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第70話 【日誌】■■の記録2
事態は深刻だ。アイゼンの死によって、ミレットの精神は限界を迎えつつある。いや、すでに限界を超えているに違いない。早く合流したいが、衛兵の監視が厳しくなり、身動きがとれない。おそらく、「収穫祭」の前に、自分とルキアを消すつもりだろう。ミレットが生き残れば、まだ打倒ギルベルトのチャンスはある。いつまでも様子をうかがうわけにはいかない。31日――「収穫祭」までに、けりをつける。
【研究員のメモ】
プレハブの肉の壁から、謎の声が漏れ聞こえる。
「31日までに、けりをつける」
そうだ、私も31日にけりをつける。この肉体から離れて。
【研究員のメモ:追記】
学生が私の手を取り、冷たい青い粘液を塗りつけながら言った。
「先生、31日までは死なせないでくださいね。新鮮な『文責』として、ギルベルト様に献上するんですから」私は、仮面の人物が「けりをつける」瞬間を見届けるまで、この肉の檻の中で生かされ続けるのだ。




