戦場の夢
市街地で銃撃戦が行われるハードボイルドちっくな、けれど戦場の夢だった。
男は交通機動隊から引き抜かれて激戦区の隊に入った。
しかし初陣はボロボロ。
足手まといと罵倒されての途中退場。
役立たずのお荷物扱いに心が折れて、そのまま隊を逃げ出した。
そして、はみだしものが集まる隊(奇人変人ばかりだけど皆優秀)で居場所を見つける。
後にルーキーが入ってきて、そのルーキーも初陣はボロボロで。
「優秀な刑事だった・・・・はずなんですけどね」
とこぼす苦い自嘲に、俺も昔そうだったよと当時を思い出して愕然とする。
分かりにくかったけれど、彼らの不器用な言動の裏側で自分は随分と歓迎されていたんじゃないかと。
実際、当時を知るメカニックに確認したら、隊の連中は新しい仲間が増えることに浮かれていて、彼用にカスタマイズしたバイクも用意しようとしていたと。
そしてあの戦場でほとんど皆死んだと。
ではあの追い払うような罵声も(実は極限状態で混乱していた彼が気付かなかっただけで)逃げて生き延びろという意味だったのかと、ようやく気付く。やっと気付く。
後悔と自己嫌悪に彩られ涙で終わる、そんな哀しい夢だった。