそう言うと人格をスズに戻した。


「だー!リンのバカー!」


スズは思わずリンに対する暴言を口に出してしまった。

それを聞いていた三人が何事かと鈴を見てきた。


「お、おい?」

『声だしちゃったじゃない!どうしてくれるのよ!』

"しらないよ。ほら呼んでるよ?"

「リン?」

「あー。今私、スズです。」

「鈴のほうか…まぁいい。宿に戻るぞ。」


一方野次馬では…

「おい、あれは有名なAランクの冒険者じゃないか?」

「間違いねぇ!あのパワーあのスピード!Aランクのシュナイダーさんとミミさんだ!」

「でもあれは誰だ?互角に…二対一で戦ってたぞ!」

「もしかして新しいAランクの人間じゃないか?」

「何故誰も武器が出てきたことに突っ込まないんだ…。」


大剣の打ち合いの音で街の中からも冒険者や町民が出てきてしまっている。


イルミスは三人をまとめ、アーム、アラス、アイリスと共にそそくさと野次馬を通りぬけ宿へ戻っていく。

追いかけてきた野次馬もいたが、ミミが囮になり路地裏を通り巻いていた。





スズは敬語を使いますが、リンは敬語を使いません。

『』は脳内会議と認識してください。

ところでリンの剣術は何処で覚えたんでしょうね。

スズの人格は顕在意識ですがリンは潜在意識で生まれました。

すると共通設定であるDEMTから読んでくださっている方にはわかるかと思われます。



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