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やめて!私のSAN値が減っちゃう!

「ふふ。さすがは王宮魔法使い隊長と言ったところでしょうか。私の正体がわかったようですね。」

「あなたネクロマンサーね…しかも自分も屍にして不死身にしてるなんてね…異端中の異端ね。」

「お褒めの言葉ありがとうございます。」

「(いや、褒めてないよ…。)」


鈴は何気なくツッコミをいれていた。


「さて。体に穴が空いてしまいましたね。直さないといけません。」


そう言うと腹部が疼きだし、銃弾によって開いた穴から少し溢れるように肉が出てきた。

しばらくすると何もなかったかのように腹部は修復されてしまった。


「気持ち悪ッ!?」

「失礼ですね。そういえばあなたにはこの子たちが近寄らないみたいですね。何か有るんでしょうかね。解剖して調べてみたいですね。」

「ひぃ!死ね!セクハラ男!バレットM82A1!」

「おや、これまた大きな―」


連続した大きな銃声と共に男の腕が吹き飛び、足が千切れ、胴体が吹き飛んだ。


「これだけやれば死ぬでしょ。」

「いえ…まだです!」


飛び散った破片が一箇所にじわじわと集まりだし次第に元の形に戻っていく。


「あーあーあー。」


ゴキゴキと首を鳴らしながら声をだすローブ男。

一通り体の確認が終わったのかこちらに話しかけてきた。


「いやはや。アレほど威力が有るとは思いませんでしたよ。まさかバラバラにされるとは思いませんでした。」

「…。」

「でも今ので魔力を大分消費したようね。」

「それはお答えできませんね。」

「ひゃっはああああああああああ!死体は消毒だああああああああ!M2火炎放射器!」

「―!?<魔力よ、盾となれ。シールド>」

「ひゃっはああああ!」

「おい鈴どうし―」


その瞬間膨大な熱量と燃え盛る炎がローブ男を包み込んだ。

鈴は燃料が無くなるまで引き金を引き続けた。


「はぁはぁ…」

「お、おい鈴大丈夫か。」

「ちょっと気が触れただけだから…。」


ありえない光景を見た鈴は嫌悪と混乱で一時的にハイになってしまったのだ。


「それにしても凄い火力だったな。」

「そうですよ。あんなの受けたらさすがの私でも灰になるところでしたよ。」

「!セクハラ男まだ生きてるの!?」

「生憎ながら私はまだ生きています。」

「でも時間は稼げた!皆目を瞑って!<光よ!ここに集い集いて大いなる光とならん。シャイニングインパクト!>」


そう言うとパーラは魔法を発動させた。

その魔法は一切の光の存在を許さない空間に一筋の光を作り出すとそれは爆発的に大きな光へと変貌していく。


「くっ!時間をかけすぎましたか。」


光が収まった頃には闇は消え去り、捕らわれていた魂達も消えていた。


「引き時ですかね…。」


ローブ男はそう言うと、なんと窓を突き破り下へ落ちていった。


「なっ!?」


イルミスがいち早く窓に駆け寄るが、人間とは思えない速さでその男は逃げていってしまった。


「恐らく自らをアンデット化したことで身体能力が上がってるのでしょう。それよりも城へもどらないと!」

「あぁ。行くぞ!」

『了解』


急いで教会から外に出ると見張りをさせていた兵士達を集めた。

素早く内容を伝えると駆け足で城へと戻っていく。

動けない者は一人が付き添い町の癒魔法使いの元へと連れて行く事になった。


「私先に行きますね!」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫です!私にはこれが有りますから!」


