第71話 【伝承】ナゴノの言い伝え2
ナゴノ平地にある「拠点村」には不思議な言い伝えが残っている。以下、老人らから聞いた伝承である。
老人ギール
大昔、まだここ一帯が「アラキ」と呼ばれていたころにも、土砂崩れがあったそうな。その規模は、凄まじく「安らぎの村」まで飲み込んだそうだ。そんな災害だが、1つだけ恵みをもたらした。それは「安らぎの洞窟」の入り口を塞いだことだった。これにより、村民の犠牲と引き換えにスライムが村を襲うことはなくなったそうな。あくまでも、伝承だ。それに、例外もあったという文献もある。確実なのは、いつの時代も自然は恐ろしい、それだけじゃよ。
老婆ロゼーヌ
昔の話だけどね、村民がスライムを恐れたいなかったころ、子供たちがはぐれたスライムを殴る蹴るしていたそうだ。それを見た老人は制止して、「安らぎの洞窟」へ連れて行ったそうな。そして、戻ってくると老人は肌にハリが戻り、白髪も黒髪に戻ったらしい。それ以来、「安らぎの洞窟」の最奥に行き、戻ってきた者は永遠の命を得るという話だ。まあ、真面目に受け取らん方がええ。昔と今では、事情が違うからねぇ。
【研究員のメモ】
鏡を見た。驚いたことに、寝不足で酷かった目の下のクマが消え、肌に不自然なほどのツヤが出ている。私は、若返っているのか?
【研究員のメモ:追記】
学生が「先生、髪の毛が青黒くなってきましたよ。もうすぐ『永遠の命』の仲間入りですね」と、私の首筋を撫でた。彼の指が触れた場所から、ドロドロとした黒い液体が染み出し、白髪を黒く染めていく。私の肉体は、長野の廃村の土と、完全に「同化」しようとしている。




