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異世界と私と銃とファンタジー  作者: 白築 える
アルゼン国での強敵
100/217

準々決勝と準決勝




「皆さんお待ちかね!準々決勝最終試合アルスター・飛鳥・ステイル闘士とマキナ闘士の戦いだー!果たしてどんな試合を見せてくれるか期待せざるおえない!」


「両者準備はよろしいでしょうか?」

「妾は大丈夫じゃ!」

「私も大丈夫。」

「それでは試合開始!」


係員は相変わらず巻き込まれないうちにリングからダッシュで降りていた。


「のぅ。お主何者じゃ?」

「…。」

「無視か。それでは体に聞いてみるとするかのぅ。何直ぐ終る…絶影壱之型―残擬(ざんぎ)―。」


飛鳥は残擬を使い一瞬で相手の後ろに移動する。

まだマキナの目には魔力で作られた幻影が見えてるだろうと飛鳥は予想し剣を振るった。

だがそれは外れていた。

飛鳥が剣を振るう瞬間にマキナと目が合ったのだ。

しかもまだ魔力でできた幻影は残っている。


「っ!?」


金属音が鳴り響き、剣がぶつかり合った。


「まさか残擬が初見で見破られるとは…。お主何者じゃ。」

「…。」

「また黙りか…まだまだ行くぞよ!」


飛鳥は一旦距離を取り、剣術を発動させる。


「絶影二之型―幻斬(げんざん)―」


以前リンにも使った剣術だ。

残擬と同じく魔力で幻影を作り出しあたかも打ち合う様に見せかける技だ。

幻影と打ち合ったらもれなく本体から斬撃を食らうというサービス付き。


「(これならどうじゃ…。)」


勢い良くマキナに斬りかかるがマキナは幻影の太刀筋に合わせず、少しズレた場所に剣を振るった。


「なんじゃと!?」


幻影はマキナに当たると消え失せてしまった。

自分の剣術がこうも簡単に破られることに危機感を感じ始めた飛鳥は一発で勝負をつけようと斬鉄を使う。


「絶影三之型―斬鉄(ざんてつ)―。終わりじゃ!」


鉄をも切断する刃がマキナに迫る。

しかしそれもマキナが剣を一振りするだけで弾かれてしまった。


「そんな!?妾の剣術が効かないじゃと…!?」


ここで初めてマキナが口を開いた。

「すべて魔力を使った強化にすぎない。ならばそれに合わせて剣を振ればいいだけの話よ。それに、どんなに早く動こうと私にはスローに見えるわ。」

「!…お主魔力が見えるのじゃな?斬鉄も自身の魔力を使って防いだ訳か!」

「そう。」

「なんてやつじゃ…(斬鉄で逆にこちらが斬られないのは妾の魔力にちょうど合わせたということか。)」


「どうした!お互い睨み合って動かないぞ!先程から飛鳥闘士がなにやら二人に見えたりしていたがマキナ闘士は冷静に対応しているぞ!それにまだ試合開始から一歩も動いていない!」


「動かないと盛り上がらないか。しょうがない少し驚かせてみるか。飛鳥、面白いもの見せてあげるよ。絶影壱之型―残擬(ざんぎ)―」

「!?」


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「動かないと盛り上がらないか。しょうがない少し驚かせてみるか。飛鳥、面白いもの見せてあげるよ。絶影壱之型―残擬(ざんぎ)―」


"ハイパーマルチマジックプロセッシング起動“


マキナは飛鳥の使った残擬を完璧に解析、コピーすると技を発動させる。

ハイパーマルチマジックプロセッシングにより魔力の運用効率が更に上がり残擬の幻影が一つ二つ三つと徐々に増えていく。


五つほど増やした所で次の技に移行する。


「絶影二之型―幻斬(げんざん)―」


先ほどまで静止していた残擬の幻影が一斉に飛鳥に襲いかかる。


「本物は一つだけじゃ!お前じゃ!」

「当たり。でも気を付けたほうがいいかもよ?」

「何を言って―ぐああ!くっ…幻斬が実態を…持っているじゃと…?」


幻斬は飛鳥にダメージを与えると消えていった。

実際にはマキナが魔力供給を止めたからだ。


「この世界の魔法は変に進化してるな。身体強化すらも効率が悪い。それに使える属性も個人で偏りが目立つ。」


マキナは第一試合から個々の情報を収集し、解析していた。

その結果から答えを出した。


“スキャンモード”


「(呼吸の乱れ、心拍数の増加、魔力の乱れを検知。動揺しているみたいだな。ふふ、もう少し揺さぶってみるか。)



「どうしたの?随分と動揺しているみたいだけどもっと剣術ないの?」

「…。」

「だんまりね。人のこと言えないけどね。」


*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「この試合どうなっているんだー!今度はマキナ闘士の姿が増えたぞ!ところでこれルール的にどうなんでしょうか。……ふむふむ。攻撃魔法ではないためセーフという事だ!お二人さん注意してくれよな!」