そう言うと銃を出現させる。


「そうか。無理はするなよ!」


鈴は走る速度を上げるとイルミス達を置き去りにして城へ駆けて行く。

城の一角からは煙が上がっていたりする。

炎系の魔法が使われたのだろうか。


「急がないと!」




「城門突破されました!」

「何!?早すぎる!」

「敵はリビングアーマー、闇ギルドです!数が多すぎます!」

「リビングアーマーだと!?魔法部隊はどうなっている!」

「三割が負傷です!」

「ほぼ壊滅状態ではないか!」

「副隊長!」

「なんだ!」

「敵の増援です!」

「…!内側を警備している兵を呼び戻せ!これ以上敵の侵入を許すな!」


その時城の入口が魔法で吹き飛ばされ、一部取り逃したリビングアーマーや構成員が侵入してきた。


「くっ!押し返せ!」



鈴が城の手前まで到着すると既に城門は突破され城壁の内側で戦闘が始まっていた。

城の外には鎧だけが転がっているのも見受けられた。


「はぁはぁ…これはあの時のリビングアーマーと同じ?とにかく!M240!」


鈴はM240機関銃を両手で持つと城壁に近づいた。

戦況は兵士が押され気味になっており厳しい状態になっている。

鈴は貫通した銃弾が兵士に当たらないように斜めから銃弾を撃ちこんでいく。

撃たれた人間とリビングアーマーは大きく体を損傷し、地面に倒れふせていく。

リビングアーマーは魔石を撃ちぬかれただの鎧と化していく。

鈴は常に動きまわり、魔法や弓の的にならないようにし、撃たれる前にこちらから撃ちこんでいく。


重点的に遠距離火力を無効化して行く。

遠距離火力を無効化してしまえば後は間合いを注意するだけになるからだ。


「数が多い!」


鈴が撃っている銃弾は7.62*51mmであり、当たればほぼ即死である。

頭に当たれば衝撃波により頭部を粉砕することもできる弾丸だ。

しかし、数が多く、城壁内に入り込んだが、徐々に包囲されていることに気が付き、門があった場所に居た敵を撃ち殺し、退路を確保していた。


「くっそう。一旦外に出て体勢を直そう。」


弾丸を撃ち、敵を排除して行くが一番の難敵はリビングアーマーである。

今回の魔石はそれぞれ別の場所に有るらしく、一発で倒せないこともあるが、鎧をひしゃげさせたり、もげたりすることで戦闘力を奪うことには成功している。


「げっ!弾切れた!」

「死ねええぇぇぇ!」

「こっち来るな!」


鈴は迫り来る敵にM240を力一杯投げつけた。


「ブッ」


鈴は素早くM240を再出現させると続けて弾幕を張り続けた。

そこにイルミス達が到着した。


「鈴大丈夫か!」

「大丈夫です!早く援護してあげてください!」


M240を消すとデザートイーグルを出現させる。

乱戦過ぎてマシンガン系を使うのは危なすぎるのだ。

そこでハンドガンで高威力を誇るデザートイーグルを選択したのだ。


イルミス達が合流した結果兵士側が押し返し始めた。

鈴も後方から銃弾を打ち込み、援護している。

弓兵は矢の残り本数が少なく、無駄撃ちをしないように慎重に矢を放ち、魔法使いは魔力を節約しつつ魔法を放っている。

鈴はそんな心配なく銃弾を撃ち続けているのだった。


やがて内側の制圧が終わると隊長達は国王の元へ走って行く。

それにイルミス達も続いていく。


王座の間の扉の前には闇ギルドの構成員と思われる者達の死体が転がっている。

そこにはエルガーが魔導ライフルを持ち立っていた。


「おう来たか!」

「国王様は無事か!」

「一人もここから通してないぞ!」


鈴は死体を見ると5.56mmぐらいの穴が開いているのが確認できた。

どうやら魔導ライフルで撃退したようだ。


「国王様!大丈夫ですか!」

「大丈夫だ。教皇はどうした?」

「わかりません。私達が到着した時には既にものけのからでした。」

「うむ…逃げたのか?」


その瞬間国王の左胸に無機質な鉄が貫いた。


「ガッ…!」

「国王様!」

「誰が逃げたかって?」

「教皇!貴様何をしたのか分かっているのか!」

「私は何もしていないぞ。なぁ?」

「そうだな。やったのは俺だ。」


目の前には黒いローブを着た男と教皇が立っている。

更に柱の影からローブ姿の人間が三人出てきたのだ。


「クソ!。俺があの男を引き付ける!お前たちは左右のやつを頼む!」

「アイリス!癒魔法を頼む。」

「わかった。」


剣士隊長は国王を刺した男に向って行く。

パーラとアイリスは国王の元へ向かい直ぐ様傷を回復させていく。

イルミスとアームは右のローブ姿の人間へ向かい、アラスと弓士隊長は左へ。

鈴は教皇と対峙していた。


「小娘が何ができる。」

「貴方は殺せないから傷めつける程度にしてあげる。」


鈴はベレッタを両手に出現させると弾倉をゴム弾を装填した。

鈴はアシストを利用し教皇に近接戦を挑んだ。

飛び込んだ勢いで体をひねり銃身で殴りつけようとしたが教皇の手前で音を立てて止まってしまった。


「!?」

「魔石だよ。これでお前の攻撃は届くことはない!」

「じゃ、どこまで耐えられるかやってみる?M4カービン」


