何?異世界に来た途端襲われるとか私って不幸属性あるのかしら
次に目を覚ましたのはVRFPSと同じチュートリアルステージだった。
「んえ?あれVRFPSのチュートリアルじゃん。」
"これよりチュートリアルを始めます。はじめに銃を出してみましょう。“
突如流れる音声。
しかし手元にも背中にも銃はない。
ホルスターもない。
「どうすんの…。」
"銃を出すには銃の種類を想像し手元に出すイメージをしてください。“
「ん~?とりあえずグロッグ17?」
その時右手が光り、グロッグ17が現れた。
それに驚きグロッグ17を落としてしまう。
「び、びっくりした!?」
銃を拾うと次のアナウンスが流れてきた。
"次に的を狙ってみましょう。“
「それなら余裕ね。」
狙いを定め引き金を引いた。
銃声が空間に轟いた。
「お?おお?」
銃を撃っていると以前より命中精度が上がっていることに驚いている。
「そういえば身体強化つけてくれたんだっけ?」
そう言いつつ的の中心めがけて引き金を引く。
反動も身体強化で抑えられ、全くと言っていいほど弾道がそれない。
「よーし。色々試してみるぞ~!」
システムアシストが機能しているか確認するために走り撃ちやジャンプ撃ち、リーン等行ってみた。
結果、ゲームと同じ動きが再現され苦も無く動くことができた。
次は爆発物だ
「ええっとMK3手榴弾!おお、出た!ピンを抜いて投げる!」
手榴弾は四十メートルほど飛んだ位置で爆発を起こした。
このMK3手榴弾とは破片を飛ばして相手を殺傷、制圧する武器ではなく。爆発で生じる衝撃波にて相手を倒す手榴弾だ。
それ故に爆発範囲も狭く広がっている敵には有効ではない
「手榴弾確認おっけー。次は…二丁拳銃かな?」
アシストを最大限使い体を動かす。
身体強化もあってそれはすでにゲームの動きを超えていた。
「いやっふー!たのしい!」
ひと通り騒ぎ、体力が尽きたので違うことをすることにする。
「はぁはぁ、疲れた。別のことしよう。武器は何個まで出せるのかな。今三つだけど…。」
試しにAK47を出してみると一番最初に出したグロッグ17が消えた。
続けてM4を出すと三つ目に出したグロッグ17が消えた。
「ん?なんで消え…爆発物は爆発すると消失判定になる?そうなると二丁までしか出せないのね。」
どうやら武器は二個までしか出せないらしい。
そこまで確認するとアナウンスが流れ始める。
"以上を持ってチュートリアルを終了します。良い異世界ライフをご堪能ください。“
「え?ちょ!ま―。」
次の瞬間には意識がブラックアウトするのだった。
そしてとある森の中で目を覚ました。
「ん…。ここどこよ…わー綺麗な森の中ーなんて訳がわからないよ。」
鈴は起き上がると身の回りを確認した。
周りは木々に囲まれ、先程まで都会のマンション自室に居たなど信じられない程だ。
「って!パジャマじゃん!普通の服着てくればよかったなぁ。しかも裸足だし…。どうするのよ…。」
服をや髪の毛に付いた土を落としながら立ち上がる。
それに合わせるかのごとく背後の茂みからガサガサと音が聞こえてくる。
「ん?何か…いる?」
その茂みに視線を合わせると茂みから熊を大きくしたような動物が現れた。
口元は涎を流し、いかにも空腹と言った顔をしている。
「く、熊!?」
鈴は茂みの中に入り込み逃げ出した。
もちろん熊の様な動物も追いかけてくる。
鈴は木の間や狭い位置を通り熊の追跡から逃げようとする。
熊は予想通り木などに引っかかり、思うように鈴を追跡出来ていなかった。
「はぁはぁ…もう最悪よ!念願のファンタジーの世界に来た途端死にそうになるし、足痛いし!…ん?そうだ!思い出した!」
熊や意識が覚醒したばかりだった鈴は神から貰った能力の使い方をすでに忘れていた。
銃火器を創造する能力。
「デザートイーグル.50AE弾創造!」
すると手が光ると共に手元に銀色に鈍く光るこの世界には不釣り合いな物が握られていた。
それはデザートイーグル。大口径マグナムだ。
世界最強のオートマチックのハンドガン。
鈴は迫り来る大型の熊に銃口を向けると引き金を引いた。
デザートイーグルは発砲音を轟かせた。
放たれた.50AE 弾は銃口付近に丸い空気の衝撃波を発生させ大型の熊の頭に吸い込まれていく。
頭に吸い込まれた銃弾は熊の頭をスイカのように破裂し、その巨体は滑るように地面に倒れこんでいった。
「…凄い。本当にあんなになるんだ…。」
鈴は一応銃を構えつつ、熊へと近づいていく。
熊に警戒しながら蹴りを入れると死亡確認を行う。
熊はやはり頭を粉砕され死んだようだ。
「ふぅ…システムアシストもやっぱり完璧。」
熊の死亡確認を終え、銃を下ろした時に再び茂みから音がした。
それは熊と鈴が通ってきた茂みだ。