マキナはふーんっと聞き流していたが、一方飛鳥は自分の剣術のポテンシャル以上の剣術をコピーし、繰り出され動揺していた。

もちろん司会の声は届いていない。


「(どうする?これ以上見せたら確実に剣術を模倣される。しかし今までの剣術では勝てぬ。)」

「だんまりね。人のこと言えないけどね。」

「ならば!妾の全力をぶつけるまでじゃ!!絶影七之型―断絶(だんぜつ)―」

「身体強化の純粋な力技ね、刀身を魔力で保護することで強度を上げているのか。真似する必要もない。」


そういうと二人の剣が鍔迫り合いを起こした。

それは一瞬コロシアムの空気を振動させるほどの衝撃を生み出した。


「うわ!」

「な、なんだ!?」


観客席から驚きの声が漏れる。

司会もこれには驚き、声を上げる。


「何という戦いだ!今一瞬衝撃が伝わって来たぞ!今年度の試合は一味違うぞ!どわあああ!」


再度二人が剣を打ち合うと先ほどより強い衝撃波が発生した。

徐々に二人の魔力が上がっていく。


「まだじゃ!まだまだあげるぞ!」

「もっと上げてもいいのよ?」

「言ってくれるわ!」


二人が剣を打ち合うごとに衝撃波の威力が上がっていく。

次第に魔力の反発で剣が当たる前に弾かれるようになってきている。

それだけ剣に魔力を込めているということだ。

魔力が乗った衝撃波はコロシアムの外にも漏れ、外にいた魔法使い達は何が起きているの気になり始めていた。


「これで…どうじゃあ!」

「なかなかの魔力を持っているね。平均的な人間八人分くらいか。さてそろそろ茶番は終わりにしようか。」


そういうとマキナは飛鳥の倍以上の魔力を込めると、その剣で飛鳥を薙ぎ払った。


「くっ…うわああああ!」


飛鳥は剣術の押し合いに負け、リングアウト寸前まで吹き飛ばされた。

剣を杖代わりにしてなんとか起き上がると、残り少ない魔力を全身に纏った。


「はぁはぁ…まさか妾がここまで…追い込まれるとは…。」

「まぁ、人間にしては良い線言ってると思うよ。もう少し魔力を上げれば強くなれそうだ。」

「何をごちゃごちゃと…。残った魔力をすべてぶつけてやるのじゃ!六七(ろくなな)ノ混合型―絶花断絶(ぜっかだんぜつ)―!」

「これは―。」


まるでトラックが正面衝突を起こしたような音と、衝撃波、リングの破片が辺り一帯に飛び散った。

飛鳥の全力の絶花断絶(ぜっかだんぜつ)はリングを大きく削り取り砂埃を巻き上げている。


「こ…これで…どうじゃ…!」


「おーっとこれはオーバーキルになってしまって無いか!係員は直ぐにマキナ闘士の確認を!」


係員が入りたくとも砂埃で前が見えない。

そんな時声がした。


「よくやったと思うよ。人間相手なら確実に殺しきれる。」


ブワッっと勢い良く風が吹き砂埃を吹き飛ばした。

そこには光の翼を広げ浮いているマキナの姿があった。


「なん…じゃと?」

「試合は終わり。ルールはルールだから殺さないで終わりにさせてあげる。絶花断絶(ぜっかだんぜつ)。」


空から放たれた絶花断絶(ぜっかだんぜつ)が飛鳥を襲った。

飛鳥はリングの外に弾き飛ばされリング外の壁に激突し、血を吐いた。

そのまま壁からずり落ち地面に倒れ伏す。

右腕は曲がってはいけない方向に曲がっており骨折している事がわかる。


「タンカー急げ!」

「ああ。そうそう。係の人リングとか飛鳥とかやっちゃったから直しておきますよ。」

「何を言って―。」


瞬間壊れていたリングが一瞬にして復元され、飛鳥の折れ曲がった右腕も元通りになった。

司会すら唖然に取られている中、マキナは地面に降りると翼を消し、勝利宣言を待っていたのだった。


「…あ。なんかよくわからないがマキナ闘士の勝利だ!リングも何故か直ってるからこのまま準決勝にいくぞー!一人だけシードを決める!ここに抽選箱を用意したぞ。今マキナ闘士の名前も入れた!さあ引くぞ!…シードは……クラキ闘士だ!よって準決勝はマキナ闘士対イルミス闘士だ!勝ったほうがクラキ闘士と決勝戦だ!」


