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第86話 【公文書】回収報告書4
【ルキアの処理:事後処理記録 案件1192】
・対象: ルキア(自称:歴史編纂部)
・処理結果: 収穫済。
・特記事項: 彼女が所持していた「王都の印章」および「大量の調査書」は、すべて宿屋の「薪」として再利用。彼女の眼鏡は、ドニ武器店にて「度付きのレンズ」として中古販売予定。
・備考: 王都への最終連絡は完了。「ルキア調査員は現地にて不慮の事故により死亡。遺体は損壊が激しいため、村の規則に基づき埋葬済み」とテンプレ返信にて処理。
【研究員のメモ】
ルキアが消えた。彼女の「眼鏡」が、私のプレハブの机の上に置かれている。レンズには、私がこれまで書いてきた「ホラー」の文字が、びっしりと裏返しに反射している。
【研究メモ:追記】
学生が、ルキアの眼鏡を私の顔に無理やり押し当てた。
「先生、これで『歴史』がよく見えるでしょう? 次は、仮面の人物の番ですよ」
もうすぐ1日を終えようとしている。ルキアという「論理」を完食した村の脈動が、プレハブ全体を揺らしている。




