プロローグ
ときどき、むしろしょっぱな残酷な表現が御座いますが、基本的にほのぼのしてるので許して下さい。その後はしばらくないと思いますので、はい。
夜といっても、ビル街は明るい。その裏側は暗いけれども。
「さてと、おまえをどう始末しようか」
15くらいの少年が黒い刃を片手に、サラリーマンを追いつめた。少年の目は深紅。人間らしからぬ色だ。
そう、彼は人でない。
「血を吸うのもいいんだけれど。あんたの血は不味そうだ」
少年は残念そうに男を見下す。
「な、なら逃がせ! 殺人になるぞ!?」
「別に問題ないさ。その辺は、あんたもわかってるだろうけど、狼男は回復が早いんだって?」
黒い剣は、月の光でさえ飲み込んだ。深淵のような剣で少年は男の額に突き刺す。
「ぐあああっ!」
「意外だ。まだ、意識があるのか」
赤い血が少年の白いシャツに飛び散る。
「やめっがあああああ!」
少年は男を殺しながら、懐を探りデジタルカメラを取りだす。するとそれで、死人となった男を写真に収めた。
「じゃあな」
「待て、よ」
死体が声をあげた。
「おお、はええ。まだ15秒だ」
死体であった男は、既に生き返り少年の肩をがっしりと掴んでいた。
「報復をまだしちゃいないんだよ、おじさんは……」
言葉が終わる前に少年は、剣を振るって男の体を二つに切り裂いた。血しぶきをもろに喰らっても、顔色ひとつかえなかった。
「血、出すなよ」
少年は目を細め、男に目線を落とす。
「本当に殺すぞ。ま、こちとらそれが目的じゃないから、俺に痛い思いさせないでくれ」
しばらく動かないであろう男に少年はそう言葉を投げつけてから、ビルの裏から去っていく。
少年の姿は異質だ。漆黒の剣を軽々とかつぎ、体中血にまみれ。
しかし、街を歩く者は気にしない。日常風景だからだ。いちいち警察を呼んでいたらキリがない上、そもそもこの街には警察という概念はない。
日本の領地に在るが、そこは化け物達が暮らす楽園。
怪妖街。
これは、そこで暮らす、化け物達の物語である。
新作です。
しかし、まだプロローグ。
でも話はできてるよ?
楽しみにしてて下さい。