会場も再び盛り上がり、歓声がマキナに降り注ぐ。

マキナはそのままリングを降りると待合室に戻っていく。

飛鳥はタンカーで医務室へ運ばれていった。


「イルミスさん。」

「…なんだ?」

「勝てます?」

「無理だろうな。実質飛鳥が負けた時点でこの大会は無理だ。」

「ですよね。っと言うか、マキナさんアレなに。」

「只者ではないな。」


小窓から試合を見ていた二人は飛鳥がやられた所を見てこれは無理だと話していた。

そこにマキナが戻ってきた。


「あの~マキナさん?」

「何?」

「さっきの何?」

「さっきのって?」

「いや、だから空飛んでたし、ステージとか一瞬で直ってたし…。」

「そういう装備してたからね。ステージは他の世界線と同期しただけ。飛鳥もそう。」


鈴の頭の上でははてなマークがたくさん出ている。


『つまりどういうことだってばよ?』

"いや、私に聞かれてもわからないんだけど。“

「次の試合のイルミス・カーボイド闘士とマキナ闘士はリングへ入って下さい。」


リングのチェックができたのだろう。

次の試合のイルミスとマキナが呼ばれた。


「イルミスさん…頑張ってください!」

「無理だろ…。まぁ、やれるところまでやってみるとするか。」


二人はリングへあがって行った。

準決勝ともあり、非常に盛り上がっている。


「ついに準決勝戦だ!謎の少女マキナ闘士と確実に勝ち残ってきたイルミス闘士だ!一体どんな試合を見せてくれるのか!」


「(なるべく長期戦にならないようにしよう。動きが見切られる前に勝負をかける。)」

「…。」

「二人とも準備はよろしいですか?」


係員が二人に確認する。

二人は準備は大丈夫とそれに答えた。


「俺は大丈夫だ。」

「私もよ。」

「では…試合開始!」


係員は今までにないほど素早くリングから降りて行った。

先ほどの試合を見て巻き込まれたらたまらんと思っているのだろう。


イルミスは瞬時に体に魔力を纏い、身体強化を行うと一気に勝負に出た。


「うおおおお!」

「貴方もか。飛鳥とそっくりだ。」

「飛鳥から教わったからな!」


イルミスは魔力をさらに上げ動きを加速させる。

しかしマキナはそれに合わせるように速度を上げる。

速度を合わされ加速し合わされを繰り返した結果、イルミスの限界まで来てしまった。


「(厳しいな。これでも限界ギリギリなんだが…。)


「平均的な人の魔力ではここまでが限界でしょうね。イルミス、あなたは平均的な人の魔力値に毛が生えた程度。それ以上の加速は見込めない。」


マキナは冷静に判断し、イルミスの剣を弾きながら喋る。


「うおおおぉぉぉ!」


イルミスは自分を奮い立たせ限界を超えても魔力を供給し続ける。

動きがさらに加速し、マキナの表情を渋らせる。


「それ以上はやめた方がいいわ。命に関わるわよ。」

「冒険者になってから命ぐらい覚悟している!」

「馬鹿が!こんな所で命かけてどうするんだ!」


マキナはイルミスを強制的に魔力の供給を止めさせる為に腕を振るう。

その際にイルミスの剣がマキナの胸部装甲板にあたったが気にせずにイルミスの胸に剣の腹をあてると全力で振り切った。

最初から全力で当てないのはリングアウトするほどの力で剣で殴ったら確実に致命傷になってしまうからだ。


「カハッ!」


イルミスはリングの外に弾き飛ばされ背中から地面に落ち、一瞬肺の中の空気がすべて押し出された。

それとともに身体強化の魔力も供給が止まり、一気に脱力感が襲いかかった。


「くっそ…。」


「決まったぁ!イルミス闘士リングアウト!勝者はマキナ闘士だ!」


司会の言葉と同時に会場が湧きあがった。


「最近の少女は強いのか!?決勝戦は少女同士の戦いになるぞ!それにしてもマキナ闘士といい、クラキ闘士の力はどうなっているんだ!大の大人を軽々吹き飛ばす!はたして次の試合はどうなることやら。」


「タンカー急げ!治癒魔法をかけながら医務室へ運ぶんだ!」

「打撲程度だから大丈夫だと思うけど、一応運ぶのね。」


マキナはリングから降りて行った。

次は決勝戦とだけあって観客がいつまでも湧き上がっている。

係員もリングに破損がないか念入りに調べているのであった。


「あちゃーイルミスさん負けちゃったよ。」

"予想通りと言えば予想通り。“

『優勝金貨百枚が…私の食事が…。』

"あまり食べると太るぞー。“


そこにマキナが帰ってきた。

鈴はとりあえず話しかける事にした。


「お、おめでとう!」

「ありがと。」

「次当たるね。その…優しくしてね…?」

「……なるべくね。」


一瞬言葉の間があり、リンが何か言いたげだったがリンは言わないことにした。


"(スズはわかっていってるのか…?多分分かってないだろなぁ。)“



これからもオリジナルの銃火器や魔法を募集していきます。

何か有りましたらご連絡ください。

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