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ヒーローの夢
喜劇役者も言っていた。
ひとり殺したら殺人犯、たくさん殺せば英雄、と。
アクション映画の中のヒーローたちは正義のために人を殺し、船は炎上しビルは倒壊し、味方の死を見送ってひとり生き残る。
人が生き残るために人を殺すのは、善か悪か。
人はどこまで醜いのか。・・・・という前ふりをしつつ、夢の話。
夢の中。
マフィアの抗争のようなものに巻き込まれ銃を渡され、「どうせお前に人は殺せねえだろうこのチキン野郎」と蔑む男に向かって引き金を引いた。
篭城に失敗し、逃げることにも失敗し、けれど逆転するために、手榴弾のつまったバケツからひとつを取り出し、安全ピンを抜いてそのままバケツに落とし夢は終わった。
・・・・人が、生き抜くために人を殺すのは、善か悪か?
実際に殺されそうになった時、生きるのに必死でそんなことは考えないのだろうと、そういう夢だった。
人は本能で生き、しかし本能で人のために死ぬのだろう。