鈴は再びデザートイーグルを構えると茂みに向かって声を投げかけた。
「誰!誰かいるの?」
「無事だったか!?」
茂みからは剣や槍、杖を持った4人組が出てきた。
それが人だとわかると鈴は銃を下ろした。
「これは…君がやったのか?」
「そうだよ。いやー。びっくりしたよ、起きたと思ったらいきなり襲われたからね。」
「起きた?君は森の中で寝ていたのか?」
「え?あ、あ、あれ?おかしいな。ちょっと記憶が…。」
「ん?記憶喪失か?」
「そ、そうみたいです。(この設定のほうがうまくいくかも?)」
「で、その記憶喪失の貴方がこの魔物を倒したと?」
杖を持った女性が疑いの目で鈴を見ている。
「そ、そうですね。不思議なこともありますね。」
「君は武器を持っていないが魔法で倒したのか?」
「魔法…ですか?」
「この子魔法使えないわよ。魔力を感じないから。」
「そうなのか。ならどうやってこいつを倒したんだ?」
「あの、これで倒しました。」
そう言うと鈴は目の前の4人に銃、デザートイーグルを見せた。
4人は不思議そうに銃を見ている。
「触らせてもらってもいいか?」
「いいですけど、このトリガー部分は絶対に手を掛けないでください。後ここの穴も絶対に覗かないでくださいね。」
そう言うとデザートイーグルを剣を持っている人に手渡した。
「ふむ。結構ずっしり来る。」
「これは鉄かしら?装飾も素晴らしい。」
「しかし、剣も魔力も無いただの鉄であの魔物が倒せるのかしら?」
「それは銃と言います。ちょっと貸してください。」
そう言うと剣を持っている人からデザートイーグルを受け取ると木に向けて構えた。
「少々大きい音が出るので気をつけてください。」
そう言うと引き金を引いた。
銃声が森に轟、木を.50AE弾が抉る。
「こんな具合に敵を倒します。」
剣を持っている人が木を見に行く。
「凄いな。木がこんなにも抉れてる。大剣でぶった切るより威力が有るんじゃないか?」
「何?ちょっと俺もみてみるか。」
そう言うともう一人の剣を持っている人も木を見に行った。
「ところで…貴方はなんでそんなものを持っているの?しかも裸足だし。」
「あ、えっと…これは意識すれば出せるのです。能力と行ったほうがいいのかな?裸足に関しては記憶が無いので…。」
「能力の使い方だけ覚えていると言うことか。」
「そうみたいね。…ところで貴方は何処のパーティにも入っていないのでしょ?私達のパーティに入らない?」
「おま、リーダーに聞かずに何を…」
「よく聞きなさい。遠距離、中距離が私しか居ないパーティにあの訳の分からない力があればこの問題も解決できる。」
「それはそうだけど…。」
「お前ら何を話しているんだ?」
「そうだよ。何二人でイチャイチャしてるん――ブハァ!」
剣を持った一人が女性の持つ杖で殴られている。
「で、何を話していたんだ?」
「彼女をパーティに入れるという話。」
「俺はどこの馬の骨ともわからない、しかも記憶が無いとか怪しさ満点の人間をパーティにいれるなんて反対だけどな。」
「けど、さっきの見たでしょ?あの威力があれば下手に弓をパーティに入れるより強い。」
「いてて。俺にとっちゃパーティに花が増えるのはいいと思うぜ。」
「…記憶喪失の彼女を一人で放り出すわけにも行かないだろう。パーティに入れるかはともかく、街まで連れて行こう。後は彼女の希望で決めよう。」
リーダーと想われる男性が鈴に向き直り、声を掛けた。
「とりあえず、記憶が無いみたいだし街まで一緒に行こう。そしてギルドに捜索願、冒険者履歴等がない確認してみよう。」
「ありがとうございます。助かります。」
「それでは行こう。」
そう言うとデザートイーグルをしまった。
「え?その銃とやらは何処に消えた?」
「え?しまっただけですけど?」
「いや、明らか手から消えたように見えたのだが。」
「私の能力は銃火器を出したり消したりできるんですよ。これしか覚えてなくて…(大嘘だけどこの人達にくっついていくのはこれがベターね…。)」
「能力持ちの人間なんて聞いたことがないが、魔力が無い分そっちに特化したのか?」
「わからない。魔力の無い人間なんて初めてだから。」
「まあ!どうってこと無いさ!これで俺も両手に花――ブハアアアア!」
剣を持っている人は顎に杖を振り上げられ悶えていた。
「そうだ。俺はこのパーティのリーダーのイルミス・カーボイドだ。イルミスでいいぞ。主に剣を使う。」
「私はパーティの魔法使い担当。アイリス・ウエルス。火、水、癒を使える。」
「俺はアーム・スミス。槍を使う。」
「いてて…俺はアラス・アミランだ!よろしくな俺の子猫ちゃ――ぐふう。」
またしても杖がアラスの腹に食い込んでいる。
この二人はボケとツッコミ担当なのだろうか。
「私は倉木 鈴と言います。あ、倉木が家名で鈴が名前になります。」
