第1話 保護太郎
むかしむかし、あるところに、隻腕の老銃二さんと終刃亞さんが住んでいました。老銃二さんは山へクマを狩りに、終刃亞さんは川へ修行に行きました。
終刃亞さんが川に沈み、息を1時間止めて瞑想していると、
ドンブラコ
ドンブラコ
上から何か気配を感じ、終刃亞さんはギロリと片目を開けて水上を観察しました。すると、大きな桃が流れてきました。
「ぼば、ぼいびぼうなぼぼだ(おや、美味しそうな桃だ)」
桃を手にいるために、終刃亞さんは懐から杖を出して川をパッカーンと割ってしまいました。
終刃亞さんは、上から落ちてくる水滴を全て避けながら落ちてくる桃を片手でキャッチし、家に持ち帰りました。
そして、老銃二さんと終刃亞さんが桃を食べようと
「わしが切りましょうか?終刃亞さん」
「いいえ、川でひろったときにもう切っておきました。」
終刃亞さんがそう言い終わった直後、なんということでしょう、何もしていないはずの桃が半分に割れてしまいました。
すると───────
「おぎゃあ!おぎゃあ!!」
なんと、元気な可愛らしい男の赤ちゃんが飛び出してきました。
「これはきっと、昨日、魔王を討伐した時の報酬にちがいない。」
子どものいなかった老銃二さんと終刃亞さんは大喜びです。
桃から生まれた男の子を、老銃二さんと終刃亞さんは”保護太郎”と名付けました。
元魔王の手下である者たちが家に攻めてきても────
「ここから去れ!!!!」
右手しかない隻腕の老銃二さんが斧を一振し、魔王の手下たちを一掃してしまいました。
そのおかげか、安心安全に保護太郎はスクスクと育って、やがて強い男の子になりました。
そしてある日、保護太郎は言いました。
「ぼく、鬼ヶ島へ行って、わるい鬼を退治してきます。」
「ちょっと待て、あの地の鬼なんぞわしらが行けば3秒で片がつく。」
「そうよ、保護太郎は好きな人と巡り会って幸せな人生を歩みなさい。」
保護太郎には、戦いとは無縁の人生を歩んで欲しかった老銃二さんと終刃亞さんは、保護太郎を止めました。
「でも、人の役に立ちたいんです。それこそ、老銃二さんと、終刃亞さんを守りたいと思い…」
「うっ……」
「わ、わかった。」
照れ臭そうにそう言う保護太郎と、その考えに二人は心を打たれ、やむを得なく許可をしました。
終刃亞さんには、奇薇団子を保護太郎に持たせ、老銃二さんは、保護太郎に絶対にダメージの通らないハチマキを持たせました。
そうして保護太郎は鬼ヶ島へ出かけました。




