命の水と若返りのりんご
ある国に三人の王子があって、長男がフィヨドル、二番目がワシーリー、三番目がイワンといいました。
このイワンが主人公で、かなり不幸な目にあうのですが、いったいどんないきさつで、なのか。
王様は目が弱くなってきたので、若返りのりんごと命の水の噂を聞き、持ってきてくれたら国の半分を与えると約束。
ところが誰も行きたがらない。
「おとうさま。私が参りましょう」
長男が言いました。
分かれ道に差し掛かると、
右に行けば、自分は助かるが馬は死ぬ。左に進めば、自分が死んで馬が助かる。真ん中は花嫁が待つ。
とあり、長男は花嫁の待つ道を行きました。
黄金の御殿が見えてくると、娘が現れ、
「王子様。どうぞお休みくださいな」
王子は首を振って、
「いや、いや、そうもいかないんだ。先を急ぐから」
フィヨドルがベッドに寝転がると、娘がやってきて、地下室へ閉じ込めてしまいました。
二番目のワシーリーも同じで、顔を見合わせたふたりは、がっかり。
イワンがとうとう、僕が行きますということになり、王はイワンに祝福を与えました。
そして例の分かれ道で、イワンは考えます。
「僕は結婚したいわけじゃないし、死ぬのもごめんだ。となれば道はひとつかな」
イワンは迷わず左の道へ。
すると、バーバ・ヤガー(山姥)があらわれて、
「おばあさん、青い目というのがりんごと水を守っているのかい。それじゃあ力を貸してくれないかなあ。頼むよ、僕はきっと、強くなれるから」
老婆は感心し、
「あんたほど熱心に頼んだものは今までいないよ。だから馬を貸してあげる」
先に行けば姉がいるから、といわれ、イワンは馬を走らせました。
山姥の姉は、
「おや、ロシア人が尋ねてきたよ」
と、先ほどのおばあさんと同じことを言いました。
「やあおばあさん、でも人を見かけで判断しないでほしいな。馬を休めたいんだけど」
「お前さんどこまでいくんだえ」
「僕は女勇士にあいたいんだ。そして命の水とりんごをもらう」
「じゃあ、この先の姉にきいてごらん、馬も貸そうから」
こうしてイワンは馬を走らせ、長女の山姥にあいました。
「僕のたくましい肩を信じて、力を貸しておくれ、きっと強くなるよ」
「いいだろう。青い目、あの子はあたしの姪でね。力強い女勇者だ。りんごをもぐのは三個まで。姪に近づいてはだめだよ、いいね」
水とりんごを調達し、王子は馬で砦を超えると、大の字になって寝ている青い目に一目ぼれし、キスをしてしまったのです。
目を覚ました青い目は、イワンを泥棒だと騒ぎ、あわてて追いかけます。
ところがバーバ・ヤガーは先を見越していたようで、馬を引っ張ってでてきており、イワンを逃がします。
青い目が到着すると、
「おばさん、ここに若い男来たでしょう」
「いんや、きてないね。それよりミルクでもどうだい」
「でもめんどくさいわ」
「そういわず」
青い目はミルクを飲んでイワンを追いかけます。
次の家でまた乗り換えをしてイワンは逃げ、青い目はまたも追いつき、
「おばさん、若い男を出して」
「パンケーキがやけるから待っておいで」
「食べてる暇ないのよ」
「ほら、お食べ」
その間に引き離したと思いきや、またおってきた。
「おまえ、お風呂でも入りな。汗臭いよ」
「沸かすのに時間かかるって!」
「いいからいいから」
しかし、とうとう追い詰められて決闘することに。
ふたりは棍棒と槍と剣で戦い、一昼夜戦い続け、青い目のパンチを受けてイワン敗北。
青い目はイワンを殺そうとしますが、
「まって、僕を殺さないで、・・・・・・僕のこと、愛してほしいんだ、キスして」
青い目はイワンを抱き起こすと、イワンにキスをしました。
それから天幕を張ってすごし、指輪を交換して結婚するのです。
「でもあなた、寄り道しないで帰ってね。三年経ったら迎えにいくから」
といった忠告を聞かずに、イワンは花嫁の待つ道へと足を運び、兄たちを助けだしてしまう。
これが不幸のもとで、ただで帰れないという兄たちの策略に引っかかり、イワンは眠らされてがけから突き落とされてしまうのですが、幸いなことにナガイ鳥という鳥に助けられて、国に戻ったものの、兄たちが祝福を受けており、戻れなかったので、酒場に出入りし、ならず者と付き合うようになったのでした。
さて青い目は約束どおりに子供をつれてイワンを迎えに行くことになりますが、国王はふたりの王子が自分を欺いてイワンを殺したことを知ると、嘆きました。
しかしイワンは、今ではただの酔っぱらいです。
子供はそれが父親であると知らず、
「かあさま、よっぱらいですよ」
といいますが、
「あれこそ、お父様よ。悪くなどないのに、苦労したんですよ・・・・・・」
そしてふたりは結婚し、意地悪な兄は追い出されてしまいました。
ついでにいうとイワンも青い目の国へ行き、幸せに暮らした、ということです。
書いてみてわかったけど、この手の民話は多いですな。
しかも自分の書くものは、短縮して書いてしまうので、内容が簡略化されてるっぽい。