「珍しいな。俺の知っている限りではその名前の構成の国は知らないな。」
「小さい島国かもしれません。」
「まぁ!とにかく街へいこうや!ギルドで一杯やるぞ!」
「ああ。そうだな、だがその前にその魔物の部位を持って行かなければ。」
「あ、もしかして私が倒したのってあなた達の…。」
「まあ、そうだが…ギルドに説明すればなんとかなるだろう。」
そう言うと魔物の爪を剥がすと袋ヘ入れている。
「何をしているんですか?」
「こうやって討伐の証拠を持ち帰らないと任務が認められないんだ。」
「そうなんですか。大変ですね…(やっばい!やってたVRMMOと同じだ!すげー!)」
表面上は平常心だったが、鈴は内面では大騒ぎをしていた。
「さて行くぞ。」
「了解ですわー。帰ったらぱーっと飲もうぜ!」
「お前は飲むことと女だけだな。」
アームはアラスに皮肉を言うがアラスは気にもとめていないようだ。
五人は森の中を進んでいくと石で出来た外壁が見えてきた。
どうやら街についたらしい。
しかし、パーティの様子がおかしい。
「おい。なんで門が壊れているんだ?」
「まさか魔物が…?」
「待って、最近噂を聞いたんだよ。盗賊が集まって街を落とし根城にするって計画。」
「おいおい、そりゃあ洒落にならないんじゃないか!?」
「鈴!お前はここで隠れていろ!お前ら直ぐに街に向かうぞ!」
「了解!」
そう言うとイルミス達は街へ向かって走っていく。
鈴は木の影からそれを見ていた。
「え…?街が盗賊に襲われてるの?ってあれ?あの道の脇にいる人達は…。」
神により身体強化された体は目にも影響を及ぼしているため視力が格段と上がっているのだ。
その人物たちは腰のナイフに手を当てイルミス達が通りかかるのを窺っているようだ。
「っ!まさか!イルミスぅ!あぶな~い!」
鈴は叫んだが、聞こえていないのか振り返りも止まりもせず街へ走っていく。
「ああ!もう!今から走っても追いつかないし…狙撃するしか…でも人の命を奪うのは…これはゲームじゃない…ゲームじゃないんだ。実際のリアル。殺せばリスポーンせずそのまま死ぬ…。でもあいつらを始末しないとイルミス達が…。」
鈴は少し悩むと顔を上げた。
「…この道を選んだんだ。もうここは私の新しい日常であり、新しい出発だ!覚悟を決めろ鈴!皆を助けるんだ!こい!ドラグノフ!」
そう言うと両手に光が集まり全長1.2メートルの狙撃銃が出現した。
鈴は地面に横になるとドラグノフのスコープを覗いた。
そこには中心に捉えられた盗賊の頭部が見えている。
そして鈴は引き金を引いた。
銃声が響き渡りイルミス達の足が止まる。
それと同時に何かが地面に倒れた音が道の脇から聞こえてきた。
突然何か大きな音がしたと思ったら同僚が頭から血を流し死んでいたのである。
それに驚き声を上げてしまった。
「何者だ!」
「ちっ!お前らやっちまえ!」
そう答えた男は刀身がやけに曲がった剣をイルミス達に向けて叫んだ。
だがその男は大きな音とともに頭を撃ちぬかれ地面に倒れた。
盗賊達は何が起こっているのかわからず混乱している。
それを好機とみたイルミスパーティが盗賊たちを制圧していく。八人居た盗賊たちは三人が頭部を撃ちぬかれ、五人がイルミス達に倒されていた。
「殺しちゃった…殺しちゃった…でもこれが現実、リアルなんだ。この世界では当たり前のことなんだ。自身を持て私!」
鈴はドラグノフを消し、イルミス達を追いかけた。
「よし。片付いたか。」
「リーダー、これ見てみて。」
アイリスが盗賊の死体を見せる。
それは三体の死体だ。
どれも頭から血を流し絶命している。
「これは…。」
「あの子よ。最初のあの音がしてから盗賊が出てきた。恐らく彼女が私達より早く気がついて盗賊の一人の頭を射抜いた。そして続けざまに頭を射抜いていった。」
「だがこの距離だぞ。」
「でもこれが現実。」
イルミスが後ろを振り返ると森からこちらに走ってきている鈴の姿が有った。
「鈴!?」
鈴はイルミス達に追いつくと大丈夫かと聞いた。
「大丈夫だった!?」
「鈴!隠れてろと――」
「でもあのままだったら皆が襲われてた!」
「それは…。」
「力が有るんだから守れる。これだけのことだよ。」
「ひゅー。さすが俺の見込んだ女だ!どうだい?これが終わったらデートで――むぐ!」
「死亡フラグは立てないで!」
鈴はアラスの口を塞ぐと戦場では絶対に言ってはいけない一言を封じたのだった。
「私も戦います。」
「な、何を言っているんだ!」
「戦います!」
「っ~!どうなっても知らんぞ!」
「絶対に死にません!(誰?これってフラグ?)」
そう言うと鈴を加えパーティは街の中へ入っていった。
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