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テレビの夢
夢の中でテレビを見ていた。
2時間のスペシャル番組で、一人の男子高生が核兵器で死ぬところから始まり、そこにたどりつくまでの経緯を、時間を遡るようにして語る番組構成だった。
家族が死んで幼馴染みの女の子も死んで、そんな様子が少年の後悔の記憶のように語られた。
時間は少年の生まれる前へと更に遡り、歴史の因果にまで触れた。
日本に良く似ているが日本ではないその世界。銀色に鈍く光る近代兵器がずらりと並んでいた。
番組が終わってからも夢の中で、幼馴染みからの最後の通信に応えなかった後悔やターニングポイントについてをぐるぐるぐるぐる考えていた。
夢の中なのでとりとめのない思考はそのまま映像化されて、例えば西遊記の三蔵法師が妖怪にたぶらかされて闇に捕われていたりした。
悟空はお師匠さまを助けに来なかった。
長い夢が終わって目が覚めた今も、深い思考の淵に沈みこんだままずっと、人の生と死、歴史の光と闇についてをぐるぐると考えている。