鈴は直ぐにM4を呼び出すと教皇の足元、シールドに狙いを定めてフルバーストで撃ち込んだ。

弾丸は見えない壁にぶつかりシールドに波紋を広げる。


「火力不足か。ならこっちにしよう。M240」


先程より大きな運動エネルギーがシールドにたたきつけられる。

大量の弾丸にさらされたシールドは徐々にだがヒビが入り始めているのだ。


「なっ!?シールドにヒビを入れるだと!?」

「まだ足りないか。M82A1」


鈴は先ほどと同じように立ったままM82A1を速射する。

ヒビは全体に広がりラスト一発でシールドが砕け、手元にあった魔石は色を失った。


「これでもう貴方を守る物は無くなったね。」

「こ、この…小娘がただで―」

「ほい、パス。」

「な、なんだこれは!うわ!煙が!」

「みんなこっち見ないで!」


鈴は教皇にとある物を投げ渡した。

それは閃光手榴弾だ。

鈴は目を瞑り、耳を押さえた。


教皇は半歩下がり煙が出ているものを見てしまった。

そして炸裂した。

一瞬の音と光が場を包んだ。

近くで直視し、音を聞いてしまった教皇はその場で気絶し、こちらに目を向ける体勢で戦っていたローブ姿の者達は光を直視してしまったため少しよろけてしまっている。


「くっ…今のは…!」


ローブ姿の者達は一斉に下がっていく。


「失敗だ。撤収する…処分を実行せよ。」


そう言うとローブ姿の一人がナイフを取り出し気絶し、床に倒れ伏している教皇目掛けてナイフを投擲したのだ。

ナイフは寸分の狂いもなく教皇の首に突き刺さると、痛みのあまり教皇の目が覚めるが気管を貫かれた教皇はヒューヒューと息が漏れる音とともに白目を向き動かなくなった。


「教皇が!」

「なっ!…!まて!」


ローブ姿の人間たちが王座の間の窓を突き破り、なんとテラスから飛び降りたのだ。

しかしそれと同時に青白いワイバーンが三人を空中で受け止めると、そのまま飛び去っていく。


皆がテラスに出ると一人の人間を乗せたワイバーンが窓の外で滞空した。


「先ほど以来ですね。」

「お前は!」

「このワイバーン達も私の可愛い子達です。あぁ、そうそう。教皇ですけど、私達の事を喋られると困るので処分させていただきました。それに国王暗殺も出来て契約も満了し、口封じも完了。それでは皆さんお元気で。」

「ま、まて!」


しかし、ネクロマンサーの男はそのまま飛び去ってしまった。


「国王様目をお覚ましください!!」


パーラの叫び声にテラスにいた一同は国王の周りに集まっていた。

遅れて国王の名で外の援軍に行っていた近衛騎士が帰ってきた。


「国王様!?」

「近衛騎士!何処に行ってたんだ!」

「国王様の命令で外の援護に行ってたんだ!」

「なんで全員で行く必要があったんだよ!」

「それは命令だったからだ。国王様は私達やお前たちを信じていた。だから私達全員を送ったのだ。だが!私達はその期待に答えられなかった…!」

「…クソ!」


その時再び扉が開いた。


「お父様…?」

「ルーツ姫様…?」


アゼリアはゆっくりとだがこちらに近づいてくる。

近づいてくるアゼリアに周りを囲んでいた者は周りへ開けていく。

そこには胸を血で濡らし、倒れている国王の姿があった。

傷口はふさがっているようだが出血がひどかったようで当たりが血で濡れている。

何も知らない鈴にもイルミス達、隊長達、近衛騎士達もわかっていた。

国王は血を流し過ぎた。これでは助からない。


「お父様嘘だろ?ねえ、目を覚ませよ!」


アゼリアは冷たくなっていく手をとった。


「ほ、ほらお父様。あんなに頼んでたしゃべり方してあげるよ?ねえ、お父様、目を覚ましてください。お父様…お父様ってば!目を…覚まして…。お父様ああああぁぁぁぁ!うわああああああ!」




その後荒れた城内に残党が居ないか確認され、城の安全が確認された。

次の日、王都国民全員に国王の死が発表されたのだった。

国王の遺体は汚れのないきれいな服に着替えさせられ、アゼリアと近衛騎士団を先頭に街の中をゆっくりとあるいた。

道行く人々は国王の棺に花を入れ、冥福を祈っている。

やがて墓地に着くと、歴代の王が眠る墓に埋葬された。

アゼリアは終始無言で埋められていく国王の棺を只々見つめていた。


城の復旧が進む中次期国王であるアゼリアは引き継ぎ作業に追われていた。

父親の死を嘆いている時間は無く、国家運営のため引き継ぎ書類のサインや国民向けの演説を考えたりと忙しい毎日を過ごしている。

アゼリアは死んだ父親の、王族の役目を果たすべく次期ルーツ国女王となるべく苦言の一つも漏らさずにしている。

そんな日々が続き、鈴とアゼリアはすっかり会わなくなってしまった。

イルミス達は正式にアゼリアが女王になった時、式典と謝礼があるため城にとどまっている。

鈴はエルガーの元で魔導ライフルの調整を行っていた。


そして来るべき日が来た。

タイトルと内容は一致するとは限らないんです(タイトル詐欺

ワイバーンはランクBに相当します。

ただネクロマンサーなので死体さえあれば関係ないのですが。

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