表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/217

操り人形




「くっ。銃士隊前へ!剣士隊は銃士隊を援護しつつ前進!だが、天使様の射線に入るな!」


下で指揮官が指揮している間に、鈴はGAU-8のリロードをしていた。

素早く装填されていく30mm弾。

ドラム型のマガジンを固定し、神力を上げ発射体制に入る。


「ぶっ飛べ!」


またしてもGAU-8が火を噴いた。

激しい振動と反動。

それらを制御しつつ未だばらけきっていない帝国兵士をミンチにしていく。


だが敵も馬鹿ではない。

散開するスピードが上がっている。

そして真ん中だけ人が群がり何かを組み立てているようだった。


すぐにそれを阻止しようとするが弾切れ。


「くそっ。リロード。」


リロードが完了するとともに。何か大きなものがこちらに向けて飛んできた。

すでに日が落ち、何が飛んできているのかわからないが。鈴はすぐにそれを銃撃した。

戦車の装甲よも貫通する30mm徹甲弾がそれに直撃すると、見事にばらばらに砕け破片がこちらに降り注いだ。


「ん?これは…?」

「魔石!ちっ!」


鈴はすぐにGAU-8から離れシールドを張った。

司令官は剣士隊の盾で爆発をかろうじて防いでいる


そしてクラスター爆撃のように破片が爆発したのだ。


それは過負荷がかかっていた外壁を壊すのに十分すぎた。

外壁は崩れ、GAU-8もそれに巻き込まれてレール事拉げて光となって消えてしまった。


「ちっ!なら直接叩くまでだ。《見えざる射手 戸惑い外すな 絶対の銃弾 無限の銃声 白銀の獲物 我が加護と融合 姿を合わせ!》」


鈴は加護とシステムの3つを融合させ白銀の獲物。デザートイーグル.50AE Infinity Editionを創造した。


もちろんオリジナルはあるが、このデザートイーグルには3つ加護が掛けられている。

その1つが摩耗しない様に硬化してあること。

オリジナルより耐久率が圧倒鉄器に高い。

2つに銃弾が当たると爆発を起こるように銃弾の事象を書き換えていること。

3つ、それは弾切れを起こさない。


そして先ほどの爆発で外壁が崩れてしまったため、銃弾の補給が期待できない。

銃士隊は今ある予備のマガジンと運ばれてきていた弾薬ケースしか銃弾がないのだ。

一応銃剣は着いている。


「鈴!無理するなよ!お前4日も寝てないし、食べてないんだからな!」

「あぁ。イルミス。大丈夫だ、行ってくる」


鈴は背後にシールドを張るとシールドに足を当て、体をばねのようにすると勢いよく飛んで行った。

飛行時も銃撃をしつつ爆発する銃弾を連射していた。

すでに榴弾である。


今度は全面にシールドを張り、相手の中に突っ込む。

この間やったように一直線に吹き飛ばしていく。

真ん中にあった魔石を投擲してきた兵器も破壊、爆発を起こしながら通り過ぎていく。


そして一方的に体当たりや銃撃していた時だった。


空を飛んでいた鈴の下から鎖の音がしてきたのだ。


「ふん。こんなもの。」


鈴はめがけて銃撃を行った。

今の鈴の腕力では反動などもろともしない。


だが、鎖は壊れずそのまま鈴へ直進してきた。。

すぐに回避すると、なんと鎖が方向を変え追いかけてきたのだ。


「何だと?」


すると、今度は逃げている方から鎖の音がしてきた。


「前からもだと!?いったい何なんだこの鎖は!一気に引き飛ばそうとしても根源魔法は神力が足りない。」


二つの鎖が追いかけてくる中、鈴は最低限の神力で鎖を絡ませてやろうと思い旋回を始めた。

案の定、鎖は絡まったが鎖は根元から生成され、自動追尾らしく少ししか追跡を振り切ることが出来なかった。


不意に後ろから、新しい鎖の音がしてきた。


「あぁ!めんどくさい!なら術者を狙うのみ!」


デザートイーグルが火を噴いたが、強固なシールドで銃弾が弾かれてしまった。

どうやら密集している中に術者がいるようだ。


鎖を避けながら銃撃していくと、気が付けば鎖の本数はすでに10を越している。

銃撃する暇すらないほどだ。


「ちっ。」

“上じゃ!”

