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こう…開かない扉は吹き飛ばしたほうが早いんですよ

アゼリア一行は工房へ向かっていると一人の兵士がこちらに走ってきた。


「パーラ隊長、鈴様ですか?」

「はい?そうですけど。」

「教皇の裏が取れましたのでイルミス様のパーティと隊長に招集が出ました。」

「あ、わかりました。すぐに行きます。」

「くっ、なんてときに…!教皇の陰謀に違いない。」

「なんだ。鈴行ってしまうのか、残念だ。」

「約束ですから。」

「そうか。完成品楽しみにしているがいい!」

「楽しみにしてます。」

「最後のパーツは私が付けたかった…。」


そう言うとアゼリアに魔石を手渡した。」


「ではこちらへ。」

「はい。」


鈴は兵士に案内され王座の間へ移動していく。

やがて王座の間の扉の前まで案内された鈴は兵士が開けた扉へと入っていった。

中には既にイルミス達や各部隊の隊長が居た。


「来たな。では話を始めよう。」


国王は手元にある書類を手に取ると話し始めた。


「教皇の裏が取れた。だから皆には集まってもらった。容疑は殺人未遂、国家反逆罪、闇取引禁止法違反だ。我が隠密部隊に行動してもらった結果証拠となる書類の写しを手に入れた。そこには王女暗殺、そして我の暗殺が書かれていた。これは王族に対する大罪であり、罰せねばならない。そして今この場には事前に隠密部隊に近辺を探らせ、安全な者しか居ないようにしている。そしてここが重要だ。もう一つここに書類が有る。それは教皇の身に危険が迫った時のことが書いてある。」


国王は一息置き、次の言葉を話した。


「教皇の身に危険が迫った場合、その危険を排除し、計画の最終段階へ移行する。」

「最終段階?それは何でしょうか。」

「それは王城襲撃、教皇に迫る脅威の排除。書類から見るに、この計画は相当前から組まれていたようだ。国家予算に匹敵する額が闇ギルドへ流れていることがわかる。恐らく幹部クラスまで出てくるだろう。我々の勝利目標は教皇の拘束。敗北は我の暗殺だ。それだけを頭に入れておいてほしい。」

「ハッ!」

「では各自動いてほしい。拘束してこの場に引っ張ってきてくれることを祈ろう。」

「必ずや成功させてみます!」


そう言うと隊長達とイルミスパーティは一度訓練所へ移動していた。

剣を持っている体格の良い男性が訓練所の天井から伸びていた紐を引っ張る。

それに続くかのように二人の体調は紐を引っ張った。


順番に引っ張った途端、音色の違う鐘の音が城内に響き渡った。

すると訓練場に続々と武装した兵士達が集まってきた。


兵士たちは各隊長の前に整列すると言葉を待っていた。


「では俺が話そう。」

「任せました。」

「任せましたよ。」

「これから教皇の拘束へ向かう!剣士十五人、弓、魔法五人ずつ計二十五人の編成で教会へと向かう!それ意外の者は王座の間の前の警備、城門の警備、外壁の内側を担当せよ!これは訓練ではない!我らが出発しそう時間も立たない間に襲撃が来るだろう。各自持ち場を必ず死守せよ!」

