84/95
第83話 【日誌】■■の記録3
本日、10月26日。予期せぬアクシデントが発生した。異国の民が、この村にやって来た。ギルド長ギルベルトを制御できていない今、異物が混ざると計算が狂う。このままでは、「拠点村」のみならず、この国全体を揺るがす大惨事が起きかねない。衛兵の監視が緩むのを待たずにことを起こすべきだろう。
【研究員のメモ】
仮面の人物が動く。私の出現が、死地に追いやったのか。プレハブの肉の壁が、激しく波打っている。「計算が狂う」。そうだ、私の存在自体が、この世界のバグなのだ。
【研究員のメモ:追記】
学生が、私の冬のコートを無理やり剥ぎ取った。
「先生、異物は排除しなきゃいけませんね。代わりに、この『青い粘液の衣』を着てください。これなら、ギルベルト様も喜んでくださいます」
私の「異国人としての特権」は剥がされた。私は、仮面の人物が命を懸けて救おうとしている「惨劇」の、最も重要な材料として完成されようとしている。