「何!?」


よけきれなかった鎖はシールドで弾いていたが、今回のはまともにやられてしまった。

鎖は首に巻きつくと殺さない程度に硬く拘束し、今まで避けていた鎖もそれに続いて鈴の四肢や体に巻き付いていく。


鎖は鈴を地面に落とそうと引っ張り始めるが鈴も抵抗し神力をより一層飛翔するのに回し、デザートイーグルさえも破棄し、落ちないようにしていた。


しかし数の暴力である。

2万はGAU-8で葬ったが、まだ2万いる。

更に予想外だったのが、複数人がさらに魔封じの玉で人を出してきたのだ。


「なん…だと…くっ!」


鎖がさらに増え鈴を若干だが空から落とし始めたのだ。


「鈴様!」

「鈴殿!」

「二人とも…この鎖を!」

「コン殿は下の集団を頼んだのじゃ!」

「わかりました!」


飛鳥は斬鉄で鎖を切り裂いていく。しかし鎖は自然と結合し、飛鳥がさらにスピードを上げ切り裂いていく。


「何じゃこの鎖は!切っても切っても元に戻りおる。コン殿!」

「やっています!鎖の術者の周りにシールドが張られていて!シールドの術者の特定が出来ていません!」


鈴が神力を上げているとき、戦場には似合わない音が鳴った。

ぐうぅ~


「しまった…お腹減った。ああ、ついでに眠気だ…。」

“何をしておる!神力が下がっておるぞ!”


昔の人はよく言ったものだ。

腹は減っては戦はできぬっと。


鈴は巻き付いてくる鎖に引っ張られとうとう地面まで落とされてしまった。


「鈴様!」


とことん鈴は大事なところで抜けている。


コンが鈴のもとへ向かおうと妖狐に戻り兵士の頭を足場にしながらぴょんぴょんと走っていった。

飛鳥はいち早く到達するために剣術で範囲攻撃で薙ぎ払っていく。


コンが到着すると地面に縛り付けられた鈴が目に入り、その鈴に魔石を取り付けようと胸元の服を切り裂いていた。


「ぐっこの!変態!スケベ!童貞野郎!」

「威勢だけはいい女だ…ぐわ!」


コンが人化して背後から体当たりをしたのだ。

変態野郎(帝国兵士)は吹き飛び、手から魔石が転がった。

その魔石にはびっちりと魔法式が書かれており、トランジスタのように魔石を成長させ多重構造になっている。


コンは帝国兵士を瞬足で相手しながら飛鳥が来るまでの時間稼ぎをしていた。


しかし、それも限界があった。

魔力で強化していた剣がついに折れてしまったのだ。

コンの剣はイルミス達が持っている鋼ではなく鉄である。

強度が違うのだ。


コンはその場で取り押さえられ、飛鳥も帝国兵士に囲まれる前に撤退してしまった。


銃士隊の援護射撃が飛んでくるが、鎧を貫通しても尚立ち続け、傷は治り弾丸の無駄使いになっている。


民間人を安全な場所に逃がし終えた神官が戦線に加わるが魔法でもやはり傷が塞がってしまう。

だが切断系の魔法は有効打になっていた。


「天使様をお助けしろ!切断系の魔法で相手を攻めるんだ!銃士隊は銃剣に切り替え、剣士隊と共に進軍!神官は天使様とそのお連れにあてない様に範囲と切断魔法を行使せよ!対ドラゴン兵器も撃ち込め!」


前線では飛鳥が迫りくる敵を下がりながら切断していく。

腕や頭を切り捨てるだけでは死なないのだ。


「これでは鈴殿が…ええい!こうなったら細切れにしてくれるわ!」


教祖を一回殺したあの剣術を行使し、回復できないところまで追い詰めていく。

しかしこの剣術は飛鳥の体にも多大な負荷をかける。

そう長くは続けられない。


「放してください!鈴様!」

「うるさいぞ!その首落としてやろうか!」

「あいてて…そこの。よくも吹っ飛ばしてくれたな!」

「鈴様のた―うぐっ、ぐふっ。」


コンは何人のも帝国兵士に取り押さえられ、先ほど吹き飛ばした変態野郎(帝国兵士)にわき腹や頭を蹴られ、踏みつぶされていた。


「おい、そこの変態野郎(帝国兵士)。やるなら私をやれ。仲間には手を出すな。」

「さすが天使様ですね。反吐が出るわ。魔石もってこい。」


別の兵士が先ほど転がった魔石を変態野郎(帝国兵士)に手渡した。


「そう。俺たちは手を出さない。そう、俺たちはな!」


そういうと鈴の胸に魔石を食い込ませた。


「うぐ。…?何…!?体が動かない!?」

「おい、鎖をどけろ。」


変態野郎(帝国兵士)がそういうと鎖は灰になって消えていった。

普通魔法では灰になって消えないのだが…。


「さあ、虐殺の始まりだ。」

「(まずい)」

“うわ!?”

“ぬおおおお!?”

“いきなり解除するなよ!”

『いや…この後何が起こるかわかっちゃってね…少しでも神力を落として活動限界を減らそうと思ったわけ。』


変態野郎(帝国兵士)が言葉を発した。


「敵はルドルフ皇国だ。敵は皆殺しにして来い。」

「こんな魔石!」


鈴はフルパワーで神力を込めるが、魔石はびくともしない。

だが変化は生じている。

魔石内部の魔法式が光を発し始め、何かの魔法が発動しているのだ。


「くっ。うあ。あああああああああ!」


鈴は翼を広げるとルドルフ皇国の兵士たちに向かって飛んで行ったのだった。








お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