『ハッ!』

「ではこれから作戦行動を開始する!各作戦行動人員は前に出ろ!」


そう叫ぶと剣士が十五人、弓、魔法使いが五人ずつ前に出た。


「今回の作戦には王女を救った冒険者パーティも参加する!くれぐれも間違えて同士討ちをしないように心がけよ!では持ち場へ移動せよ!」


兵士たちはドタバタと足音を響かせながら指定された地点へ移動し始めた。

兵士の中にはそれぞれを指揮しているものがいる。

恐らく副隊長なのだろう。


「よし、それでは我々も行動を開始する!」





「教皇、城で何か動きがあったようだ。」

「動きだと?」

「恐らく感付かれたんだ。」

「ふん。それがどうした。お前たちがいるだろう?」

「私達は契約通りに遂行させてもらう。」

「頼もしいことで。…ここで行動を起こしてくれるとは…これで私がこの国を支配する日が近づいた…そう、目前まで…ククク。」

「契約は守ってもらうからな。」

「分かっている。」

「俺は部下に指示を出してくる。教皇はそこから動くなよ。」


そう言うと黒いローブに身を包んだ男は扉から出て行った。





「MP5SD3」


鈴はそう言うと銃を出現させる。

普通の服を来ている鈴は攻撃しなければ襲われる可能性が低く、一人離れたところから攻撃するようになっていた。

この世界の人間が銃を見ても、これが武器だと理解できるはずもなく音もなく体に穴を開けて死んでいく有り様しかわからない。

そしてそれをやったのさえわからないだろう。


「ふう。やっぱり銃は手に馴染む…。」


鈴は若干皆と感覚を開けて歩いている銃は何気なしに持つようにして凶器とは思わせないようにしている。


「それにしてもこれからあんなことが起きようとしてるのに街は平和だなー。」


鈴は付かず離れずイルミス達の後ろについていく。

一行が教会の前で止まると慌てふためく職員の姿があった。


「な、なんなんですか!ここを何処だと思っているのです!」

「教皇には殺人未遂、国家反逆罪の罪がある。拘束させてもらおう。」

「そ、そんなわけないです!」

「そんなことは聞いてない。案内してもらおうか。」

「っ!それは出来ません。」

「何故だ?」

「何故なら"今日あなた達はここへは来なかったからです。”」


その言葉を合図に周りの民家や宿から闇ギルドの構成員と思われる者達が現れた。


「敵襲!」

「やはりか!…!まて!」


教会の職員はどさくさに紛れ、教会のドアを閉めてしまった。

これで突入は不可能になり、外で戦うしか無くなってしまった。


「俺の部隊は敵に切り込め!」

『おおー!!』

「弓兵!窓、屋根の上に居る敵を打ち落とすのだ!」

『ハッ』

「私達も負けるな!撃ち落とせ!炎の魔法は使うなよ!」

『了解』


それぞれの部隊が市街地戦を始めた。

場所は狭く、乱戦状態だ。


こちらが二五人とイルミスパーティの五人の三十人に対し、敵はその倍を有していた。

戦況は圧倒的に不利だが、地形が幸をなしたのか最前列の兵士が戦っていると後列の構成員が攻撃できないのだ。


「ちゃーんす!」


鈴はこれを好機と見て後列でニヤニヤしている構成員に向って発砲した。

音もなく体に穴を開け死んでいく仲間たち。

さすがに異常に気がついたのか構成員が当たりを見渡し、道でぽつんっと立ったままの鈴を見つけた。

何かを持っているのは認識出来ているが武器だとは認識できない。

しかし、状況的に構成員をやったのは鈴しかありえないため、構成員の一部が鈴に向って行く。


しかし、銃弾が向かってくる構成員を撃ち殺していく。

だがMP5SD3からは

コッキングレバーが下がったままになってしまった。

一人の構成員が切りかかってくるがMP5SD3を盾にし、そのまま銃で顔を殴りつけた。


「ぐぼ!?」

「寄るな!」


傷ついたMP5SD3を直ぐ様消すと両手にベレッタを出現させる。

鈴は的確な射撃で敵の太ももや頭を撃ちぬいていく。

