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オウザ様でゴザル

無事にエレインを村に送り届けたナナマル。

主人の元に戻り、事の顛末を報告する。

叱責を覚悟していたナナマルだったが、主人は今日も言葉を発さない。


「暇でゴザル・・・。もう一度、巡回するでゴザルか・・・」


他にやる事もなく、本日5度目の巡回に出ようとするナナマルが何かに反応する。


「ん?これは・・・侵入者でゴザル!」


急いで反応の有った場所に向かうナナマル。

そこにはエレインが居た。

例の穴からロープを使って器用に降りてきたようだ。


「エレイン殿でゴザったか・・・。久しぶりでゴザルな。

約120時間ぶりでゴザル。また、迷ったでゴザルか?」


ふるふると首を横に振るエレイン。


「では、どうしたのでゴザル?」


その問いに対してエレインは明確な答えを持っていなかった。

もし、もう少しエレインが年齢が上だったら、

以下の様な理由を挙げていただろう。

帰ったばかりのエレインに向けられた

「・・・せっかく口減らしが出来ると思ったのに」

という無情な言葉と、今まで以上の居心地の悪さ。

或いは、初めて優しく接してくれたナナマルの傍の居心地の良さ。

それらの答えが出ずにエレインがグルグルと考え続けていると、


「まぁ、イイでゴザル。では、拙者の主人オウザ殿に挨拶すると良いでゴザル。

そうすればエレイン殿は正式にお客人として相手することが出来るでゴザル。

拙者も怒られないで済むでゴザル」


俯いていたエレインが顔を上げる。その表情は晴れやかだ。


「では、付いてくるでゴザル。案内するでゴザル」


歩き出すナナマルの後を必死に追うエレインだったが、真っ暗闇の中を歩くのは困難で躓いて転んでしまう。


「ん?大丈夫でゴザルか?」

「暗くて・・・見えない・・・」

「そうでゴザルか。では、手をつなぐでゴザル」


暫く歩くと開けた場所に出た。

奥に玉座が有り、何者かが座っている。


「さぁ、この方がオウザ・ギルス・ウルメール様でゴザル。

挨拶するでゴザル」


エレインは以前、騎士たちが村に来た時の様に跪き、挨拶をする。

「え、エレインです。初めまして」


ナナマルも同じように跪いてエレインを見ている。


「ご主人様は無口でゴザル。でも、きっと”よく来たな”と言ってるでゴザル」


広間は他の場所と同じように暗闇に包まれているが、玉座にだけは外からの採光によって光が降り注いでいる。

その光によって舞い散る埃がキラキラと光って見える。

それをエレインは、ぼうっと眺めていた。

目が慣れてくるとオウザなる者の姿が次第にはっきりと見えてくる。

それは既に白骨化していた。


「ねぇ、ナナマル」

「何でゴザルか?」

「この人がオウザ様なの?」

「そうでゴザル。偉大な魔導師であり、拙者の造物主であるオウザ様でゴザル」

「でも、この人、死んでるみたいよ?」

「シンデル?シンデルとは何でゴザルか?」

「うーんっと、もう動かないって事・・・だと思う」


エレインは死んだ母親の事を思い出していた。

突然、村を襲った盗賊によって命を奪われた母親。


「なんと!動かないでゴザルか。

もしかして、無口なのもシンデルに関係あるでゴザルか?」

「そうだよ。死んでる人は喋らないもの・・・」

「うむむぅ。困ったでゴザル。オウザ様が喋らないと拙者は

次の命令を頂けないでゴザル」


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