背後に気配を感じ振り向くと剣を振り下ろさんとする構成員の姿があった。

鈴は直ぐ様ベレッタをクロスさせ剣を防いだ。

振り下ろしに合うように衝撃を受け流すと構成員の股間に蹴りを入れ、怯み、頭が下がった所に銃弾を撃ち込んだ。


兵士と斬り合っていた構成員もさすがにおかしいと思ったのか後ろを振り返った。

するとそこには仲間の死体や、足を抑えてうずくまっている仲間の姿があった。


「なっ!?」

「隙あり!」

「ガッハ…。」


よそ見をした一瞬の隙を付いた兵士が構成員に剣を突き刺した。

構成員は背中から肺を貫通し胸から剣を生やしている。

直ぐ剣を抜くと兵士は仲間の援護に向かって行く。


構成員は対鎧用大型クロスボウを持ち込んできているため、味方にも被害は出ている。

弓兵や魔法使いは率先して狙っているが、直ぐに隠れてしまうためなかなか仕留められずにいた。


「くっ。炎の魔法が使えたら!」


一人の魔法使いがそう苦言を漏らした。


「そんなことしたら街が火事になるだろうが!風の魔法を使え!」


そんなことを言いながらも感を頼りに一箇所に狙いを定めたままにして敵が出るのを待ち、少しずつだがクロスボウ持ちを減らしていた。


「援護しますよ。M4A1。」


後列片側の構成員をあらかた始末した鈴は直ぐ様弓士の部隊に近寄ると屋根に向って射撃した。

瓦でもコンクリートでもない、ただの木の屋根は呆気無くアサルトライフルの弾丸を通し、後ろに隠れている構成員の体にあたっていく。


矢や、魔法が集中している場所に横から薙ぎ払うかのようにフルバーストした弾丸は構成員を減らしていく。


敵は鈴を脅威だと感じたのか鈴に狙いを定めてきた。

ボルトが発射される直前鈴はM4A1でガードをしたが、直ぐ近くに居た王宮魔法使いが防御魔法を発生させた。

その防御魔法にボルトは弾かれ、地面に転がった。


「<魔力よ、盾となれ!シールド!>」

「助かりました!」


鈴は直ぐにシールドから出ると撃ってきた場所にフルバーストで弾丸を撃ち込んだ。

するとクロスボウだけがこちらに投げ出されてきた。

恐らく被弾してクロスボウを手から離してしまったのだろう。


クロスボウの射撃がなくなると兵士たちは構成員達を少しずつ鎮圧していった。

全てが終わり後は突入だけとなったが、教会全ての窓が閉まっていて飽きそうになかった。

しかも一階全ての窓に鉄格子が付けられているという徹底ぶりである。


どうやって突入しようか迷っていた兵士達だったが鈴が扉にペタペタと何かを貼りだした。


「鈴、何やっているんだ?」

「ん~?爆弾設置してるー。」

「爆弾?」

「炎魔法の爆発みたいなものだよっと。できたできた。ささ、下がって下がって!」


鈴は扉の外周にC4を変形させくっつけると起爆装置とC4をつないだ。

起爆装置はC4出現時に一緒に出てきていた。


「皆扉から離れて!爆破するよ!」

「ここは鈴殿のいうことに従おう。皆下がれ!」


そう言うと兵士達は扉から離れていく。


「それ、起爆っ!」


ドンっと音を立て扉と壁の接合部分が破壊された。

扉はゆっくりと傾くと音を立てて地面に倒れたのだ。


「すげーな。」

「ありゃなんだ?魔法か?」

「いや詠唱なんてしてなかったぞ。」


そんなことをささやいている兵士に隊長から声が掛かった。


「お前たちは負傷者の応急処置と入り口を固めておけ!中は狭い、ここからは隊長とイルミスパーティで行く!」

「聞いたか?俺たちも行くぞ!」

『了解!』

「っと、殺しちゃまずいからベレッタにしておこう。」


各隊長、イルミス達は教会の中へ入っていく。

外は兵士達が固めている。


教皇が居ると思われる奥の部屋へと進む一行は何も物音や気配がしないことに嫌な予感を感じていた。


「…ここか?」

「だろうな。他と扉の豪華さが違う。」

「一、二の三で蹴破るぞ。」

「分かった。」


イルミスと剣士の隊長が前に出る。

そして後ろでは弓矢を構え魔法を撃てるように詠唱をいつでもできるようにしている。


「一…二…三!」


ダンっと音とともに扉が壊れ部屋の中に雪崩れ込む一同。

しかし、そこには誰も居なかった。


「誰もいない…?」

「他に出口はあったか?」

「いや無いと思うぞ。」

「うーん?」


鈴はなんとなく教皇の椅子を触ってみた。

椅子は冷たかった。

つまりここにはかなり前から居ないことになる。

恐らく戦闘中には居なかっただろう。


「ねえ、椅子が冷たい。結構前にここを出たんじゃないかな?」

「だとすると何処に…。」

「まさか…王城に?」

「だとしたら…まずいぞ。こっちは囮だ!すぐに王城に戻れ!」


皆が城に戻ろうと部屋から出ようとしたが部屋の入り口にローブ姿の人が立っていた。


「それは困りますよ。」

「誰だ!」

「私ですか?」

「お前意外に誰がいる!」

「私以外にはこの子たちが居ますよ。<闇よ。輪廻に囚われし魂を今ここに呼び戻し縛り付けよ。ダークネクロスフィア。>」


男の詠唱と共に半透明で人型の何かが男の周辺に出現した。


「闇の禁術!?それは死者を冒涜する魔法だ!今直ぐ発動をやめなさい!」

「ふふ。知りませんよ。さあ行きなさい。」

「気をつけてください!囚われた魂に当たると体力を持って行かれます!」

「なら切っちまえばいいだろ!セイッ!」


剣は魂を通りぬけ空中で静止した。

囚われた魂は生気を求め体を通過して行く。


「グッ!?」

「馬鹿ですか!実態のないものが切れるわけ無いでしょう!」

「じゃどうするんだよ!」

「光魔法で縛り付けている魔力を浄化します!<光よ!邪を払い給え!プリフィケーションライト!>」

「無駄ですよ。<闇よ。光を閉ざせ。ダークネスフィールド>」

「なっ!?」

「これで光は使えませんよ?」


辺り一帯は漆黒の闇に包まれ、何故か各自の姿だけが見えるという矛盾を孕んだ空間へと変化していた。

そこには光は一切無く、全ての光を吸い込まんとする闇だけである。


「クソ!こんな所で足止めを食らっている場合ではないのに!」

「どうする?」

「闇を払わないと浄化出来ない。魔力を高めるわ!少し時間稼いで!」

「…?」


鈴は七人が苦戦しているのを後ろで見ていた。

何故か鈴には寄ってこないのだ。


「鈴!お前なにしているん…だ!」

「いや、魂がおそってこないなーって思いまして。」

「好都合だ!ヤツを撃て!」


イルミスが棒立ちしている鈴に指示を出した。

鈴はそれに従い敵にベレッタの銃口を向け、引き金を引いた。

数発の弾丸が発射されローブ姿の人の腹に命中した。


「やったか!?」

「(あっ…それフラグ…)」

「…?何か攻撃を受けましたね。」

「ええ!?」

「おい!今あたったッ…よな!?」


一行は回避にしながら今起きた事を話している。

たしかに鈴の放った9mmパラベラム弾は全て男の腹に命中している。

しかし、若干仰け反ったもののローブの人間は血を流すこと無くその場に立っているのだ。


「何か違和感が有りますね。どれ…。」

「うぇ!?」


ローブ姿の人間はローブを破り傷口に指を入れていく。

そして肉体に食い込んだ銃弾を一つ取り出した。


「これは…金属?弓みたいなものでしょうかね。」


そう言うと傷口へ指を入れ弾丸を次々と体の外に出していく。

傷口からは血が一滴も垂れず、苦痛の表情さえ浮かべない。

さすがにこの光景には鈴も気味悪がっていた。

そしてパーラはありえないと言う表情を浮かべていた。


「そ、そんな…貴方は本当に人間だというのですか!!」

「ええ人間でした(・・・)よ。」

「そこまでして…!」


パーラはローブの人間に対して何かわかったようだった。


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